年金受給資格期間が短縮!10年加入で何万円もらえる?FPが徹底解説

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今現在、年金を支払っている人は、年金がどのような条件で、いつから受給できるものか知っているでしょうか。その条件によって、これまで年金の受給資格がない無年金高齢者が数十万人もいたことを知っているでしょうか。

平成29年8月1日より、「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律(年金機能強化法)」が開始され、年金受給資格期間が25年から10年に短縮されたこで、年金の受給資格がない無年金高齢者の数が減ることになります。

日本年金機構によると、年金機能強化法によって新しく年金を受給できる人は、基礎(国民)年金で約40万人、厚生年金も含めると約67万人いると見込んでます。

年金機能強化法の施行は、まだ30代、40代の若い世代にはピンと来ないかもしれません。ただ、今般の年金改正をきっかけに、より深く年金を理解し、1人1人が自分の老後を考えることは大切なことです。

そこで今回は、年金受給資格期間が短縮した年金機能強化法の概要、10年の年金制度で加入で何万円もらえるのかを解説したいと思います。

年金受給資格期間短縮の概要

現在随時施行されている年金制度は、平成24年の年金制度改正(社会保障・税一体改革関連)に基いて行われているものです。改正内容は様々ですが、その中でも年金受給資格期間の短縮は注目を集めています。

これまでは、一定の受給年齢に達した高齢者が老齢年金を受け取るためには、保険料納付済期間と国民年金の保険料免除期間などを合算した年金受給資格期間※が原則として25年以上(300ヶ月間以上)必要でした。

年金の受給資格期間とは、「保険料納付済期間」「保険料免除期間」「合算対象期間」を合計した期間を指します。また、保険料納付済期間とは、国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合等の加入期間を含みます。

つまり、極端な話をすると、保険料の納付期間が24年と11か月以下の人は、受給年齢に達していても年金が1円ももらえなかったということです。

その年金受給資格期間が、平成29年8月1日から10年間(120ヶ月間)に短縮されました。

出典|新たに年金を受けとれる方が増えます(受給資格期間25年→10年)|厚生労働省

年金の受給額は保険料の納付期間によって異なりますが、受給期間が25年の人は老齢基礎年金(国民年金)で月々およそ4万円に対し、受給期間が10年の人は月々およそ16000円が目安になります。また、40年間保険料を納付した人は、満額の月々およそ65000円を受けとれます。

年金受給資格期間を10年に短縮する手続き

年金受給資格期間を10年に期間短縮できる対象者の手元には、日本年金機構から黄色い封筒が送られていると思います。

黄色い封筒には、基礎年金番号、氏名、生年月日、性別、住所及び年金加入記録があらかじめ印字された「年金請求書」と「年金の請求手続きのご案内」が封入されています。

出典|新たに年金を受けとれる方が増えます(受給資格期間25年→10年)|厚生労働省

「年金請求書(短縮用)」が届いたら、年金事務所等で手続きしましょう。また、手続きに際して、「ねんきんダイヤル」に連絡をして予約をするようにしましょう。

※すべての加入期間が国民年金第1号被保険者期間の人は、市区町村乗窓口で手続きをしてください。
※資格期間が国民年金のみ、並びに厚生年金保険・共済組合等の期間が12月に満たない人で生年月日が昭和27年8月2日以降の場合は、年金請求書(短縮用)は送付されず、年金請求書(事前送付用)が送付されます。

ねんきんダイヤルとは

日本年金機構では、全国の年金事務所や年金相談センターで、年金の手続きや年金についての相談、年金加入記録の確認などを予約にて実施しています。以下の「ねんきんダイヤル」に連絡をして予約相談を受けましょう。

ナビダイヤル:0570-05-1165
一般電話:03-6700-1165

・月曜日|午前8時30分~午後7時00分
・火-金曜日|午前8時30分~午後5時15分
・第2土曜日|午前9時30分~午後4時00分

※月曜日が祝日の場合は、翌日以降の開所日初日に午後7:00まで相談可
※祝日(第2土曜日を除く)、12月29日〜1月3日は利用不可
※連絡の際は、基礎年金番号のわかる年金手帳、年金証書を要準備

