教育資金贈与の特例とは?非課税対象と一括・都度贈与の考え方

読了目安[ 7 分 ]

進学や塾、ピアノなどの習い事はお金がかかりますが、子どもの将来を考えるとなんとかしてお金を工面したいですよね。

もし、自分の親である祖父母に余裕があるなら、孫の教育費を出してもらってはどうでしょう。いつの日か相続税がかかってしまうのであれば、孫の教育資金としてお金を出してもらうことで、相続税対策にもなります。

「贈与税がかかるのではないか?」という心配もあると思いますので、詳しく見ていきましょう。

教育費はそもそも贈与税がかからない

贈与税について知っている人は、「110万円しか贈与してもらえない」と思うかもしれません。

110万円を超えると贈与税が発生する

さて、この贈与税ですが、1月1日から12月31日までの1年間に、贈与税の基礎控除額110万円を超える財産をもらったら、申告をして贈与税を支払います。これを 暦年課税(れきねんかぜい)といいます。

【贈与のまとめ】贈与をかしこく受けよう!贈与税が非課税になる特例とは?

ですが、相続税法では特定の目的・性質の贈与については、贈与税がかからないとしています。実はそのなかに、生活費や教育費が含まれているのです。

No.4405 贈与税がかからない場合

夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの

ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。

なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。

No.4405 贈与税がかからない場合|贈与税|国税庁

ここで言われている扶養義務者とは

  1. 配偶者
  2. 直系血族及び兄弟姉妹
  3. 家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族
  4. 三親等内の親族で生計を一にする者

のこととされていますので、祖父母からの生活費・教育費は贈与税がかからないのです。

注意点として、上記にも記載がある通りお金を貰うのは「必要な都度」である必要があります。一括で祖父母からお金を受け取って預金などしてしまうと、それは贈与税の対象です。

習い事の費用や受験・入学費用など、可能ならば“直接”祖父母が支払ってしまうのが一番ですが、それができなくても問題ありません。

参考|扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A[PDF]

まとまった教育資金を贈与したい場合

中には「必要な都度」ではなく、「一括でまとまったお金をあげたい」という方もいるでしょう。

平成25年4月1日〜平成31年3月31日までの間であれば、直系尊属(祖父母)から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度(教育資金の一括贈与の非課税制度)が利用できます。

教育資金の一括贈与の非課税制度とは

教育資金の一括贈与の非課税制度とは、祖父母等贈与者が、子・孫名義の金融機関の口座等に、教育資金として一括でお金を支出(預金)した場合、30歳未満の子・孫ごとに1,500万円または500万円までを非課税とする制度です。

  • 高齢者世代の保有する資産の若い世代への移転を促進
  • 教育費の確保に苦心する子育て世代の支援
  • 教育資金確保による人材育成への期待
  • 経済活性化に寄与することを期待

これらのことを目的とした、期間限定の特例措置です。

非課税枠1,500万円の注意点

非課税枠1,500万円には、いくつか注意点があります。

実は、1,500万円非課税になるのは「学校等に支払われる金額」であって、習い事の月謝などは500万円が上限となっています。

これは合算出来るわけではなく、入学金・授業料など「学校に支払うもの」が1,500万円、習い事の月謝などで500万円の、合計2,000万円ではないということです。

また、しつこいですが「学校に支払うもの」が対象になるので、学校で使うための教科書を業者から購入した場合は対象外となります。(学校が教育のために必要で、購入のための案内・指示を書面等でおこなっている場合は500万円までの非課税)。

尚、「学校等」とは、は次のものとされています。

  • 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校
  • 大学、大学院
  • 高等専門学校
  • 専修学校、各種学校
  • 保育所、保育所に類する施設、認定こども園
  • 外国の教育施設のうち一定のもの
  • 水産大学校、海技教育機構の施設(海技大学校、海上技術短期大学校、海上技術学校)、航空大学校、国立国際医療研究センターの施設(国立看護大学校)
  • 職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、職業能力開発校、職業能力開発促進センター、障害者職業能力開発校
保育所については施設や自治体、学校については学校に対象となるか確認するとよいでしょう

