100年で価値3800倍! 資産家がゴールドを持つ理由と歴史の背景

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資産家たちは、金を持つ場合に1-2年といった目先の動きに一喜一憂しません。10年以上……ときには、子どもや孫、その先の代まで考えて金(ゴールド)を保有します。

そして、昔から金(ゴールド)を保有し続けていたお金持ちの考えは、近年の値上がりを見ると正しい選択だったと言えるのでしょう。

どれだけ経済が発展しても、素晴らしい金融工学が研究されても、今のところ長い目で見ると、政府の発行する紙幣や国債、経済システムは破たんや価値の下落が相次いでいます。

これは、金(ゴールド)の動きと長期間の歴史の背景を知ることで、よくわかるはずです。

今回は、歴史の出来事と金(ゴールド)の価値の変遷についてお話します。

金本位制と変動相場|第二次大戦後からジャマイカ会議

世界的な金(ゴールド)の値動きを第二次大戦後から見てみましょう。

1944年に第二次大戦戦後の経済体制を決めるために、ブレトンウッズ協定が結ばれました。この協定の中で、1トロイオンス(31.1035g)の金(ゴールド)の値段を35ドルと定め、金と交換できる唯一の通貨を米ドルとする金本位制を引きました。

その後、米ソの冷戦・朝鮮戦争・ベトナム戦争など、相次ぐ戦争でアメリカの軍事費は急増し、軍事費を賄うために増刷を続けた米ドルの信頼は徐々に低下していきます。

財政赤字・貿易赤字が溜まったアメリカに対して、米ドルの信用不安から世界の国々は米ドル以外の貨幣でも金(ゴールド)と交換できるようにして欲しいというニーズが世界中で高まります。

ついに、金(ゴールド)と米ドルの交換を保証できなくなったアメリカは、1971年に金本位制からの離脱を宣言(ニクソンショック)し、世界中に大きな衝撃を与えました。

その後、1976年1月にジャマイカで開催された会議において、金(ゴールド)の廃貨と外国為替の変動相場制が始まり、金(ゴールド)の値段は国に縛られず、実態に合わせて変動する仕組みになりました。

金の市場最高値|オイルショック~1トロイオンス850ドル

1970年代-80年代は、オイルショックやソ連のアフガニスタン侵攻など、地域紛争とインフレの時代です。

この時代は米ソ冷戦に対する軍備費がかかる上に、石油の値段も高騰したために、金(ゴールド)の値段は急上昇していきます。連動して米ドル/円相場は大きく円高に進み、米ドルの価値は下落を続けます。

そのような背景があったため、ソ連のアフガン侵攻後にロンドン金価格(ロンドン・フィキシング)では1トロイオンス850ドルという当時の市場最高値がつきました(1980年1月21日)。

その後、金(ゴールド)の高すぎるインフレを抑えるために、アメリカが高金利政策を取ったことで金市場も落ち着きを見せ、値段も下がっていきます。

この1トロイオンス850ドルという価格は、2008年1月まで約27年間最高値として記録されていました。

金は見捨てられた資産|アメリカの冷戦勝利~金融デリバティブ

ここまでを一旦年表にしておきましょう。

事件 金=1トロイオンス
1944年 ブレイトンウンズ体制 35ドル
1971年 ニクソンショック 金とドルの交換停止
スミソニアン協定 38ドル
1976年 ジャマイカ会議 変動相場制に移行
1980年 ソ連のアフガン侵攻 850ドル
イラン・イラク戦争 下落トレンドに

20世紀末は、米ソの超大国が君臨し、世界中が両陣営に分かれて世界の様々な場所で代理戦争が行われ、大規模戦争が起きるかどうか一触即発の状態で軍拡競争を繰り広げていた時代でした。

その後、軍拡競争に敗れたソ連および東側諸国が次々と崩壊したことで、戦争の不安が薄れ、世界に平和が訪れました。

すると、冷戦終結によって軍事費が削られると、職を失った米ソの優秀な科学者は、こぞって金融業界に職を求めて、金融技術が大きな進歩を遂げます。

冷戦に勝利したアメリカでは、株式や不動産が上昇すると共にITバブルが起こり、金融業界にも理系の頭脳が入り込んでABS(資産担保証券)などのデリバティブ(金融派生商品)が次々に開発されました。

金融界では、地中からわずかしか掘り出せない金(ゴールド)は時代遅れで、株式・債券・先物・オプションなど多彩な金融商品にお金が流れたことで、実体経済やマネーの何百・何千倍のお金がデリバティブの世界で膨らみ始めました。

人々が世界平和を実感できると、金利を生まない金(ゴールド)は売られ、株式や債券を買う動きが強まります。

1999年7月には、金価格は1トロイオンス252.80ドルまで下がりました。円建てだと1999年9月の値段が1グラムあたり917円……この価格では南アフリカなどの鉱山は採算が取れないため、閉山や会社合併・リストラでしのぐなど、金(ゴールド)の暗黒時代が訪れました。

当時、筆者は純金積み立ての事業を兼任していた頃ですが、営業展開に苦戦していたのは言うまでもありません。

有事の金の再見直し|アメリカのバブル崩壊と金融不安

その後はみなさんもご存知の通り、行き過ぎたデリバティブが金融の実態を不透明にし、実体経済から大きく乖離した金融市場では何が安全で、いつ不安が訪れるのか全くわからない経済状況になります。

そして、サブプライムローン問題の中で2008年9月15日に投資銀行のリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻(リーマンショック)を起こし、世界同時不況に突入します。

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の元CCOマーク・アデルソン氏は、世界金融危機によって世界全体の損失総額は最大で15兆ドル(当時約1170兆円)と予想しています。

結局、今の金(ゴールド)の高値は、このような世界的な政治経済の背景があるため、起こっているということなんです。

日本の金価格は100年で3846倍に上昇

ちなみに、日本はあまり金(ゴールド)の取り決めには関与していないため、金(ゴールド)の価値にのみ触れてみましょう。

日本が1897年(明治30年)に貨幣法を制定したとき、金(ゴールド)の値段は0.75グラム=1円です。つまり、1グラムになおすと約1.3円……今の金(ゴールド)の価格は1グラム=約5000円のため、3846倍にもなります。

たった120年ほど前のお話です。もちろん、お米・土地など全ての物価が上がった結果、金(ゴールド)も値上りしているわけです。

もちろん、金(ゴールド)を含めた全ての物の値段が上がっているため、金(ゴールド)の価値自体はそこまで上がっていません。

ただ、お金持ちたちが、資産をさらに増やそうと努力をすると最終的には、金(ゴールド)に行き着きます。それは、金(ゴールド)の価値と貨幣の価値を比べた結果、最終的には貨幣の価値は下がり、金(ゴールド)の価値が上がっているためなのです。

※ 尚、本記事では内容をわかりやすくするため、当時の貨幣価値は考慮せずに単純比較して計算しています。

【シリーズ】なぜ金などの「実物資産」が好まれるのか

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