退去トラブルは修繕と原状回復!知らないと損する負担割合と費用相場

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賃貸住宅を借りるのであれば、ほとんどの人がいつかは退去を経験する可能性がありますよね。

日本政策投資銀行グループの価値総合研究所の資料によると、一戸建て、長屋建、アパート・マンションタイプを合わせた賃貸住宅への過去3年の入居数は、平成20年時点で490万世帯あります(重複の入居含む)。

直近の賃貸住宅入居世帯数の推移

つまり、毎年全国で少なくとも100万件以上の退去があると予測できます。これだけの退去があれば、トラブルが起きないわけがありません。そして、最も多いトラブルは入居時に支払った敷金の返還トラブルです。

退去時に敷金が返還されれば嬉しいのですが、いったいどの程度の割合の敷金を返還してもらうのが正当なのでしょうか。

今回は、退去時の敷金返還トラブル予防のために、家を借りた時にしておくべき事、知らないと損することを解説していきます。

退去時の敷金トラブルの割合

国交省の平成20年のデータでは、敷金の返還率が5割未満であった割合は42.3%、うち全く戻ってこなかった割合は20%を超えています。

敷引きや滞納家賃分を除外した、敷金の返還割合
出典|民間賃貸住宅市場の実態調査[平成20年 (財)日本賃貸住宅管理協会]

また、東京都都市整備局に寄せられている相談の内、敷金に関するトラブルは全体の26%もあります。

賃貸借契約についての相談内容(平成23年度)

部屋をきれいに使用し、傷もつけていないのに、「畳の取替え・壁クロスの張替え・ハウスクリーニング一式」の費用の請求(家賃の2ヶ月以上など)があったなど、想定を超えた請求に対する相談が主です。

これだけ敷金返還トラブルが多いということは、敷金が正しく取り扱われているか、正当な割合で敷金を返還してもらえるかなど、借主自身が知識をつけ、退去時のトラブルにならないように部屋を借りる時から対策しておく必要があります。

敷金とは

敷金(保証金)とは、家を借りる際に貸主に預けておくお金のことで、家賃の滞納分や退去時の現状回復費用に充てられ、余ったお金は退去時に返還されます。

敷金の相場は物件によって異なりますが、住居用の賃貸物件であれば、家賃の1〜3ヶ月分を賃貸契約時に預け入れることが多いでしょう。

地域によっては敷金ではなく「敷引き」と記載されており、その場合は退去時に返還されないお金として扱うため注意してください。

退去時の原状回復とは

国土交通省がとりまとめた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(PDF)」によると、原状回復とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義され、その費用は賃借人(借主)が負担するとしています。

そして、経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、月額の賃料に含まれるものとし、既に修繕費用となる対価は支払っているとしています。

経年変化、通常の使用による損耗とは、具体的に、次のようなものがあげられます。

  • 壁に張ったポスターなどの跡
  • 家具の設置によるカーペットのへこみ
  • 日照等による畳やクロスの変色
  • 冷蔵庫やテレビなどの後部の壁の黒ずみ
  • 壁にあいた画びょうの穴 

など。

これらの損耗は、貸主(オーナー)側の負担になることをしっかり認識し、必要以上に修繕費用を請求された場合は、明確な説明を求めましょう。

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の大事なポイントとして、原状回復とは、賃借人(借主)が賃貸物件を借りた当時の状態に戻すことではないことを明確化しているということです。

参考|住宅:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について – 国土交通省

原状回復費用の負担割合計算方法

「経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、月額の賃料に含まれるものとし、既に修繕費用となる対価は支払っている」と前述しましたが、借主の過失により修繕が発生した場合はどうなるのでしょうか?

実は、この場合も経年変化を考慮した負担になります。

例えば、壁・天井等のクロスは、6年で残存価値が1円になるように負担割合を計算します。つまり、6年間入居していれば、壁紙をどれだけ汚していても、1円の価値しかないものとみなされるため、費用負担は1円で済むということです。

下記計算式により、借主の負担割合を算出します。

残存価値割合 = 1 - 居住年数 ÷ 耐用年数

具体的に計算してみましょう。退去時に借主の過失により壁紙交換することになりました。入居年数は4年間、費用が5万円だとすると、

残存価値割合:1 – 48ヶ月 ÷ 72ヶ月 = 33.3%
費用負担:¥50,000 × 33.3% = ¥16,650

となります。

壁紙以外の耐用年数については前出のガイドラインP17〜24に記載されていますので、確認してみてください。

入居時にチェックリストをもとに記録を残す

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、ガイドラインであって法律ではありません。そのため、全ての貸主が把握しているとは限りません。

やはり、どのような場合でも、退去トラブルとならないように、入居時のタイミングで貸主・借主両者の認識をすり合わせておくことが大切です。

そもそも、入居前からあった汚れや傷であれば、修繕費用を負担する必要はないので、入居前に確認して、双方で認識しておきましょう。できれば、家具の搬入前に、不動産会社か大家さんに立ち会ってもらい、チェックリストを作っておきましょう。

「入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例)」が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」P4〜5に記載されているので、こちらをベースにすると良いでしょう。傷などがあれば、写真も添付して印刷し、日付入りで押印もしてもらうことで、退去時のトラブルを防ぐことが出来るでしょう。

借主の過失等による修繕費用はいくら?

多くの場合、ハウスクリーニング費用は特約条項として契約書に記載されていると思いますが、それらの特約等の費用を除いた、借主(入居者)の過失による修繕費用は、下記のような調査結果になっています。

入居者の過失等による修繕費用(特約条項を原因とする金額は除く)
入居者の過失等による修繕費用(特約条項を原因とする金額は除く):%

クリーニング費用を除き、

  • 単身世帯:2〜3万円の敷金相殺
  • 世帯:3〜5万円の敷金相殺

となるケースが多いようですね。(必ずしも、特約条項以外にこれらの費用を負担しなければならないという意味ではありませんのでご注意ください。)

最近は、退去時の敷金返還テクニックが色々なメディアやインターネットで取り上げられることが多くなり、「法律的には~~」「判例的には~~」と、敷金返還を迫る借主も増えたようです。

もちろん、一定額の敷金の返還は借主の権利ではありますが、人と人の良い付き合いがトラブルを避ける最も大切なことだということを忘れないようにしてください。

賃貸物件を借りる際の注意点

賃貸物件を借りる際は、物件選びがとても大切です。以下の内容も確認して、賢く借りられるようにしましょう。

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