30代以下も4割!ワンクリック詐欺8つの手口と相談件数・被害額の推移

読了目安[ 14 分 ]

インターネットを利用中に、金銭を不当に要求される「ワンクリック詐欺」の被害件数が増えています。

最近ではパソコンやスマートフォンをロックするランサムウェアや、不正アクセスによる個人情報流出などが話題に挙がることが多いですが、ワンクリック詐欺の被害も一時期より減少したものの、一定の被害を出し続けています。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)へのワンクリック詐欺相談件数は依然として多く、2016年度はIPA全体の相談件数の25.6%を占める2,292件となっています。

また、独立行政法人国民生活センター(PIO-NET)にも、ワンクリック詐欺の被害相談が6.2万件(2016年)も寄せられています。

これらの相談件数は氷山の一角です。「よくニュースで見るけど、ワンクリック詐欺って何だかよくわかんないな。」と思っている人は、その実態を知り、何らかの自衛手段を持たなければ、次の被害者になるかもしれません。

そこで今回は、ワンクリック詐欺がよくわからない人のために、ワンクリック詐欺の様々な手口や請求手段などをご紹介します。

ワンクリック詐欺の現状

1.ワンクリック詐欺相談件数の推移

独立行政法人国民生活センターは、2004年にワンクリック詐欺への注意喚起を行っています。

参考|あわてないで!! クリックしただけで、いきなり料金請求する手口(発表情報)_国民生活センター

それから10年経った2014年には、相談件数がピークの11万件となり、現在は徐々に減少傾向にあります(2017年は途中集計)。

年度 2012 2013 2014 2015 2016 2017
相談件数 65,418 80,438 111,938 95,590 62,481 7,176
前年同期 14,142
PIO-NETに寄せられた相談件数の推移。(1)アダルト情報サイト全体
出典|アダルト情報サイト(各種相談の件数や傾向)_国民生活センター
※2011年以前の数値は現在公開されていない

冒頭でも触れましたが、減少傾向にあるとはいえ、それでも2016年はまだ6.2万件もあります。

ネット通販のうち商品取引に関する相談が6.8万件、マルチ取引の相談件数が1.1万件、賃貸住宅の敷金等トラブルが1.3万件ということを踏まえると、ワンクリック詐欺の件数の多さが理解できますね。(※いずれも2016年の数値)

2.年齢性別別のワンクリック詐欺相談件数

ワンクリック詐欺はアダルトサイトの閲覧中に遭遇することが多いため、男性からの相談、特に年配の方からの相談が多いことが特徴です。

年齢性別別ワンクリック詐欺相談件数 契約当事者の性別・年代別分布
アダルトサイトに関する相談の年度別件数等

また、相談件数の7割は男性ですが、20〜40歳台の女性からの相談も全体の2割を占めています。

これは芸能人の情報サイト、無料アニメ・漫画サイトなどからアダルトサイトへ誘導されるなど、多様な動線にワンクリック詐欺が仕込まれていることと関係がありそうです。

3.ワンクリック詐欺の被害額推移

次に、警察庁が公表している資料からワンクリック詐欺の被害額を見てみます。

平成26年 平成27年 平成28年
実質的な被害総額 175億円 187億円 158億円

資料では、「架空請求詐欺」で被害額がまとめられているため、ワンクリック詐欺のみの正確な被害額はわかりません。

ですが、資料中の架空請求詐欺の“件数別”で見る限り、概ねワンクリック詐欺等がその半分を占めているため、単純に半分と考えると被害額は70〜90億円と推測できます。

郵便、インターネット、メール等を利用して、不特定の者に対して架空の事実を口実とした料金を請求する文書等を送付するなどして、現金を口座に振り込ませるなどの方法によりだまし取る詐欺(同種の手段・方法による恐喝を含む)事件をいう。

ワンクリック詐欺の相談件数はかなりの数ですが、被害額も相当な額だとわかります。相談件数(≒被害)は減少傾向とはいえ、まだまだ注意喚起が必要ですね。

覚えておきたいワンクリック詐欺8つの手口

それでは、どのような手口があるのか見ていきましょう。

1.最もポピュラーなワンクリック詐欺手法

パソコンスマートフォン
ワンクリック詐欺のもっとも基本的な手法は、

アダルトサイト等を閲覧中に「動画再生」「規約に同意」などのボタンをクリック(タップ)したら登録が完了したとして、料金請求画面が表示される

という詐欺手口です。訪問者に対して一方的に契約が成立したと誤認させ、金銭を要求してきます。

訪問者は自分でクリックをしているため、契約が成立したと思い込んで代金の支払いに応じてしまいますが、双方が合意しないままでは契約は成立していないため、請求をされても無視しましょう。

