アベノミクスの成果は?「景気動向指数」から見えてくる真実

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桜の開花から1週間。ようやく日差しも暖かくなり、つぼみの膨らみが大きくなっています。

春はフレッシュマンの季節。桜吹雪の中を新しいスーツで闊歩す姿をあちこちで見かけます。ここ数年の新社会人の就職内定率はアップしています。最新の厚生労働省の発表では、2015年度3月は87.1%となり、昨年と比較して1.1%改善されました。これは、景気が回復した結果と言えるのでしょうか?
庶民感覚では、まったく景気がよくなったという実感はありませんが、一部上場企業の雇用状況が上向きになり、株価が上がっているという動きがあるのは事実です。

今回は、元日銀マンの小松英二氏の記事より、景気を見る代表的な経済指標である「景気動向指数」について紹介します。

曖昧な景気を総合的にまとめる指標
株価などが動く背景には、景気(経済活動の状況)の動向(上向きか、下向きか)があります。一般的に景気が上向きだと株価や金利が上昇しますし、景気が下向きだと株価や金利は下がります。そのため、景気の動向をある程度つかめれば、投資判断にも活かせます。

景気をつかむ経済指標には、生産、消費、雇用関係などさまざまな種類があります。馴れていないと、どの経済指標が重要か分かりません。また、複数の指標が常に同じ方向を向くとは限りません。上を向く数値あり、下を向く数値あり、上昇数、下降数のカウントも容易ではなく、全体の動向はとてもつかみづらいのが実情です。このように曖昧模糊(あいまい・もこ)とした景気を総合的に捉える“おまとめ指標”が景気動向指数。内閣府が景気に敏感な経済指標を集約・合成して毎月発表しています。

投資に役立つのは先行系列
具体的には28種類の経済指標が選ばれています。そしてポイントは3系列に分けていること。景気の動きを先取りして動く指標を先行系列(機械受注、新設住宅着工床面積など11指標)、景気と歩調を合わせて動く指標を一致系列(鉱工業生産指数、大口電力使用量など11指標)、景気が変化した後、しばらくしてから動く指標を遅行系列(家計消費支出、完全失業率など6指標)。それぞれの系列内における指標の動きを合成して一本の数字にまとめています。

3系列の中でも、投資判断に役立つのは先行系列です。3カ月から6カ月先の景気の動きを示唆するといわれていますので、景気の先行きを見るためには有力な材料です。

先行系列の1つ「新設住宅着工床面積」をピックアップしましょう。この床面積が増えるということは、住宅を建て始めた人が増えていることを示します。そうすると、まず建築資材(材木、コンクリート、ガラス、タイルなど)の調達が必要ですので、これらの売上高が増えることが予想されます。また、住宅が完成すると、家具や大型家電(冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)の売上も増えるでしょう。景気が良くなっていく道筋が想像できます。
アベノミクスが始まり上昇基調にあった先行系列は、2014年3月を境に横ばい、ないし若干の低下基調にあります。消費増税の影響が想定外に大きかったとの政府の説明です。

さて。2016年3月発表の最新の景気動向指数は、昨年8月より下降傾向が続いています。昨年12月にアベノミクス開始後の最低を記録し、2016年1月ではやや上向きになりましたが、以前として低下基調です。基調判断としては、「足踏みをしている」となっていますが、果たしてそうでしょうか?マイナス金利にインフレ傾向で物価が上がると財布の紐はますます引き締められていき、景気がよくなる要素が見出せません。

今後も「景気動向指数」をしっかり見守って、自ら判断することが必要です。

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