北の離島奥尻に、日本海の潮風を受けた葡萄で醸造されたワインがある

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日本のワイナリーを巡り、日本のワインをストーリーとともに愉しむことで、よりラグジュアリーな時間を味わい深く堪能することができることでしょう。

今回は北海道南西部、日本海の離島は奥尻島の奥尻ワイナリーをご紹介。

北海道と聞くだけでも、雪深く寒さが厳しいところでワインなんてできるのだろうか?と思われるかもしれないが、奥尻島はそれ以上に厳しい気候が想像される、日本海に浮かぶ離島である。

冬はもちろん雪が降るものの、対馬暖流の影響から北海道本島と比較すると温暖という奥尻島には、ウニやアワビ、ホッケなど多種多様な海産物をイメージされる方も多いだろう。

しかし、奥尻島は、1993年7月に北海道南西沖地震によって甚大な被害を被っている。地震被害による転出など、減少傾向が続く人口の喰い止め、復興の一環としてこの離島に産まれたのが奥尻ワイナリーなのである。

日本で唯一の離島ワイナリーである奥尻ワイナリー

島の周囲約84km、面積は143k㎡、周囲は透明度約25mと抜群に綺麗な海で囲まれている。

離島であるため、塩害は避けられない特殊なテロワールではあるが、約60%をブナの原生林に覆われ、豊富なおいしい水、ミネラルを豊富に運んでくる潮風、標高584メートルの神威山や奇岩怪石に温泉など手付かずの自然が残っており、豊富な自然の恵みがあったことが、奥尻島に山葡萄を自生させていた理由だろう。

1999年に、この自生していた山葡萄の栽培を始めたことが、現在奥尻ワイナリーの周囲に拡がる広大なぶどう畑となるきっかけである。

2001年には、ワイン醸造用の品種栽培を開始し、2006年~2007年は、ここ奥尻で収穫されたブドウを北海道岩見沢市の宝水ワイナリーに委託醸造した。

奥尻、離島のテロワールによる世界に類を見ないワインは賛否両論を浴びたが、奥尻島だからこその個性的な魅力として、2008年に奥尻ワイナリーの製造工場完成を期に本格的な醸造をスタートさせた。

2008年に20ha、約60,000坪であった栽培面積は、2013年には25ha、2016年には約27haと順調に栽培面積を拡大し、栽培品種も赤ワイン用に「メルロー」「ピノ・ノワール」「ツヴァイゲルトレーベ」「セイベル13053」、白ワイン用に「シャルドネ」「ピノ・グリ」「ケルナー」「ミュラー」「バッカス」、ロゼ用に「ノースレッド」「山葡萄」など11品種、65,000本となっているという。

2017年3月には、本来赤ワイン用のぶどう品種であるメルローを使った白ワインの醸造を、日本で初成功させている。このOKUSHIRIメルロー2016(白)は即完売という人気を博した。

震災被害からの復興、次の世代へ託す想いが、北緯42°とイタリア、スペイン、ポルトガルを周囲に囲まれる地中海と同緯度である奥尻に、ワインという恵みをもたらしたのだろう。

テロワール=「土地」を意味するフランス語のterreから派生した言葉で、生育地の地理、地勢、気候による特徴を指すフランス語

奥尻島が育む葡萄で、世界中の人々に愛され続けるワイン造りに遇進する

離島という特性から、潮風による塩害、台風など苦難は耐えなかったというが、北海道ではじめてヨーロッパ品種を育てることに成功した実績、更にはワイン用品種の栽培開始から10年経たずして世界にも類を見ない、赤ワイン用品種であるメルローから白ワインの醸造に成功した実績もある。

島西部の神威脇(かむいわき)地区には、発酵から熟成に使用される1~8トンの40基のタンクが並ぶ真新しい工場があり、約150トンのワイン生産能力から、醸造後は100個以上並ぶフランス製のオーク素材の樽に詰められ、じっくりと寝かされ熟成される。これだけ、奥尻のテロワールに真摯に向き合い結果を出しながらも、ノウハウ不足と謙遜する姿は、世界中の人々に愛され続けるワイン造りに遇進し、100年先、200年先を見据えた想いを強く感じる。

奥尻島のシンボルがプリントされたラベル

奥尻ワイナリーのラベルにプリントされているのは「なべつる岩(鍋釣岩)」である。

高さが19.5メートルほど、自然の侵食によって中心部分が空洞になっているその姿が、鍋の取っ手(つる)に似ていることから、なべつる岩と呼ばれており、夜にはライトアップされ、イカ漁の時期には沖の漁火と共に幻想的な姿を見せてくれるという。地元では南西方向からなべつる岩を見ると、岩の内部の空洞が奥尻島の形のように見え、裏鍋釣と呼ばれるポイントもあるという。

道南五霊場の1つである北端、稲穂岬の「賽の河原」で行われる「賽の河原祭り」、南端の青苗岬沖合の室津島にちなんだ「室津祭」に続き、奥尻三大祭のフィナーレとして、地元の海産物、更にこのなべつる祭りでしか食べることのできない奥尻和牛の販売をはじめ、歌謡ショーや行事が開催される「なべつる祭」が毎年8月の最終土曜日、盛大に開催される。

岩の頭に、枝に鋭いトゲがありヘビも登れないことから「ヒロハノヘビノボラズ」と名付けられた夏に赤い実をつける可愛らしい植物を乗せているが、100年ほど前に撮影された写真にも同じような植物が生えているのが確認できたという。

明治期の地図にはすでに「鍋釣岩」と記載されていた奥尻島の西側にある「なべつる岩」。様々な自然の厳しさに耐え奥尻島を見守っているシンボルとして、プリントされた奥尻ワイナリーのワインに込められた想いを感じる。

奥尻ワイナリーのワインとマリアージュの紹介

日本ワイン専門の卸を中心とし、国内役80社のワイナリー、約300アイテムを取り扱う日本ワイン専門酒販 株式会社東京葡萄酒の代表であり、J.S.A認定ソムリエールである枦山敬子さんと、日本橋 Allegroの店長兼ソムリエを務める根岸謙伍さんにワインの紹介を。同店にてシェフを務める河野靖弘さん、通称ゴリシェフに、各ワインに合うマリアージュを紹介いただいた。

シャルドネ 2015

枦山さん

奥尻で採れたシャルドネは、他に類を見ないミネラル感を感じます。まろやかな酸にふくよかな味わいと青海苔のような香りは、この土地ならではの味わいです。

根岸さん

わら色の外観はどことなく夏の到来を感じさせる。ミネラルたっぷりの味わいとまるで日本酒のような吟醸の香り味わいは一度飲んだからクセになる。北海道の海の幸とともに楽しみたい。

ゴリシェフ

「北海道産チェリーモッツァレラチーズカプレーゼ」「AIIegro自家製パテ・ド・カンパーニュ」「ベーコンとブラウンマッシュルームのインサラータルッサ 北海道産ジャガイモ使用」がオススメです

紹介したワインの購入に関するご相談

販売店 株式会社東京葡萄酒
Tel 03-6277-8770
Mail tokyowine@willplanning.jp

奥尻ワイナリー

URL http://okushiri-winery.com/
住所 北海道奥尻郡奥尻町字湯浜300番地
営業時間 9:30~17:00
定休日 4月下旬~10月下旬:不定休|11月上旬~4月中旬:日曜定休
電話番号 (0139)73-1414
その他 工場見学の際は前日までに要予約

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