金がインフレに強いのは嘘?市場で金価格が変動する7つの理由

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金(ゴールド)の価格は、為替や株と同じように常に変化します。

そのため、これから金(ゴールド)を保有し、資産運用の一つとして考えるには、何が要因で価格が変動するのかを知っておかなければいけません。

市場において金(ゴールド)の価格が変動する要因は様々ですが、これまでの基本的な考え方として、金(ゴールド)には「インフレに強い」「有事に強い」という格言がありました。

この考え方は本当なのでしょうか。今でもこの考え方に従って、金(ゴールド)を売買しても良いのでしょうか。

今回は、金(ゴールド)の価格が変動する理由についてお話します。

金(ゴールド)の変動要因1.米ドルとの関係

現在の世界の基軸通貨はドルのため、世界各国はドルを集め、ドル資産に依存している状態です。そのため、ドル安になると国が持つ資産価値は減りますが、その代替として購入されるのがユーロや円でした。

ところが近年の市場動向では、ドル安がユーロ高や円高に連動しないことがあり、投機マネーが安定を求めてと金(ゴールド)に流れる事が増えました。

つまり、金利や利ざやを求めるよりも安全な資産として買われる金(ゴールド)は、米ドルと逆の値動きをしやすい状況にあります。これを「ドルと金価格の逆相関関係」と言います。

米ドル上昇 → 金価格下落
米ドル下落 → 金価格上昇

米ドルの代替資産としての意味があるため、米ドルを売る動きが出ると短期的なお金の動きとして、金(ゴールド)の買い意欲が強まります。

金の価値が変動する理由、マネーゴーランド

金(ゴールド)の変動要因2.金利動向とインフレ

金(ゴールド)は、持っているだけでは金利が付きません。

世界の経済や軍事状況が安定している場合は、米ドルやユーロの金利が高くなるため、投機筋が一気に流れてきます。

すると、金(ゴールド)を保有している人や国も、金利を求めて金(ゴールド)から米ドルやユーロに移動してしまい、金(ゴールド)の価格は下がりやすくなります。

特に米国の金利水準が上がれば、金(ゴールド)の価格は下がり易くなると覚えておきましょう。

金(ゴールド)の変動要因3.中央銀行の購入と売却

リーマン・ショック以降、金融工学によって作られたデリバティブ(金融派生商品)の信頼が揺らいでいます。

というのも、リーマン・ショック時は、米FRBが世界金融システムの救済に動きましたが、次に同じような金融危機が起こった場合に、アメリカが救済策を取れるかどうかはわかりません。

そのため、20世紀末は各国中央銀行が金(ゴールド)を売却する動きが中心でしたが、近年はドル依存脱却の意味も含めて、中国やロシアの中央銀行を中心にが金(ゴールド)を買う動きを強めています。

参考|米ドル依存の世界経済の裏で金を買い集めるロシアと中国の狙いとは

金(ゴールド)の変動要因4.中国人・インド人など個人の金購入意欲

金(ゴールド)を持っているのは、世界各国の中央銀行だけではありません。個人も、万が一の資産として金(ゴールド)を保有しています。

中国やインドでは、昔からお祭り・結婚式などのお祝い事に金(ゴールド)が使われるだけでなく、自国通貨を信頼していないため、金(ゴールド)で資産を持ちたいニーズが強くあります。

中国やインドは、それぞれ13億-14億人の人口を抱え、経済発展に伴い数億人単位の富裕層が登場しています。

両国の需要の強さ、法律や税金制度などは、金(ゴールド)の値動きに大きな影響を与えます。数億人単位の人口で金(ゴールド)の売買が行われると、非常にインパクトが大きくなります。

