トランプ氏級の過激人物が台頭⁉︎ EU統合・移民…オランダ選挙の争点解説

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2017年は、欧州選挙に大注目!
3月にオランダ、4月~6月にかけてフランス、夏から秋にドイツと選挙が相次ぎます。しかも、今回の選挙は、EUと欧州の未来を左右する重要なイベント。
参考:為替市場・ドル円に波乱の予感…「2017年世界の政治イベント」一覧

トップバッターとして登場するのは、3月のオランダ。
反EU・反イスラムを掲げる自由党のヘルト・ウィルダース氏は、トランプ大統領以上にヤバい。
さて、ウィルダース氏の話をする前に、選挙の争点とオランダの主要政党をご紹介します。選挙の争点は、EUの統合をどこまで進めるか?

欧州選挙の争点

  • EUの統合をどこまで認めるのか?
  • 通貨ユーロの存在と財政政策
  • 移民に対する政策 ⇒ 目先、一番の争点。

これは、政治学的に中央集権派と分権派の争い。日本の歴史で例えれば、地方分権型の政府だった江戸幕府に対して明治政府は中央集権型の政治を進めました。

  • 中央集権派:中央政府に権限をできるだけ集中。
  • 分権派:中央の権限を弱くして、それぞれの地方に権力を委託。

これまで、EUは、できるだけ、統合を深める中央集権を進めてきました。
実際、通貨をユーロとして統合した以上、そうならざるを得ません。
EUとユーロの大きなミスは、政治・財政の統合を成し遂げずに通貨を統合したことで、その矛盾が噴出したこと。

そこに移民問題が重なり、EUそのものへの疑問が突きつけられているのです。

オランダの主な政党

オランダは、多くの政党が存在し、単一政党ではなく連立政権による政治が中心。
近年、反EU、反ユーロを掲げる極右政党の自由党が、支持率を伸ばしており、最大の争点は、反EUの自由党がどれ位の議席を確保するか。
さらに、各政党の簡単な紹介は以下の通り。

政党名 下院 上院
与党 自由民主国民党(VVD) 前回選挙で27%の議席を占める 首相のマルク・ルッテ率いる第一党。企業よりのリベラル政党。人の移動に厳しい姿勢を取る慎重な欧州統一主義。穏健な自由主義を主張し、親EU派の政党。
保守・企業を票田として、財政均衡・緊縮財政に賛成。
40 13
労働党(PvdA) 前回選挙で25%の議席を占める 社会民主主義・リベラル左派の政党を基にする。EUやユーロに対しては、親和性が高い。現在のポリシーは、社会民主的な福祉型から中道左派に変化。手厚い社会保障と重い法人課税を支持。従来の支持母体である重工業の衰退で打撃。 36 8
野党 社会党(SP) 前回選挙で10%の議席を占める 穏健的なEU懐疑派の極左政党。元は、オランダ共産党として設立するも、すぐに社会党と改名。もともと、社会民主主義・左派寄りだった労働党が中道路線になったため、左派の受け皿として機能。2000年以降に勢力を伸ばしている。手厚い社会保障費と重い法人課税を支持 15 9
キリスト教民主同盟(CDA) 前回選挙で9%の議席を占める 企業よりの保守政党。中道右派~穏健な自由主義的考え方を取り、欧州では強い勢力を持つキリスト教民主主義派の政党。キリスト教絶対主義ではなく、逆に様々な宗教に対して寛容。(寛容の方向性が問題にもなります)EUを強く支持しています。大都市以外に暮らす中間層が従来の支持母体 13 12
民主66(D66) 前回選挙で8%の議席を占める 人の移動に厳しい姿勢を取る慎重な欧州統一主義。さらなる欧州統一と多文化社会を支持する国際主義 12 10
自由党(PW) 前回選挙で10%の議席を占める 今回最大の注目政党。強硬な反移民、反イスラム、反EU主義を掲げるヘルト・ウィルダース氏が党首。イスラム移民に反対・EUに反対、今回の選挙でもEU離脱をはじめ過激な公約を掲げています。 12 9
キリスト教連合(CU) 5 3
グリーン・レフト(GL) 前回選挙で2%の議席を占める 大都市以外に暮らす中間層が従来の支持母体。都市部の若者から強い支持 4 4
動物党(PvdD) 2 2
50プラス(50PLUS) 1 2
独立上院会派(OSF) 1
無所属(PVV、PvdA、50PLUS、VVDから分離 7
合計 150 75

※2016年6月時点。
※二院制(第2院(下院)150議席、第1院(上院)75議席)。第2院に法案、条約の先議権がある。

自由党党首のヘルト・ウィルダース氏とは?

イスラム諸国からの移民受け入れ停止やブルカやモスク禁止などイスラムの習慣を禁止する提案をしている自由党。
自由党が政権を取った場合、EU離脱に関する国民投票実施を公約としています。

ここの党首を務めるのが、ヘルト・ウィルダース氏。この人の反イスラム行動はハンパではありません。
昨年の12月には、選挙運動で差別を煽ったと、オランダの裁判所で有罪判決を受けています。

フィトナという短編映画を公開。
その中では、イスラムとテロを結びつけて批判。
テロを映した後に、イスラムの聖典「コーラン」を映し出すなど過激な映像満載。ちょっと、ここでは書けないレベルです。
メキシコや中国を批判するトランプ大統領とは比較にならない…彼が一定の票を集めていることに本当にびっくりします。

この人が民主主義の仕組みの中で、一定の支持を得ていることを真剣に考えなければいけません。
難民問題は、困っている人を助けたいという人道的な思いで判断すると欧州の現状を理解できなくなるのではないでしょうか。

民族ごとの出生率の差による国・都市人口の将来像・利権や格差に対する反発による対立は、私達、日本人の想像以上に深刻なのだと思います。

オランダの選挙は、日本でもそれなりには報道されるでしょう。
メディアの報道だけに頼らずに、しっかりと確認しておかないといけませんね。

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