【NISA(ニーサ)_後編】真説・投資ドリの世界[図録傑作選]

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今日も都会の大空を羽ばたく、勇ましくもはかない投資ドリの群れ。なにゆえ彼らは飛び、なにゆえ彼らは我々を惹きつけてやまないのか。人と投資ドリの不思議な関係、そして依然として謎に満ちた彼らの生態を、美しいスケッチと合わせて詳細につづった画期的試み。

飼育ドリは飼うと、飼い主にお金を運ぶ不思議な鳥です。

NISA(ニーサ) 
(少額投資非課税制度/Nippon Individual Saving Account)

科名 シサンウンヨウ科
生息 日本
投資枠 毎年100万円まで
飼育期間 5年間
生息期間 2014〜2023年(予定)

後編:NISAの生態と「非課税作用」について

 意外と知られていないが、NISAは、ISA(イーサ)と呼ばれる英国の投資ドリから派生した、純然たる英国種である。1999年にその存在が確認されて以来、ISAは「鳥類界のビートルズ」として本国イギリスで旋風を巻き起こした。それを「いーな」と思った我らが日本投資鳥研究学会、通称日投鳥研(にっとうちょうけん)(*1)が、日本でもムーブメントを起こすべくISAに来日を打診。こうしてISAは、日本の頭文字を冠したNISAとなり、新しく生まれ変わることとなったのである。2013年暮れ、ISAを鳥カゴに入れた英国の投資鳥協会(*2)の役員たちが、ハッピ姿で手を振りながら、羽田空港のタラップを降りてくる映像は、「ISAがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」と題され、ネット配信されたことは記憶に新しいところだろう。

 日投鳥研がNISAの飼育を推奨するにあたって、「非課税」を売りにしていることは周知のとおりである。一般に投資ドリは、「所得税」と呼ばれる遺伝子の組み換えによって、繁殖したヒナの約20%が、日投鳥研のもとへと飛び立ってしまう習性がある。ところがNISAの場合、この遺伝子の組み換えがスルーされているため、繁殖したヒナのすべてがブリーダーのものとなるのである。これがNISA特有の「非課税作用」であり、新規のブリーダーを取り込む切り札とされているものである。

 もちろん、あの日投鳥研が、このような人道的おこないを野放しで続けるわけがない。そこには、NISAが無尽蔵に繁殖しないよう、様々な制約が設定されているのである。

 ・NISAの飼育費用は上限100万とする。
 ・NISAの飼育期間は最大5年間。それを過ぎると「非課税作用」は消滅し、従来どおり所得税が発生する。
 ・飼育期間中に一部でもNISAを売却すると、その時点で「非課税作用」の行使とみなし、従来どおり所得税が発生する。

 さり気なく、それでいて、エゲつないこれらの対策は、日投鳥研の面目躍如たるところがあるが、NISAが投資ドリの一種であることを忘れてはならない。おとなしいと思ったら突然クチバシでつつく。元気だと思ったら翌日に急死している。そんな投資ドリの生態を忘れたシロウトのブリーダーが、MISAで大怪我をしないとは限らないのである。したがって上記の制約は、シロウトに向けた日投鳥研の、心ばかりの配慮と考えることもできるだろう。

 結局、他の投資ドリと同様、 NISAもまた非常にナイーヴでエキセントリックな鳥なのであり、新規ブリーダーは、NISAに過度のプレッシャー、および不信感を与えるような態度は慎まなければならない。古くから「商いは牛のよだれ」と言われているように、細く長く粘り強く、長期スパンで様子をうかがいながら繁殖させていくというのが、やはり賢明な選択肢であろう。
(*1)別名、日本政府である。
(*2)「英国投資鳥協会」とせず「投資鳥協会」と言い切るところが、「経済学の母国」を自負する、いかにも英国らしい振る舞いであるといえよう。


※イラスト 市橋俊介

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