住宅ローンの基本的な仕組みとは?事前審査と本審査の違いは?

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マイホーム購入する際、ほとんどの方が住宅ローンを組むと思いますが、その際必ず発生するのが金融機関の「ローン審査」です。

2016年2月16日にマイナス金利が導入されたことで「お金を借りやすくなった」とは言われていますが、銀行は誰にでもお金を貸してくれるわけではありません。

住宅ローンを組むためには、お金を借りるために必要な審査の内容を理解し、事前に準備をしておかなければいけません。

そこで今回は、マイホームの購入を検討されている方のために、住宅ローンの仕組みと事前審査、本審査についてお話いたします。

住宅ローンとは?

住宅ローンとは、個人が住宅購入(宅地の取得、住宅新築・改築など)のみを目的として、銀行などの金融機関からお金を借り入れることです。

住宅ローンのために借りたお金は、目的外の用途では利用することが出来ません。

目的外の用途で利用することは違法行為になるケースもありますし、住宅購入目的の価格よりも多くお金を借りる行為(オーバーローン)として契約条項に違反し、金融機関から一括返済を求められることもあります。

住宅ローンはあくまでも「住宅購入のための借金」ということを覚えておきましょう。

住宅ローンの事前審査とは

融資してもらえる状態にあるかの事前確認

「住宅ローンがおりず、家を買えなくなった」という話を聞いたことはありませんか?

これは、欲しい家がみつかり購入の意思表示をしたのに、金融機関から融資の承認がおりず、お金を準備できなくて家を売ってもらえなくなった・・という意味です。

住宅ローンは通常、数千万円という大きな額なうえ、長期にわたる返済をするので、お金を貸す側の金融機関は、きちんと返済できる相手かどうかを慎重に判断します。そこでまずは通常、住宅ローンの本申込みをする前に融資の可否を判断する「事前審査」が行われます。事前審査では、

  1. 返済負担率
  2. 信用力(与信)
  3. 現在の借り入れ状況(他のローンの借入・返済状況)

が主に審査されます。

1.返済負担率とは

返済負担率とは、年収に占める年間ローン返済額が占める割合のことを言います。

返済負担率の計算方法は、金融機関が独自に基準を設けており、一般的に税込み年収の25%〜35%程度が目安と言われています。

年収の40%を超えるなど、収入に見合わない住宅ローンは借り入れができません。物件を探す前に、まずはご自身の年収でいくら借り入れが出来るのかシミュレーションされるのが良いと思います。
計算式は以下になります。

現在の返済負担率を計算する場合
年間の返済額 ÷ 年収
返済負担率から返済可能な金額(年間)を計算する場合
年収 × 30%(仮) − 他のローンの年間返済額

例えば、年収350万円の方では年間で105万(月額8万7,500円)まで返済可能と判断されます。

350万 × 30% = 105万円(105万 ÷ 12 = 8万7,500円)

返済額には住宅ローンの利息ももちろん含まれますので、こちらに借り入れ年数を掛けた金額を借り入れできるわけではありませんので、注意してください。

上記でもとめた返済可能な金額を、例えばフラット35のシミュレーターに入力することで、簡単にいくら借り入れが可能なのか(可能性があるのか)をウェブ上ですぐに調べることが出来ます。
参考:毎月の返済額から借入可能金額を計算:【フラット35】

2.信用力(与信)とは

住宅ローンの借り入れにおける信用力(与信)とは、金融機関など貸し主が、借り主を信用していくらお金を融資するかの判断基準となる力のことです。

要するに、返済能力があり、きちんと返済できる人かどうかがチェックされます。

一般的に、審査の基準「信用力」の高い人とは

  • 収入が不安定な自営業や非正規社員より安定した企業に正社員として雇用されている人
  • 中小零細企業より大企業に勤めている人
  • 転職したてより勤続年数が長い人
  • 収入が低いより高い人

このような人が信用力が高いとみなされます。そして信用力は、融資を受ける際の「条件」に影響を及ぼします。

信用力が低い(返済が滞る可能性が高い)とみなされると、融資の額が小さくなったり、金利の優遇を受けられなかったり、保証料(万一返済できなくなった際に肩代わりをする保証人を取らない代わりに、系列の保証会社に連帯保証人になってもらうための手数料)が高くなったりします。

マネーゴーランドで執筆いただいている和泉昭子先生は以下のようなコメントをくださっています。

私自身、家を購入したときは個人事業主でした。そのため、過去3年分の確定申告書などで収入を証明するだけでは足りず、ある銀行からは保証料を高くすると言われましたし、別の銀行からはファイナンシャル・プランナー資格の証明書を求められました。お金の専門家であっても、金融機関の基準に照らすと、信用力が低いと判断されてしまうわけですね。大企業の正社員であれば、会社はつぶれにくいですし、病気になっても有給休暇や健康保険から傷病手当金を受け取れますが、個人の場合は景気や健康等の状況がそのまま収入に影響するため、リスクが大きいと捉えるのでしょう。

3.現在の借り入れ状況(他のローンの借入・返済状況)

