株価は上昇、金の値段はうなぎ昇り!トランプ大統領の破壊っぷりは?

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トランプ政権は、前任のオバマ政権と政策の方向性を180度変えての大改革を宣言。しかし、政策の実行段階でついに苦戦しはじめました。株価の上昇は止まり、先行きを危ぶんでリスクに強い金は買われています。

米国株価は調整局面に入った可能性があり、逆にNY金は1200ドル割れから1250ドルまで再上昇中。

トランプ政権発足後のNYダウとNYGold
※NYダウとNYGold (引用:GMOクリック証券)

2017年3月FOMC(米国金融政策決定会合)は、予想通りに政策金利の引き上げを行いました。直後の金や為替・株価の動きを見ると、不安定な動きをしています。織り込み済みでの株売りに加えて先行きへの不安が出てきているように感じます。

映画スターウォーズエピソード1において、サブタイトルが、「見えざる脅威:ファントム・メナス」と名付けられ、有能で可愛い少年の未来が暗示されたことを思い出します。

スターウォーズのアナキン少年は、共和国とジェダイを滅ぼし、悪の権化「ダース・
ベイダー」として、銀河に破壊と偽りの平和をもたらしました。しかし、息子のルーク・スカイウォーカーの登場で、善の心とフォースのバランスを取り戻しましたね。彼は、硬直した共和国とジェダイを破壊して新しい道を開きました。

スターウォーズ新三部作当時の共和国は、官僚&規則がはびこり、何も決めることができない世界として描かれています。平和の守護者であったはずのジェダイは、盲目的に共和国の議会である元老院に従うのみ。ところが、元老院は、腐敗しており守るべき価値を失っていました。そこをパルパティーン皇帝につけこまれたのです。

新三部作が公開されたのは、クリントン政権からブッシュ政権の間、エピソード1=1999年、エピソード3=2005年。当時、テロとの戦争・イラク進攻を行うブッシュ政権への批判も含まれているのではと話題になりました。しかし、トランプ大統領こそパルパティーンかダース・ヴェイダーの役回りなのかもしれません。

■既得権を破壊するトランプ大統領

トランプ政権の予算案は軍事予算を9%増やしたのに対して、なんと、環境保護庁は31%減らすという大ナタを振るいました。これは、政権の掲げる規制緩和の目玉。前任のオバマ政権は、クリーンエネルギーを進めてきましたが、新政権は、地球温暖化にすら否定的。政策の方向性がまったく違います。

トランプ政権の方向性、マネーゴーランド

■共和党内の乱れでオバマケア代替案は不成立

ところが、トランプ政権ですら生ぬるいと共和党内は乱れはじめているのです。オバマケアに代わる新たな医療保険案は、共和党内の保守強硬派の反対にあって成立せず。強硬派の意見は、オバマケアを全て葬り去るという極端なもの。一部残す妥協案では、納得せずに、オバマケアが残ることになりました。

税制改革・インフラ投資と課題が続く中で、共和党内の保守強硬派との意見調整は、なかなか難しそう。そのため、トランプラリーによる株価上昇は止まり、逆に金は上昇再開という金融市場にとって不安なシナリオが台頭。

■トランプ政権のマイナス面が浮上し株価は下落・金は上昇

元々、トランプ氏がヒラリー氏と戦っていた時には、トランプ政権の保護主義的考えや他国との対立路線に懐疑的な意見が多かったはず。なのに、株価だけがぐんぐんと上昇してしまいました。まだ、世界情勢は安心できない中で米国の中央銀行「FRB」は、利上げ&世界経済の危機は弱まったと宣言。

EUと欧州情勢は不安定で、中国の債務化問題も水面下で炭火のようにくすぶり続けています。米国景気が利上げ&トランプ政権の混乱で落ち込めば、以前より懸念されていたような米経済のリセッション入りもありえます。それはすなわち量的緩和の再来シナリオ。

そうなると、前例に従い、金は上昇する可能性が高まります。そうならなくても、既存の権益や規制を破壊するトランプ政権が続く限り、金が安くなると買いたい人が出てきます。