予約相談は、希望日の1ヶ月前から前日まで受け付けています。「ねんきんダイヤル」で連絡をする際は、基礎年金番号のわかる年金手帳や年金証書を準備しましょう。

予約相談のメリット

ねんきんダイヤルで予約相談の日程を決めることで、「自分の都合に合わせた相談ができる」「相談内容にあったスタッフが丁寧に対応してくれる」というメリットがあります。

もちろん、混雑状況次第のため、希望通りの日時にならないことはありますが、当日長時間待つ必要はなくなります。

また、年金加入記録と自身の保険料納付期間を確認することで、年金受給資格期間が伸びる可能性もあります。というのも、持ち主が確認できない未統合記録は、まだ約2000万件も残っており、確認ができれば受給資格期間に追加できるためです。

そのため、年金に関する記憶が曖昧な場合や年金請求書に記載された受給資格期間に誤りがある場合は、すぐに予約相談を受けるようにしましょう。

特に、旧姓で保険料を納めていた場合、生年月日・名前を間違って届出ていた場合は、早めに相談をしたほうが良いでしょう。

年金記録は「ねんきんネット」で、パソコンやスマートフォンからも確認できます。

予約相談の開始時間帯

予約相談が行われる時間帯は以下の通りです。

・月-金曜日|午前8:30〜午後4:00
・土曜日※|午前9:30〜午後3:00
・延長開所日|午前8:30〜午後6:00

※土曜開所日及び延長開所日について、一部の街角の年金相談センター(オフィス含)では予約相談を行なっていません。予約相談可能な街角の年金相談センター(オフィス含)か全国の相談・手続き窓口で確認してください。

年金の受給について

年金受給資格期間の確認も合わせた年金資格の決定後は、年金事務所から年金証書・年金決定通知書が送付され、年金の支給が開始されます。

また、10年間の年金受給資格期間に該当しなくても以下の制度を活用したり、条件に当てはまる場合は、年金を受け取れる可能性があります。

1.60歳以上70歳未満の任意加入制度

60歳以上70歳未満の人であれば、この期間に本人が申し出て国民年金保険料を納めることで、年金受給資格期間を満たすことがあります。ただし、加入起算日は申出あった日からのため注意しましょう。

年齢 条件
60歳以上65歳未満 ・老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
・現在、厚生年金保険に加入していない方
65歳以上70歳未満 ・老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない方
・現在、厚生年金保険に加入していない方

2.国民年金の後納制度

過去5年以内に国民年金保険料の納め忘れがある人は、平成30年9月までに限り国民年金保険料を納めることが可能です。ただし、60歳以上で老齢基礎年金を受け取っている人は申し込めません。

・5年以内に保険料を納め忘れた期間がある方(任意加入中の保険料も該当)
・5年以内に未加入の期間がある方(任意加入の対象期間は該当しない)

3.特定期間該当届・特例追納制度

会社員の夫が退職したとき、妻の年収が増えて夫の被扶養者から外れたときなどは、国民年金の第3号被保険者から第1号被保険者への切り替えが必要です。過去に2年以上切り替えが遅れたことがある人は、切り替えが遅れた期間の年金記録が保険料未納期間になります。

その場合、「特定期間該当届」の手続きをすることで、最大で10年分の保険料を納めることが可能です。納付期間は、後納制度と同じく平成30年3月までなので、早めに確認・手続きをしましょう。

4.海外居住中の場合

海外に居住している人も以下の条件に該当すれば、年金受給資格期間が25年から10年に短縮されます。

1.日本の年金保険料を納付した期間や共済組合に加入していた期間のほか、日本国籍の方が海外に居住していた期間も対象。

2.上記の期間を合計して10年に満たない場合も、日本が「社会保障協定」を締結する国の年金加入期間を持っている人は、通算措置により日本の年金受給権利を得られる可能性があります。

海外からも、年金の請求や年金記録の確認が可能です。海外から年金を請求するときは、日本年金機構ホームページからダウンロードした年金請求書に記入し、必要書類を添えて、日本での最終住所地を管轄する年金事務所に提出してください。

