タクシー券がばら撒かれた背景は…「バブル景気とカネ」本当にあった話

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バブルというと金額の多さばかりが話題にのぼりますが、ごくフツウの生活をしていた人も、いろんな形でバブルの恩恵を享受していました。
もっとも身近なバブルグッズ「タクシー券」のお話をしてみましょう。

もうひとつの通貨、タクシー券

バブルを象徴するもののひとつに
「タクシーチケット(タクシー券)」
があります。
いまでもたまーに見かけることがありますが、当時は1000円札……は大げさですが、2000円札くらい馴染みがある金券だった、という人も多いのでは。

タクシー券とは
ちなみにタクシー券とは、タクシー会社が発行する白紙の利用券です。
この券を持っていると、発行タクシー会社のタクシーに「1回自由に乗れる」というもの。
「ふーん……」と思うかも知れませんが、その距離や金額に制限がなかったのですから、これはまさしく「庶民のプラチナチケット」でした。

どういう仕組かというと、タクシー券を持ったお客さんがタクシーに乗ると、お金を支払う変わりに乗車賃を券に書き込んで運転手に渡します。
運転手はそれを売上げと一緒に計上。
タクシー会社の経理は、その金額をチケットを出した会社に請求する、というものです。

バブルってどんな日常?紙1枚でタクシーに乗れた時代、マネーゴーランド

学生の会社訪問にも配られた

企業の中には福利厚生の一環としてタクシー券を利用していたところもあるようです。
また領収書処理が面倒だからとタクシー券を渡していた会社も多かったのです。
これは、たとえば「お車代」に使えました。

催し物に招いたお客様に、まさしく「お車代」としてタクシー券を渡す。
こんなことがよく行われていたのです。
もちろん現在も行われていますが、よほどの上客に限られるでしょう。
当時は会社訪問で訪れた学生にまで渡されるほど、ハードルが低かったのです。

この券を、バカ正直に帰りのタクシー代に利用する人ばかりではありませんでした。
だって電車で帰れるのですから。大切にキープしておいて、別の機会に使うというわけです。
タクシー券が威力を発揮するのは深夜、そして長距離。
たとえば飲み過ぎで終電が終わってしまった時、誰かがタクシー券を持っていると、飲み会のメンバーの家をまわって送り届ける。そんな使い方ができたのです。

もちろん持っている人はみんなに感謝され、しかも懐はまったく痛みません。
これってまさに「庶民のプラチナチケット」ではありませんか?
バブルがいい時代だった、というひとつの思い出です。

バブルってどんな日常?紙1枚でタクシーに乗れた時代、マネーゴーランド

意外と合理的だったタクシー券

でも、タクシー券は魔法のチケットではありません。
使われたタクシー料金は、回り回って配った企業が払わなければならないわけです。
ところが、それが緩かったのがまさにバブル。

会社にとってもタクシー券は便利でした。
お車代と違い現金決済をする必要がありませんし、なにしろ領収書が出るので経費で落とすことができます。
また他の金券と違い、タクシー券には利用金額が記入されていません。
そのため金券ショップなどに売ることは(表向き)できなかったのです。
渡した相手もほぼわかっていますから、あまり無茶をする恐れはありませんでした。
今なら反社会的勢力の手に渡ると面倒なことになりそうですが、当時の彼らは土地転がしなどもっと大きなシノギに夢中でした。
こんなチンケな稼ぎには目もくれなかったのです。

さらに、これは噂話のレベルですが、タクシー券を利用する企業とタクシー会社の間には、さまざまな取り決めがあったようです。
タクシー料金はいってみればサービス料、原価がきっちりしているものではありません。
そこで企業とタクシー会社が「月にいくら」という利用契約を結んでいた、という話がありました。
使っても使わなくても、です。

たとえばその額が一億としましょう。
企業は毎月出ていく金額が決まっているので、煩雑な事務処理が省けるうえ、先の見通しが立てやすい。
タクシー会社は多少の割安感があっても定期収入があるのがうれしい。
そんな上のほうのウィンウィンの関係が下々にまで恩恵を及ぼしていたのです。

ちなみにある出版社ではギャラの数倍もタクシー代がかかっていたアルバイトがいました。
大らかな時代のお話です。

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