当然、現在の借り入れている他のローンがあれば申告が必要です。自動車(マイカー・オートローン)などはすぐに思い浮かぶと思いますが、少し高い買い物をした時のショッピングローンなども忘れないように申告しましょう。
また、金融機関によっては関係ないとするところもありますが、奨学金も借り入れのひとつです。金融機関側から特に説明を求められなかったとしても、月々の返済等を考える場合は必ず考慮しましょう。

住宅ローンの本審査とは

事前審査に通ったとしても、次は本審査があるため、まだ安心はできません。本審査にはどのような審査項目があるのでしょうか。

借り入れする金額の大小、金融機関/金融機関先の連携している保証会社・審査会社によって異なりますが、本審査では面談が行われるケースもあります。(多くの場合審査は金融機関ではなく、保証会社が行います。)

ここでは参考に、国土交通省がまとめている「民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」から、実際にどのような審査項目があるのかを見ていきましょう。

平成28年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書|国土交通省住宅局
2.長期・固定金利の住宅ローン等に関する融資審査等 > (2)審査項目 > 融資を行う際に考慮する項目 から編集部抜粋
審査項目 割合
完済時年齢 98.8%
健康状態 97.6%
借入時年齢 97.6%
担保評価 97.2%
勤続年数 97.2%
年収 94.4%
連帯保証 93.5%
金融機関の営業エリア 89.9%
返済負担率 88.0%
融資可能額(融資率)①購入の場合 81.3%
雇用形態 78.2%
融資可能額(融資率)・借換えの場合 76.3%
カードローン等の他の債務の状況や返済履歴 64.8%
国籍 61.9%
申込人との取引状況 49.1%
業種 29.4%
家族構成 23.1%
所有資産 20.4%
雇用先の規模 16.7%
性別 16.1%
その他 6.6%

「完済時年齢」(98.8%)、「健康状態」(97.6%)、「借入時年齢」(97.6%)、「担保評価」(97.2%)、「勤続年数」(97.2%)、「年収」(94.4%)、「連帯保証」(93.5%)については、引き続き、9割以上の機関が融資を行う際の審査項目としている。
また、「雇用形態」(78.2%)を考慮する機関の割合については、増加傾向にある。
平成28年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書

となっています。上位の審査項目はどこの金融機関でも重要視されているものと考えて良いでしょう。

3点ほどポイントを挙げていきます。

1.健康な方が良い?

団体信用生命保険(契約者が死亡したり体に重い障害を負った場合に保険金が支払われる保険)に加入することが、ローン融資の条件になることが多いですが、健康状態によっては団体信用生命保険に加入できず、結果、ローンの融資を断られる可能性があります。

また、「健康診断の結果」「医師の診断書」が必要なケースもあります。

どの病気(既往歴)がどのように影響するのかは保険会社の判断によるため、気になる方は、本審査の前に保険会社に電話で問い合わせてみると良いでしょう。

2.カードローン等の他の債務の状況や返済履歴は必要?

カードローン等の他の債務の状況や返済履歴は、平成26年度調査では、85.6%が審査すると回答していましたが、年々下がっており、平成28年度は64.8%になっています。

まだ半数以上の金融機関が審査項目としていますが、このまま減少していく可能性もあります。

3.雇用先の規模は重要?

上記調査を見る限り、一般的に「大企業に勤めている方が融資を受けやすい」と言われているのはあくまでイメージということになります。

平成26年度調査では、すでに32.8%の金融機関しか審査の際に考慮する項目としておらず、平成28年度は16.7%まで下がっています。
働き方の多様化の影響か、企業の規模で判断されることは殆どないと言って良いと思います。ただし、年収は非常に重要視される項目ですので、そこは勘違いしないよう。

不動産の売買契約を結んだ後に本審査に落ちたらどうなるの!?

いままでご説明してきたように、融資の可否については事前審査を行うのが通例ですが、不動産の売買契約を結んだ後に融資を受けられないことが判明するケースもあります。

買主の都合で契約を破棄する場合、原則的に違約金等が発生しますが、住宅ローンなどの借入ができないと不動産は買えません。住宅ローンの承認がおりなかった場合は、無条件で売買契約を解除できる特約が売買契約書に盛り込まれているため、その場合は違約金の心配しなくても大丈夫です(欲しい家が買えなくなるのは残念ですけどね)。

住宅ローン非承認による契約の白紙撤回に係る条項の記載があるか、必ず確認しておきましょう。

一生で一番高い買い物。自分の頭で理解し、行動しましょう

いかがでしょうか。マイホームが欲しいと思ったら、マイホームの購入予算をある程度決めていくためにも悩んだり不安に思ったりせずに、まずは事前審査をしてみるのが良いかもしれません。

金利はもとより、年々審査項目(重要視している項目)も変化しているようですし、親など数十年前にローンを組んだ世代の意見は実は参考にならないかもしれません。マイホーム実現に向けてまずは自分で動いてみましょう。

住宅ローンについて知る

  1. 住宅ローンの基本的な仕組みとは?事前審査と本審査の違いは?
  2. 住宅ローン金利の選び方は?全期間固定・変動金利・固定期間選択型の違い
  3. 住宅ローンの返済はどちらが得?元利均等と元金均等方式
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