幕末から函館の地を見守り続けるブドウと共に「日本のワイン」を追い続けるワイナリー“はこだてわいん”

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日本のワイナリーを巡り、日本のワインをストーリーとともに愉しむことで、よりラグジュアリーな時間を味わい深く堪能することができることでしょう。

今回は北海道は七飯町(ななえちょう)からの紹介です。

くじらの尾びれのようなと言ったらわかるだろうか、北海道の北側、渡島半島(おしまはんとう)の南、函館から約16kmという距離から、函館市のベッドタウンとして発展した町である。

北海道内でもっとも温暖な気候に恵まれており、町の東側に広がる丘陵地帯には畑作・果樹地帯として開発されており、中心部を通る旧国道沿いには、りんごをはじめプルーンや桃、ブルーベーリー、もちろんワインの原料にもなる葡萄といった様々な果樹が道路沿いを賑やかに彩るフルーツロードが通っている。

スペインのバルセロナ、イタリアのローマと同緯度の北緯42°というワインのイメージに繋がる七飯町。この函館市七飯町にあるワイナリーが、はこだてわいんである

幕末まで歴史を紡ぐ“はこだてわいん”

株式会社はこだてわいんは1984年に七飯町での創業となっており、歴史の浅いワイナリーのように受け止められる。しかし七飯町と、はこだてわいんのルーツは北海道ワインの歴史とともに幕末まで遡ることができるのである。

1865年、幕末に当時の箱館奉行がプロシア人ガルトネルに、函館の北、十数キロに西洋式農業による七飯官園の許可を与えた。七飯官園は、箱館戦争平定後に政府所属となり、七重開墾場と名称変更し1882年の記録に「コンコード」「ハートフォルド」といった赤ブドウ種の栽培が行われ、ワイン及びブランデーが製造された記録が残っている。

時は経ち1929年6月の駒ケ岳噴火ののち、七飯町に隣接した森町に山葡萄が勢い良く芽吹いたと言われる。災害復興の一環として、この山葡萄をもって望月農園など複数の果樹園を設け、同時に醸造免許を取得し開始したのがワイン造りである。

1932年、北海道ガラナ(コアップガラナ)などで知られる小原(おばら)商店(現:株式会社 小原)が醸造免許を譲り受け「じ来」「しろくまブドウ酒」などウイスキーやスパークリングワインなど、様々な商品を販売した。これらは樺太や千島まで広まったと言われている。

それから40年が経ち、この小原商店と函館ヤクルト販売(現:南北海道ヤクルト販売株式会社)が共同出資し、1973年に駒ケ岳酒造が創業。

さらにその11年後の1984年に七飯町に本社を函館市亀田南町から、現在の七飯町上藤城に移す際に「株式会社 はこだてわいん」に社名変更し、”はこだてわいん”が誕生した。

はこだてわいんの味を支える余市町

はこだてわいんの前身である駒ケ岳酒造設立当時は、ワイン専用ブドウ品種栽培の契約農園が七尾町近郊の森町にあったが、収穫量が年々減少し、1983年頃には森町での栽培は断念。

1984年の工場、本社移転に伴い、森町にあった契約農家から北に約150キロほど離れた余市町でブドウの品種改良に積極的に取り組んでいた契約農家に切り替え、共同でワイン専用品種の栽培に取り組むこととなったという。

主力品種は「ケルナー」「ミュラー・トルガウ」「セイベル」に「ピノ・ノワール」となっており、糖度は高いもので45度であることからも、貴腐葡萄を活かし1994年に発売した「貴腐ワイン 1994 ケルナー」は、はこだてわいんにとって誇りともいえるワインとなり、北海道の地から貴腐ワインを送り出すことできる希少なワイナリーとなった。

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設立当初、ワイン用のぶどう種が入手困難であったため、甘い果実でワインを作り始めたこともあり、はこだてわいんは古くから「フルーツワイン」として受け入れられてきている。

現在もブドウ以外に、いちご、メロン、梨、りんご、ブルーベリー、マルメロ、桃といった、フルーツロードの脇を賑やかす果樹によるワインも生産しており、「フルーツワイン」は今や地方自治体の「一村一品運動」も相まって主力商品群に成長し、南は種子島や小笠原諸島をはじめ、全国50を超える自治体から果実原料を請け負い、ご当地ワインを受託生産しているという。

