相続税はいくら?財産総額と税金計算の具体例

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故人の財産を相続する際、必ず相続税が発生します。

タンスの中から出てきた現金、銀行にある預金、株式や債券といった有価証券、マイホームなどの不動産。人に貸しているお金も、宝石も、全て相続税の対象です。

では一体いくら相続したら、いくら相続税を納めなければならないのか、今回は、相続税の納付額の計算方法について、計算例も合わせて説明します。

相続税計算の流れ

相続税の算出は、

  1. 遺産総額を計算
  2. 非課税額等を算入し、正味遺産総額を計算
  3. 基礎控除額を計算
  4. 課税遺産総額を計算
  5. 各相続人の相続税額を計算
  6. 相続税合計額を計算
  7. 相続税を実際の分割割合で分配
  8. 税額控除を加味して納税額を計算

という流れで計算していきます。

例として、

  1. 法定相続人:妻、長男、長女
  2. 財産:8,000万円
  3. 死亡保険金:5,000万円
  4. 死亡退職金:2,000万円
  5. 葬儀費用:300万円
  6. 債務:1,000万円

という条件で順番に計算してみましょう。

1.遺産総額を計算

次の計算式で、遺産総額を算出します。

遺産総額 = 財産 + みなし相続財産(死亡保険金 + 死亡退職金等)
遺産総額 = 8,000 + 7,000
遺産総額 = 15,000万円

※故人からの3年以内の贈与、相続時精算課税などがあれば、財産として算入します。

財産というと、代表的なものに現金・預貯金、不動産、有価証券があります。

現金であれば金額そのものを財産の価格とすればよいですが、その他のものについて、ひとつひとつ価値を価格にする計算していく必要があります。

その際に参照されるものとして、国税庁から公表されている財産評価基本通達があります。
参考|財産評価|法令解釈通達|国税庁

自分で全てを計算することも可能ですが、評価対象の数、金額の大きさ、複雑さによっては税理士など専門家にお願いするのが良いでしょう。

もちろん、税務署で相談に乗ってもらうことも可能なので、事前に電話予約をした上で、「相続税についてのお尋ね」という書類が届いていれば、そちらを持参し相談に乗ってもらいましょう。
参考|相続についてのお尋ね(相続税申告の簡易判定シート)[PDF]

2.非課税財産等を算入し、正味遺産額を計算

次の計算をすることにより、故人が持っていたマイナス分を考慮した遺産額=正味遺産額を計算します。

正味遺産額 = 遺産総額 – (非課税財産 + 葬式費用 + 債務)

非課税財産とは次のようなものとされています。

  1. 墓所、仏壇、祭具など
  2. 国や地方公共団体、特定の公益法人に寄附した財産
  3. 生命保険金のうち次の額まで:500万円 x 法定相続人の数
  4. 死亡退職金のうち次の額まで:500万円 x 法定相続人の数

そこに、葬儀費用や借金などを含め、遺産総額から差し引きます。

正味遺産額 = 15,000 – (1,500 + 1,500 + 300 + 1,000)
正味遺産額 = 10,700万円

3.基礎控除額を計算

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
基礎控除額 = 3,000 + 600 × 3
基礎控除額 = 4,800万円

4.課税遺産総額を計算

課税遺産総額 = 正味遺産額 – 基礎控除額
課税遺産総額 = 10,700 – 4,800
課税遺産総額 = 5,900万円

やっと、相続税を計算するためのベースとなる「課税遺産総額」が算出できました。

5.各、被相続人の仮の相続税額を計算

相続税を算出するには、まず被相続人ごとに相続税額を計算し、その後合算し、分配する流れになります。

相続税の求め方

取得金額 = 課税遺産総額 x 法定相続分
相続税額(仮)= 取得金額 x 税率 – 控除額

尚、相続税は、基礎控除額を越えた金額(課税遺産総額)がいくらなのかによって税率のかわる累進課税制になっています。

基礎控除を越えた金額 税率 税控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円
【平成27年1月1日以後の場合】相続税の速算表
[妻の法定相続分]
取得金額 = 5,900 × 1/2
相続税額(仮)= 2,950 x 15% – 50
相続税額(仮)= 392.5万円
[長男の法定相続分]
取得金額 = 5,900 × 1/4 = 1,475
相続税額(仮)= 1,475 x 15% – 50
相続税額(仮)= 171.25万円
[長女の法定相続分]
取得金額 = 5,900 × 1/4 = 1,475
相続税額(仮)= 1,475 x 15% – 50
相続税額(仮)= 171.25万円

