中野ブロードウェイに集う外人バイヤーたちの怪しい毎日。海外から狙われる日本のオタク市場

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ジャパニーズカルチャーの世界的な流行に乗って、オタクビジネスは国内だけにとどまらず海外にも市場を広げている。

今やオタクグッズを欲しがる客は世界中に存在し、市場規模は常に拡大。マンガ、アニメばかりが彼らの食指を動かすのではない。アイドルやミュージシャンのコンサートでの物販商品、現代アーティスト監修の限定商品などにまで外国人が群がる。なかには転売目的での大量買い付けもあり、一部で問題になるほどの盛況ぶりだ。

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中野ブロードウェイ3階 まんだらけ
中野ブロードウェイ3階のまんだらけ。外国人客がひきもきらない

2016年に日本を訪れた外国人数は、熊本地震の影響をものともせず、前年比21.8%増の2404万人となり、初めて2000万人の大台を上回った。観光大国ギリシャを訪れる外国人数とほぼ互角の数字だ。日本政府は2020年までに訪日外国人数を4000万人に引き上げることを目標としている。

金額ベースで見ると、2016年の日本のインバウンド消費は前年比7.8%アップの3兆7,476億円。世界中からこれだけ多くの人がジャパニーズカルチャーを求めて来日し、お金を使っているわけだ。ひと昔前までの日本人は外国人観光客のお目当てを「フジヤマ、ゲイシャ、サムライ、キョウト」だと思い込んでいた。

しかし時代はとっくに変わった。もちろん従来のジャパニーズカルチャーを好む外国人旅行者は今でも多いが、年々存在感を増しているのがオタクカルチャーだ。

国内だけで5000億円を超える市場規模のオタクカルチャーだが、これは表面だけの数字だ。日本で買われ、海外で転売されるオタク商品を含めると、さらに規模は膨れると言われる。

元東京IT新聞編集長の西村健太朗氏に話を聞いた。

「ネットの発達で、個人間の売買が手軽になっています。オタクカルチャーの世界でも、目の肥えたファンが実物を見て購入し、これをネットでオークションにかける。もちろん購入金額以上の価格で売るのが目的です。そうしたいわゆる”個人セドリ”を行う外国人も増えているのです」

中野はオタクでマニアな街

『中野経済新聞』編集長・杉山司氏
中野経済新聞』編集長・杉山司氏は、中野ブロードウェイの変遷を教えてくれた

大阪の日本橋、東京の秋葉原、中野、池袋。どこもオタクの聖地として名を馳せる街だ。今回は東京の中野に注目してみよう。

JR中野駅から歩いて5分。オタクビルとして全国に知られる『中野ブロードウェイ』がある。2016年に50周年を迎えた中野ブロードウェイは、地元にお住まいの方々に「昔は六本木ヒルズみたいなおしゃれなビルだった」と言わしめる存在だ。JR中野駅の北口を出て中野サンモール商店街抜けると中野ブロードウェイの看板が迎えてくれる。

地下1階から地上4階までがショッピングスペース。5階から10階までが住居スペースだ。
「以前は青島幸男や沢田研二も住んでたんだぞ」と前出の地元住民は言う。つまり、かつては”トレンディ”で”ナウい”場所だったのだ。

1980年にオタクの最先端企業『まんだらけ』が店舗を出してから、そちら方向側への発展が始まり、様々な時代の要素を取り込みながら今でも進化を続けている。

中野地区の様々な情報を発信するネット媒体、中野経済新聞編集長の杉山司氏に聞いた。

「まんだらけさんが店を出したころはまだ一部のマニアが集う場所でした。その後、1987年に高級ブランド時計を扱うジャックロードさんが出店し、オタク分野以外のマニアも集まるようになります。そうした流れの中で西洋人形を扱う店などが増えていったのです」

中野ブロードウェイでセドリのネタを仕込む

浜倉好宣氏がデザインを手がけた中野ジンガロ横丁
中野ジンガロ横丁。昭和レトロなデザインは浜倉好宣氏が手がけた。

前出の杉山氏によると、現在の中野ブロードウェイのインバウンド消費には大きく3つの流れがあるという。

「まんだらけさんにはヨーロッパのオタクが集まり、ジャックロードさんに代表される高級時計店は台湾や香港、中国本土のお金持ちを集めています。そして最近とくに目立ってきているのが北欧系のおしゃれな外人さんたちです」

きっかけになったのが現代美術家・村上隆氏の進出だ。国内外で多くの賞を受賞。日本で最も成功した現代作家のひとりである村上氏はオタクカルチャーへの理解と造詣も深く、アニメの美少女キャラをモチーフとした作品なども高い評価を得ている。

そんな村上が中野ブロードウェイの中に3つのギャラリー「Hidari Zingaro」「pixiv Zingaro」「Oz Zingaro」とカフェ『BAR Zingaro』、そして『中野ジンガロ横丁』と名付けた事務所を設立したのだ。

「若手アーティストのイベントや展示会を積極的にプロデュースしています、おかげでアートやデザインに敏感な北欧系のお客さんが増えているんです」(杉山氏)

Zingaroのイベントスペースでは村上関連のグッズが販売されることもある。


そうした中で事件は起こった。

中野ブロードウェイの関係者が明かす。

「外国人の目利きがまんだらけさんなどでセドリのネタを仕入れるというのは昔からあったんです。でも目利きでもなんでもなく、ただ金儲けだけを目的とした人が転売目的の大量購入をしかけてくることがあるんです。去年は村上隆先生と秋田を拠点とした酒造業者さんたちのコラボ作品が標的にされました」


外国人バイヤーたちに狙われるジャパニーズカルチャー。実際に狙われた作品達とは?

連載:グローバル化する日本のオタク市場

  1. 中野ブロードウェイに集う外人バイヤーたちの怪しい毎日。海外から狙われる日本のオタク市場
  2. 中野ブロードウェイの闇の奥。“セドラー”と“転売ヤー”に狙われるジャパニーズカルチャー
  3. 世界中から狙われるアイドル市場!オタクのグローバル化で拡大する市場規模
  4. テーマパーク化する街。訪日外国人が進めるオタク文化の東京占領
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