健康保険の傷病手当金をもらう条件は?いつまで・いくら受給できる?

読了目安[ 7 分 ]

もしあなたが、病気や事故によるケガなどで会社を休まざるを得なくなったときどうするでしょう。

もちろん、急に休まなければいけないため、一応会社に断りを入れてから、有給休暇を使うという人が多いはずです。

有給休暇の最大日数は社則に記載されていると思いますが、ある程度長く勤めている人なら、前年度繰越分20日と当該年度付与分20日の合わせて最大40日間有給休暇を使える人もいるでしょう。

ところが、近年は精神的な症状・メンタルヘルスの不調で長期休暇する人が増えており、その場合1-2か月では職場復帰できないこともよくあります。

そうなると、有給休暇も全て消化してしまいますし、会社にとって貢献度が高い人でも面倒を見続けることは難しいですよね。こんな時に心強い味方が、健康保険から支払われる傷病手当金です。

今回は、傷病手当金がどのような手当金なのか、また手続方法や注意点についてお話します。

傷病手当金とは

傷病手当金とは、病気やケガ、または精神的な理由により健康を害していることで会社を休んでいると認められる場合に、休職4日目以降の休んだ日数分の手当金が健康保険から支給される制度のことです。

傷病手当金の支給には、以下の4つの条件が必要になります。

条件1.業務外の病気やケガであること

被保険者が業務外(職務現場や通勤途中以外)で負ったケガや心身の病気を患った場合は、傷病手当金の対象になる場合があります。

反対に業務上のケガや病気は、傷病手当金ではなく労災保険の給付対象になるため、労働基準監督署に進呈してください。労災保険は以下を参考にしてください。

参考|労災保険の休業補償給付と休業給付とは?いつまで・いくらもらえる?

条件2.病気やケガで労務ができないこと

被保険者が普段従事している業務ができない状態であることを医師が診断した場合に、被保険者の仕事の内容やその他の状態を考慮して判断されます。

条件3.4日以上仕事を休んでいること

被保険者が、療養のために仕事を休み始めた日を含めて連続3日間の休業をした場合、4日目の休業から傷病手当金の支給対象になります。

この連続した3日間の休業のことを「待期3日間」と言い、2日連続で会社を休んだ後、3日目に仕事を行った場合は待期3日間は成立しません。待期には、有給休暇や土日・祝日も含まれます。

また、就労中に発生した病気やケガで労務不能な状態になった場合は、その発生日を待期の初日と考えます。

条件4.給与の支払いがないこと

傷病手当金は、業務外の病気やケガで休業している期間を保障する制度のため、休業期間中に会社から給与が支払われている場合は、傷病手当金は支給されません。ただし、給与が全額ではなく一部支給の場合は、給与支給分を減額して傷病手当金が支給されます。

ちなみに、任意継続被保険者の期間中に発生した病気やケガに対して、傷病手当金は支給されません。任意継続の詳細は以下を参考にしてください。

参考|退職後の健康保険はどうなる?国保加入か健保の任意継続の方法

傷病手当金はいくらもらえる?

では、傷病手当金はいくらもらえるのでしょうか。

傷病手当金の支給額

傷病手当金の支給額は、4日目の休業から1日当たり○○円と考えます。1日の支給額は、簡単に考えると日給の3分の2で、詳細は以下のとおりです。

傷病手当金の支給額=支給開始日の前12か月間の標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)

支給開始日とは、最初に傷病手当金が支給された日のことを言います。なお、支給開始日の以前の終業期間が12か月に満たない場合は、以下の2つを比べて少ない方の額で計算します。

・支給開始日の前月以前の標準報酬月額の平均額
・標準報酬月額28万円(当該年度の前年度9月30日における全被保険者の標準報酬月額の平均)

参考|都道府県毎の保険料額表 | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

傷病手当金がもらえる期間

傷病手当金の支給期間は、支給対象から最大1年6か月間となっています。ただし、会社の就業規則に「休職期間は6か月間までとし、それを超えた場合は、自然退職」など休業の規定がある場合は、それに従う必要があります。

傷病手当金のシミュレーション

標準報酬月額の改定など、細かい要素をのぞいて計算してみます。

傷病手当金を計算する場合の標準報酬月額の上限は28万円です。つまり、月給にして27-29万円が上限という事になります。年収にすると、324-348万円ですね。

傷病手当金支給日額=28万円÷30日×2/3=6222円

土日・祝日も傷病手当金の支給対象日になるため、もし1か月休んだ場合は「6222円×60日=373320円」となり、傷病手当金は37万3320円支給されます。

傷病手当金の額は少ない?