■保護主義が高まると対立&紛争リスク

辺境の星ナブーを通商連合が封鎖したことが、エピソード1のオープニングでした。北朝鮮に何の手も打てない国際社会と似ているような気もいたします。物語の敵役としてでてくる通商連合・インターギャラクティック銀行グループなどは、多国籍企業・大銀行グループを暗示していますし。

トランプ大統領は、現実世界において、どのような役回りを演じるのでしょうか。パルパティーンなのかそれともダース・ヴェイダーなのかそれとも・・・
※本記事の情報は2017年3月27日時点でのものです。

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執筆者

上村 和弘 (かみむらかずひろ)

アセットクラス&WEBコンサルティングLLC 代表CEO・ファウンダー 日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP会員、1級FP技能士 1990年 現三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社を皮切りに、証券リテール業務や企画調査、ファンド事業等に従事。1999年より、FX事業の新規立ち上げ後、複数社での金融ネット事業の立ち上げ、事業再構築・運営等の統括マネージメントを経て2011年独立。現在、金融情報サービス事業をコアに、投資教育系、システムツールのサポート業務を行う他、シンクタンク系企業、金融システムベンダー等の顧問等を兼務する。1968年生、宮崎県出身。

上村 和弘

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やっぱり純金積立は魅力的?最強の安全資産「金の買い方」基本ガイド

金保有する人のタイプは資産全体を守る「安全性重視」と積極的に金で儲ける「利益重視」の二つに大きく分けられます。

両方を狙いすぎるとアブハチ取らずになりやすいので、どちらをメインテーマに取引するのかハッキリしておくことが大切。

金融商品として金を購入する時は、現物の金を持つ時よりも「価格の動き」に注目します。

金融商品の場合、金融機関がパッケージ化した商品を提供しており、金の現物のデメリットとなる保管方法に悩まなくて済みます。金価格の変動で利益を得ることを目的に取引している人も多く、投資としても人気があります。

ただし、戦争・国家破綻といった100年に一度レベルの大惨事が起きて、金融機関が軒並み破たんするような場合には、金融商品としての金が価値を維持できないことがあります。その場合は、現物の金が最強の安全資産となるでしょう。

では、金融商品としての金にどんなものがあるか見ていきましょう。

■純金積立

もっとも気軽な金の購入方法の一つ。毎月一定金額で金を購入していきますので、続けていけば、かなりの量の金を積立てることができます。純金積立は、金価格の変動で儲けるというより、少額の金を毎月積み立てることで、資産を確実に増やしていく商品。金だけでなくプラチナを積み立てることもできます。

購入した金は、取引会社に預ける形で、様々な報告書で金が溜まっていくのを見て喜びを感じることができます。最低額は毎月千円からのところが多く、田中貴金属をはじめ銀行・証券会社等で取り扱っています。

■金ETF

株式の投資信託と同じ仕組みで、金上場投資信託とも呼びます。株式市場に上場されていて、市場が開いている時は自由に売買できるため、資産運用の一つとして利用しやすい商品です。

金ETFの価格は金価格に連動して同じ動きをします。現在、金ETFは数本運用されており、ロンドン金価格に連動しているものと日本国内の金価格に連動しているものとがあります。そのため、同じ金ETFでも連動の対象となる価格が違うことに注意が必要です。

銘柄により最低購入額は違い、数千円もしくは数万円から取引ができます。

■金の商品先物取引

金・銀・プラチナといった貴金属を取引する専門の取引所が商品先物取引所。最低売買単位が1kg(約450万円)もしくは100gと大きく、金取引に慣れている人向け。金地金の現物を受け取れる現受けもできるため、大口の顧客で利用している人もいます。

その分、値上がり益を狙うだけでなく、値下がりでの利益を狙うこともできますし、レバレッジ(担保になる一部の証拠金を預けることで、大きな取引が可能となる)により、少ない資金で大きな取引を行うことができます。取引にかかる手数料も金取引の中では、安いため、金の売買を積極的に行う人の間で人気があります。

■金のCFD取引

CFD取引は、金先物と同じく価格変動による売買益狙いの金融商品。レバレッジ・値下がり利益を狙えるのも同じ。金先物との違いは、現物を受け取ることができないことや24時間取引ができるなど取引の利便性が高いこと。また、米ドル建てで取引できるために、為替の影響を受けずに金を取引できることはメリットと言えるでしょう。

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ちなみに、、、
ロコ・ロンドン金取引などを電話や訪問営業で勧誘してくるケースもごくごく稀にありますが、かなり怪しい為、手を出さない方が無難です。金価格の変動を100%当てることは誰にもできません。金を買いたい場合は、自分自身で買いに行くこと。見ず知らずの他人や知人からの儲け話をうのみにすれば、お金は無くなり残るのは後悔だけです!

