賃貸に多い不動産のおとり広告とは?騙されない見分け方と対処法

読了目安[ 6 分 ]

成約済の賃貸物件をネットに掲載するなど、人を騙して集客につなげる悪質な「おとり広告」が増加しています。

『公益社団法人 首都圏不動産公正取引協議会』などの業界団体が、2015年度に認知しただけでも、不当表示などの違反物件は3600件を超えています。また、おとり広告は前年比で約1.6倍に増加し、消費者庁も取り締りの強化を要請しています。

このようなおとり広告には、どのようなものがあるのでしょうか。また、私たち消費者は、おとり広告にどう対処すれば良いのでしょうか。

今回は、おとり広告の事例とおとり広告の対処法についてお話します。

不動産のおとり広告とは?

不動産のおとり広告とは、地域の相場より家賃や間取りなどの条件が良い物件の広告を成約後もネットなどに掲載し、おとりとして客を呼びこむ行為のことです。

不動産の表示に関する公正競争規約(第21条)によると、おとり広告とは下記のものを言います。

  1. 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示
  2. 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示
  3. 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示

不動産のおとり広告は、宅建業法でも「誇大広告等の禁止」として掲げられており、悪質な場合は懲役刑になる場合もあるようです。

第三十二条  宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

おとり広告をした宅建業者は、指示(同法65条1項、3項)、業務停止(同法65条2項、4項)、情状が特に重いときは免許取消し(同法66条1項9号)という処分を受けることがあります。さらに、6か月以下の懲役、又は100万円以下の罰金の定めもあります(同法81条1号)。

おとり広告 | 公益社団法人 全日本不動産協会

不動産のおとり広告例

不動産の表示に関する公正競争規約(第21条)の例になりますが、不動産ポータルサイトなどで、以下の事項のいずれかに該当するような物件の表示・掲載をしている場合、「おとり広告」に該当するおそれがある、としています。

「物件が存在しないため、実際には取引することができない物件」について(同条第1号)

  1. 表示している所在地に存在しない場合
  2. 実際に取引しようとする物件とその内容、形態、取引条件等に同一性が認められない場合(情報の改ざんを含む。)
  3. 物件に関する資料を有しておらず、物件を特定し、紹介または案内等をすることができない場合

「物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件」について(同条第2号)

  1. 契約済みの場合(申込済みの物件を含む。)
  2. 実際には入居者を募集していない場合(退去予定日が確定していない物件を含む。)

「物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件」(同条第3号)

  1. 物件に関する難点をことさらに指摘する等して他の物件を勧める場合
  2. 合理的な理由がないにもかかわらず、紹介または案内等を拒否する場合
  3. 相当数の反響(断続的な掲載の場合はその合算)が入っているにもかかわらず、契約に至っていない場合
  4. 自社等で借り上げた賃料または当該物件と同一建物内の同規模住戸の賃料よりも安い賃料で広告しているにもかかわらず、合理的な理由がないのに契約に至っていない場合(断続的な掲載を含む。)

公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会 ポータルサイト広告適正化部会「違反物件情報等の共有の実施について」

物件を探している人からすれば、おとり広告は非常に迷惑な話でしょう。それに対して、おとり広告を掲載している不動産会社などは、実際にお金をだまし取ったりしているわけではないので、そこまで罪の意識を感じておらず、なかなか無くならないのかもしれません。

不動産おとり広告の見分け方

私たちが出来る対処法としては、実際に直接、その物件に訪れてみるなど労力がかかることばかりのため、より良い不動産仲介業者を探すことしか現実的な手段が無いことも問題です。

1.マンション名、住所詳細がわからない物件

インターネットで賃貸物件を探している方の多くが、Google Maps などを利用して、物件の外観や周辺情報を集めていると思いますが、いざ該当物件を探そうにも住所詳細が記載されていなかったり、該当エリアをマンション名で検索しても見当たらずに、探し当てられない場合はおとり広告の可能性があります。

ただし、不動産情報サイトによっては、住所の詳細を載せていない場合もあるため、一概におとり広告と決めつけることはできません。

2.物件住所で直接待ち合わせできない業者

インターネット(不動産ポータルサイト)で物件を決めて、現地で不動産会社の営業担当と待ち合わせを希望した場合に、強引に店舗に誘導しようとする場合、その物件はおとり広告の可能性が高いです。

実際に、調査された方の記事を見てみると実態がわかると思います。

不動産のおとり広告の見分け方にならないもの

1.宅地建物取引免許 免許更新回数

免許更新回数とは「東京都知事免許(5)」といったように表示されており、カッコ内の数字が更新した回数です。免許は5年ごと(平成8年3月以前は3年ごと)に更新され、更新回数が大きいほど不動産業を長く行っていることがひと目でわかります。

さて、あるウェブサイトには「免許更新回数が多い業者が安心」と書いてありましたが、公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会の違反事例(平成28年)を見ると、免許更新回数が多い業者でもおとり広告をしていることが記載されています。

違反する業者に、事業継続の長さは関係ありません。

国土交通省ネガティブ情報等検索システムから検索できる監督処分を受けた業者も、免許更新回数は全て2回以上の業者です。

2.取引形態が「仲介先物」

取引形態が「仲介先物」の物件(大家などから募集委託を受けている不動産から、さらに間接的に募集している形態)はおとり広告として利用される可能性が高いといわれています。

違反事例を見れば分かる通り「徒歩所要時間が実際より短い」「優良誤認する写真が使われている」「専有面積が違う」など、そもそも掲載されている内容がおかしいため、当然「取引形態」も書き換えられている可能性が考えられます。

また、大手ポータルサイトの検索条件に取引形態の項目はないので、これがわかったところで検索から除外することはできません。

不動産おとり広告の明確な対処法は?

おとり広告への1つの対処法としては、インターネットで検索せずに、いきなり不動産会社へ足を運んでしまうのが良いかと思います。

1つの不動産会社が担当しているエリアは意外と広いので、可能であれば今住んでいる物件仲介してくれた不動産会社や、知人が利用したことのある不動産会社を紹介してもらうなどしましょう。

自分の希望を伝えれば該当する物件をいくつもピックアップしてくれるので、自分でインターネットで検索するよりも楽だったりします。

おとり広告を見抜く方法としては、

  • 契約形態が定期借家契約は怪しい
  • 複数のポータルサイトで同じ情報が掲載されているか、されていなければおとり広告の可能性がある

など、「ほかにも見分け方がある!」としている情報もありますが、ウェブサイトだけでおとり広告を見抜くことは難しいでしょう。

結局、インターネットで時間を掛けて調べるのであれば、ポータルサイトは相場観を得るためのものと割り切って利用し、複数の不動産会社に足を運ぶようにしましょう。

同じカテゴリの記事

コメントを残す

  • コメント欄には個人情報を入力しないようにしてください。

  • 入力いただいたメールアドレスは公開されませんがサーバーに保存されます。
  • 入力いただいた情報の他に、IPアドレスを取得させていただきます。取得した IPアドレス はスパム・荒らしコメント対処ために利用され、公開することはありません。