借金があるのに自己破産できない…裁判所が免責しない9つの事例

読了目安[ 6 分 ]

「諸々資料も準備したし、後は裁判所に自己破産申立をするだけだ。明日から新しい人生のスタートを切ろう。」

自己破産によって負債にケリを付け、前向きな気持で新たな人生をスタートしたいと思っていたのに、裁判所の判断で自己破産申立の許可がおりない場合があります。

これを「免責不許可」と言い、裁判所が免責不許可と判断する理由を「免責不許可事由」と言います。

もちろん、自己破産にはメリット・デメリットがあるため、破産者はよく考えたうえで自己破産の決断をしたはずです。ところが、いざ裁判所で免責不許可と判断されると、途端に今後の人生が真っ暗……この先どうすれば良いかわからなくなるでしょう。

参考|自己破産件数の推移は?破産する理由とメリット・デメリット

裁判所が自己破産に対して免責不許可と判断する理由はなんでしょうか。また、免責不許可と判断された人は、今後どうすれば良いのでしょうか。

今回は、自己破産の申立に対して裁判所が認めてくれない理由、その後の対応などについてお話します。

裁判所の免責不許可事由

裁判所が自己破産の申立に対して免責不許可を決定するのは、いくつかの明確な理由があります。

理由1.故意に財産を隠した場合

破産者は、自己破産で債務整理をする際に、99万円以下の現金および日常生活を維持に必要な家財道具以外は、売却などによって整理して債務返済に充てなければいけません。

そのため、財産を隠したり、名義変更などを行なって財産整理逃れを行った場合は、債権者の権利を故意に害したとみなされます。

理由2.故意に財産を毀損した場合

「誰かにあげるくらいなら。」と考えて、保有財産を故意に毀損した場合も債権者の権利を害したとみなされ、免責不許可事由になります。

理由3債権者を騙して借入した場合

たとえば、書類の偽造などの明らかな詐欺行為でお金を借り入れ、その債務に対して自己破産を行おうとすると免責不許可事由になります。

理由4.借入理由がギャンブルなどの場合

パチンコ、競馬、競艇などのギャンブル、FXや株式などの投機行為、過度な買い物・無駄遣いによる浪費は、自己破産の免責不許可事由になります。

理由5.特定の債権者を優遇した場合

債権者が複数いる場合に、特定の債権者に対して他の債権者よりも優先的に債務返済を行ったり、個別取引によって優遇していることが認められた場合は、自己破産の免責不許可事由になります。

理由6.裁判所に支払可能と判断された場合

現在の総借入額を36か月で割って算出した金額が、月々返済できる金額を下回っている場合は、自己破産をしなくても返済が可能だと判断されて、免責不許可事由になります。

たとえば総借入額が1000万円の場合、「1000万円÷36か月=27.7万円」となり、現在の収支状況を加味して27.7万円が返済可能か判断されます。

理由7.免責の審尋に出頭しない場合

免責の審尋(めんせきのしんじん)とは、自己破産に際して、裁判官と面会して説明を受ける行為です。免責の審尋に出頭しない場合は、免責不許可事由になります。

理由8.前回の免責許可決定から7年経過していない場合

一部例外もありますが、以前に自己破産をしており、その際の免責許可決定から7年が経過していなければ免責不許可事由になります。

理由9.免責不許可事由を隠匿した場合

破産者が免責不許可事由を認識しているにもかかわらず、裁判所に対して隠匿していた場合は、免責不許可事由になります。

免責不許可の場合の対応

もし、裁判所が免責不許可と決定した場合は、どう対応すれば良いのでしょうか。

対応1.即時抗告(そくじこうこく)

自己破産申立によって、裁判所の免責許可・不許可が決定した場合、納得できなければ不服申立てを行えます。免責不許可には破産者が即時抗告を行ないますが、免責許可のにも債権者や破産管財人が即時抗告を行う場合があります。

