テーマパーク化する街。訪日外国人が進めるオタク文化の東京占領

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『グローバル化するオタク市場』も4回を重ねた。前回までは中野ブロードウェイでのオタク事情などに焦点を当てた。

しかし日本の最大のオタク街はやはり『秋葉原』だ。今回はここを起点に東京のオタク街をぶらり探訪。知っていそうで知らなかった意外な事実が浮き彫りになる。

オタクの聖地秋葉原を巡ってみた

本シリーズで度々取り上げた中野ブロードウェイはJR中野駅からほど近い場所だ。今回は中野駅から中央総武線に乗り秋葉原に向かった。20分ほどで到着。世界に冠たるオタク街なだけあって平日でも観光客らしき外国人の姿が多く見られる。

最近の潮流は、アキバが「買い物の街」から「体験の街」にかわってきていることだ。特に外国からのお客さんについてはその傾向が強い。

一時は大型のバスに乗り込み、大挙してやってくる爆買いツアーがもてはやされたが今ではひと息ついた感がある。今、団体客に替わって注目されているのは個人客。『GMOリサーチ』が行った2016年5月のアンケート調査を手がかりに昨今の流れを見ていく。

団体客も個人客もアキバを訪れる1番の目的は「アニメ・マンガ・ゲーム等サブカルチャー関連の買物、サービス」だ。中華圏からでも、欧米からでも個人客の過半数がこれに該当する。

(図2)秋葉原を訪問した目的 (n=100 複数回答) [ 目的×旅行形式 ]
(図2)秋葉原を訪問した目的 (n=100 複数回答) [ 目的×旅行形式 ]

目的が「アニメ・マンガ・ゲーム等サブカルチャー関連の買物、サービス」だ。50%の人がこの項目を選択している。そして2番目が「オタク文化の発祥地としての秋葉原体験、見学」で40%だ。

世界的にもアキバは「電気の街」ではなく、「オタクの街」であり、さらに最近は「買物」ばかりではなく「サービス」や「体験」「見学」がさらに重視され始めていることがわかる。

裏アキバといえばかつてはパーツ通り

テーマパーク化した風景を体験し楽しむ

パーツ通りにはテーマパークのごとし

オタクの街アキバを訪れる外国人の間で「体験」「見学」が流行している。メインストリートと言えるのが万世橋交差点から外神田五丁目の交差点までの600mほど、中央通りの両側に様々な業態の店が並ぶ。歩いているだけで楽しくなってくる通りだ。

しかし、この通りはアキバの表面。裏アキバはもっとディープだ。西に一本入った通称「パーツ通り」はかつて半導体や電子部品を扱う店が集まっていたエリアだが、現在は「メイドカフェ通り」の様相を呈している。ひとくちにメイドカフェといっても、本場アキバは一筋縄ではいかない。

くノ一の姿をした女性が「ニンニン」とつぶやきながら近づいてきたかと思えば、背中に「誠」の文字を背負った女性が「拙者の店に来るでござる」と刀を振り回したりするので油断がならない。

ディズニーランド以上にテーマパーク化したこのような風景を、ガイジンさんたちは体験し、楽しむのだ。

9割以上が外国人のマリカー

象徴的なオタク体験が「マリカー」だ。名前からは任天堂のマリオカートを連想させるが、このへんは著作権の関係で深くは言及できない。とにかく、普通免許で公道を走らせることができるカートで2時間の東京ツアーを体験する。お台場コースと浅草コースが用意されており、料金はどちらも7000円。客の9割以上が外国からの観光客だ。

そして今回、アキバのメイドさんから耳寄りな情報を仕入れた。

「ガイジさんがオタク文化と出会う最初の場所は今やアキバや中野じゃなくて原宿なんですよ」

OTAKUの聖地は今や原宿

原宿にもアニメ、マンガが溢れる

アキバのメイドさんから仕入れた情報を元に、さっそく原宿に行ってみた。駅をおりるといきなり萌えアニメ系のポスターが目に入る。

パスワードの重要性を啓蒙するために「情報処理推進機構」が設置したものだ。線路に沿って同内容で同テイストの巨大ポスターが複数設置されている。今のところ原宿駅だけでの展開だ。

メインストリートである竹下通りを駅から見下ろせば、本当にたくさんの外国人観光客の姿が見える。
「トリップアドバイザー」による「外国人がクールだと評価した日本の観光スポット20」によると、堂々1位は原宿竹下通りだ。

若者と外国人をかき分けながら歩くと、あるわあるわ、アニメや萌え、マンガなどのオタク文化のアイコンだらけなのである。外国からきたお客さんの多くはこの原宿竹下通りを訪れる。そしてとくに意識しなくとも、ここを歩くだけでオタク文化のシャワーを浴びるのだ。

考えてみればこれだけオタク文化に街中に溢れることはゼロ年代以前には考えられないことだった。ましてや、渋谷、原宿と秋葉原は距離以上に遠く離れていた。それが、オタク文化のカジュアル化とグローバル化によって、かつてないほど接近している。そして、街がもともともっていた個別のカルチャーコンテンツも混淆しはじめている。

渋谷のギャル、原宿のゴスロリはオタクカルチャー同様にグローバル化しているといっていいが、カジュアル化においては一歩遅れているのかもしれない。それが、秋葉原を発祥とするオタクカルチャーの侵攻を受ける状況を生み出したのだろう。ある意味、増加する訪日外国人がオタクカルチャーを原宿など、これまでオタクに縁の薄かった街に広げている面があるからだ。

外国人にとっては、ギャル、ゴスロリもオタクも日本の奇妙で“カワイイ”文化である。もはや東京の一点をオタクの聖地として絞ることは難しい。マリカーが縦横無尽に走る東京そのものが、巨大なオタクのテーマパークとなっているのだ。

連載:グローバル化する日本のオタク市場

  1. 中野ブロードウェイに集う外人バイヤーたちの怪しい毎日。海外から狙われる日本のオタク市場
  2. 中野ブロードウェイの闇の奥。“セドラー”と“転売ヤー”に狙われるジャパニーズカルチャー
  3. 世界中から狙われるアイドル市場!オタクのグローバル化で拡大する市場規模
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