住宅ローンを見直したい!金利、返済期間、団信の3つをチェック
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10年固定金利選択型の金利が金融機関によっては未だに1%を下回っています。変動金利型にいたっては、0.5%台の金利を提示しているところもあります。
引き続きマイナス金利政策の現状維持も決まっていますし、この超低金利中に住宅ローンの見直しを考えている方は多いのではないでしょうか。
日銀は19、20日の金融政策決定会合で、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する現行の金融政策の維持を賛成多数で決定した。
しかし、住宅ローンの見直しは金利の高低だけを考えればよいわけではありません。では、どのようなポイントで見直しをしたらよいのでしょうか?
この記事の目次
金利以外に確認したいポイント3つ
住宅ローンの見直しというと、何%の適用金利になり、いくらの見直し効果があるのか?という金利差による金額的な効果に意識が行きがちです。もちろん住宅ローンの見直しによって毎月の支払額や総支払額を減らすことは、家計にとって有意義です。
しかし、住宅ローンの見直しにあたっては、適用金利が何%か?だけではなく、
- 金利タイプ
- 返済期間
- 団体信用保険
という3つのポイントは見直しを検討したいところです。
1.金利タイプの見直し
住宅ローンの金利タイプの割合
超低金利の今は金利タイプの見直しを検討するタイミングです。
住宅ローンには「全期間固定金利型」「変動金利型」「固定金利期間選択型」と大きく3つのタイプがあります。
参考:住宅ローン金利の選び方は?全期間固定・変動金利・固定期間選択型の違い
現在の住宅ローン金利タイプはどのような考えで選択をしていますか?住宅購入時は何かとバタつくうえに、「毎月の返済額は安くなっていく」という話を鵜呑みにし、金融機関等の勧める金利タイプ(変動金利型)を選択している方も多いのではないでしょうか。
国土交通省が提供している平成28年度民間住宅ローンの実態に関する調査では、変動金利型を選択している方が住宅ローン全体の4割を超えています。
金利タイプ別実績 件数 H25年 H26年 H27年 変動金利型 410,601 394,864 424,965 固定期間選択型 314,040 288,336 236,997 全期間固定型 61,126 46,957 37,356 ※ 出典元資料には「証券化ローン、リフォームローン、つなぎローン」についても記載があるが、混乱を避ける目的で掲載していない
全期間固定金利型のススメ
例えばお子様がいるご家庭では、今後の教育資金の負担が重くなるタイミングを確認した上で、ご家庭にあった金利タイプへの変更を検討したいところです。
では、他に金利タイプを見直すタイミングとはどのようなものがあるでしょうか。
- 妊娠・出産
- 子どもが塾や習い事を始める、進学する
- けがや病気による出費
- 転職や勤め先の大きな変化(破産や合併など)による収入の変化
- 妻(夫)が働きはじめるか辞める
- 親の介護
少し考えただけでも、今後様々なライプイベントが考えられますね。
35年の全期間固定金利型が1%以下の金利になっている金融機関もあるため、金利タイプの見直しを検討するにはよい機会です。具体的には、ご家庭によっては10年固定金利選択型の固定金利期間が終了して金利が変動するタイミングとお子さんの教育資金のピークが重なっているケースがあります。先々の金利動向は誰にも分かりませんので、今のうちに金利の変動がないタイプへ変更することも検討しましょう。
2.返済期間の見直し
返済期間も見直すことでより有利な金利で借り換え
住宅ローンの完済予定が、もし75歳で完済など定年退職後もローンの支払いが残っている場合は、月の返済額を軽減できる借り換えのタイミングで返済期間を短くすることも検討してみましょう。
例えば、下記の表のように返済期間を32年から30年に見直すと、より低い金利で借り換えが可能になる場合もあります。
残りの期間 | 金利 | 毎月の返済額 | 返済総額 | |
---|---|---|---|---|
現在の住宅ローン | 32年 | 1.90% | ¥104,326 | ¥40,061,416 |
借り換えパターン1 | 32年 | 0.95% | ¥90,631 | ¥34,802,271 |
借り換えによる減少 | ¥-13,695 | ¥-5,259,145 | ||
借り換えパターン2 | 30年 | 0.93% | ¥95,530 | ¥34,390,712 |
借り換えによる減少 | ¥-8,796 | ¥-5,670,704 |
※ 諸経費は別途必要
定年退職後も見据えた返済計画の見直し
30代ではピンと来ませんが、40代以上になると自分の両親も年をとり、自分の老後のことも考えるようになります。
もし、定年退職後も住宅ローンの返済期間が残っていると、老後破綻のリスクも高くなリます。返済期間を見直して完済時期を早くするとことは、金利のメリットだけではなく、老後破綻のリスク軽減にもつながります。
ここで、老後の生活費のデータを見てみましょう。グラフは、総務省の家計調査報告による「高齢夫婦無職世帯の家計収支(平成27年)」です。高齢夫婦無職世帯とは、夫65歳以上、妻60 歳以上の夫婦のみの無職世帯をいいます。
内容を確認すると、高齢夫婦無職世帯の家計は、毎月の収入が約21万円なのに対して、支出は27万円にのぼることがわかります。その差額6万円については、貯蓄などからの取り崩して賄っていると考えられます。
この差額6万円を貯蓄から取り崩すとして、リタイア後の30年間を赤字にならないようにと考えると、30年間で2,160万円は最低でも貯蓄しておきたい、ということになります。
3.団体信用生命保険の見直し
団体信用保険の保障は適切かどうか
昨今は、3大疾病、8大疾病、介護など特約による保障のバリエーションが広がってきているため、団体信用保険も住宅ローンの見直しに併せて確認したいポイントです。病気に備える特約は、加入できる年齢の制限があるので、生活習慣病等のリスクが高まる40代の方は特に検討したいところです。
とはいえ、契約途中で保障内容の変更はできないため、住宅ローンの借り換えに合わせて団体信用生命保険に加入し直す形になります。(住宅ローン借り換え時は現在加入している団体信用生命保険は解約となり、新たに契約する住宅ローンと一緒に団体信用生命保険に加入します。)
住宅ローンは常に見直しが必要
住宅は、人にとって必ず必要な住居であり、負債であり、資産でもあります。そのため、住宅の購入契約や住宅ローンを組んでから何も考えなくて良いものではありません。
現在は、たまたま過去最低の金利水準になっているため、誰にとっても住宅ローンの見直しをする好機といえます。
現在の状況、10年後、定年退職後の生活水準やライフイベントを見越して、ぜひご自身の住宅ローンをもう一度確認し、見直しできるかを見極めてみてくださいね。
尚、住宅ローン借り換え時の注意点など、こちらにまとめてあります。
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