年間1000億円も余る処方薬の有効期限や保管方法は?再利用は可能?

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みなさんは、病院で処方された薬をしっかりと最後まで飲みきっているでしょうか。案外、飲み切る前に病気の症状が回復して、中途半端に余ってしまうことがあります。

引き出しを開けると、バラバラの薬……。「えーっと、これ何の薬だっけ?」という経験は誰にでもあるはずです。

さて、このように余ってしまう薬ですが、何となくもったいない気がして「いつの薬か覚えてないけど、風邪っぽいから飲んでも大丈夫かな……。」と考えても良いのでしょうか。

今回は、余ってしまった薬(残薬)をどのように扱えば良いかについてお話します。

処方薬の有効期限とは

ドラッグストアなどで売られている一般用医薬品の場合は、外箱に使用期限が印刷してあるため確認できます。家庭の常備薬は定期的に点検をして、使わなかった薬、飲みかけの薬は処分してください。

ところが、病院でもらう処方薬には有効期限は記載されていません。

薬によって有効な使用期限は異なりますが、錠剤やカプセル薬などは6か月から1年、風邪薬などの粉薬は3-6か月、目薬などの液体薬は1-3か月ほどとなっています。つまり、どの薬も1か月ほどは有効に使うことができるということです。

ただし、病院で処方された薬は、その時の患者の体調や症状に合わせて最適に処方されているため、時間が経ってしまった場合やよくわからなくなってしまった場合は、細かな使用期限を知りたいこともあるでしょう。

特に、シロップや目薬などの液体薬は、開封後は品質が変わりやすいため心配に思うこともあります。

そのような際は、以下の医薬品医療機器総合機構のサイトで、薬の製造元を調べて問い合わせると使用期限を教えてくれます。

参考|添付文書情報メニュー|医薬品医療機器総合機構

処方薬は再利用しても良い?

まず基本的なこととして、病院で処方された薬は仮に症状が回復したと思っても、医師の指示通りになるべく最後まで服用してください。

たとえば、市販の風邪薬は総合感冒薬のため、熱、鼻水、せき、関節の痛みなど風邪の様々な症状に効くように作られていますが、病院の処方薬は、患者個人の症状に合わせて調合されているため、違うものだと認識しましょう。

そのため、飲み忘れなどで残ってしまっても、あとで同じような症状のときに使ったり、処方薬を他人にすすめないようにしましょう。

薬は食品ではないため、未開封であれば賞味期限を気にする必要はないのですが、古くなった薬は効果がなかったり、副作用が強く出る場合があります。

もし処方薬が残った場合は、わからなくなる前に処分をしてしまいましょう。ちなみに、処方薬が余ったとしても過剰に処方されているわけではないため、返金をしてもらうことはできません。

処方薬の保存方法

ルールに従って処方薬を服用する過程では、薬を安全に保管しておかなければいけません。

一般的に薬の保管温度は、室温保存の場合30℃以下、また冷所保存の場合は15℃以下で保管しますが、冷凍庫などで保管はできません。

車に乗る人は、車に薬を置きっぱなしにすることがありますが、真夏の車内は50℃以上になるため放置しないようにしましょう。

また、薬は子どもの誤飲物で毎年上位に入っています。大人用の薬は子どもにとって刺激が強いものです(特に神経剤)。

そのため、たとえ引き出しの中に入れていたとしても、子どもが立って手を伸ばしたときに引き出しを開けられるようなら、そこは薬の保管場所には適していません。子どもの手の届かないところに保管するようにしましょう。

参考|Q29 くすりの使用期限と上手な保管方法は。 | くすりについて | 日本製薬工業協会

処方薬の処分方法

では、余った薬はどのように処分すれば良いのでしょうか。

錠剤は容器から取り出して、燃えるゴミとして捨てることができます。ただし、小さな物なのでなるべく袋にくるんで捨てた方が良いでしょう。

液体薬はティッシュなどに含ませてから、袋に入れて燃えるゴミとして捨てます。軟膏類もティッシュなどで容器内を拭き取ったり、チューブから中身を全て出し切って、中身は袋に入れて捨てましょう。

もちろん、それぞれの容器は地域のルールに従って、燃えないゴミなどとして捨てることになります。

薬を燃えるゴミとして捨てる際の注意点は、薬自体は取り出して別の袋などに入れて捨てるということです。特に子どもがいる家庭では、何気なく捨てた薬を子どもが漁って誤飲をするケースがあります。

もし、処方薬の処分方法で困った場合は、病院や調剤薬局に相談してください。ほとんどの場合、余った薬は医療廃棄物として引き取ってもらえるはずです。

残薬は医療費の無駄になる

残薬が多いことは、単純に賞味期限切れや症状が合わない服用リスクがあるだけではありませんし、ましてや1人の薬代がもったいないという話だけではありません。

日本の国民医療費は平成27年度時点で42兆円を超え、年々右肩上がりに推移しています。国民医療費増大の原因の1つは、ご存知の通り高齢者の医療費が大きいのですが、残薬のように1つ1つの医療費の無駄も積み重なっているわけです。

出典|平成27年度 国民医療費の概況|厚生労働省

日本薬剤師会の調査によると75歳以上の患者に処方した薬のうち年間475億円分の残薬があるそうです。さらに、国民全体では1000億円以上の残薬があるとも言われています(詳細調査は行われていない)。

もちろん、このような残薬の多くは患者が薬を飲み忘れたり、複数の医療機関から同じ薬を処方される背景があるため、こちらも高齢者の比重が高いことは間違いありません。

ただ、冒頭でお話した通り、「えーっと、これ何の薬だっけ?」という経験が誰にでもあるように、まだ高齢者ではないわたしたちも多少なりとも無駄な医療費を作ってしまっていることを忘れないようにしましょう。

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