裁判所に即時抗告する場合は、破産者に対する決定通知書が送られた日を含めて1週間以内に、抗告の理由を記載した申立書を裁判所に提出しなければいけません(必ずしも抗告の理由が必要ではない)。

裁判所は、即時抗告の申立書をもとに、「再度の考案」として免責許可・不許可の判断をもう1度行ないます。

対応2.任意整理

免責不許可によって自己破産ができなければ、何とかして借金を返済しなければいけません。そこで、債権者と調整をして、利息引き直しなどの再調整を行うことになります。これを「任意整理」と言います。

対応3.個人再生

個人再生とは、裁判所を通じて債務を減額してもらう手続きのことです。裁判所に提出した再生計画が認可されると、原則として債務が5分の1に減額され、残債を3年で支払うことになります(特段の事情がある場合は、5年までの長期分割弁済も可能)。

自己破産できない支払債務とは

なお、自己破産をすると全ての債務や支払責任がゼロになるわけではありません。支払責任が残るいくつかの例外があります。

1.税金等の公租公課

税金は自己破産をしても支払責任があるため、計画を持って支払っていかなければいけません。つまり、自己破産後の収支には税金の支払いを入れなければいけないということです。

2.詐欺などの不法行為による損害賠償債務

詐欺などの犯罪・不法行為で損害賠償責任がある場合は、支払責任が消えることはありません。

3.事故などの過失による生命・身体を害する損害賠償債務

事故などの過失行為によって、相手方の生命・身体を害した場合の損害賠償債務に対する支払責任は消えません。

4.子の養育費など

離婚などによって子どもの養育にかかる支払い費用・債務がある場合は、支払責任が消えることはありません。

5.従業員の給料支払義務

経営責任を持つ者は、従業員の給料が未払いの場合の支払責任が消えることはありません。

6.免責許可に含まれない借入

もし、破産者が何らかの理由で故意に明らかにしなかった債務があり、それを裁判所に届けずに免責許可が決定した後は、その債務は自己破産によって免責されたことにはならないため、支払責任が消えることはありません。

7.法律による罰金

法律によって定められた罰金がある場合は、罰金の支払責任が消えることはありません。

お金はプロしか貸してはいけない

裁判所が決定する免責不許可の事由は、権利行使する破産者に対して不条理なものではありません。

自己破産は債務者に与えられた権利ですが、自己破産で借金を免れるということは、債権者にとっては貸したお金が戻ってこないということです。

そのため、免責不許可事由があることは当然で、どんな場合でも借金が免除されるとしたら、お金を貸した人はたまったものではありません。

ただし、余程のことがない限り裁判所が免責不許可を出すことはなく、割合は0.1-0.2%ほどだそうです。自己破産の申立方法や費用は以下を参考にしてください。

参考|自己破産とは?裁判所申立方法やかかる費用は?家族や周囲に影響は?

わたしは、事業に失敗して自己破産をした人を何人か知っていますが、どの破産者も”友人から借りたお金”も全て自己破産によって踏み倒しています(表現が妥当かわかりませんが)。

世の中にお金を貸す商売があるということは、お金を貸すプロがいるということです。つまり、素人のわたしたちがプロでもないのに個人間で安易にお金を貸すことは間違っているのです。

お金を貸すことは人助けではありません。まずはお金を貸さないことが大前提で、悩み相談に乗るなど別のところで協力してあげましょう。どうしてもお金で助けたい場合は、貸すのではなくあげてください。

参考|友人にお金を無心されたら…相手が思わず黙る上手な断り方ベスト5

コメントを残す

  • コメント欄には個人情報を入力しないようにしてください。

  • 入力いただいたメールアドレスは公開されませんがサーバーに保存されます。
  • 入力いただいた情報の他に、IPアドレスを取得させていただきます。取得した IPアドレス はスパム・荒らしコメント対処ために利用され、公開することはありません。