2.特定したと思わせる

パソコンスマートフォン

インターネットを利用している環境の情報(アクセスしている環境の情報)を画面上に表示する

ことで、「サイト運営者に個人情報を特定されてしまった!」と思わせる詐欺手口です。

携帯電話・スマートフォンの個体識別番号や端末の種類、アクセス元のIPアドレス、アクセス元の大まかな住所、使用しているウェブブラウザ、OSなどの情報は、ウェブサイトの運営者であれば取得できる情報です。そのため、「特定された!」と焦る必要はありません。

また、携帯電話(フィーチャーフォン)全盛時代に見られた手法として、

登録した覚えがないのに画面にメールアドレスが表示される

というものがありましたが、これは携帯電話に備わっている「メールアドレスを表示する機能」を利用して表示しているもので、ウェブサイトの運営者がメールアドレスを入手しているわけではありません。

自らが情報を入力していない限り、個人情報は相手方には特定できないため、こちらも無視してください。

3.写真を撮られたと思わせる

スマートフォン

請求画面が表示された時にシャッター音を再生する

という手法により、写真(証拠)を撮られたと思わせる詐欺手口です。

出典|IPA 「 スマートフォンでのワンクリック請求の新しい手口にご用心 」

これはシャッター音をウェブブラウザで再生しているだけで、実際にカメラが起動して写真が撮影されたわけではありません。

確かに、アダルトサイトを閲覧中に請求画面が表示され、しかもカメラのシャッター音がしたら間違いなく驚きますが、「もしかして……。」と思わずに無視しましょう。

4.ブラウザが使えなくなったと思わせる

スマートフォン

電話番号の発信画面(ダイアログ)を表示させ、キャンセルしてもまた同じ発信画面を表示させる

などの手法でウェブブラウザが使えなくなったと思い込ませ、その番号に電話を掛けさせるという詐欺手口です。

スマートフォンの扱いに慣れていれば、ウェブブラウザのタブ削除や強制終了で容易に回避できますが、最近では高年齢・低年齢層のスマートフォン利用も一般的になっており、操作に慣れていない利用者が増えています。操作に慣れていなければ、アプリを何度切り替えても電話発信ダイアログのループから抜け出せずに、電話を掛けてしまうかもしれません。

もちろん電話を掛けると、運営者に電話番号が知られるため、絶対に電話をしないでください。

5.ゼロクリック詐欺

パソコンスマートフォン

ウェブサイトにアクセス後、一定の時間が経過すると、料金請求画面を表示させる

という詐欺手口です。1秒経過しただけで、自分では何も操作をしていないのに、勝手に「登録した」という画面が表示されることもあるため、訪問者は焦ってしまうでしょう。

自分の操作が介在していないため、「間違えて契約してしまった……。」と思う人は少ないはずですが、シャッター音など別の手法と組み合わせることで訪問者が不安にかられ、金銭を支払ってしまう可能性もあります。

6.請求ウインドウを出し続ける

パソコン

サンプル動画をダウンロードさせ、ファイルを実行したら請求ウインドを消せなくする

サンプル動画のダウンロード、または動画を見るために必要なプレーヤーと称したファイルをダウンロード、インストールさせることで、不正なプログラムを実行させる詐欺手口です。

出典|IPA 【注意喚起】ワンクリック請求に関する相談急増!パソコン利用者にとっての対策は、まずは手口を知ることから!

