国はほんとうに子育てを助けてくれるのか?知っておくべき3つの子育て支援制度

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日本では高齢者が優遇されすぎているとの非難をときどき見かけます。

自分もそのうち高齢者になるので、身体的弱者の高齢者に優しい社会はおおいに結構と思いますが、いまここの現在時点で、割を食っている世代があるかもしれません。

高齢者と同様に弱者である子ども、障害者、低所得者、傷病者に対しても、きちんと優遇政策が働いているのかどうか、今回は、子育て支援制度について調べてみました。

1.児童手当(子ども手当)とは

子どもに対する政府からの支援といって、まっさきに思いつくのは児童手当です。3歳未満は月1万5000円、3歳以降15歳までは月1万円を基本ルールとする給付金は、子育て世代への大きな援助となっています。

児童手当制度の支給対象

支給対象は0歳から中学校卒業までの児童を養育している方になります。
16歳からは支給はありませんが、扶養控除の対象になるため、年間38万円の所得控除が受けられます。

平成29年度における児童手当制度について
児童手当対象 支給額(月)
0歳から3歳未満(一律) ¥15,000
3歳から小学校修了前の第1子・第2子 ¥10,000
3歳から小学校修了前の第3子以降 ¥15,000
中学生(一律) ¥10,000
所得制限以上(一律)※特例 ¥5,000
出典:児童手当制度の概要 – 内閣府
参考:No.1180 扶養控除|所得税|国税庁
※ その他支給条件については自治体の窓口やホームページで確認してください。

児童手当制度の所得制限

児童手当には、所得制限があります。この場合の所得は、両親の収入を合算したものではなく、年収の高いほう一人の所得で判断します。

児童手当 所得制限限度額表 から抜粋
扶養親族等の数 所得制限額(単位:万円)
0人 622
1人 660
2人 698
3人 736
4人 774
5人 812
出典:児童手当制度の概要 – 内閣府
※扶養親族が6人以上、老人控除対象配偶者又は老人扶養親族がいる場合などで限度額は変わってきます。自治体の窓口やホームページで確認してください。

このように、所得制限による支給金額の大小はありますが、国として子育て世代を支援をしていることがわかります。

児童手当は1972年から支給されている

この児童手当とは、民主党政権時の2010年(平成22年)4月1日から「子ども手当」(所得制限なし)として実施され有名になりましたが、実は、少額ながら、それ以前から存在していたものです。

民主党(現・民進党)が月5,000円から月1万3,000円へと金額を大幅に引き上げるとともに、名称も「子ども手当」に変更したのですが、自民党政権に戻るとともに、名称も元に戻されてしまいました。ただし、金額については若干の引き下げがあったものの、民主党の路線が引きつがれています。

自分たちの考えた「子ども手当」の新名称で成果をアピールした民主党も、自民党が創設した「児童手当」の名称に戻して、民主党の貢献をなかったことにしたかのような自民党も、どっちもどっちだと思います。

2.子どもの医療費助成制度

もう一つ、子どもへの大きな支援が医療費助成制度です。

私たち大人は、加入している健康保険のおかげで、医療費の自己負担が1~3割となっています。ところが、子どもの場合は一定の年齢になるまで自治体が医療費を助成してくれるので自己負担がゼロということがほとんどです。

かつては高齢者も医療費の自己負担ゼロの時代がありましたが、現在は、1割の自己負担を求められますから、子どもはそれだけ優遇されていることになります。

医療費助成制度は住む場所によって異なる

ところで、この子どもの医療費助成は、国の制度ではなく自治体の事業です。
そのため、地域によって多少の違いがあります。たとえば、東京都内の自治体は、おおむね中学校卒業まで医療費が無料ですが、横浜市や川崎市では、通院の場合は小学3年生までしか無料になりません。

慢性的な病気の子どもを抱えている保護者は、住む場所を選ぶときに、医療費助成制度にも気を配る必要があるかもしれません。

横浜市の例:小児医療費助成制度の対象年齢と助成範囲
対象年齢 通院・入院の区別 対象となる費用
0歳~
小学3年生
通院 保険診療の一部負担金
入院 保険診療の一部負担金
小学4年生~小学6年生 通院 保険診療の一部負担金
※通院1回につき500円までの負担があります(薬局および入院は全額助成)。
※保護者の市民税が非課税の場合は全額助成します。
入院 保険診療の一部負担金
中学生 入院 保険診療の一部負担金

