話題のヘリコプターマネーとその影響は?【上村和弘のFX基本講座】

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この連載を読んでいけば、FXの経験が無い方もFXビギナーの方も一定のFXトレーダーになれる! 知っておくと便利な事やFX知識として重要な事、そしてお得な情報までを解説するシリーズ【上村和弘のFX基本講座】。

最近、流行の言葉「ヘリコプターマネー」。これ、長い目で見ると、FXにはもちろん、一般の方にもとても重要なことです。お金をヘリコプターから、ばらまくと、拾った人達がお金を使って景気が良くなり物価が上がるというのがヘリコプターマネーの基本。今回は、少しフォーカスして見たいと思います。

最近話題のヘリコプターマネーとは、上村和弘のFX基本講座、マネーゴーランド

ヘリコプターマネーの目的は、景気を良くしてデフレを退治すること。

ばらまく方法は、地域振興券、給付金と何でもよくて、国民に現金をただで配ることが目的です。広い意味では、政府が増税などで回収せずに人々にお金を配る政策全般。

国民は、そのお金で、物を買ったりサービスを受けたりするでしょうから、消費が活発になり、経済が良くなります。収入が増えたために、物を買いたい・お金を使いたいという欲求が高まり、物不足になって物価も上昇します。

ヘリコプターマネー、私達にとって良いことばかりだと思ってしまいます。この政策を実施すれば、日銀と政府が目標にしている「インフレ率2%の目標やGDP増加計画」が達成されそうです。

孫正義さんや林修先生の言葉を借りれば、「やりましょう」「今でしょ」的な政策です。でも、ちょっとお待ちください。ヘリコプターマネーに問題はないのでしょうか。

ヘリコプターマネーの問題点

いかに、政府といえども、一般の家計と同じで、収入がなければお金を使うことはできません。政府の収入は国民の納める税金です。しかし、税金だけでは、お金が足りないので、借金をしています。それが国債です。

今の日本は、国債金利が非常に低く、満期が10年物以下の国債はマイナス金利。つまり、政府は国債を発行すると金利を支払うのではなく受け取ることができるということです。

さらに、日銀が国債のほとんどを買い取る質的・量的緩和を行っているため、販売した国債が売れ残る心配もありません。ということは、ヘリコプターマネーを実施する形が整いつつあるということ。

では、ヘリコプターマネーを実施すれば、万々歳かというとそんなことはありません。FXを取引していれば、この話のヤバさが分かってきます。

リスクシナリオ:国債が暴落してハイパーインフレに?

政府が国債をどんどん発行して、日銀がそれを引き受ければ歯止めが効かなくなります。そして、世界にあるお金は日本円だけではありませんから、たくさん刷られた日本円と国債は、いつかその価値を失い始めます。

そして、日銀が国債を買うのを止めた時に、買い手のいなくなった国債は暴落し、金利は急上昇するシナリオが考えられます。こうなると、政府債務の支払い額もどんどん増え、日本円の価値が薄れるハイパーインフレの到来です。米ドルやユーロに対して、300円といったレベルまで円安が進行する可能性があります。

ヘリコプターマネーを実施して、デフレを退治し景気を良くしながら、副作用として生じやすいハイパーインフレや過度な円安にすることなく、為替相場を安定させるのを日銀に求めても・・・難しい。

政府は、国民の人気を集めるために、景気を良くしたいと考え、お金を発行したがる性質を持っています。そのリスクを避けるために、中央銀行が政府から独立(*)して、自国通貨を守るという形にしました。ただ、日銀も人の子、政府の圧力には耐えきれず、アベノミクスによる日銀の国債買い入れは、実質上、日銀の独立性を失った状態と言えるでしょう。

もし、ヘリコプターマネーを実施するとなれば、期間を短くしたり、配るお金を少額にしたりと「何かの制限を利かせて実行」することになります。もし、そこで効果が出れば、何も問題ありません。しかし、劇的な効果がないまま、いつのまにかズルズルとヘリコプターマネーを続ければいつか破たんは訪れてしまいます。これがヘリコプターマネーのリスクシナリオ。様々な角度から検証する必要も有りそうです。

次回も【上村和弘のFX基本講座】、宜しくお願い致します。

<*ワンポイントレッスン>
本日のワード:中央銀行の独立性
政府は、景気を良くして国民の支持を得たいことから、お金の供給を増やす政策を取る傾向を持ちます。その副作用として、インフレになりやすく、一時的な好景気のために、将来の経済安定が犠牲になりがち。これを防ぐために、お金の需給・金利をコントロールするのは、政府から独立した中央銀行が行います。中立的に実施される方針が、歴史的な知恵として取られています。

【上村和弘のFX基本講座】
全バックナンバーはこちらから
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