未納・無申告で逃げ切れる?所得税・相続税・贈与税など税金の時効

税理士が解説「税金に時効はあるか」嘘と真実

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「も、もうすぐ時効だ。あと10日逃げ切れば……無罪……。」ドラマのワンシーンで犯人のセリフに”時効”という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。

時効とは、ある事柄に対して一定の時間が経った際に、法律などで決められている効力・権利が消滅、または取得できるようになることを言います。

たとえば、犯罪や債務には効力が消滅する消滅時効がありますし、財産の占有などは権利を取得できる取得時効があります。

さて、日本国民の三大義務のひとつに、納税の義務があります。もしかして、税金にも時効という概念は存在するのでしょうか?

「税金に時効があったら、ぜ、税金を納めなくても……。」結論から言うと、税金にも時効はあります。では、果たして、税金未納、無申告で逃げ切ることはできるのでしょうか。

今回は、所得税・相続税・贈与税など各種税金の時効と納税の義務は時効で逃げ切れるのかについてお話します。

税金の時効成立までの期間

国税(所得税、法人税、消費税、相続税、贈与税など)の時効までの期間には、3年、5年、6年、7年の段階とそれぞれの条件があります。

時効の期間が3年

所得税などを期限内申告をしていた場合、税金の消滅時効は3年になります。

例えば、平成27年分の所得税の確定申告の場合、申告期限が平成28年3月15日になるため、それまでに申告書を提出していれば、時効成立はその翌日から3年後の平成30年3月15日となります。

時効の期間が5年

所得税などを期限内申告をしていない場合、税金の消滅時効は5年になります。上記の例でいうと、時効成立は平成32年3月15日になります。

時効の期間が6年

贈与税の消滅時効は6年です。ただし、無意識に贈与をすることはないため、多くは故意に贈与をしたと判断されます。

贈与税の申告期限も所得税と同じですので、上記の例ですと平成33年3月15日となります。

時効の期間が7年

上記3年、5年、6年と時効成立期間をお話しましたが、それぞれ故意に申告をしなかった、納税しなかったという意志があった場合は、税金の時効は一律7年になります。

7年経過前の時効の中断と時効の停止

税金の消滅時効の最長期間が7年ということは、7年経過すれば仮に脱税をしても逃げ切れそうな気もしますが、実際はそれほど甘くありません。時効にあ、中断と停止という処置があります。

1.時効の中断

未納税金を支払わずに、最長で7年が経過した場合に時効が成立しますが、その期間に税務署から催告状が届いており6か月以内に差押えがあった場合、督促状が送付された場合、一部納税をした場合は時効が中断されます。

時効が中断されると、カウントされていた時効の期間が一旦リセットされ、また1から時効の期間がスタートします。そのため、通常は時効成立とはなりません

2.時効の停止

本税を払っても延滞税がある場合は時効が停止されます。そのため、何年経過しても時効はありませんし、本人が死んでも相続対象となり相続人に引き継がれます

相続や不動産購入が税務調査のきっかけ

所得税とは違い、贈与税は税務署が把握しにくい税金です。ところが贈与税は、「相続の発生」や「不動産の購入」によって、比較的高い確率で税務調査が行われるきっかけになります。

1.相続から税務調査

たとえば、10年前に夫から妻(相続人)に1000万円の資金移動があったとします。10年前に贈与されたお金のため、妻は自分のお金だと主張するかもしれません。また、贈与と認めたとしても時効が成立していると主張するかもしれません。

ところが、この場合税務調査では、贈与税の時効成立後に発覚したお金であっても、亡くなった夫の資産(名義預金)と判断され、相続税の課税対象になります。

つまり、贈与税の時効は、妻が贈与契約書の有無や家計の状況などから合理的に贈与の証拠を説明できない限り、認められる可能性は低いでしょう。

2.不動産購入から税務調査

高額な不動産において、住宅ローンなどを利用せずに購入した場合は、資金の出所についての税務署から調査が入ります。

例えば、5000万円の資金が口座から移動していなければ、どうやって自己資金を用意したのか、自己資金以外の場合はどこから調達したかが争点となります。

このように不明確になりがちな贈与税は、意外なところから発覚します。税務署が分からないとタカをくくって申告しなければ、結果的に相続税の課税対象になり、必要以上の加算税や延滞税まで納めなければいけなくなります。

税金未納の時効成立は期待しない

以上のように、税金から逃れるためにいくつものハードルがあるため、時効成立に淡い期待を抱くのはやめた方が良いでしょう。

未納税額に対しては以前お話した通り、本税の他にペナルティとして過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税と延滞税(利子税)が追加される場合があります。

参考|税金未納や申告漏れの罰則は?加算税・延滞税・利子税が怖い理由

また、税金の消滅時効を期待して、税金を払わずに逃げ切ろうという意図的な行為は脱税となり犯罪です。この場合、単純なペナルティ以外に、禁固刑や罰金刑などを課される可能性もあります。

人間であれば、「税金を払わなくて良いなら……。」という出来心はあるかもしれません。ところが、贈与などは、住宅取得等資金や教育資金などの特例があるので、正しい知識で制度利用すれば、結果的に納税額が安くすむことも多いのです。

税金の未納は様々な意味で割に合いません。それでも、あなたは税金から逃げ切れると思いますか?

未納の税金があるか不安な方は、税理士に相談することをお勧めします。後から指摘されると追徴課税になってしまうかも。
参考|税理士ドットコムでまずは税理士コーディネーターに相談してみる?

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