ぶどうの調達は函館外だが、函館らしさにこだわり続ける「はこだてわいん」

はこだてわいんと函館の名を冠しながらも、原材料であるぶどう種は函館ではなく余市町であることに違和感を抱かれるかもしれない。更に余市といえばワインよりもウイスキーを想像する方も少なくないだろう。

しかし、札幌から約50km、積丹(しゃこたん)半島の付け根にある余市町は、変化に富んだ海岸線と緩やかな丘陵地に囲まれている環境で、昼夜の寒暖差が激しく、比較的降雨量が少ないというテロワール

夏は太陽に暖められた海水により早霜の害も少なく、日本海側に位置していることから冬は積雪量が安定して多い気候が、糖度の高いりんごを産み出したこともあり、1984年、そう、はこだてわいん創業の年と同時に、ワイン用としてヨーロッパ系ブドウ品種の「ヴィニフェラ」の苗が植えられ、ワイン生産のきっかけにもなった地なのである。

有効積算温度が1,227℃(1997年~2006年 10年間の平均値)であり、ブルゴーニュ地方やアルザス地方、ラインガウ地方と同等であるため、葡萄の樹は雪の布団をかぶり北海道の厳寒を越すことができる余市のテロワールで育ったブドウたちは、今では日本でも有数の高品質なワインぶどうを産出し、世界のワイン産地の中でも稀な恵まれたテロワールと共に賞賛を浴びているというのをご存知の方もいるだろう。

この余市の契約農園の醸造専用品種の果汁から、凍らせることで余分な水分を除去し、純粋な甘みだけを取り出す凍結濃縮という手法を使い、高エキス度化、低温管理によって葡萄本来の香りと甘さで、親しみやすい味わいを産み出し、2009年国産ワインコンクールにおいて、「欧州系品種・白」部門で銅賞という栄誉に輝いたのが「しばれわいん プレミアム・ケルナー2007」である。

同コンクールでは、はこだてわいん初のスパークリングワイン「香り仕込みケルナー・スパークリング」が「スパークリングワイン部門」で銀賞に輝いているが、「しばれわいん」は2012年の国産ワインコンクールでは金賞も受賞しているなど、国産ワインコンクールにおいて「金賞」「部門最高賞」を各2度受賞するといった実績を積むワインを産み出すまでに成長した。

はこだてわいんは、西洋の技術や味覚をそのまま模倣するのではなく、日本人のライフスタイルに目を向け、カジュアルながらも日本人の味覚に合う本格的な「日本のワイン」を目指し、日々成長し続けている。

テロワール=「土地」を意味するフランス語のterreから派生した言葉で、生育地の地理、地勢、気候による特徴を指すフランス語

はこだてわいんのおすすめワインとマリアージュの紹介

日本ワイン専門の卸を中心とし、国内役80社のワイナリー、約300アイテムを取り扱う日本ワイン専門酒販 株式会社東京葡萄酒の代表であり、J.S.A認定ソムリエールである枦山敬子さんと、日本橋 Allegroの店長兼ソムリエを務める根岸謙伍さんにおすすめワインを、また、同店でシェフを務めるゴリシェフこと河野靖弘さんに各ワインに合うマリアージュを紹介いただきます。

ガルトネル ケルナー NV

枦山さん

GARTNELLは、はこだてわいんが原料はもとより、栽培から醸造に至るまであらゆる工程にこだわり、最高品質を追い求めた最上位プレミアムワインです。熟成した深い味わいをお楽しみください。

根岸さん

杏や蜂蜜、林檎のような香りがグラスいっぱいに広がり、口に含むとパンチの効いた酸味と樽の香り豊かな味わいが口に広がる。
香り味わい共にケルナーの個性を堪能できます。

ゴリシェフ

北海道産チェリーモッツァレラチーズカプレーゼ、AIIegro自家製パテ・ド・カンパーニュ、ベーコンとブラウンマッシュルームのインサラータルッサ 北海道産ジャガイモ使用、がオススメです

紹介したワインの購入に関するご相談

販売店 株式会社東京葡萄酒
Tel 03-6277-8770
Mail tokyowine@willplanning.jp

株式会社 はこだてわいん

URL https://www.hakodatewine.co.jp/
住所 北海道亀田郡七飯町字上藤城11番地
営業時間 10:00~18:00
定休日 年末年始|施設メンテナンス日
電話番号 (0138)65-8170
その他 工場見学の際は前日までに要予約

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