日本の映画料金は世界一高い?海外の映画料金比較と市場の動向

読了目安[ 4 分 ]

私の記憶が確かなら、1990年台に入ってから長らく叫ばれていた映画離れという言葉が、ここ数年はあまり聞かなくなった気がします。

これは映画離れがすでに定着してしまっているのか、映画に人が戻ってきたのか、はたまた映画に対するメディアの執着さえもなくなってしまったのか……。

ちなみに映画館の入場者数は1958年がピークで11.27億人、対してボトムが2000年の1.35億人です。つまり、映画館の入場者数はピーク時の10分の1近くに落ちているわけです。

では、近年の映画館入場者数を「日本映画製作者連盟」のデータを元にしたガベージニュースのグラフで見てみましょう。

出典|60年余りの間の映画館数の変化をグラフ化してみる(2017年)(最新) – ガベージニュース

2010年の震災以降で一時的に凹んではいるものの、やや右肩上がりに推移し、2016年には1.8億人の大台を回復しています。

これは日本の映画人気が回復したと言える兆しなのでしょうか。また、今後の映画史上は入場者数の増加、興行収入の増加は見込めるのでしょうか。

日本の映画料金の推移

1950年代から現在までの、日本の映画料金(映画館平均入場料金)と入場者数の推移を見てみましょう。

出典|コンテンツ産業の展望|第2章映画産業|みずほ銀行

日本の映画館入場者数はテレビの普及とともに急激に減少し、それを追いかけるように映画料金が跳ね上がっていることがわかります。ここで注目してほしいのは、1970年代半ばから後半にかけての映画料金の伸び率です。

1972年と1981年を比べるとわかる通り、およそ400円から1100円……2.75倍に伸びています。

ちなみに、当時の消費者物価指数を見てみると、1972年から1981年は消費者物価指数も急激に伸びていますが2.4倍ほどです。つまり、物価に対してもかなり先んじた値上げだったことがわかります。

参考|長期経済統計 物価 – 内閣府

世界の国の映画料金

では、日本の映画料金は、他の主要国と比較して高いのでしょうか、安いのでしょうか。為替レートにもよりますが、みずほ銀行がまとめたデータによると、日本の映画料金は世界でも飛び抜けて高いことがわかります。以下は、子ども料金、割引料金含む1人あたり平均の映画料金です。

グラフから読みとる限り、各国の映画料金は以下の通りです(50円区切り)。

オーストラリア|約1200円
オランダ|約1100円
ドイツ|約1000円
カナダ|約1000円
イギリス|約950円
イタリア|約900円
フランス|約850円
アメリカ|約800円
韓国|約700円
ポルトガル|約700円
ロシア|約700円
シンガポール|約600円
ブラジル|約550円
タイ|約450円
中国|約400円
南アフリカ|約250円
インド|約100円

ちなみに調べてみると、北欧は映画料金が高いようでスウェーデン、ノルウェーなどは大人1人1700円前後だそうです。そして、それよりも高いのが日本の1800円(平均は1500円)ということになります。

日本の映画市場

デジタルコンテンツ白書2016によると、日本の映画市場(ほぼ興行収入)はおよそ2000億円ほどです。この数字は国内映画史上で最高水準にあります。

出典|映画に関する基礎データ|内閣府(平成28年12月)

では、日本の興行収入の推移が他国に比べて良い傾向と言えるかというと、そうではなさそうです。

出典|コンテンツ産業の展望|第2章映画産業|みずほ銀行

上記グラフを見てわかる通り、北米やフランスの映画市場の成長推移に比べると、日本の映画市場の興行収入は伸び悩んでいます。

北米、フランスの映画市場拡大の要因は、購買力平価に合わせて入場料金の段階的な値上げを行っているからです。対して、日本の映画市場が拡大していない要因は、世界で最も高い映画料金のためです。

つまり、日本は元々の映画料金設定が世界で最も高いため、これ以上料金を上げることが難しいということです。

日本の映画市場の今後は?

日本では入場者数も伸び悩んでいる中、映画館入場者数を増やすためには料金値下げが必要な施策だと言われています。

たしかに、映画料金の値下げをすると映画館入場者数は増えるかもしれません。ただし、同時に興行収入が減少するというジレンマを抱えています。

そのため、イチ映画好きの意見からすると映画料金は下げて欲しいところですが、それが日本の映画市場の衰退につながることは本意ではありません。

1800円は庶民の気軽な娯楽にしては少々高い気がしますが、このような背景から今後も映画料金が下がることはないでしょう。

もし日本が今後も現在の興行収入の水準、映画館入場者数の水準を保ちたいのであれば、近年のペースでヒット作を出していくこと以外ないということになります。

コメントを残す

  • コメント欄には個人情報を入力しないようにしてください。

  • 入力いただいたメールアドレスは公開されませんがサーバーに保存されます。
  • 入力いただいた情報の他に、IPアドレスを取得させていただきます。取得した IPアドレス はスパム・荒らしコメント対処ために利用され、公開することはありません。