為替変動リスクとは?投資信託の為替ヘッジあり・なしのメリットデメリット

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もしあなたが、「分散投資」の考え方を重視していれば、資産運用の手段の1つに投資信託を選ぶでしょう。

さらに、分散投資で投資信託の商品を選択するなら「どこの何にどう投資したいか」を考え、日本国内だけでなく外国の株式や債券なども含めた「国際分散投資」を検討するはずです。

参考|初めての投資信託商品の3つの選び方!どこの何にどう投資したいか

さて、投資信託をする際に、「投資信託には為替変動リスクがあります」という説明を見たことはないでしょうか。

投資信託の値段(基準価額)は円で表示されているのに、なぜ為替が関係するか疑問を感じた人もいるはずです。

今回は、投資信託における為替変動のリスク、また、投資信託の為替ヘッジあり・なしの違いについてお話します。

為替と為替変動とは

為替とは、一般的に「外国為替(がいこくかわせ)」のことで、円と米ドル、円とユーロ、米ドルとユーロなど異なる通貨を交換する行為を言います。また、異なる通貨を交換する際の価格を「為替レート」と言います。

たとえば、わたしが1100円持っている場合、為替レートが1ドル100円なら100円で1ドルを購入できるため、全部で11ドルに交換できます。ところが、為替レートが1ドル110円になると110円で1ドルを購入できるため、10ドルしか手に入れられません(手数料は考慮していない)。

つまり、1ドルに対して円が安いほど、たくさんのドルを手に入れられるということです。

このようにある国の通貨の価値が他の国に対して、価値が上下することを「為替変動(かわせへんどう)」と言います。

この為替変動は、その国における金利や物価上昇率、雇用状況、消費動向、企業活動、株価などの景気指標を要因として日々起こっています。

為替変動と投資信託の関係

投資信託を運用対象の国や地域で分類すると、日本国内、海外すべて、海外の特定の地域(北米、アジア、欧州など)など様々です。

為替変動の影響を直接的に受けるのは、海外で運用する投資信託です。投資信託に「グローバル」や「国際」などの名前が冠して入れば、このタイプだと考えて良いでしょう。

具体的には、外国で発行されたり、外国の証券取引所で売買される株式や証券、外国の不動産や金融商品などです。

これらは、米ドルやユーロなど外国の通貨で発行され、取引値段も外国通貨で表示されます。

そのため、株価や証券価格が変動するうえ、日本円とその国の通貨の為替が変動します(まれに日本円で発行される外国の株式や債券などもありますが極めて少数です)。

このように実際の投資商品以外の為替変動によって、資産価値が上下することを「為替変動リスク」と言います。為替変動リスクには、直接的な影響を受ける場合、間接的な影響を受ける場合があります。

為替変動リスクの影響

では、為替が変動すると、投資信託の資産にどのような影響があるのでしょうか?

直接的な影響

1株が100米ドルの外国株式の場合「1米ドル=110円」で、1株の価値を円表示に換算すると「100米ドル×110円=1万1千円」です。その外国株式を100株持っていると「1万1千円×100株=110万円」になります。

もし株価の変動がなかったとしても、為替が「1米ドル=105円」になれば、外国株式の資産は5万円目減りしてしまいます。

100米ドル×105円=1万500円
1万500円×100株=105万円

反対に、為替が「1米ドル=115円」になれば、外国株式の資産は5万円増えることになります。

100米ドル×115円=1万1,500円
1万1,500円×100株=115万円

間接的な影響

円表示の日本の株価や債券などは、1米ドルが何円でも円貨価値は変わりません。……と思いがちですが、為替変動リスクが潜む場合もあります。

株価は、その企業の業績を反映した価値ですが、業績の良し悪しを決める外的要因の一つとして、為替変動が挙げられることがあります。

たとえば、アメリカに対する輸出が主業務の日本企業は、1米ドルが100円よりも200円の方が売上が2倍になります(もちろん極端な例です)。

ところが、1米ドル価格が100円以下になり、今後の為替相場も円高に推移傾向があるならば、その輸出企業の業績に影響を与えて株価も下がってしまうでしょう。

同じように、他国に対する為替変動の影響を受けて運用対象の株価が下落すれば投資信託の値段も下がるため、間接的な為替変動リスクがあると言えます。

このように、投資信託は為替変動で運用対象の資産価値が変わるため、為替変動リスクがあるのです。

為替ヘッジあり・為替ヘッジなしとは

「為替変動リスクを考えると、怖くて国際分散投資できない……。」という人が選ぶ運用手法が「為替ヘッジ」です。

為替ヘッジとは、為替変動リスクを避けることです。「ヘッジ」は「避ける」という意味ですね。

例えば、投資家が日本円を米ドルに交換し、米ドルで金融資産を持っているとします。為替相場が円高米ドル安になると、円に対して米ドルの価値が下がったことを意味し、米ドル建ての資産価値は目減りします。

これを避けるため、米ドルでの金融資産を買う時に、同時に「米ドルを売って円を買う予約」をするのが為替ヘッジの取引です。

金融資産の目減りと「米ドルを売って円を買う」取引をセットにすることで、為替変動リスクを抑える効果が働きます。これを資産運用の中で行う投資信託が「為替ヘッジあり」の投資信託です。

そして、為替ヘッジを行わずに、為替変動の影響をまともに受ける投資信託が「為替ヘッジなし」になります。

為替ヘッジのデメリット

ただし、為替ヘッジにはコストがかかります。

先の例では、日本とアメリカの短期金利の差に相当するコストですが、日本の金利が低く、相手通貨国の金利が高ければ、その分だけ為替ヘッジのコストは高くなります。

そして、コストが高くなるほど運用成績を押し下げることになり、全体の資産に影響を与えます。

そのため、「為替ヘッジあり」の投資信託は、「為替ヘッジなし」の投資信託に比べて、為替ヘッジコストの分だけ基準価額が低くなります。

もう1つ注意点としては、為替ヘッジは為替変動リスクをなくすことで、安定した投資を行うための運用手法だということです。

つまり、為替で損益が出ない代わりに、利益が生じる場面でも為替変動の影響を受けないため、為替による利益が得られません。

デメリットを解消するだけでなくメリットもなくしてしまう運用手法だということを覚えておきましょう。

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