住宅ローンで老後破綻?将来の家計と最適な返済期間の考え方

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戸建住宅やマンションは、多くの人にとって人生で1番大きな買い物です。そのため、日常のお金の使い方とは異なり、金銭感覚が麻痺してしまうことがあります。

特に、苦労して見つけた理想の物件は、「返済期間を長くすればなんとかなる。」「毎月の返済額を少し多くすればなんとかなる。」と、住宅ローンの借入金額が増えても構わないと考えがちです。

確かに住宅ローンは、今高額の住宅を取得するために、長期に渡って月々お金を支払う(返済)方法なので、その考え方は間違っていません。ただ、返済期間の設定を間違えてしまうと、老後に影響を及ぼしてしまいます。

そこで今回は、老後に無理な返済を残さないための最適な住宅ローン返済期間の設定方法についてお話いたします。

マイホーム購入年齢と住宅ローン返済期間

マイホームを購入する年齢は人それぞれですが、国土交通省の「住宅市場動向調査 報告書」を見ると、一次取得は40歳前後が平均年齢になるようです。

平成28年度住宅市場動向調査 一次取得年齢
(2) 一次取得の世帯主の年齢

例えば、40歳で住宅購入資金3,000万円を金利2%で借りたとします(元利均等返済ボーナス併用なし)。これを定年退職までの25年間で借りた場合、毎月の返済額は127,156円です。10年延ばして一般的な住宅ローンの最長借入期間の35年とすると返済額は99,378円になります。約27,000円の差があると、随分と毎月の家計負担が変わるはずです。

そのため「とりあえず35年を選択して、毎月の返済負担を軽くしておこう」と考える人は少なくありません。

35年後、リタイアした後もローン返済に追われる

例えば、40歳で35年の住宅ローンを組んだとすると、返し終わるころには75歳です。冷静に考えると「75歳まで返済を続けられるかな……。」と不安になりますが、「きっと退職金でなんとかなる。」と考える方も多いでしょう。

ここで、老後の生活費のデータを見てみましょう。グラフは、総務省の家計調査報告による「高齢夫婦無職世帯の家計収支(平成27年)」です。高齢夫婦無職世帯とは、夫65歳以上、妻60 歳以上の夫婦のみで無職の世帯をいいます。

高齢夫婦無職世帯の家計収支

高齢夫婦無職世帯の家計は、毎月の収入が約21万円に対して、支出は27万円にのぼることがわかります。差額6万円は、貯蓄などから取り崩して賄っていると考えられます。

差額6万円を貯蓄から取り崩すとして、定年退職後の人生が30年あると考えると、30年間で2,160万円は最低でも貯蓄しておきたい、ということになります。

6万円 × 360か月(30年) = 2,160万円

退職時にある程度まとまったお金をもっておいたほうが良さそうですが、退職金をローン返済にまわしてしまって大丈夫でしょうか。

最適な住宅ローン返済期間とは

不動産の営業担当者が提示する住宅ローンプランでは、通常最長の「35年」の返済期間で試算しています。前述の通り、期間を長くすればするほど、月々の返済額が少なくなるので、買い手にとってはハードルが低く感じられるため、最初は35年で提示するのです。

そこで、住宅ローンをメインで組む人(一家の大黒柱)の年齢に35年を足して、何歳まで返済することになるか確認しましょう。

もし35歳なら、70歳までローンを払い続けることになります。現在の制度では、一般的な企業の定年は65歳です。従って、その後は年金の中から住宅ローンを返済していくことになります。退職金で一括返済することもできますが、老後の生活は厳しくなるでしょう。そこで、できれば65歳までに完済できるように返済期間を設定するのが理想です。

返済期間を短くすると、当然月々の返済負担は重くなりますが、その分返済総額が少なくなるため、デメリットばかりではありません。

3,000万円を金利2%で借りた場合
返済期間 30年 33年 35年
毎月返済額 11.1万円 10.4万円 10万円
返済総額 3,992万円 4,101万円 4,174万円

通常、住宅ローンの返済期間は1年刻みで設定できますが、たとえば35年と33年では、月4千円ほど多く返すだけで、総返済額が70万円以上も減らせます! 4千円なら、ちょっとした節約で捻出することができますよね。

これからどんなライフイベントがあるかによって異なりますが、現金として手元で貯金しておきたいケースもあると思います。そのため、無理をした毎月返済額に設定にする必要はありませんが、何らかの節約で住宅ローンの返済期間を前倒し可能であれば短い返済期間にしましょう。

ライフイベント表を作る

では、「他にお金が必要な時(ライフイベント)」はいつくるのでしょうか。

家計には、お金に余裕のあるときも厳しいときもあります。住宅ローンを組むときは「他にお金が必要な時(ライフイベント)」がいつなのかを知っておく必要があります。

そこで、「ライフイベント表」を作ることをおすすめします。ライフイベント表を作れば、「いつ、どの程度のお金がかかるか」を整理できます。下記表はスペースの関係で3年分ですが、ローンを組む期間やその後の人生にあわせてライフイベント表を作ってみてください。

家族の年齢 ライフイベント 金額
2017
2018
2019

参考|家計管理と見直しに必要なライフイベント表とは?作り方と事例

住宅ローンは長く借りて短く返す

住宅ローンは、長く組んで短く返すのが理想だといわれます。そのため、住宅ローンを「長く組む」人は多くいる一方、返済が始まると、「短く返す」ことを忘れてしまいます。

定年退職してから、「短く返す」はずだったことを思い出しても手遅れです。少なくとも、住宅ローンを組む前に、定年退職したときのローン残高を確認し、そのうえで、繰上げ返済を考えたり、退職金をどの程度あてにするかを検討するなど、なるべく具体的な計画を立てておくようにしたいものです。

住宅ローンの繰り上げ返済については下記にまとめてあります。ぜひご覧ください。

住宅ローンの繰上返済とは

家計に余裕があるのでしたら積極的に繰上返済は実施したいことのひとつになります。その住宅ローンの繰上返済ですが、やり方によって下記2つの方法があります。

  1. 期間短縮型
  2. 返済額軽減型

住宅ローンの繰上返済とは?「期間短縮型」「返済額軽減型」の活用方法

住宅ローンについて知る

  1. 住宅ローンの基本的な仕組みとは?事前審査と本審査の違いは?
  2. 住宅ローン金利の選び方は?全期間固定・変動金利・固定期間選択型の違い
  3. 住宅ローンの返済はどちらが得?元利均等と元金均等方式
  4. 全期間と当初期間の金利引下げはどちらが得?10年固定の注意点
  5. 手数料・保証料で損しない!3つの住宅ローン諸費用の考え方
  6. 住宅ローンの繰上返済とは?期間短縮型・返済額軽減型のお得な活用方法
  7. 団体信用生命保険とは?住宅ローン契約者が死亡したら残債はどうなる?
  8. 住宅ローンで老後破綻?将来の家計と最適な返済期間の考え方
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