廃止後も税金で支給!議員年金問題と国民年金との受給額の違い

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みなさんは、議員年金をご存知ですか?

議員年金とは、国会議員や地方議員の在職期間が一定期間以上あれば、国民年金や厚生年金とは別に年金が受給できる制度のことです。

議員年金制度自体は2006年3月いっぱいですでに廃止されていますが、全ての議員年金の支給が終わったわけではなく、権利を有している議員には今も全額税金から年金が支給されています。

わたしは、国会議員や地方議員の仕事の大変さはわからないため、議員が議員年金をもらって然るべきなのかわかりませんが、議員年金と国民年金を単純な数字だけで比べると、やはり不公平を感じてしまいます。

では、今の既得権が残る議員年金の実態はどのようなものなのでしょうか。また、議員年金廃止前の状態はどのようなものだったのでしょうか。

今回は、議員年金について、国民年金との違いも含めて説明します。

議員年金が廃止された背景

議員年金が廃止された背景には、議員年金と国民年金に大きな差があり、批判の声があがっていたためです。

通常、年金制度には掛金の最低納付期間があります。わたしたちが加入している国民年金の場合、老齢年金を受け取るためには、保険料納付期間と保険料免除期間を合わせた資格期間が25年以上必要でした。※

※議員年金が廃止されてから現在では、国民年金の最低納付期間も改正され、資格期間が10年以上あれば2017年8月1日から老齢年金を受け取ることができるようになりました。

参考|年金受給資格期間の10年加入で何万円もらえる?FPが徹底解説

それに対し、国会議員年金の最低納付期間は10年、地方議員年金の最低納付期間は12年と短く、さらに議員在職期間が1年増えるごとに議員年金は月額8万2400円の増加など、支給額の面でも国民年金・厚生年金とは大きく開きがありました。

たしかに、議員年金は月々約10万円の保険料、国民年金は月々1.4万円の保険料と8倍ほど違いますが、大切なことは保険料額ではなく、どれくらい返ってくるかです。

では、議員年金と国民年金がどれくらい違うのか比較してみましょう。

2006年以前の議員年金と国民年金の違い

議員年金の保険料は月々10万5,000円で年間126万6000円、対して、国民年金の保険料(2006年度)は月々13,860円で年間16万6320円でした。

議員年金の受給資格は10年のため、10年の保険料は1266万円、国民年金の受給資格は25年のため、わかりやすく40年間納めたとして、40年の保険料は665万2800円です。

年金受給額を比較すると、議員年金が年間412万円、国民年金が年間79万2100円となります。仮に、65歳から男性の平均寿命の80歳まで15年受給できるとすると、議員年金は6180万円、国民年金は1188万1500円です。

掛けた保険料に対する返還率は議員年金が「6180万円÷1266万円=4.88」、国民年金が「1188万1500円÷665万2800円=1.78」となります。

つまり掛金に対して、議員年金は488%、国民年金は178%になり、議員年金の方が2.74倍得だということになります。

現在の議員年金と国民年金の比較

さて、議員年金は2006年に廃止になりましたが、それまで保険料を支払っていた議員には議員年金を支払わなければいけません。

そこで、年金支給額を減額して、現職議員は納付額の80%の退職一時金または給付水準より15%減額した年金額、引退した元議員には廃止前の年金から最大10%減額した年金額が継続支給されることとしました。

国会議員年金 地方議員年金 国民年金
都道府県議会議員 市町村議会議員
廃止年月日 2006年4月1日 2011年6月1日
受給開始年齢 65歳
掛金(保険料) 年間
126万6000円
報酬の13% 報酬の16% 年間
19万5120円
(2016年度)
受給資格期間 在職10年 在職12年 25年
年金
受給額
10年(地方12年)以上 412万円※1 計算式:平均標準報酬年額×(35/150+0.7/150×(在職年数-12年)) なし
25年 535万6000円※2 平均195万円 市議会平均103万円
町村議会平均68万円
48万7500円
受給資格期間未満の場合 納付額の80%を退職一時金として受給 なし
公費(税金)負担 100% 50%

※1:制度廃止後経過措置
現職議員:納付額の80%の退職一時金または給付水準より15%減額した年金を支給
元議員:廃止前の年金から最大10%減額した年金が継続支給
※2:高額所得の受給者の年金停止措置あり

先ほどと同じように議員年金の支給額が10%減額されたものとして、計算してみましょう。

議員年金412万円が10%減額されて年間370万8000円、65歳から0歳まで15年間で5562万円の年金額になるため、掛けた保険料に対する返還率は「5562万円÷1266万円=4.39」となります。

たしかに、15年間で6180万円-5562万円=618万円は減っていますが、それでも国民年金の変換率に比べると非常に割が良いことには変わりません。

議員も国民年金強制加入対象

国会議員や地方議員になれる人はごく一部の人です。そのため、議員年金の受給資格者もごく一部しかいません。

1985年の公的年金制度改正により、20歳~60歳の全国民が国民年金に強制加入となり、議員も同じく1986年4月から国民年金の強制加入対象となりました。

1986年4月時点では議員年金制度があり内容も充実していたためなのか(単に知らなかったからか)、強制加入の対象となったにも関わらず国民年金保険料を払っていない議員が多く、国会で議論となったことも記憶に新しいところです。

国民年金10年分=議員年金は4年の不公平感

制度廃止後議員になった議員や廃止時に受給資格を満たしていない議員には、議員年金が給付されません。

しかし制度廃止時点で受給していた元議員、受給資格期間を満たしていた議員には給付が続けられています。

財政困難のため制度廃止となったのですから、当然制度内に資金はなく、現在は全額公費つまり国民が払う税金から支給されています。

経過措置によって年金額が減額されたとはいえ、国会議員として10年在職すれば、掛け金1260万円納めて、年間約370万円の年金を受給でき、3年半受給できれば掛け金以上の年金総額になります。

一方、国民年金は20歳から40年間で約760万円保険料を納めても、年金受給額は年間78万円、同様の計算をすると掛け金以上の年金を受給するためには9年9ヶ月以上かかってしまいます。

高所得の議員年金受給者には、年金の一部または全部停止制度がありますが、その合計額のベースが年間700万円です。また、議員年金の給付が完全になくなるのは、50年先ともいわれています。

廃止になったとはいえ、支給は続いておりその財源はすべて税金だということに加えて、国民年金との給付水準の不公平感は否めません。

ただし、前述した通り国会議員や地方議員になれる人はごく一部の人で、議員年金の受給資格者もごく一部です。そして、議員の中には、これらの議員年金を受給するに値する人もいるのでしょう。

わたしたちはそれに見合った仕事をしてくれるように、今後も色々と知る必要があります。

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1コメント

  1. 匿名

    >そして、議員の中には、これらの議員年金を受給するに値する人もいるのでしょう。

    そんな有能な議員は一人もいません。仮に有能な議員がいたとしても、年金とは
    有能な人が多くもらって無能な人は少なくていいという制度ではありません。
    そこを誤解してはいけません。
    その理屈なら、国民年金の人でも大いに国に貢献しているならば
    多く払ってやれという理屈にもなります。

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