国民年金と厚生年金の受給額計算方法

国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年)の受給額の計算式は以下の通りです。

老齢年金額=老齢基礎年金額※1+ 老齢厚生年金額※2

※1:老齢基礎年金額=780,100円(平成28年度) ×20歳~60歳までの保険料納付済月数/480
※2:老齢厚生年金額=厚生年金加入期間中の平均標準報酬額× (5.481/1000) ×厚生年金加入月数

ただし、加入月が平成15年3月以前の期間の場合「本来水準」は(7.125/1000)を乗算します

また、平成28年度の標準報酬月額は以下の通りです。

平成28年9月分(10月納付分)の厚生年金保険料額表
厚生年金保険料率:平成28年9月分 適用
厚生年金保険 厚生年金基金に加入する一般の被保険者の方
標準報酬 報酬月額 免除保険料率
2.4%
厚生年金保険料率
15.782%
等級 月額 以上 未満 全額 折半額
1 ¥98,000 ¥101,000 ¥15,466.36 ¥7,733.18
2 ¥104,000 101,000 ¥107,000 ¥16,413.28 ¥8,206.64
3 ¥110,000 107,000 ¥114,000 ¥17,360.20 ¥8,680.10
4 ¥118,000 114,000 ¥122,000 ¥18,622.76 ¥9,311.38
5 ¥126,000 122,000 ¥130,000 ¥19,855.32 ¥9,942.66
6 ¥134,000 130,000 ¥138,000 ¥21,147.88 ¥10,573.94
7 ¥,142,000 138,000 ¥146,000 ¥22,410.44 ¥11,205.22
8 ¥150,000 146,000 ¥155,000 ¥23,673.00 ¥11,836.50
9 ¥160,000 155,000 ¥165,000 ¥25,251.20 ¥12,625.60
10 ¥170,000 165,000 ¥175,000 ¥26,829.40 ¥13,414.70
11 ¥180,000 175,000 ¥185,000 ¥28,407.60 ¥14,203.80
12 ¥190,000 185,000 ¥195,000 ¥29,985.80 ¥14,992.90
13 ¥200,000 195,000 ¥210,000 ¥31,564.00 ¥15,782.00
14 ¥220,000 210,000 ¥230,000 ¥34,720.40 ¥17,360.20
15 ¥240,000 230,000 ¥250,000 ¥37,876.80 ¥18,938.40
16 ¥260,000 250,000 ¥270,000 ¥41,033.20 ¥20,516.60
17 ¥280,000 270,000 ¥290,000 ¥44,189.60 ¥22,094.80
18 ¥300,000 290,000 ¥310,000 ¥47,346.00 ¥23,673.00
19 ¥320,000 310,000 ¥330,000 ¥50,502.40 ¥25,251.20
20 ¥340,000 330,000 ¥350,000 ¥53,658.80 ¥26,829.40
21 ¥360,000 350,000 ¥370,000 ¥56,815.20 ¥28,407.60
22 ¥380,000 370,000 ¥395,000 ¥59,971.60 ¥29,985.80
23 ¥410,000 395,000 ¥425,000 ¥64,706.20 ¥32,353.10
24 ¥440,000 425,000 ¥455,000 ¥69,440.80 ¥34,720.40
25 ¥470,000 455,000 ¥485,000 ¥74,175.40 ¥37,087.70
26 ¥500,000 485,000 ¥515,000 ¥78,910.00 ¥39,455.00
27 ¥530,000 515,000 ¥545,000 ¥83,644.60 ¥41,822.30
28 ¥560,000 545,000 ¥575,000 ¥88,379.20 ¥44,189.60
29 ¥590,000 575,000 ¥605,000 ¥93,113.80 ¥46,556.90
30 ¥620,000 605,000 ¥97,848.40 ¥48,924.20

ちなみに、とても簡単に言うと、国民年金を納めている人は老齢基礎年金のみを受給でき、厚生年金を納めている人は老齢基礎年金+老齢厚生年金(厚生年金の上乗せ部分)を受給できます。

つまり、社会保険加入者は国民年金+アルファ分の保険料を納付していると考えます。

では、この年金受給額の計算方法を基にして、年金の加入期間が10年・25年・40年と違う場合に、受け取れる年金額がどのくらい変わるか計算してみましょう。

厚生年金加入期間10年・25年・40年の年金受給額計算例

年収500万円の会社員が、20歳以降に厚生年金(社会保険)に加入し、10年・25年・40年という加入期間の違いがあった場合、65歳から受給できる概算年金額はいくらになるでしょうか。

