「子供一人育てるのに3000万円が必要」ってホント?若い世代を萎縮させているのは誰なのか?

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毎日子どものおむつをとりかえて、公園に連れて行ってたら、通りすがりのおばさんから「イクメン」と言われて、早10年。いつのまにやら、自分がおじさんになっていることに気づきました。

そんなおじさんとして、若い子と話していると、子どもを持つことへの不安を語る人の多いこと。年収も低いなかで、「子育てにはお金がいる」という思い込みが、若い世代を萎縮させて、結婚や出産から遠ざけているようです。

子育てにはどれくらいのお金が必要なのか

政府の統計では1人あたり約1300万円

実際のところ、子育てにはどれくらいのお金が必要なのか、それによって私たちの生活はどのように変わるのか、データを基に一緒に考えてみましょう。

政府の統計によれば、一人の子供を育てる費用は22年間の合計で1,302万円。ただし、二人目は1,052万円、3人目は762万円と、人数が増えるほど費用が逓減する傾向があります。

第3-1-14図 二人目、三人目にかける費用は逓減する

22年間で1,302万円ということは、単純計算では年間59万円です。3人を育てる場合には、さらに減って一人当たり年間47万円になります。ひと月あたり4~5万円ですが、政府の児童手当や扶養控除、企業の家族手当やらを計算に入れれば、もっと少なくなります。

児童手当・扶養控除について

0歳から中学校卒業までの児童を養育している方に児童手当が支給されます。
16歳からは、一般の控除対象扶養親族となります。

児童手当対象 支給額(月)
0歳から3歳未満(一律) 1万5000円
3歳から小学校修了前の第1子・第2子 1万円
3歳から小学校修了前の第3子以降 1万5000円
中学生(一律) 1万円
出典:平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法の概要
参考:児童手当について |厚生労働省
参考:No.1180 扶養控除|所得税|国税庁
※ その他支給条件については自治体のホームページで確認してください。

統計データはどこまで信用できるのか

とはいえ、読者の中には「ウチはもっとかかっている」と感じる人も少なくないでしょう。22年間で1302万円(年間59万円)というのは、あくまでも平均値だからです。私立の学校に子どもを通わせれば、それなりの学費がかかりますし、都心に住めば住居費だって馬鹿になりません。

平均値は平均値として、データから導き出された事実の数字ですが、生活レベルが平均では満足できないという人がいるのも社会的な事実です。また、全国的な平均と地域的な平均も異なります。全国平均はともかく、周囲の知人友人と比べて我が身を考えてしまうのも人間的な事実でしょう。

子ども1人あたり約3,000万円って本当?

実際、インターネットをちょっと調べると「子供一人あたり3,000万円が必要」というもっともらしい言葉が一人歩きしています。

この数字の基になっているのはどうやら、とある保険会社による資料らしく、そこでは22年間の養育費が1,640万円、幼稚園から大学まで公立に通った場合の教育費が1,345万円で、計2,985万円となっています。

国民生活白書の計1,302万円の2倍以上の試算は、調査方法が異なるとはいえ、解せないことです。よほどセレブな家庭が調査対象になっていたのでしょうか。実際、その資料の試算では、幼稚園から高等学校まですべて公立に通わせた場合の教育費は853万円ですが、政府の同様の調査では523万円となっています。

図7 幼稚園3歳から高等学校第3学年までの15年間の学習費総額

保険会社が、保険の必要性を喧伝するために高めの金額で煽っているのか、それとも、政府の調査が国民を欺いているのか、皆さんはどちらだと思いますか?

お金がなければ子育てできない!?

あなたがインターネットで目にする情報には、「事実」と「意見」があります。これは論理的に情報を読み解く基本ですが、その区別はそう簡単ではありません。

というのも、ある「事実」を提示されると、その裏に「意見」を読み取ろうとするのが人間の習性だからです。

「子育てにはお金が必要です」というのは端的な事実ですが、子育て真っ最中の親や、これから子供を産み育てようという若い人が、それを口にすることは難しいでしょう。「私たちにもっとお金を寄越せ」という政治的な主張か、「子育てにお金がかかって大変だ」という愚痴に受け取られてしまうからです。

子育てにお金がかかることは当然です。しかし、実際にいくら必要なのかをきちんと把握している人は少ないでしょう。私たちは「お金のことを口にするのは、はしたない」という文化の中で生きているため、友人同士で、親子間で、お金について話し合うことがないからです。ネット情報に踊らされるのは、そんなときです。

子育てに必要なお金は人それぞれです。また、子どもができるとライフスタイルが変わるため、余分な出費が減ったという人もいます。

いずれにせよ、夫婦二人で力を合わせれば、乗り越えられないほどの困難ではないと、仕事もお金もないからイクメンをしていた私は思うのです。

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