同じ金融商品でも、それぞれ特徴がありますね。少額の資金かつ経験の浅い方は、純金積立か金ETFがおすすめです。商品先物取引とCFD取引は、投資の経験を積んだベテラン向けの商品ですから、安易に手を出さない方が良いかと思います。

では、金価格って、何が起きれば動くの、というお話は次回に!

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株価上昇と共に金価格もUP!本当に考えたい「トランプ政権のリスク」は?

トランプ勝利から政権誕生までの流れは、多くのメディア・投資家の予想を裏切りました。戦争リスクの高まり・分断化から、世界経済は悪化するとの考えで、トランプ勝利=株価下落と予想していた方は多いでしょう。

しかし、いざトランプ氏が勝利すると、減税・規制緩和・財政支出の三本柱への期待から世界的に株価上昇・金利上昇が起きています。

■トランプ政権誕生で経済好転!

米株価のNYダウは2万ドルを突破。日経平均株価も2万円を目指す勢いで上昇しました。この世界的な株価絶好調の流れは、本当に信頼できるのでしょうか?

気になるのが、トランプ後の米金利高・株価上昇の動きに逆行するかのように上昇したゴールド。本来、米金利高は金利を生まない金にとってマイナス要因。
ところが、NY金は、下落せずに上昇しています。これは、トランプ政権のリスクを考えて、リスクヘッジのために買われているのではないかと思います。

●NY金と米10年債の日足チャート
トランプリスクで金価格は上昇中!、マネーゴーランド
※引用:GMOクリック証券

トランプ氏の大統領選勝利後から、米金利は急上昇。その分、NY金は下落しました。ところが、12月の半ばごろにNY金は下げ止まり。米長期金利が落ち着いたこと、トランプリスクに投資家が目を向け始めたこともあって、上昇トレンドに変化しました。

12月にNY終値で1130ドルを割り込んだ金は、1230ドルを超えるレベルまで上昇しています(2017年2月21日現在)。ちょうど、米FOMCで金利が引き上げられて市場が落ち着いたこと・各地でテロ事件が相次いだことなどが上昇要因。

■トランプ政権の抱えるリスク

・世界的な保護主義の台頭 ⇒ 世界的な経済成長ダウンや分断リスク
・脅しとも取られかねない交渉術 ⇒ 交渉決裂や戦争リスク
・財政支出に対する資金の裏付け ⇒ 米国財政破たんや米ドルのリスク
・規制緩和による副作用 ⇒ 格差拡大や環境破壊リスク
・中国との対立 ⇒ 米中戦争リスク

トランプ政権は、米国第一主義を唱えて、他国が受けている恩恵を米国に取り戻す政策を取ろうとしています。メキシコ・中国にある工場を米国に移転すれば、米国の雇用は増えてもメキシコ・中国の雇用は減りますね。これ、近隣窮乏化政策とも言われ、世界大戦の引き金の一つでもあるんです。

さらに、交渉方法も極端。相手が受け入れがたいレベルの提案を投げかけて、妥協地点を有利な方向に持っていこうとしています。この方法は、相手国の国民感情を悪化させて指導者の面子を潰して妥協できない対立を生む可能性があります。

★交渉失敗の行きつく先は決定的な対立による交渉中止や戦争。

トランプ政権の国家通商会議に起用されたピーター・ナヴァロ氏は、米中戦争もありえると想定した書籍も出した人。本当に戦争すれば、米中ともに被害は甚大になることは子供でも分かります。

■トランプ氏のはったり戦術にリスクあり

経済は、名より実を取ることを重視します。しかし、政治および国民感情は、経済とは逆に名誉や恥を重んじます。相手に脅されて妥協することが、国民感情的に許せなくなり、破滅への道を歩み可能性があるのは歴史を見ても明らか。戦力的にかなわなくても負ける戦争に挑んだ例は数多くあります。

金が買われているのは、そういったトランプ政権が抱えるリスクを加味してのこと。好調さを維持する株式相場を見るだけでは、本当のリスクを見誤るかもしれません。分断・紛争・経済戦争とリスクのタネがあちこちにばら撒かれていることを忘れずビジネス・投資を行いましょう!

