世界中から狙われるアイドル市場!オタクのグローバル化で拡大する市場規模

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ここ10年で約6倍に急拡大しているオタク市場。

「若者」+「◯◯離れ」が現代のキーワードとなっている感があるが、この分野に限ってはそうした心配はなさそうだ。

そして今特に注目されているのがアイドルオタクのグローバル化だ。

オタクという文化の変化

中野ブロードウェイ3階 キン肉マンに特化した店舗
中野ブロードウェイ3階 キン肉マンに特化した店舗

矢野経済研究所の調査によれば、2007年に3597億円だったオタクの市場規模は2010年には7736億円になり、2011年には8920億円と常に右肩上がりだ。現在では1兆5000億円を超える規模に成長していると言われる。

ただ、これは矢野経済研究所が調査した「アイドル」(一人あたりの平均消費金額79,783円)、「アニメ」(同29,843円)、「アダルトゲーム」(同27,471円)、「コスプレ衣装」(同18,526円)、「プラモデル」(同19,928円)といった分野だけの調査だ。秋葉原や中野ブロードウェイ、池袋の乙女ロードなどを歩くとわかるが、オタクの消費パワーはただ目の前のゲームやフィギュアだけに向けられるのではない。

あるプラモデルマニアは飛行機、なかでも現代の戦闘機を中心にコレクションしているのだが、よりリアルな塗装を施すために、全国各地の航空自衛隊の基地に出かけていっては写真を撮る。撮影に使うのはキャノンのEOS1DX(市場価格50万円ほど)だ。これにプロのスポーツカメラマンが使うような400ミリレンズ(市場価格80~100万円)を付ける。こうしたお金の使い方をするのがオタクのオタクたるゆえんだ。

また、オタク市場の広がり、奥の深さを指摘する声もある。
マーケティングアナリストの原田曜平氏は自著『新・オタク経済』(朝日新聞出版)の中で次のように語っている。

〈オタクの領域というのはK-POPから宝塚歌劇、オーディオまでより幅広いものだと思っている私の見解としては、オタク市場はその(表に現れる規模の)3倍、3兆円くらいの規模があるのではないかと踏んでいます〉

興味の中心を支えるためにさらに興味の輪を広げていくオタク。また、従来とは違った感覚のオタクが増えることで、市場はさらに活性化している。

電車男からライトオタクへ

一昔前のオタクイメージのイラスト
かつて、オタクといえばこうだったが…(画・江波旬)

ひと昔前までのオタクはケミカルジーンズによれたチェックのシャツ、ウェストポーチを巻いて、分厚い眼鏡をかけている。つまり「2ちゃんねる」から火がつき、テレビドラマや映画化された『電車男』的なイメージだった(もはやこの説明でも伝わるかどうか心もとないのだが……)。

現在ではオタクはもっと細分化され、それぞれの分野の敷居はごくごく普通の人たちがまたぎやすい高さにまで低くなっている。

細分化された現在のオタク分野。その様子を“中野区ものしり博士”の称号を持つ中野経済新聞編集長の杉山司氏は次のように語る。

「長く中野ブロードウェイを観察してきて思うのは、ここはオタクの中でも特に“マニア”が集う場所なんです。従来からのアニメ、フィギュア、マンガマニアはもちろん、カメラのマニアであれば老舗のフジヤカメラに行くし、スニーカーや古着系のファッションマニアをうならせるお店もたくさんあります。鉄道マニアが喜ぶNゲージなどは『BIG YADA』さんなどはたぶん日本でも有数の品揃えです」

こうした「オタク」「マニア」文化と外国人が接する場として中野ブロードウェイや秋葉原という『場』が機能しているのだ。

杉山氏は語る。

「例えば中野ブロードウェイでは『まんだらけ』さんがアメリカやヨーロッパのオタクファンを集め、高級時計店さんが台湾や中国からのインバウンド客を集める。さらに、村上隆さんが展開する現代アートの試みである、(ギャラリーやカフェの)『Zingaro』さんなどが北欧のおしゃれな外人さんを集める。それぞれがそれぞれのターゲットを集めているのですが、各々が回遊することで新たな出会いが生まれているのです」

つまりオタクの聖地と呼ばれる中野ブロードウェイがグローバルな世界を見渡すことのできる「窓」の役割を果たしているのだ。

アイドルオタク市場はすでにグローバル

そして今、注目されているのが「アイドルオタク」の分野だ。
業界関係者の説明。

「矢野経済研究所の最新のオタク市場調査では、アイドル市場が前年比で30%以上の伸びでした。右肩上がりのオタク市場でも特筆すべき数字です。アイドル市場とだけ言うとイメージがわきにくいのですが、つまりコンサートのチケットやCD、DVD、またはコンサート会場で売っている関連グッズなどの売り上げを含めた数字です」

こうした分野が熱いのだが、その理由のひとつが「売買のしやすさ」にあるのだという。

「アイドルグッズは高値での転売が容易なのです。分かりやすいのがジャニーズグッズです。コンサート会場だけでしか売っていないような限定グッズなどは定価より高く買い取ってくれる専門店も少なくない。有名所でいうと『ジャスティー』や『ジャニーズオフ』、中野ブロードウェイでいうと『TRIO(トリオ)』などですね」

うちわやペンライト、キーホルダーやコンサートのパンフレットなどをかなり高値で買い取ってくれるという。

「ジャニーズオタクは日本国内だけでなく、世界中にいます。そうした関係から高値での買い取りが可能なわけです。『ジャスティー』などは雑誌の切り抜きでさえ買い取ってくれるといいます。またジャニーズオフは海外20ヶ所に販路を持っており、日々海外に向けての取り引きが行われています。こうしたお店はネットでの買い取りシステムを充実させているので、地方に住んでいる方でも簡単に利用できるというメリットもあるのです」(前出業界関係者)

日本経済の明日は案外明るいのかもしれない。

連載:グローバル化する日本のオタク市場

  1. 中野ブロードウェイに集う外人バイヤーたちの怪しい毎日。海外から狙われる日本のオタク市場
  2. 中野ブロードウェイの闇の奥。“セドラー”と“転売ヤー”に狙われるジャパニーズカルチャー
  3. 世界中から狙われるアイドル市場!オタクのグローバル化で拡大する市場規模
  4. テーマパーク化する街。訪日外国人が進めるオタク文化の東京占領
  5. アニメ聖地巡礼がもたらす世界平和。官民のタッグがオタクのグローバル化を加速する
ソース 「オタク」市場に関する調査を実施(2016年)

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