消費税10%に伴う軽減税率とは?増税でも低所得者負担は軽減する?

読了目安[ 4 分 ]

2015年12月現在の消費税率は8%で据え置かれていますが、今後の日本の財政悪化が懸念される中で、現時点では平成31年10月1日に10%に引き上げられる見通しです。

ただ、消費税は国民一律の税負担を強いる制度のため、消費増税をすると、どうしても低所得者の税負担割合が大きくなってしまいます。

そのため、消費増税とワンセットで導入される制度が、あまり耳慣れない「軽減税率(けいげんぜいりつ)」というものです。

(一応)消費増税と同時に正式採用が決まっているとは言え、まだどのような制度か知らない方、実感できない方もいるでしょう。

軽減税率はわたしたち国民にとって、どのように作用するものなのでしょうか。

軽減税率とは

軽減税率とは、消費税の増税に併せて、一部の生活必需品などに対して標準税率より低く抑えられた税率を設定することで税負担の平準化を目指す施策のことです。

ちなみに、平成28年4月に国税庁が発表した内容(平成28年11月改訂)によると、標準税率10%に対して、軽減税率は8%となっています。なお、現時点の軽減税率対象品目は以下のとおりです。

飲食料品
飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(酒類を除く。)をいい、一定の一体資産を含みます。なお、外食やケータリング等は軽減税率の対象には含まれません。

新聞
軽減税率の対象となる新聞とは、一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行されるもの(定期購読契約に基づくもの)。

出典|軽減税率の対象となる品目 – 国税庁

消費税増税は低所得者の負担を軽減できるのか

消費税の引き上げ議論における争点は、低所得者への負担軽減策です。なぜなら、消費税には低所得者ほど負担が増す「逆進性」があるためです。

低所得者の負担軽減策にはいくつか方法がありますが、消費増税を主導する自民、公明両党は「複数税率」を強く推しています。

以前に話題となりましたが、マイナンバーを活用して、「低所得者に消費増税分の税金をあとで還付する」といった財務省の提案は大きく後退したようです。

この複数税率というのは、食料品を中心とした生活必需品について、10%となる予定の標準税率よりも低い軽減税率を適用しようとするものです。

実は日本のように消費税を単一税率としている国は少数派で、欧州を中心に世界中で幅広く採用されています。

軽減税率導入における課題とは

軽減税率の導入には大きな課題があります。それは、どの業界の何の品目を軽減税率の対象とするかです。

1.競合相手からの反発が起きる

軽減税率を導入している欧州など国々も、これまで対象品目の線引きに苦心してきました。興味深い事例を挙げてみましょう。

・フランスではマーガリン、キャビアは約20%の標準税率、国内産業の保護を目的としたバター、フォアグラ、トリュフは5.5%の軽減税率を適用
・カナダでは、ドーナツは5個以下ならば店内で食べると見なされ5%の標準税率、6個以上ならテイクアウトと見なされてゼロ税率を適用
・イギリスでは、フィッシュ&チップスなど温かいテイクアウト商品は約18%の標準税率、スーパーの惣菜などはゼロ税率を適用

もし、自分が各国で、マーガリンやキャビア、ドーナツ、フィッシュ&チップスなどの取扱業者だと考えたら、この考え方に納得できるでしょうか。

軽減税率は、特定の食品の課税率が低くなるため売れ行きに直結する制度です。そのため、競合相手からは相当な反発が出たようです。

2.利権の温床になる

2つ目の問題が、誰が軽減税率を決めるのかです。税金に関することのため、財務省が主導で各省庁と協議をしながら軽減税率適用品目を決めると考えることが妥当でしょう。

そうなると、誰もが「うちの商品に軽減税率を適用して欲しい!」と考えるはずです。つまり、その業界に外郭団体ができたり、関連独立行政法人ができることで、口利きや天下りの温床になる可能性があります。

3.コストが掛かりすぎる

最後にコストが掛かりすぎる懸念があります。

軽減税率を導入することで、仕入れを行う事業者たちの中にはこれまで以上の費用をかけなければいけない人たちがいるでしょう。もちろん、制度が複雑になればそれだけ手間や人件費も必要になります。

また、軽減税率は見た目の損得も印象付ける可能性があります。そのため、税率以上の買い控えが起こる可能性もあります。そして、それらのしわ寄せは全て値上げという形で国民に帰ってきます。

日本における軽減税率導入はどうなる?

現在のところ、消費税増税の日程やそれに伴う軽減税率は、前述した通りに決まっています。

消費増税が先送りになる可能性はまだ残ってはいますが、実行される可能性の方が高いでしょう。そして、新しい制度が始まるため、混乱することもほぼ間違いありません。

もちろん、軽減税率は市場に導入しただけで完了ではありません。今後も、軽減税率対象品目の座を巡った争いやそれに伴う値上げなどが予想されるため、わたしたち国民はその余波に備えなければいけません。

これから何が起きるのか、世の中がどう変わっていくのかを見極めていきましょう。

小松英二が見る日本の財政問題

  1. 国民1人あたり830万円の借金状態!日本の財政赤字って大丈夫なの?
  2. 日本国債が格下げで“シングルA”!信用格付けの意味ってなに?
  3. 消費税10%に伴う軽減税率とは?増税でも低所得者負担は軽減する?

コメントを残す

  • コメント欄には個人情報を入力しないようにしてください。

  • 入力いただいたメールアドレスは公開されませんがサーバーに保存されます。
  • 入力いただいた情報の他に、IPアドレスを取得させていただきます。取得した IPアドレス はスパム・荒らしコメント対処ために利用され、公開することはありません。