日本の健康保険制度は優秀!海外で医療費を払っても7割戻る条件とは

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観光庁によると、海外旅行をする日本人は年間およそ150-170万人で推移しています。昔に比べて、海外旅行は本当に気軽な行為になりました。そのため、「ちょっと3泊出かけてくる。」と海外に行く人も増えましたが、気軽になった分、健康面で万全の状態で海外に行く人は減っているのかもしれません。

海外で病気にかかって医療機関で治療を受けた場合、国によっては多額のお金がかかることはよく知られています。例えば、アメリカには日本のような皆保険制度はありません。そのため、民間保険会社に多額の保険料を支払うことで、万が一の自己負担額を減らす(自己負担1-3割ほど)のですが、それでもそもそもの医療費が尋常ではなく高いのです。

一般の初診料は150ドルから300ドル、専門医を受診すると200ドルから500ドル、入院した場合は室料だけで1日数千ドルの請求を受けます。例えば、急性虫垂炎で入院し手術後腹膜炎を併発したケース(8日入院)は7万ドル、上腕骨骨折で入院手術(1日入院)は1万5千ドル、貧血による入院(2日入院、保存療法施行)で2万ドル、自然気胸のドレナージ処置(6日入院、手術無し)で8万ドルの請求が実際にされています。

引用|世界の医療事情 アメリカ合衆国(ニューヨーク) | 外務省

たった1日の手術で100万円、200万円は当たり前、アメリカでは自己破産の理由の6割が「医療費を支払えないこと」です。日本とは大きな違いがあります。

参考|自己破産件数の推移は?破産する理由とメリット・デメリット

では、私達が海外で治療を受けた場合、高額な医療費に対してどう対処すれば良いのでしょうか。

今回は、海外での治療費にも使える日本の医療保険制度と海外旅行保険の必要性についてお話します。

かかった医療費が戻ってくる海外療養費制度

もし、海外で病気の治療を受け、医療費が100万円かかった場合、その医療費は泣き寝入りするしかないのでしょうか。

実は、海外で支払った医療費は、日本の国民健康保険または健康保険に対して、「海外療養費」として申請することが可能です。

海外療養費とは、海外で急な病気にかかりやむを得ず現地で治療を受けた場合、帰国してから保険者(協会けんぽや地方自治体など)に申請を行うことで、支払った医療費の一部が戻ってくる制度です。

ただし海外療養費は、海外で支払った医療費の全額が認められるわけではありません。

日本で同じ医療を受けた場合を想定して計算され、自己負担分(原則3割)を控除した金額が払い戻されます。つまり、7割の金額が戻ってきます。

また、他にも海外療養費が適用される条件がいくつかあります。
日本の公的な医療保険制度は、日本国内で治療を受けることを原則としているため、日本国内で治療が可能であるにもかかわらず、海外で治療目的frの療養を行った場合は、海外療養費は支給されません。


*出典:健康保険組合連合会

7割の医療費が戻る条件

条件1.保険診療として認められている医療費

まず、日本国内でも保険診療として認められている医療行為でなければいけません。そのため、たとえ医療行為でも、日本で実施できない治療を行った場合は、給付対象にはなりません。

たとえば、風邪をひいて診療した場合や、盲腸で手術を受けた場合、虫歯で歯医者に治療してもらった場合など、日本国内で保険診療として認められている場合は7割の医療費が戻ってきます。

一方、日本国内で自費治療(保険適用外)となっている、美容整形や歯列矯正、インプラント治療、がんの治療、身近なところでは人間ドックやインフルエンザの予防接種、正常分娩による出産などを行った場合には、海外療養費制度は使えません。

条件2.治療や療養目的でない渡航時の医療費

そもそも治療(療養)目的や療養目的で海外に渡航して診療を受けた場合も、海外療養費制度は使えません。

日本の公的な医療保険制度は、日本国内で治療を受けることを原則としているため、日本国内で治療が可能であるにもかかわらず、海外で治療や療養を行った場合は給付金が支給されません。


*出典:健康保険組合連合会

海外療養費を申請する場合の注意

海外療養費を申請する場合には、現地の医療機関にかかる時に下記のことに注意してください。

注意点1.海外の医療機関で医療費の全額を支払う

海外療養費は、あくまでも日本に帰ってきてから保険者に申請する制度です。そのため、たとえ100万円を請求されても、海外の医療機関に医療費全額を支払わなければいけません。

注意点2. 診療内容明細書と領収明細書をもらう

海外の医療機関で治療を受けたら、治療内容の証明書(診療内容明細書)と診療に要した医療費の明細書(領収明細書)を出してもらわなければいけません。金額だけ書かれた領収書では、申請できません。
「診療内容明細書」と「領収明細書」は、現地の言語で書かれているため、帰国後に日本語に翻訳をして申請書とともに提出する必要があります。

実はこれが大変なので、申請を躊躇してしまう人が少なくありません。一般的な翻訳であればいいのですが、医療の専門用語が出てきたりして結構翻訳料でお金もかかってしまいます。

海外旅行保険の必要性

「公的な医療保険からお金が戻ってくるなら、海外旅行保険は必要ないな。」とは、絶対に考えないでください。

海外旅行保険は、最低の保険料で良いので加入しておかなければいけません。また、保有しているクレジットカードの付帯保険に海外旅行保険が入っているかを確認しておきましょう。

参考|旅先で病気が怖い理由は医療費…海外旅行保険のメリットとは

海外の医療機関では、多くが患者の支払い能力を確認してから治療を開始します。つまり、支払い能力が確認できるまでは、治療をしてもらえないということです。

患者の支払い能力や医療費を誰が支払うのかは、クレジットカードの付帯保険や各種保険会社に確認するため、必ず海外旅行保険に加入しておかなければいけないということです。

また、保険会社から保険金が支払われた場合でも、健康保険から海外療養費が別途支払われるためより安心です。

日本で医療を当たり前のように受けられる私達からすれば、「患者を目の前にして治療をしないなんてひどい!」と思うかもしれませんが、それが世界の常識ですし、そもそも現地で人道を説いても治療が受けられるわけではありませんので。

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