プログラムがインストールされるため、パソコンの操作ができなくなったり、請求ウインドウが消えなくなるなど非常に迷惑ですが、料金を支払うことで請求ウインドウが消えると記載されているため、支払ってしまう人がいるようです。

他にも、請求書ファイルをデスクトップ上に作成する不正なプログラム等も確認されています。

これらの対応のためには

  • 不正なプログラムアンインストール
  • 不正なプログラムインストール前の状態に戻す(システムの復元)

など、パソコン操作に長けていない人にはハードルの高い操作が必要です。(昔はこういったことを乗り越えてパソコンの知識をつけていきましたね……。)

操作方法がわからない方は、IPAから不正プログラムのアンインストール手順が公開されているので、参考にしてください。

参考|意図せずにインストールしてしまったプログラムをアンインストールする際の手順[PDF]

いずれにせよ、不正なプログラムの実行を許可してしまうと、様々な操作をされてしまうため、安易に「はい」「OK」などをクリックしない心構えが必要です。

7.動画視聴専用アプリ

スマートフォン

「動画の視聴には動画再生専用アプリのインストールが必要」として、スマートフォンアプリをインストールさせる

という詐欺手口で、アプリをインストールすると、スマートフォンに保存されている情報を運営者に送信されてしまうため注意が必要です。

対応として、不正スマートフォンアプリの削除をすれば良いのですが、一度送信されてしまった電話番号などの情報を元に恐喝などの恐れは残ります。

もし、怪しい電話がかかってきたり、電話で脅されるなどされた場合はすぐに警察に相談しましょう。

8.退会のために個人情報を入力させる

パソコンスマートフォン

「現在仮登録中で、このままだと本登録になる。」という旨のメッセージをメールやSMSに送り、記載したURL先の入力画面から個人情報を入力させ、最後の画面で退会料を振り込むよう指示する

という詐欺手口です。たとえ身に覚えがなくても、「退会するだけなので、とりあえず退会処理をしておこう」と、個人情報を入力してしまう人は少なくありません。

これらは、不特定多数に向けて機械的に生成されたアドレス、或いは何らかのサービスを利用した際の情報が販売、流出などされ運営者に渡り、メール、SMSメッセージ等で送信されています。

そもそも冷静に考えれば、何らかのサービスにおいて「退会を促す」という行為自体がおかしいと気が付くはずです。

トラブル解決をうたう詐欺による2次被害

もし、あなたが初めてワンクリック詐欺に遭遇してしまった場合、不安になってインターネットで解決法を検索するはずです。

その時に、「相談無料でトラブル解決」等を謳う業者に、「調査・交渉し請求を止める」などと嘘をつかれ、金銭をだまし取られる手口があります。

そもそも、ワンクリック詐欺は契約が成立していないので無視すれば良いだけなのですが、行政の相談窓口のような名称だったり、行政書士事務所、探偵事務所など様々な形態を扮い、ワンクリック詐欺トラブルの渦中にある人を狙うという悪質な手口です。

他にも、「保険料を支払えば全額返金される」「料金を支払ったとしても過払い金として戻ってくる」など言葉巧みに騙してくる手口が確認されています。

ちなみに、ワンクリック詐欺からトラブル解決偽装までがワンセットになっています。

唯一行動が必要な裁判所案件

ワンクリック詐欺だけの話ではなく、架空請求全般に言えることですが、唯一無視ではなく行動しなければならない場合があります。

それは、「本物の裁判所」から書類が届いた場合です。

裁判所を装った偽の書類を送りつけて金銭をだまし取る詐欺手口が横行していますが、本物の裁判所から「支払督促」「少額訴訟の呼出状」等が届いているにも関わらず、これを放置すると不利益となる場合があります。

そのため、まずは書類に記載されている連絡先ではなく、別途正しい裁判所の連絡先を調べ、自分に対して通知が本当にあったのか、手続きが進められているのかを確認しましょう。

尚、これらの正式な書類は郵便法により郵便職員から手渡しで受け取り、署名をすることになります。それらの行為がないまま郵便ポストに投函されていたり、電子メール、メッセージなどで送付されてきた場合は偽物と判断できます。

もし本当に裁判所から連絡が来ているのであれば、支払督促であれば「督促異議の申立て」、少額訴訟手続きであれば「答弁書の提出・裁判所へ出頭」をしてください。相手が詐欺業者であれば、まず不利益を被ることはありません。

詐欺業者は、「面倒・大変そうだからお金で解決する」というあなたの行動を狙っています。

参考|法務省:督促手続・少額訴訟手続を悪用した架空請求にご注意ください

ワンクリック詐欺はなぜ無視してもいいのか

さて、ここまで基本的に、ワンクリック詐欺の請求は契約が成立していないので無視する、と書いてきましたが、なぜ無視しても問題ないのか、経済産業省の資料元に確認して行きましょう。

