自己破産件数の推移は?破産する理由とメリット・デメリット

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自己破産とは、債務整理の手段の1つで、裁判所に「破産申立書」を提出して法的に債務の免責を受ける手続きのことです。手続きを開始すると債権者は強制執行できなくなり、完了とともに債務者は全債務の支払いが免除されます。

参考|自己破産とは?裁判所申立方法やかかる費用は?家族や周囲に影響は?

自己破産と聞くと、多くの人が「だらしない人」「浪費家」「多重債務者」「ギャンブル依存症」など悪いイメージをするはずです。

また、「人生の失敗者の烙印を押され、自己破産後は肩身の狭い思いをしながら生きていかなければいけない……。」そんなイメージを持っている人もいるかもしれません。

ところが、自己破産はそれほど珍しいことではありません。近年の裁判所に対する自己破産申立件数は年間7-8万件ほどあります。

なぜ世の中にはこんなに自己破産を望む人がいるんでしょうか。自己破産のメリット・デメリットはどのようなことなのでしょうか。

今回は、自己破産申立件数と推移、自己破産のメリット・デメリットについてお話します。

自己破産申立件数と推移

前述した通り、近年の裁判所への自己破産申立件数は年間7-8万件ほどあります。しかも、この数字は1998年ピーク時の25万件に対して、3分の1以下にまで減少した数字です。

出典|自己破産数の統計|自己破産の知識

7-8万件や25万件と言われても、ピンとこない人もいるでしょう。通常、自己破産をする場合、1世帯内で複数人が行うことはほぼありません。なぜなら、家計が極端に分断されていることはないためです。

そのため、この件数は世帯数とも言い換えられます。というわけで、自己破産申立件数7万件を最近の日本の世帯数5000万世帯で割ってみると、割合は0.14%となり、714世帯に1世帯が自己破産をしていることがわかります。

出典|世帯平均人数は2.47人…平均世帯人員と世帯数推移をグラフ化してみる(最新) – ガベージニュース

少し見方を変えてみましょう。「あなたは10年以内に自己破産しましたか?」と聞かれたら、「いや、してるわけないよ。」と答えるかもしれません。ちなみに、2006年から2015年の10年間の自己破産申立件数の合計は約117万件です。

10年間の自己破産割合=117万件÷5000万世帯=2.3%

つまり、直近10年スパンで考えると、43世帯に1世帯が自己破産をしているということです。もしかしたら、あなたが知らないだけで、あなたの周りには自己破産をした人(世帯)がいたかもしれません。

自己破産の理由

では、これだけ多くの人が自己破産をするのは何が原因なのでしょう。

日本弁護士連合会、消費者問題対策委員会がまとめた自己破産件数が20万件前後もあった2004-2005年のデータを見ると、最も多い自己破産の理由は生活苦・低所得です。

出典|個人の自己破産申立件数の年別推移|金融庁

生活苦・低所得|24.47%
負債の返済|12.78%
保証債務・第三者の債務の肩代わり|9.92%
病気・医療費|9.06%
事業資金|7.41%
失業・転職|7.17%
給料の減少|4.65%
住宅購入|4.27%
教育資金|3.24%
生活用品の購入|3.20%
浪費・遊興費|2.79%
名義貸し|1.62%
ギャンブル|1.34%
冠婚葬祭|0.93%
投資|0.31%
その他|6.82%

自己破産の理由を多い順に並べると上記のようになります。もちろん、1件毎に内容を聞かなければわかりませんが、病気や失業、肩代わりなどで仕方なく自己破産を選択している人が多数だということがわかります。

自己破産をするメリット

自己破産をする唯一にして最大のメリットは、「現在抱えているほぼすべての借入の返済や支払責任が免責されること」です。

ただし、以下の免責されない支払責任もあるため注意が必要です。

1.税金等の公租公課
2.詐欺などの不法行為による損害賠償債務
3.事故などの過失による生命・身体を害する損害賠償債務
4.子の養育費など
5.従業員の給料支払義務
6.免責許可に含まれない借入
7.法律に寄る罰金

引用|借金があるのに自己破産できない…裁判所が免責しない9つの事例

自己破産をするデメリット

自己破産のデメリットは以下のものが考えられます。

1.資産および99万円超の現金は精算に充てられる

破産者は、破産手続き前に不動産や車、その他美術品などの資産を売却して精算に充てるだけでなく、99万円を超える現金を保有している場合は超過分を債務の精算に充てなければいけません。

ただし、日常生活に必要な家財道具や破産手続き開始後に得た給料や資産は、保有することができます。

2.信用情報機関に事故情報が登録される

JICC・CIC・KSCなどの「個人信用情報機関」に事故情報が以下の期間を以て登録されます。よく、ブラックリストと呼ばれるものです。

JICC|完済日から1年間、自己破産免責日から5年間の登録
CIC|完済日から1年間、自己破産免責日から5年間の登録
KSC|完済日から5年間、自己破産免責日から10年間の登録

金融機関は、個人の信用情報としてこれらの情報を使って審査を行うため、事故情報が抹消されるまでは融資は受けられません。もちろん、保証人になることもできません。

3.就ける仕事に制限が設けられる

破産手続きを開始すると、免責が確定するまで(半年から1年ほどが多い)就ける仕事(資格)に制限が設けられます。

免責確定まで制限がある仕事・資格
弁護士・会計士・司法書士・税理士など、宅建取引業、証券会社の外交員、貸金業者、質屋、損保代理店、生命保険募集人、信用金庫の会員や役員、一般労働派遣事業、日銀の役員、旅行業、警備員、後見人、補佐人、後見監督人など

4.管財事件の場合に各種制限がある

自己破産は、「同時廃止」と「管財事件」に分かれますが、現金を20万円以上持っている場合、または20万円以上の財産を持っている場合は、「管財事件」として破産手続中は以下の制限があります。

1.財産管理処分権が破産管財人に移転する
2.居住地を変更や海外旅行・出張は裁判所の許可が必要になる
3.郵便物は破産管財人が全て管理する

自己破産は意外と自由

自己破産のメリットとデメリットをみるとわかる通り、自己破産の手続き開始から完了までの間には色々な制限がありますが、自己破産が完了すると、日常生活を営むうえで大きな不自由はなく、意外と自由だということがわかります。

自己破産に関して理解して欲しいことは、債務者には自己破産をする権利が与えられているということです。

以前お話した通り、自己破産は官報には掲載されますが、官報を見る人はほぼいないため、知り合いに自己破産がバレることはほぼありませんし、住民票や戸籍にも影響はありません。

また、自己破産をしてもお金さえ払っていれば賃貸住宅から追い出されることはありませんし、携帯電話も継続して持つことができます。

自己破産が会社の解雇理由にはなりませんし、子どもの進学に不利になることもありません。もちろん、年金や選挙権などの権利もそのままです。

つまり、自己破産はイメージが悪いだけで、大きな債務を背負っている人にとってはメリットの方が大きい行為なわけです。

翻って言うと、債権者には、債務者が自己破産をするリスクが付きまとっていることになります。金銭消費貸借契約書を交わして、公正証書としても、債務者は自己破産でチャラにできるということです。

さて、みなさんは債務者に与えられた自己破産という権利をどのように考えるでしょうか。

自己破産の申立方法や自己破産にかかる費用に関しては、以下を参考にしてください。

参考|自己破産とは?裁判所申立方法やかかる費用は?家族や周囲に影響は?

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