6.相続税合計額を計算

各被相続人の相続税額を合算します。

相続税合計 = 392.5 + 171.25 + 171.25
相続税合計 = 735万円

7.相続税を実際の分割割合で分配

実際の分割割合(被相続人同士が合意した遺産を取得する割合)に応じて、相続税を配分します。ここでは、妻5/8、長男2/8、長女1/8という割合で相続するとします。

各被相続人の相続税 = 相続税合計 x 分割割合
[妻の法定相続分]
相続税 = 735 × 5/8
相続税 = 約459万円
[長男の法定相続分]
相続税 = 735 × 2/8
相続税 = 約184万円
[長女の法定相続分]
相続税 = 735 × 1/8
相続税 = 約92万円

8.税額控除を加味して納税額を計算

最終的な納税額は、税額控除を相続税から差し引いた額になります。

納税額 = 相続税 – 税額控除
控除項目 概要
配偶者税額控除 配偶者は財産の法定相続分か、1億6000万円以下のどちらか大きい額まで無税
未成年者控除 未成年者は、10万円×(20歳-相続開始時の年齢)を控除
相次相続控除 10年以内に相続して相続税を支払った人が亡くなった場合、前回の相続税の一定割合を控除
障害者控除 ・一般障害者は、10万円×(85歳-相続開始時の年齢)を控除
・特別障害者は、20万円×(85歳-相続開始時の年齢)を控除
外国税額控除 国外にある相続財産がすでにその国で相続税が課されている場合、国内で相当する税額を控除
2割加算 配偶者や一親等血族(本人を中心とする親と子および代襲相続人)以外は孫、養子も含め納税額が2割加算

[妻(配偶者)]は、ここでの計算では法定相続分の1/2よりも大きい5/8という割合を取得していますが、相続する財産が1億6000万円以下なので無税になります。

[長男・長女(子)]について、ここでは年齢・その他の条件は決めておりませんでしたので、特に税額控除が無いとすると、「7.相続税を実際の分割割合で分配」で計算した相続税がそのまま納付額となります。

保険金には相続税がかからない!?

計算の流れの中で簡単に説明してしまいましたが、死亡保険金などは大きな控除が可能になっています。

[非課税財産]
生命保険金のうち次の額まで:500万円 x 法定相続人の数

貯金したままであれば相続税が掛かったはずですが、保険金として受け取ることで節税になります。

今回のケースに当てはめてみると、1,500万円分の非課税財産がなくなるわけですから、次のようになります。

課税遺産総額 = 7,400万円
[長男の法定相続分]
相続税 = 約184万円 から
相続税 = 約249万円
[長女の法定相続分]
相続税 = 約92万円 から
相続税 = 約124万円

妻(配偶者)は税額控除があるため変わりませんが、子が納付しなければならない相続税は、2人合わせて100万円弱高くなりました。

このような保険による節税を検討する場合は、終身保険を利用します。死亡のときに、保険金が支払われることが肝心だからです。

相続は健康なうちから話し合っておく

相続対策は、親の協力があってこそうまくいくものです。親の財産について、あれこれと口出しをするのは気が重いものですが、子どもたちだけで騒いでみたところで、前に進みません。親子で関心をもてるよう、前向きに取り組んでみてください。

加えて、相続のための対策を行ったからと安心せずに、定期的な見直しもしましょう。時代に合わせて税の制度は変わりますので。

※税計算において、記載のない条件は考慮していません

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