「あまり無理をしたくはないけど、傷病手当金は給料の3分の2しかないから、這ってでも仕事したほうが良いのかな……。」

仮に月給が28万円の場合、単純に3分の2と考えると18.6万円です。ところが、傷病手当金には税金がかかりません。所得税と住民税を合わせると額面の15%ほどになるので、それらの税金を引くと23.8万円ほどでしょう。

別途社会保険料はかかりますが、額面の85%が傷病手当金として支給されるのであれば、しっkりと療養したほうが良いでしょう。

傷病手当金の手続き

傷病手当金の申請は、会社が協会けんぽに対して手続きを行うことが一般的です。

しかし、中には面倒で申請を行わなかったり、療養担当者が知識不足で申請しないケース、本人に傷病手当金の存在を教えない会社もあります。その場合は、自分から会社に申請をお願いしましょう。

必要な書類など

・療養担当者の意見書
・健康保険傷病手当金支給申請書
・年金証書のコピー※
・年金額改定通知書のコピー※
・休業補償給付支給決定通知書のコピー ※

※は事業主が用意しなければいけません

参考|健康保険傷病手当金支給申請書 | 申請書のご案内 | 全国健康保険協会

また、外傷などの場合は、不詳原因届や第三者の行為による傷病届が必要になります。

その他は以下の協会けんぽのサイトを確認するか、協会けんぽの都道府県支部に連絡して確認してください。

健康保険傷病手当金支給申請書 | 申請書のご案内 | 全国健康保険協会

会社をやめた場合の傷病手当金の扱い

前述した通り、傷病手当金の期間は1年6か月間ありますが、会社が休職している人をいつまでも雇ってくれるわけではありません。働けない期間が長引けば、会社の規程に従って退職することになるでしょう。

ところが、まだ病気やケガが治っていなければ、働くことができません。そこで、健康保険の任意継続をすることで、引き続き傷病手当金の支給を受けることができます。

参考|退職後の健康保険に注意!国保と任意継続の保険料はいくら違う?

注意点1.手続きは自分で行う

任意継続被保険者になると、会社を辞めても最大2年間は、今までの健康保険に加入し続けることができます。ところが、今までは会社が傷病手当金の申請をしていましたが、退職後は自分で申請しなければいけません。

注意点2.健康保険料が倍になる

健康保険料は今まで半分負担していた会社負担分も支払う必要があるため、毎月の保険料が2倍に高くなります。

注意点3.失業手当と傷病手当金は同時にもらえない

退職後に健康保険の任意継続をすれば、「失業手当と傷病手当金は同時にもらえるのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、失業手当は働く意思があっても、働けない人に支給される手当のため、同時にもらうことはできません。

ただし、同時にはもらえませんが、失業手当の受給期間の延長申請をすれば、働けるようになったときに失業手当を受け取ることができます。

通常、失業手当は退職後1年を過ぎるともらえなくなりますが、受給期間の延長申請をすれば、最大3年間延長できます。その後、病気やケガが治り、求職活動ができるようになれば、失業手当をもらえます。

傷病手当金を上手く活用しよう

冒頭でお話した通り、大きなケガや長引きそうな病気をした場合、まずは有給休暇の取得を考えるでしょう。

ただ、数週間単位で休業の必要がある場合は、たとえ有給消化で間に合いそうだとしても、傷病手当金をうまく活用することを考えましょう。そうすれば、有給休暇をすべて残したまま、労働者の権利を行使することができます。

もちろん、今後も同じ会社で働くことを考えて、会社に大きな迷惑をかけないように考えることも大切です。

傷病手当金は意外と知らない人も多いので、今後のためにしっかり覚えておきましょう。

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