テロなどの悪いニュースが伝わるとなぜ円高となるの?

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悪いニュースが世界中を駆け巡ると、不安心理の高まりにより金融マーケットも揺れますが、為替相場は円高方向に振れる傾向があります。世界的に不安が広がるとなぜ円高となるのでしょうか。今回は日本円が抱える事情を解説しましょう。

不安に駆られた投資家のリスク回避行動(市場心理)は、リスクオフ(risk off)と呼ばれます(因みに逆の動きはリスクオン<risk on>)。現われる傾向としては、投資マネーが株やハイイールド債(信用格付けの低い債券)、商品(コモディティー)などから、信用度の高い債券(先進国の国債など)や預金などに流れます。通貨においても、新興国、資源国などの高金利通貨(ブラジルレアル、トルコリラ、南アフリカランドなど)を売って、先進国の安全と見られている通貨(日本円、ユーロ、スイスフランなど概して低金利な通貨)が買われます。

株などの動きと通貨の動きは、別ものではなく絡んでいます。ちょっと分かりにくいので具体例で見ていきましょう。例えば、ブラジルの株、債券などに投資する投資信託を投資家が売却して、ひとまず日本国内の銀行預金に資金を置くケース。この場合、株が含まれたハイリスクな金融商品から、預金といった安全な金融商品に投資マネーが動くとともに、ブラジルレア売り・円買いといった為替取引もその裏で起きています。

ここまでの説明で浮かび上がってきたのは、世界的に不安心理が広がるとリスクを避けるために外貨投資を手仕舞い、円を買い戻す動きが出やすい(円高要因)ということです。

リスクオフにおいて日本円が買われる背景にはある事情があります。それは、日本が世界最大の純債権国(367兆円<2014年末>:24年連続で世界最大)であることです(二番手中国が214兆円、三番手ドイツは155兆円)。巨額の対外純資産は、日本企業・家計や日本政府が海外に持つ資産から、海外勢が日本国内に持つ資産の額を引いた額になりますので、日本は世界一お金を持っている国に他なりません。その世界最大の純債権国である日本の投資家や企業が、世界的に不安心理が広がると、リスクを避けるために海外に投資している資産を国内に戻すことは自然な流れとなります。

このような経済構造ですので、世界的に何かしら悪い事が起きると海外から日本への投資マネーの流れが太くなり、その逆、つまり日本から海外への投資マネーの流れが細くなり、円高方向に振れやすくなります。

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