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米ドル依存の世界経済の裏で…「金を買い集める」ロシア&中国の狙いは?

今、米ドルが信頼を失えば、それに代わる代替通貨はありません。

第二の通貨として期待されたユーロは、度重なるユーロ圏の危機で存在そのものが怪しくなってきました。中国の人民元は、金融市場の開放・情報の公開性・世界規模での利用度のどれをとっても米ドルに遠く及びません。

そして、仮想通貨のビットコイン・・・未来の世界はいざ知らず、安定した通貨となるには、かなりの時間を費やすことでしょう。

参考:
お金の概念に革命が起こる…!新しい通貨「ビットコイン」って何?
ビットコインが急落!世界が大慌て「人民元とビットコインの深い関係」

金の価値は、一時的な下落はあっても常に復活してきました。20世紀末に、装飾品・電子部品として利用される美しく実用的な金属へと堕ちかけた金。今後、さらなる高値へと上昇していく可能性を秘めています。

■現在の世界情勢は危うさを増す

トランプ政権による米国第一主義・反グローバリズムが高まることは、世界経済にとって、危険な綱渡りになりえる可能性があります。

トランプ大統領が演説しているように、近年、世界に対する米国の地位は大きく低下しました。中国をはじめとした新興国の台頭・中東の混乱などで、米国一国が覇権を握る状態は終りました。

■強まる米ドルの存在価値

しかし、政治・経済的な米国の力は落ちても、米ドルの支配力は落ちていません。今も貿易の決済をはじめとした基軸通貨・世界通貨の地位は米ドルが保ったまま。一時は、ユーロの上昇によって、ユーロ決済を望む動きもありましたが、近年、ユーロが弱まったために、米ドルは、以前より強くなったと言えるでしょう。

そのため、世界中で、米ドルへの需要は増す一方。もしかしたら、米ドルが足りなくなるのではという話も出ていた程。トランプ政権の誕生で、米国債の大量発行・金融緩和(お金の大量生産)方向に進み、目先の米ドル不足は避けられそうな状況。

■経済危機の救い主は誰?

一方、米国第一主義を掲げるトランプ政権は、リーマン・ショック級の被害が欧州やアジアを襲った時に、救いの手を差し伸べるでしょうか。

リーマン・ショック時は、米FRBが速やかに金融システム救済に動きました。しかし、その時に救済された銀行達は、自分達の危機が終わった後に巨額のボーナスをもらったためにアメリカ人を激怒させています。「ウォール街をぶっつぶせ」運動は、終わったわけではありません。

となると、次回、金融危機が起きた時に、救いの手を差し伸べられるところがないかもしれません。欧州中央銀行・・・ギリシャやイタリアのことで手一杯です。中国・・・人民元を貸し出すことで危機が終わるとは思えません。内向きのアメリカは他国の危機を助けるかどうか不明です。

つまり、今、金融危機が起きると、かなり危ない状態にあるということ。米ドルに一極集中している通貨体制は、米国の機嫌を損ねると大変。米ドルを使えなくなった中小国は、兵糧攻めに合うのと同じです。米銀行との取引停止・米国内資産凍結など金融を武器として使えるのです。
それゆえに、トランプ政権樹立後に株価が上昇しても金は高値を維持しているのです。

例えば、ロシア・中国などは、外貨準備にしっかりと金を組み込んで、万一の事態に備えています。自国通貨・米ドルが使えない時の代替通貨はやはり「金」!

