厚生年金ではなく企業年金の主役だった厚生年金基金は今後どうなる?

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厚生年金基金は、厚生年金と名称が似ていますが、まったく別ものです。

厚生年金は、国が運営している公的年金であるのに対して、厚生年金基金は企業が運営する企業年金の一つです。

厚生年金基金とは

厚生年金基金は、一定の条件を満たさなければ設立することができないため、厚生年金に加入している会社員イコール基金に加入しているということではありません。会社が厚生年金基金に加入している場合に基金にも加入するという仕組みになっています。

また、厚生年金基金は、企業ごとに設立されているため、例えば転職をして複数の企業に勤めた経験がある場合、複数の基金に加入しているということもあります。

では、皆さんが厚生年金基金に加入しているかどうかはどうやって確認できるのでしょうか。
例えば、次のような方法で確認できます。

  • 給与明細をチェック・・・給与明細に「厚生年金基金掛金」が天引きされているかどうか確認
  • 就業規則や退職金規程をチェックあるいは会社の人事・総務の担当者に確認するなど

過去に勤めていた会社については、

  • 年金加入履歴をチェック・・・年金事務所に行って確認あるいは日本年金機構のHPを利用する
  • 厚生年金基金の加入員証がないかどうかチェックするなど

ところで、厚生年金基金という名称、公的年金である厚生年金の名称がついているのは、なぜでしょうか?それは、基金は国が運営している厚生年金の一部を国に代わって運用し、支給しているからです。

この国に代わって支給する部分は、「代行部分」と呼ばれ、基金から終身で支給されます。そして基金は、この「代行部分」に加えて、基金ごとに決められた給付を行う「加算部分」があるため、基金に加入している場合は、老後の年金が充実するというメリットがあります。

ところがこの厚生年金基金もバブル崩壊後の運用環境の悪化で、予定通りの運用益が得られず、約束した給付ができない基金や、掛け金を値上げせざるを得ない基金がたくさん出てきました。

ここ15年ほどで、給付の削減をする基金や「代行部分」を国に返上したり解散する基金が次々現れ、ピーク時には1800以上もあった基金が、平成27年3月末現在で444基金となっています。また、現在残っている基金の大半が、解散や代行返上を予定しているという状況です。

かつては企業年金の主役であった厚生年金基金が、近い将来姿を消してしまうかもしれません。ですから、現在は基金に加入しているという人も、将来はどうなるかわかりません。

基金が解散や代行返上した後どうなるか

基金から支給される年金は「国の厚生年金の一部(代行部分)」と「基金独自の上乗せ・加算部分」を合わせたものとなります(図参照)。

つまり、「基金独自の上乗せ・加算部分」がある分、基金のない会社に勤めていた場合よりも、老後の年金が充実することになります。

ところが、積立金の運用がうまくいかないなどの理由から「解散」あるいは「代行返上」をする基金が急増!基金がなくなると、どうなるのでしょうか。よくある誤解が「もう老後の年金がもらえないのでは?」あるいは、「基金のない会社に勤めていた人よりも損をするのでは?」というものですが、これは大きな間違いです。

基金が解散や代行返上した場合逆に損する?

基金が「解散」や「代行返上」をした場合、基金は「国の厚生年金の一部(代行部分)」(図の1)を支給するために積み立てていた資産を国に返す必要があります。そして、将来基金から支給される予定だった「国の厚生年金の一部(代行部分)」は、国から支給されることになります。

ですから、この部分については不利益になることはありません。つまり、基金が「解散」や「代行返上」をしたことで、基金のない会社に勤めていた人よりも年金が減ったり、損をするということはありません。

一方、「基金独自の上乗せ・加算部分」(図の2)は、影響を受けます。「基金独自の上乗せ・加算部分」の積立金は、他の企業年金に移されたり、一時金で支給されることになります。

つまり企業年金の見直しが行われるということですが、支給額が減額されるケースが多いのです。「基金独自の上乗せ・加算部分」がどうなるかは基金ごとに異なりますが、場合によっては、将来もらえるはずの「基金独自の上乗せ・加算部分」が全くもらえなくなることもあります。そういう意味では、「損をする」と言えます。

皆さんの加入している(加入していた)基金が「解散」や「代行返上」となった場合、まずはその後どのような制度になるのか(なったのか)に注目することが重要です。ところが残念なことに、「年金や退職金は、ずっと先のこと。自分には関係がない。」と無関心の若い方が多いのが実情です。

お勤め先の企業年金に関心を持ち、わからなければ人事部や総務部に確認するくらいの積極性が必要です。

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