地政学リスクの高まりと金融マーケットの関係

5

読了目安[ 3 分 ]

世界的にテロが多発しています。昨年11月にフランスのパリで起きた同時多発テロは衝撃的なニュースとして伝わりました。

パリ市街と郊外の商業施設において、過激派組織「イスラム国(IS)」の戦闘員と見られるテロリスト・グループによる銃撃や爆発が、死者130名以上、負傷者300名以上を生みました。
そのほか10月には、ロシアの旅客機が墜落し、イスラム国が犯行声明を出しています。また11月には中東のレバノンの首都ベイルートにおいて、イスラム国のメンバーによる自爆テロが発生し、40人以上が死亡しました。
こうしたテロや戦争の脅威は、金融マーケットの関係者から「地政学リスク」と呼ばれ、2016年にはさらに広がるとの見方が少なくありません。今回は、地政学リスクと金融マーケットの関係を見ていきましょう。

結論から入りますが、地政学リスクが高まりますと、金融マーケットでは投資家の投資意欲が弱くなり、安全志向になります。このように市場心理が冷え込む現象は「リスクオフ(Risk off)」と呼ばれます。投資家がリスク資産である株の保有を減らすと株価が下がりますが、われ先にと売ることから、下落が加速する可能性があります。因みに、積極的な投資行動が広がることを「リスクオン(Risk on)」といいますので、“オンとオフ”をワンセットで押さえておきましょう。

地政学リスクが現われたとします。例えば、世界中に衝撃を与えるような大規模なテロが生じたとしましょう。投資家の行動は単純ではありませんが、概して「リスクオフ」につながりやすくなります。具体的には、外国株や外国債券などのハイリスク・ハイリターンな金融商品、特に新興国を投資対象とするリスク資産(株、投資信託など)の保有割合を減らすものと思われます。テロの衝撃が強ければ強いほど保有割合を減らすでしょう。そして、それらリスク資産の売却代金の行き先は、一般的に国内金融機関の預金や日本国債といった安全な金融商品に向かいます。

このようにマネーの流れが、新興国から日本・米国・欧州などの先進国へと向かいますので、通貨の視点では「新興国通貨安・先進国通貨高」が進みやすくなります。取り分け日本円は、スイスフランとともに「安全通貨」の代名詞と見られていますので、地政学リスクの高まりで円高が進みやすくなります。ピンとこないかもしれませんが、実は結びつきが強いのです。覚えておくとよいでしょう。

同じカテゴリの記事 この著者の記事を表示

コメントを残す

  • コメント欄には個人情報を入力しないようにしてください。

  • 入力いただいたメールアドレスは公開されませんがサーバーに保存されます。
  • 入力いただいた情報の他に、IPアドレスを取得させていただきます。取得した IPアドレス はスパム・荒らしコメント対処ために利用され、公開することはありません。