年収500万円は、12か月で割ると約41.6万円です。上記の標準報酬月額表で見ると、410,000円になります。

※老齢基礎年金は平成28年度の満額780,100円とします。
※別途条件によって加給年金が加算されますが、今回は計算から除外します。
※本計算例は、加入期間が25年・40年の場合も平成15年4月以降加入の本来水準「5.481/1000」で計算します。また、従前額改定率は掛けていません。
※もちろん、年収は年齢によって変わるため、計算例はあくまでも目安です。

計算例1.年収500万円・加入期間が10年の場合

老齢基礎年金額=780,100円×10年×12か月÷480=195,025円
老齢厚生年金額=410,000円×(5.481/1000)×10年×12か月=269,665円

厚生年金加入期間10年で受け取れる年金額は、年間464,690円となり、月々38,724円になります。

計算例2.年収500万円・加入期間が25年の場合

老齢基礎年金額=780,100円×25年×12か月÷480=487,563円
老齢厚生年金額=410,000円×(5.481/1000)×25年×12か月=674,163円

厚生年金加入期間25年で受け取れる年金額は、年間1,161,726円となり、月々96,811円になります。

計算例3.年収500万円・加入期間が40年の場合

老齢基礎年金額=780,100円×40年×12か月÷480=780,100円
老齢厚生年金額=410,000円×(5.481/1000)×40年×12か月=1,078,661円

厚生年金加入期間40年で受け取れる年金額は、年間1,858,761円となり、月々154,897円になります。

計算例4.年収400万円・加入期間10年・25年・40年の場合

ざっくりとした計算方法は理解できたと思うので、年収400万円、加入期間10年・25年・40年の場合も計算してみましょう。年収400万円の報酬月額は34万円です。

加入期間10年の老齢基礎年金額は195,025円、老齢厚生年金額を計算すると223,625円になり、合計年間418,650円、月々34,888円受給できます。

加入期間25年の老齢基礎年金額は487,563円、老齢厚生年金額を計算すると559,062円になり、合計年間1,046,625円、月々87,219円受給できます。

加入期間40年の老齢基礎年金額は780,100円、老齢厚生年金額を計算すると894,499円になり、合計年間1,674,599円、月々138,550円受給できます。

10年間の老齢基礎年金でも侮れない

こうして、厚生年金を合わせた年金受給額を見ると、もらえる年金が決して少なくないことがわかりますね。さらに、厚生年金の場合、被保険者期間が20年以上ある受給者の条件に応じた加給年金などが加わります。

ところが、国民年金のみの加入者で老齢基礎年金だけを見ると、受給資格期間が短縮されたところで、「どうせ、10年納付で年間195,000円、月々たった1万6000円にしかならないし……。」という声も想像できます

しかし、住宅ローンなどの負担が大きく、老後になって生活苦に陥る「老後破綻」という言葉も多く使われる昨今、定年退職後に優雅な暮らしをしている高齢者は意外と限られているのかもしれません。

参考|住宅ローンで老後破綻?将来の家計と最適な返済期間の考え方

65歳以上になって、独自に新しく毎月1万6000円の収入を得ることは、難しいことです。生きている限り、何歳になってももらえるお金があることは、どれほど安心できることでしょう。

年金制度に批判的な人もいますが、わたしは自分の老後を助けてくれる公的年金を得るために年金制度に加入し、保険料を払うことは、義務ではなく貴重な権利だと捉えた方が良いと思います。

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2コメント

  1. 禅@peace

    確かに、前提条件がこの場合の試算はそうなりますね。全ての人に当てはめるのは当然無理がありますが、一般的な試算としては良く出来ていると思います。個人的な計算が必要な方はFPに頼むか、資金的に無理な方は自力で計算するしかありません。

    将来的に年金制度が今のまま続くかどうかはわかりませんが、続くというベストシナリオを考慮した場合とその場合の支給額を上限として老後に備えるという資産形成が鍵になると思います。

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