参考|中国人がゴールドを好む理由は派手好きだから?日本とは違う金資産背景

金(ゴールド)の変動要因5.オイルマネーの増大

アメリカとイスラム各国の対立は、中東の不安定感から原油価格の高騰を招きます。

すると、中東ではオイルマネーがだぶつきますが、現在はその資金の投機対象として金(ゴールド)が注目されています。

中東では、過去何度もオイルマネーの増大はありましたが、その際の投資先は宝飾品や米ドルが中心でした。

ところが、アメリカ経済の先行き不安感やアメリカ自体のイスラム諸国との対立が浮き彫りになっている面もあります。

そのため、投機によって利益を求めるよりも、安定した金(ゴールド)による蓄財が進んでいるようです。

金(ゴールド)の変動要因6.鉱山などの金供給

金(ゴールド)は、人工的に作り出せません。そのため鉱山の採掘とリサイクルでの回収が供給の大元になります。

現在の市場には、鉱山からの年間生産量は約3,100トン、リサイクルが約1,100トン、合計で年に約4,200トンの金(ゴールド)が供給されています。

金(ゴールド)の価格が上がれば金産出量も増えるのですが、地表付近にある掘りやすい金(ゴールド)はすでに採掘されてしまったため、少しくらいの価格上昇では生産を上げ難くなっています。

つまり、金需要に対して金供給が不足した需給ギャップが生じることで、金(ゴールド)の価格高騰に拍車をかけています。

参考|金脈を探せ!世界一金の採れる国は中国!金生産量ランキング

金(ゴールド)の変動要因7.世界的なリスクの高まり

世界的に戦争や紛争・経済的リスクがあると、株式や不動産を売却して、安定した金(ゴールド)を購入するため金(ゴールド)の価格は上昇します。これが「有事の金」という考え方です。

金の価値が変動する理由、マネーゴーランド

東西冷戦が終わると、世界は一時期アメリカの一強体勢に変わります。この時代にも、湾岸戦争などの世界的な有事はありましたが、アメリカが圧倒的な軍事力とリーダーシップを持っていたため、金価格に変動はありませんでした。つまり、「有事の金」ではなく「有事のドル」だったわけです。

ところが、2001年のアメリカ同時多発テロによる金融市場の混乱の際に、ドル価格は下落したにもかかわらず金価格が悪影響を受けなかったため、再び金(ゴールド)が注目されるようになりました。つまり、現在の世界情勢においては「有事の金」だということです。

参考|お金持ちが金を資産に選ぶ理由は?ゴールド保有のメリット・デメリット

金はインフレに強いは通用しない

現在の世界の情勢を鑑みるに、20世紀まで言われていた「金はインフレに強い」という定説が通用しなくなったことを知っておきましょう。

以前はセオリーだった価格変動要因の1つですが、現在はインフレで高金利になると、金利を生まない金(ゴールド)は投資先として選ばれにくく、価格が上がり難くなっています。

単純なインフレよりも、株や不動産などの資産と逆の動きをするというのが新たなセオリーです。

これは、金(ゴールド)が21世紀に「通貨の一つとしての役割」を与えられたことが理由です。金(ゴールド)には、装飾品・工業品としての顔、通貨としての顔の二つがあることを知っておきましょう。

また、一時期は強いアメリカを象徴する「有事のドル」から、再び「有事の金」に変わったことも認識しておきましょう。

今後、「有事のドル」が復活するかはわかりませんが、超大国であるアメリカが大国に変わることは間違いないと言われています。

やはり、歴史を長い目で見る限り、金(ゴールド)は資産を守るための最後の駆け込み寺なのかもしれません。

参考|100年で価値3800倍! 資産家がゴールドを持つ理由と歴史の背景

【シリーズ】なぜ金などの「実物資産」が好まれるのか

  1. お金持ちが金を資産に選ぶ理由は?ゴールド保有のメリット・デメリット
  2. 金がインフレに強いのは嘘?市場で金価格が変動する7つの理由
  3. 金の値動きで世界経済が予知できる?お金持ちがゴールドに注目する理由
  4. 金より希少なプラチナに資産価値はある?用途や特徴、価格変動要因は?
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  6. 消費税分丸儲け!日本への金密輸入が急増する理由と方法や罰則
  7. 米ドル依存の世界経済の裏で金を買い集めるロシアと中国の狙いとは

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