教育資金の一括贈与の非課税制度の利用

非課税となるための幾つかの前提条件がありましたが、制度の利用にも少々手間がかかります。いくつかポイントがあるので見ていきましょう。

1.教育資金口座の開設

この教育資金の一括贈与の非課税制度を利用するためには、子・孫名義の教育資金口座を開設する必要があります。

そして、口座を開設した金融機関経由で、子・孫の住む所轄の税務署に申告書(教育資金非課税申告書)を提出します。

信託会社、銀行、証券会社などが取り扱っていますので、教育資金口座 開設などで検索すれば取り扱っている金融機関を確認できます。

2.教育資金口座からの出金

口座からお金を出金したときは、期限までに領収書を口座を開設した金融機関等に提出する必要があります。

お金の出金方法には次の2通りがあり、口座開設時に選択することになります。

  • [A]教育資金を支払った後にその実際に支払った金額を口座から払い出す方法
  • [B]それ以外

そして、どちらを選択したかによって、領収書の提出期限が異なります。

  • [A]領収書に記載の支払い日付から1年以内
  • [B]領収書に記載の支払い日付の属する年の、翌年3月15日

[B]の場合は確定申告に似ていますね。

尚、「領収書等に記載された支払金額が1万円以下で、かつ、その年中における合計支払金額が24万円に達するまで」のものについては、明細書を提出することも可能です。

  • クレジットカードの明細書は会員サイトでしか見れない(明細郵送サービスを利用していない)
  • 明細で見られたくない項目がある
  • 月謝袋も提出しないといけないの?
  • 領収書には何が記載されてないといけないの?

など気になる点も多いと思いますが、原則金融機関の窓口にて説明があります。その他に、文部科学省が公表しているPDFでも確認することができますので、参考にしてください。
参考|文部科学省 領収書等に関するチェックツール[PDF]

3.教育資金口座の終了

次の場合に、教育資金口座に係る契約は終了となります。

  1. 子・孫が30歳に達したこと
  2. 子・孫が死亡したこと
  3. 口座の残高が0円になり、かつ、その口座に係る契約を終了させる合意があったこと

尚、終了時に、1,500万円(または500万)の非課税枠から、支払った教育資金を控除した残額(教育資金として利用されたなかった残ったお金)がある場合は、贈与税の対象となります。※「2.子・孫が死亡したこと」の場合は相続税が適用されます。

都度なのか一括なのかよく考えて

一括贈与非課税枠1,500万円は、学校に支払うものだけなので、少し使い辛い制度だと思われた方もいるかもしれません。(そんなまとまったお金があるのは羨ましいの一言ですが)

教育資金口座の最低預入額は金融機関により様々ですが、1,500万円を上限として、1円〜100万円が下限になっています。例えば入学費用として500万円だけ教育資金口座に預入し、その他のタイミングでは“必要な都度支払う”など使い分けることで、うまく活用してはいかがでしょうか。

また、年間110万円を越えなければ、教育資金でなくても問題はありませんので、そちらと“必要な都度教育資金を支払う”ことを併用した方が、もしかすると祖父母と孫のコミュニケーションも増えて、祖父母も喜ぶかも。

最後に、そもそも祖父母の資産状況で相続税が掛からないのであれば、無理にこの特例制度を利用する必要が無いとも言えます。まずは、概算でも計算してみるのはいかがでしょうか。
参考|相続税はいくら?財産総額と税金計算の具体例

同じカテゴリの記事

コメントを残す

  • コメント欄には個人情報を入力しないようにしてください。

  • 入力いただいたメールアドレスは公開されませんがサーバーに保存されます。
  • 入力いただいた情報の他に、IPアドレスを取得させていただきます。取得した IPアドレス はスパム・荒らしコメント対処ために利用され、公開することはありません。