3.公立学校には多額の税金が使われている

最後に、私が最も大きな支援と考えているのが、公教育です。

現代日本に暮らしていると、子どもが学校に通うなんて当たり前のようですが、考えてみれば、あれだけの教育がすべての子どもに対して無償で行われるなんて、当初はたいへん画期的なことだったと思います。

江戸時代の寺子屋は私塾ですから有料でしたし、明治政府が作った小学校も財源がないために1900(明治33)年までは有償でした。そのため、就学率も最初は40%程度しかありませんでした。無償にしたことで、すべての子どもが気兼ねなく教育を受けられるようになったのです。

いま、子どもに習い事をさせると、週1日1時間で月額1万円なんてことがざらですが、公立小学校は週5日5時間で授業料と教科書代が無料ですから、ありがたいこと、このうえなしです。

学校教育費(公費)の推移

とはいえ、学校の運営にはお金がかかります。先生方もボランティアではないし、生活があるので給与が必要です。建物の維持運営にも費用が必要です。

そのため、税金を元手にした公的資金が小中学校に投入されているわけですが、それがいくらであるのか、知っている人は少ないでしょう。

次の表をご覧ください。

学校種類別学校教育費の推移(抜粋)単位:億円
学校教育費 小学校 中学校 高等学校(全日制)
平成24年度 133,716 60,636 34,493 24,626
平成25年度 131,559 59,798 33,968 23,986
平成26年度 135,112 60,899 34,614 25,196

たとえば、2014年度に実際に支出された学校教育費は、全国で13兆5112億円。そのうち小学校への支出分は、6兆899億円です。つまり、小学生一人あたり年間94万円の教育費が公金から支払われていることになります。中学生の場合は年間107万円です。

一人あたり学校教育費の推移(抜粋)単位:円
小学校 中学校 高等学校(全日制)
平成24年度 912,818 1,054,908 1,109,707
平成25年度 912,044 1,043,471 1,098,240
平成26年度 939,593 1,072,523 1,151,901

教育費支援、教育無償化の拡大へ

日本の小学校(初等教育)や、中学校(中等教育前期)の学校教育費は、OECD(経済協力開発機構)加盟国平均よりも高いものです。しかし、GDP比で見ると、OECD平均よりも低く、日本は国力の割には教育にお金を使っていないとの批判があります。

また、就学前教育(幼稚園・保育園)や高等教育(大学・専門学校)の教育費は、一見、OECD平均と同様に見えますが、日本は公費負担の割合が他国に比べて低いため、現在、教育無償化の議論が熱くなっています。

学生・生徒1人当たり学校教育費 単位:米ドル
就学前教育(3歳以上) 初等教育 中等教育 高等教育以外の中等後教育 高等教育
前期 後期 非大学型 大学型及び上級研究学位プログラム
1 2 3 4 5 6 7 8 9
オーストラリア 8,493 8,328 10,137 10,273 9,916 7,445 16,074 9,158 17,460
カナダ x(2) 8,262 8,997 x(2) 10,340 不明 20,932 13,605 25,341
フィンランド 5,553 7,368 8,947 11,338 7,739 x(3) 16,569 n 16,569
フランス 6,185 6,373 10,696 9,111 12,809 不明 14,642 12,102 15,494
ドイツ 7,862 6,619 9,285 8,130 11,287 8,843 15,711 8,192 17,306
イタリア 7,948 8,669 9,112 9,165 9,076 不明 9,562 9,565 9,562
日本 5,103 7,729 9,256 8,985 9,527 x(5,7) 15,957 10,125 17,511
韓国 6,047 6,658 9,399 7,536 11,300 制度無し 9,513 6,313 10,499
スイス 5,147 10,597 15,645 14,068 17,013 x(5) 21,577 5,502 23,111
イギリス 6,493 9,088 10,013 10,124 9,929 x(5) 16,338 x(7) x(7)
アメリカ合衆国 8,396 11,109 12,550 12,247 12,873 不明 29,201 x(7) x(7)
OECD各国平均 6,670 7,719 9,312 8,854 9,755 4,958 13,728
出典:文部科学省「教育指標の国際比較」(平成25(2013)年版)から抜粋
※ n:計数が0又は無視できる程度の値
※ x():データが同じ行カッコ内の列に示される

幼稚園や高校、大学などを考えれば、日本の公教育支出はまだまだ不足しています。しかしながら、小学校から高校にかけての12年間、一人につき年間100万円の教育費を国から援助してもらっていることもたしかです。

子どもを持たない独身者は、同じように税金を納めていても、子育て支援を受けられないわけですから、私たち親も「子どもは社会の財産だから」と開き直るのではなく、周囲への感謝の念を忘れずに日々を送りたいものです。

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