参考|電子商取引及び情報財取引等に関する準則[PDF]

契約が不成立

申込みの意思表示をしていないので契約は成立していない

「(契約の)申込みである」という認識のないまま、クリック(タップ)しただけでは、契約は成立をしていません。これはほぼ全てのワンクリック詐欺に該当するといっても良いと思いますが、次に紹介するその他の理由から見ても契約は成立していると言えず、料金を支払う必要はありません。

錯誤(間違い)

契約の申込みについて、申込者に契約の要素につき錯誤がある場合には、申込者に重過失がある場合を除き民法により契約の無効を主張できます。加えて、インターネット上の契約の場合は、申込内容の確認措置が講じられていなければ、電子契約法により、過失の有無に関係なく錯誤無効の主張ができます。

要するに、利用者にとって「分かり易い・間違えにくい」作りになっていないウェブサイトからの申込みは、無効を主張できるということです。ボタンを押しただけで契約、申込内容の確認画面がない、など、ワンクリック詐欺の契約は無効を主張できますね。

騙そうとしていた

サイト運営業者が、申込者を騙そうとした結果として、申込者が錯誤(間違い)に陥り申込の意思表示をした場合は、民法により契約の取消を主張できます。

騙そうとしていたかどうかは、契約の申込みをさせるためのメール又はサイトの画面構成や文言、代金請求に当たっての画面構成や文言などから、総合的に判断されるものとされていますが、サイト運営業者が騙そうとしているからこそワンクリック“詐欺”なのであって、これまでご紹介してきた手口による申込みは、基本的に契約の取消を主張できると考えて良いでしょう。(そもそも契約は成立はしていませんが・・・)

消費者契約法違反の条項がある

消費者契約法では、計算される利率が年14.6%を越える部分を無効にしています。また、消費者の利益を一方的に害する条項を無効にしています。

例えば「支払いがない場合、延滞金○○○円、延滞一日につき○○○円の損害金を加算」など、とんでもない金額が提示されていますよね。これらの条項は無効になるとされています。

契約の内容が公序良俗に違反

契約の内容が公序良俗に反する場合、民法により契約は無効となります。

一般常識に照らして不相当に高額な代金を設定している場合などは、暴利行為として公序良俗に違反していると判断できる可能性があります。

また、わいせつ物の販売、著作権者の許諾など正規な著作権処理がなされていない画像の販売など、取引自体が法律に違反するような取引については、そもそも公序良俗に違反する契約として、無効となる可能性があります。

補足:申込者が未成年の場合

契約の一方当事者が未成年の場合、民法ではその未成年者は原則として契約を取り消すことができる。

とされています。ただし、お小遣いの範囲内である場合や、年齢確認の手続きがあったにも関わらず嘘をついて契約に至った場合には、取消が出来ない場合もあります。

尚、「年齢確認」は、利用規約に書いてあるだけの場合や、成年ですか?[はい][いいえ]だけの手続きでは、明確に表示・警告したとは言えないので、その場合は契約取消ができると考えられます。

以上のように、そもそも双方が合意に至っていないので「契約が不成立」というだけで十分な理由ではありますが、その他の面から見ても、料金を支払う根拠がないと言うことがわかります。

新たな被害者を出さないために

以上、詐欺を働く運営者は、ご紹介した手法や組み合わせ・発展した手法によりユーザーを騙し、不安を煽って金銭をだまし取ろうとしてきます。ですが、根拠を示した通り、いかなる場合も無視し、自らサイト運営者に連絡を取るようなことはしないでください。

国民生活センターの注意喚起から10年以上経っても無くならないワンクリック詐欺は、騙されてしまう人がいるから無くならないのです。

狙われているのは、インターネットに触れて間もない世代、若い頃にパソコンや携帯電話などが一般的ではなかった世代です。

それらの世代に対して、Windows XP、携帯電話全盛時代に数々のワンクリックトラップを踏み、クリーンインストールを繰り返した我々30-40代(主に男性)が、「こんなときは無視すれば良い!」という経験則を伝えていくべきなのでしょう。

ワンクリック詐欺相談窓口

消費者ホットライン|消費者庁
電話番号 188(いやや!)

生活の安全に関する不安や悩みは 警察相談専用電話 #9110へご相談ください | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン
電話番号 #9110

情報セキュリティ安心相談窓口:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
電話番号 03-5978-7509

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