交通事故の治療費に健康保険は使える?第三者行為による傷病届とは

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よく、年末は交通事故が増えると言います。たしかに、12月はクリスマスや年末年始などのイベントがあったり、会社の仕事納めやプライベートでも区切りになるため、色々と忙しい人は多いでしょう。

そのため、つい急いでしまうと交通事故に至る場合があります。交通事故は、車同士、車と歩行者、車と自転車、自転車と歩行者など様々なパターンがあり、被害者・加害者どちらのパターンにもなり得ます。

では、忙しい12月だけ、交通事故に気をつければ良いのでしょうか。警察庁の統計によると、10月ごろから年末に向けて事故件数は増えていますが、それでも1年を通して一定の件数があるため、いつでも注意が必要だと言えそうです。

出典|第2節 平成26年中の道路交通事故の状況|平成27年交通安全白書(全文) – 内閣府

では、もしあなたが普段の生活で交通事故を起こしたり、巻き込まれてしまった場合、ケガの治療のために国民健康保険や健康保険などの公的医療保険は使えるのでしょうか。

今回は、交通事故の治療費を健康保険(以下、便宜的に健保以外に国保、共済なども含める)で支払えるかについてお話したいと思います。

健康保険が使えないケース

あなたは、交通事故は健康保険が使えないと誤解していないでしょうか。日本では、交通事故のケガでも、健康保険証を使って治療を受けられます。

交通事故で健康保険が使えないという誤解は、以下の通り健康保険の対象にならないケースがあるためです。

1.業務上の災害

交通事故などのケガが業務上の災害であれば、健康保険ではなく労災保険が適用されます。そのため、健康保険証ではなく、労災保険の届出が必要になります。もちろん、業務上の災害は自己負担が発生しません。

参考|交通費・通勤手当の不正受給でどうなる?事故で労災申請時の注意点

2.法令違反による傷病

交通事故などのケガが無免許運転や飲酒運転などの法令違反で起こしたものであれば、その際の医療費は全額負担しなければいけません。

3.第三者の行為による傷病

交通事故などのケガが第三者の行為によるものであれば、被害者の治療費は基本的に加害者が負担(被害者が加害者に請求)します。そのため、健康保険が使えないという解釈があります。

交通事故の治療で健康保険を使う流れ

では、もし交通事故でケガをした場合、どのような流れで治療を受け、お金を支払えば良いのでしょうか。

交通事故によるケガは、「第三者の行為による傷病」にあたります。交通事故は、被害者・加害者関係なくケガをする場合がありますが、ここではあなたが運転する車に後ろから追突されてケガをしたとしましょう。

この時点では、過失割合はわかりませんが、あなたが追突をされてケガをしていることは事実です。

交通事故の被害者(とする)はまず病院で治療を受けますが、その際、健康保険を使用する診療(保険診療)と使用しない診療(自由診療)を選択できます。

保険診療で支払う医療費はいつもどおり3割の治療費を支払いますが、自由診療の場合は10割支払わなければいけません。

その後、健康保険による過失割合の判断により、治療費、入院・通院慰謝料、休業損害などが計算され、被害者から加害者への請求ということになります。もちろん、保険診療で先に3割支払っていても、あとからその分が戻ってくる場合もあります。

たしかに、明らかに自分が被害者の場合は、後から治療費を請求できますが、ケガの具合によっては自由診療で10割負担は先に払えない場合もあるため、健康保険を使うことは有効です。

ただし、「第三者の行為による傷病」で健康保険を使う場合には注意が必要です。

第三者行為による傷病届とは

もし、交通事故に遭って治療に保険診療を選んだ場合、事故後の診療を受ける前や加害者との示談の前に所属している健康保険に対して「第三者行為による傷病届」を出さなければいけません。

健康保険(協会けんぽ)の場合

協会けんぽ(健康保険)の場合は、以下の書類が必要になります。

・交通事故、自損事故、第三者(他人)等の行為による傷病(事故)届
・負傷原因報告書
・事故発生状況報告書
・念書
・損害賠償金納付確約書・念書
・同意書

参考|事故にあったとき(第三者行為による傷病届等について) | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

国民健康保険の場合

国民健康保険の場合は、各地方自治体への連絡が必要になります。品川区の場合は、ホームページに以下のように記載されています。必要書類などは地方自治体によって異なるため、必ず問い合わせてください。

交通事故のように第三者の行為によって傷害を負い、国民健康保険を使って治療を受ける場合は、必ず事前の届け出が必要です。
状況を詳しくお聞きした上で提出していただく書類等をご案内しますので、すみやかに給付係にご連絡ください。

※次の場合、国民健康保険を使って治療を受けることはできません。
・加害者から治療費を受け取っている場合
・業務上のケガで労災保険が適用される場合
・酒酔い運転、無免許運転等によるケガの場合

引用|交通事故にあったとき|品川区

健康保険が使えない病院もある?

「第三者の行為による傷病」を被害者が加害者に請求するものだという認識で、被害者の健康保険利用を認めない病院もあるようです。

ただし、厚生労働省は昭和43年10月の通達に続き、平成23年8月に各医療機関に対して以下の通達を行なっています。

犯罪の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法(大正11年法律第70号)、船員保険法(昭和14年法律第73号)、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)及び高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号))において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされている。また、加害者が保険者に対し損害賠償責任を負う旨を記した誓約書があることは、医療保険の給付を行うために必要な条件ではないことから、犯罪の被害者である被保険者が当該誓約書を提出することがなくとも医療保険の給付は行われる。

引用|犯罪被害や自動車事故等による傷病の保険給付の取扱いについて|厚生労働省

そのため、病院で保険診療が行えないと言われた場合は、「第三者行為による傷病届」をする旨とを伝え、必要に応じて厚生労働省の通達の話をしてください。

ほとんどないとは思いますが、それでも保険診療に応じない場合は、病院を替えて診療を受けるようにしましょう。

どちらにしても、人生において交通事故に遭うことは、ほぼデメリットしかありません。

あなたが交通事故に遭わないことを祈りつつ、もし交通事故に巻き込まれた場合は、健康保険が使えることを思い出し、一時的にでも必要以上の負担がないように心がけてください。

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