空き家法で実家が課税対象に!対策しないと固定資産税・相続税が6倍に!?

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総務省統計局が公表した平成25年住宅・土地統計調査によると、全国の空家数は820万戸、住宅総数の13.5%にあたり、過去最高を記録しました。7戸に1戸は空き家ということです。特に賃貸・売却用や別荘などを除いた住居の空き家は、過去20年間で約2倍に増加しています。

空き家数及び空き家率の推移-全国(昭和38年~平成25年)
空き家数及び空き家率の推移-全国(昭和38年~平成25年)

イギリスの空き家率は3~4%、ドイツの空き家率は1%前後、国土の広いアメリカでさえ8~10%であるのを考慮すれば、日本の空き家率が高いのがわかります。
参考|空き家率の将来展望と空家対策特措法の効果 ~20年後の全国、東京都の空き家率~ : 富士通総研

空き家の問題点

放置された空き家は、建物の老朽化やメンテナンスされてないことによる倒壊などの災害、火災発生の恐れを始めとして、様々な問題の温床となります。

  • 防災性の低下
  • 防犯性の低下
  • ごみの不法投棄
  • 衛生の悪化、悪臭の発生
  • 風景、景観の悪化

空き家対策

こうした状況下で、平成27年5月「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。法律により、空き家の所有者の責任において対応を求めるとともに、所有者が対応しないもの等に関して、最終的には行政代執行という形で解体・撤去ができるようになりました。(行政代執行の場合でも費用は所有者負担です)

行政代執行は最終手段ですが、所有者の対応実施を促進させるために、危険な「特定空家等」とみなされると、固定資産税がこれまでの3〜6倍課税されることになっています。そのあたりを詳しく見ていきましょう。

「空き家等対策の推進に関する特別措置法」とは?

空き家の区分

「空き家等対策の推進に関する特別措置法(以下、空き家法)」では単なる「空き家等」と「特定空き家等」を区別し、「特定空き家等」については様々な措置がとられることになります。

「特定空き家等」の定義は以下のとおりです。

  1. そのまま放置すれば、倒壊等、著しく保安上危険となるおそれのある状態
  2. そのまま放置すれば、著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  3. 適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている状態
  4. その他周辺の生活環境の保全を図るために、放置することが不適切である状態

「特定空き家等」に指定されると税金が3~6倍に

保有している空き家が「特定空き家等」に指定されると、行政から修繕・撤去の

  1. 助言・指導
  2. 勧告
  3. 命令

を経て、命令に従わなかった場合には、行政が強制的に解体・撤去を行います。そして、撤去等にかかった費用はすべて所有者が負担することになります。

「そんなの脅しでしょ?」と思われるかもしれませんが、平成27、28年と代執行の実績があります。

平成27年度 平成28年度
助言・指導 2,890 3,515
勧告 57 210
命令 4 19
代執行 1 10
略式代執行 8 27
特定空家等に対する措置の実績
略式代執行:所有者不明のまま公示ののち行われた代執行のこと
出典|空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等についてから抜粋

さらに「特定空き家等」に指定された場合、税金面でも大きな負担となります。実は、そもそも空き家のまま放置されてしまう原因のひとつとして、固定資産税等が優遇されているという問題がありました。

住宅用地の場合、住宅が建っている場合は最大で固定資産税が6分の1、都市計画税が3分の1に軽減される『住宅用地の特例』という制度があります。今まではどのような建物であろうとも、住宅が建っているだけで更地よりも税制優遇されていたため、住宅を撤去して更地にするという行為にはつながりませんでした。

しかし、今後は「特定空き家等」に指定された場合は、この軽減措置は受けられなくなります。税金は更地同様に引き上げられ、しかも撤去または修繕というなんらかの対応をせまられることになります。

他人事ではない空き家問題

空き家問題は他人事ではありません。親が自宅を所有し、将来そこに誰も住む予定がないのなら、それはいずれ空き家になります。

「空き家法」の施行により、空き家の放置はもう許されない時代になりました。実家などの相続が見込まれる場合には、今後それをどうするのか早めの検討が重要となります。

マネーゴーランドの空き家調査

『マネーゴーランド』が独自で行った相続に関する調査でも「両親の実家が空き家である」と答えた人はおよそ5%と、決して少なくないことがわかりました。さらにその空き家をどうする予定か聞いたところ、47.2%が「まだ決まっていない」と回答しており、多くの方が空き家のまま放置している実態が明らかとなりました。

Q:現在、ご両親の実家は空き家ですか?

相続に関する実態、マネーゴーランド意識調査

相続税から見た空き家対策

例えば、一軒の空き家を持っているとします。これを評価するとき、割引はありません。空き家だからです。そこで頑張って、「荷物が置いてある」「手を入れないと貸せない」といったもろもろの事情をクリア。人に貸すことにします。

そうすると一定の条件のもと、空き家は「貸家」となって、割引の対象です。土地も「貸家建付地」として、割引を受けられるようになります。空き家のままにしておいたら自分で自由に使うこともできるけれど、人に貸すとそうはいきません。その不自由さが考慮されるというワケです。

さて、どの程度の割引を受けられるかを見てみましょう。建物は、「貸家」という評価になることで、30%引きになります。土地は、「貸家建付地」という評価になると、エリアによって違いがあるものの、おおよそ20%引きの評価といったところでしょうか。これで計算上、相続財産を圧縮することに成功します。

加えて、土地200平方メートルを限度に、更に50%の割引を受けられるかもしれません。一定の条件をみたすことで、貸付事業用として小規模宅地等の特例の適用の可能性もあるからです。

実家などの相続時は早めの対応を

空き家になる原因のうち、最も多いのは相続です。実家などを相続する可能性があり、将来そこに誰も住まないのならば、売却、賃貸、更地化などの方向性を早めに決めることが重要です。

とはいっても、実家には思い出がたくさんつまっているため、とりあえず保有する、という場合も多いでしょう。しかし、何もせずに放置したままだと、建物は急速に劣化していきます。地理的に遠いなど、自分で物件の管理が難しい場合は、定期的に物件を見に入ってくれる管理代行というサービスを利用するという方法もあります。空き家といえども、今後はきちんと管理するということが必要となるでしょう。

上記集計は2016年8月にマネーゴーランド編集部が行ったインターネットによるアンケートの集計結果です。(対象:全国の男女、回答数1,500名)

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