宝くじに当たることを「当せん」と書く理由は?当選との違いは?

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各種ジャンボ宝くじのシーズンになると、テレビなどで宝くじ関連のCMや報道が多くなります。

「今年は、1等が○億円当たるのか~。」「うわー、初日はこんなに行列ができるのか~。」など、あまり宝くじに関心がない人でも、宝くじシーズンの熱気に驚きますね。

そんな宝くじ関連のCMや報道などを見ていると、「宝くじ当せん番号」など、”せん”がひらがなで書かれていることを見かけて、不思議に思う人もいるでしょう。

一般的に、何かが当たることを「当選」と書くと思っている人にとっては、ひらがなの”せん”に違和感を感じますが、実は「当せん」という書き方は間違っていないのです。

では、なぜ宝くじに当たることを「当せん」と書くのでしょうか。

今回は、宝くじに当たることを「当せん」と書く理由、また「当せん」と「当選」の違いについてお話します。

とうせんは当籤と書く

わたしたちは普段、「宝くじに”当選”する」と書きがちですが、本来は「宝くじに”当籤”する」と書きます。

籤(鬮)は、訓読みで”くじ”と読みます。つまり、くじ引きや賭事で何かが当たった場合は、当選ではなく当籤と書く方が正しいのです。

くじとは、「割り当て情報が明らかにされていないものを対象者に選択させること」を言うため、この方式に該当するものは、全て”選”ではなく”籤”の漢字を使うことになります。

ちなみに、”籤”には「占う、試す」という意味もあります。そのため、おみくじも「割り当て情報が明らかにされていないものを対象者に選択させること」の1つに当たります。漢字では「御神籤(おみくじ)」と書きます。

当籤ではなく当せんと書く理由

では、「当籤」ではなく「当せん」と書く理由は何でしょうか。

宝くじ公式サイトはもちろんのこと、テレビや新聞では宝くじやくじ引き関連のテロップが流れる場合は、全て「当せん」と記載されています。

「漢字が難しいから……。」と言ってしまえばそれまでなのですが、実際に”籤”は日本工業規格が制定するJISX0208によって、第1水準よりも使用頻度の低い漢字「JIS第2水準漢字」だとされています。

そのため、以前は、テレビや新聞などで使える”籤”に対応するフォントがありませんでした。

つまり、「当籤」ではなく「当せん」と書く理由は、「漢字が難しい」という理由のほかに、「以前からのなごり」があると考えられます。

抽選はどうなる?

「当籤」の意味を理解できると、その前段階の「抽選」の漢字も正しいのかどうか疑問が湧きます。

「厳選なる抽選の結果、○○さんが当選されました!」という表現は、実は当選だけではなく、抽選も間違っています。本来、抽選は「抽籤=抽せん」と書くことが正しいのです。

そのため、宝くじ公式サイトでは、「抽選」ではなく「抽せん」と表記されています。

ところが、テレビのテロップなどでは、「抽せん」ではなく「抽選」の方がよく見かけます。

また、読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日本経済新聞・産経新聞の全国紙(またはそれに準ずる地方紙)では、抽選ではなく抽せんが使われていますが、その他の雑誌や新聞では抽選が使われていることもあります。

同じ”くじ”を扱う漢字にもかかわらず、なぜ「当せん」ほど厳選に扱われないかというと、1つの理由は「抽選」の方が「抽せん」よりも一般化しているためだと考えられます。

そして、もう1つの理由は「当せん」とは違い、「抽選」は他の言葉との誤用がないためだと考えられます。

当選とは

三省堂の大辞林によると、当選とは、選択して何かに当たることではなく選ぶことを言います。

①選ばれること。 「懸賞小説に-する」
②選挙で選び出されること。 ↔ 落選 「国会議員に-する」

わたしたちが「とうせん」と聞いて思い受かべるのは、宝くじや懸賞に当たった「当籤」と選挙などで受かった「当選」の2つがありますね。

ただ、当選の意味は上記通り、「割り当て情報が明らかにされていないものを対象者に選択させること」ではなく、意図を持って選び出されることを言います。

このように「とうせん」には、よく使われる「当籤」と「当選」という意味が異なる言葉があるため、「抽籤」が「抽選」に代わって一般化したことよりも、厳密な言葉の意味を使用するシチュエーションが多いのです。

宝くじに当選を使ってはいけない?

宝くじに当たることは「当籤=当せん」ですが、「当選」を用いてはいけないのでしょうか。

「抽籤」が「抽選」に代わって一般化したことと同じように、今後、「当籤」が「当選」に代わって一般的に使われることがないとは限りません。

マネーゴーランド編集部でも、一般的に使われていると認識して、「当籤=当せん」ではなく「当選」を使うようにしています。

世の中には、弱冠や姑息の意味、全然~ないという否定語の未表記など誤用が一般化し、テレビや新聞でも当たり前に使われるようになった言葉はたくさんあります。

実際、メディアが意識しているだけで、企業が開催する懸賞キャンペーンなどではほとんどが「当選」表記になっています。

いや……もしかしたらわたしがいくら懸賞に応募しても全く当たらないのは、当選の漢字の意味のとおり、意図を持って選び出されていないからなのかもしれません……。

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