中央銀行の金保有量

中央銀行の金保有量、マネーゴーランド
※引用:WGC 2016年12月末 青線:中国、紫線:ロシア

もし、次の経済危機が起きれば、未曽有の被害が世界を襲うかもしれません。その時のために、金を買い集めている人達は必ずどこかにいることをお忘れなく。

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実物資産「金・銀・プラチナ」で資産運用

19兆円4300トンを毎年産出⁉︎ 「金の世界採掘量と価格」徹底調査

世界各地で日々、掘り出される金。その生産量や金額がどれ位になるかを調べてみました。

■世界で掘り出される金の量と値段は?

2015年の1年間に、「金鉱山から新たに掘り出された金」は3,158トン。そして、過去に掘り出された金をリサイクルした「中古金スクラップ※」が1,173トン。「生産者のヘッジ分※」がマイナス24トン。

中古金スクラップ:金の長所は、燃えない・錆びない・壊れない。そのため、一旦、掘り出された金は、金貨・宝飾品・工業製品に加工された後も存在し続けます。そして、使わなくなった金製品を溶かして再利用することができ、そのことを「金スクラップ・リサイクル」と呼びます。金の値段は高いため、回収⇒再利用しても採算が合いやすく、積極的にリサイクルされています。都市にあることから都市鉱山と呼ぶことも。

生産者のヘッジ:金を採掘する鉱山会社が保険として行う取引。金の価格は変化するため、生産量を計画した時と掘り出した時の価格が違います。すると、価格が下落するなどで採算が合わなくなるため、あらかじめ、市場で売却(売りヘッジ)を行います。

ちなみに需要の方はこんな感じです。
日本金地金流通協会、マネーゴーランド
※引用:日本金地金流通協会 GFMS

2015年の金生産合計額は4,306トン。多いような少ないような額でこれだけでは何とも言えませんね。では、日本円でどの位の金額になるのか計算してみましょう。

■年間の供給額を日本円に換算

まず、4,306トンを貴金属の単位「トロイオンス(31.1035g)」に換算します。
●138,441,011トロイオンス(約1億3,844トロイオンス)。

次に、米ドルでの金額を計算します。
●1トロイオンスあたり1,200ドルで計算すると、米ドルで約1,661億ドル。

さらに、1米ドル115円で日本円に換算します。
すると・・・・結果は、約19兆1048億円!

世界で、新たに供給される金の額は、約19兆円という巨額。とはいえ、比較するものがないとわかりにくい。そこで、国債等と比較してみます。

■日本の国債発行額

・新規国債の発行額:34兆3,698億円
・国債発行総額:153兆9,633億円(以前に発行した国債の借り換え分が大)

2017年度(平成29年度)に予定されている日本の国債発行額は、新規分で約34兆円。金の1.5倍程の金額になります。次に有名企業の売上高をご覧ください。

・トヨタ自動車の連結売上高:約28.4兆円(2016年3月期)
・ソフトバンクグループの連結売上高:約9.1兆円(2016年3月期)

日本の新規国債発行額が約34兆円、そして、トヨタ自動車の売上高が約28.4兆円。こうして並べるとトヨタ自動車の大きさを強調するデータにもなりますね。日本という世界第3位のGDPを持つ国の新規発行国債額に売上高が近づいています。いずれ、逆転することもあるのでしょうか。国債発行額が減り、トヨタ自動車の売上が増えていけば、その未来もあるかもしれません。

金本位制の元では、紙幣と金の交換を保証・保有している金の範囲内でしか通貨を増やすことができません。世界の金供給量(約19.1兆円)をトヨタ1社の年間売上高(約28.4兆円で超えてしまっていますから、金本位制の復活が難しいことが分かりますね。

そして、少し話がそれますが、近年の話題の一つは、国家を超える企業の存在。巨大化する企業は、国家以上の存在になり、税金・通貨などで国の制御できる範囲を超えつつあります。そのせめぎ合いが、トランプ政権や反グローバルの動きで、企業を国家の支配下に戻そうという主張です。

最後に、これまで掘り出された金の総量は約15万トン。これに約4,300トンが毎年加わっていきます。すでに、掘りやすいところにある金は、ほとんど掘り出されており、地下深くから掘り出しているため、いずれ、掘り出せなくなる可能性もあります。

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