20世紀はやっぱり激動だった!資産価値が無くなる…金の暗黒時代とは

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金利上昇と株式相場が上昇している中、金の値段がしばらく下がるかもしれません。そこで、20世紀末に、金を持つことが馬鹿にされた時代を振り返ってみましょう。

■資産としての価値を失いかけた20世紀末

20世紀末、金は資産としての価値を失いかけたことがあります。工業用としての用途や装飾品としての価値は保っていましたが、資産運用として金を持つことの優先順位はかなり低かったのです。

それには、幾つかの理由が絡みます。金をあらたに掘り出す産金量の増加や中央銀行の売却などもありますが、特に大事なことは、「平和と金融技術の進歩」でした。

★冷戦終結によって、世界全体が平和に向かい、戦争等で紙幣・国債・土地が価値を失うリスクが減る。
★金融技術の進歩で、資産運用手段が増えた。

■冷戦終結

20世紀末は、米国とソ連の二超大国が君臨し、世界中が両陣営に分かれて軍拡競争を繰り広げていた時代でした。ノストラダムスの予言では、1999年に人類は滅亡すると言われており、真剣に信じていた人もいたくらい。

大規模戦争が起きるかどうか一触即発の状態。あちこちで、米ソの代理戦争が行われ、核戦争の脅威に人類はおびえていました。その頃の映画「ウォーゲーム」や漫画「北斗の拳」などにその影響は表れています。

ところが、軍拡競争に敗れたソ連および東側諸国は、崩壊への道をたどります。そして、遂に世界に平和が訪れました。

東西冷戦終結で世界が平和になったとは言えないのは現代に生きる我々は知っての通り。
ただ、当時は、世界平和がトレンドになり、欧州諸国を中心に金を持って他国に逃げなければいけないリスクは減りました。

ということは・・・資産のラストリゾート・安全資産としての金の価値は下がってしまいます。

■金融技術の進歩:ロケットサイエンティストの登場

さて、もう一つの要因として、金融技術がこの時代に大きく進化したことがあげられます。

冷戦終結は、米ソの優秀な科学者を軍事技術の開発に専任させる必要をなくしました。軍事費が削られて職を失った彼らが、こぞって金融業界に職を求めて、金融技術が大きな進歩を遂げるのです。

金の暗黒時代、マネーゴーランド

宇宙に行くより金儲け

宇宙への夢や核ミサイルの開発よりも、金融技術の革新に人とお金がつぎ込まれ、デリバティブ(金融派生商品)が次々に開発されたのです。

ABS(資産担保証券)などが普及し、実体経済やマネーの何百・何千倍というお金がデリバティブの世界で膨らみ始めた時代。

金融界では、地中からわずかしか掘り出せない金は時代遅れ。株式・債券・先物・オプションなど多彩な金融商品が登場し、金利を生まない金は選ばれなくなりました。

株式や債券は、保有していると配当や利息を貰えます。しかし、金を保有していても利子が付きません。

世界は、グローバル化が進み、政治や軍事よりも経済・金儲けが大事になる中で、金の価値はどんどん下落しました。

ついに、1999年7月には、1トロイオンス252.80ドルまで下がりました。円建てだと1999年9月の値段が、1gあたり917円。この価格では南アフリカなど古くからの鉱山は採算が取れないために、鉱山の閉山や会社の合併・リストラなどでしのぐ時期が金の暗黒時代でした。当時、筆者は純金積み立ての事業を兼任していた頃ですが、営業展開に苦戦していたのは言うまでもないですね。

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  • 20世紀はやっぱり激動だった!資産価値が無くなる…金の暗黒時代とは

執筆者

上村 和弘 (かみむらかずひろ)

アセットクラス&WEBコンサルティングLLC 代表CEO・ファウンダー 日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP会員、1級FP技能士 1990年 現三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社を皮切りに、証券リテール業務や企画調査、ファンド事業等に従事。1999年より、FX事業の新規立ち上げ後、複数社での金融ネット事業の立ち上げ、事業再構築・運営等の統括マネージメントを経て2011年独立。現在、金融情報サービス事業をコアに、投資教育系、システムツールのサポート業務を行う他、シンクタンク系企業、金融システムベンダー等の顧問等を兼務する。1968年生、宮崎県出身。

上村 和弘

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資産家たちは、金を持つ場合に1~2年といった目先の動きに一喜一憂しません。十年以上・・・時には、子孫の代まで考えて金を保有します。

そして・・・金を保有し続けていたお金持ちの考えは近年の値上がりを見ると正しい選択でした。長い目で見ると、政府の発行する紙幣や国債は、破たんや価値の下落が相次いでいるのです。

金を長期間に渡り、観ることで、そのことが如実に分かります。

■日本の金は100年で、とんでもなく上昇

日本が1897年(明治30年)に、貨幣法を制定した時の値段は、0.75g=1円。1gになおすと約1.3円。今の値段は1g=約5,000円ですから、凄まじい値上り率!

もちろん、お米・土地といった全ての物価が上がった結果、金も値上りしているわけです。ここで、大事なのは、金を含めたモノの値段が上がったということは、長い目で見た時にお金の価値は大きく下がっているという裏からの視点です。

お金持ちたちは、お金を持っているだけでは飽き足らず、なぜ、資産をさらに増やそうと努力したり、金を買ったりするのか?

その答えは、お金として持っているだけでは減っていくから。だからこそ、必死にお金を運用して増やそうとするのです。

金はこんなに値上がりしている、マネーゴーランド

■第二次大戦後の米ドル建て金も大きく上昇

さて、次に、世界的な金の値動きを第二次大戦後から見てみましょう。こちらも大きく値上がりしています。

1944年に第二次大戦戦後の経済体制を決めたブレトンウッズ協定は、1トロイオンス(31.1035g)の金の値段を35ドルと定めました。これが、金本位制による正式な価格です。

その後、米ソの冷戦・朝鮮戦争・ベトナム戦争など相次ぐ戦争で、米国の軍事費は増加する一方。
軍事費を賄うために、増刷を続けた米ドルの威信は徐々に低下し、財政・貿易と双子の赤字が溜まります。そこで、信頼を失いつつある米ドルを持っていては不安で、金と交換して欲しいというニーズが世界中で高まります。

ついに、金と米ドルの交換を保証できなくなった米国は、1971年に金本位制からの離脱を宣言。(ニクソンショック)。これは、とてつもない衝撃を世界に与えました。

その後、1971年12月にスミソニアン会議が開かれ、金は1トロイオンス38ドルと定められました。ブレトンウッズ協定時から3ドルの値上がり。ところが、この体制は、約5年しか持たず、1976年1月にジャマイカで開催された会議において、とうとう、金の廃貨と外国為替の変動相場制が決まりました。これによって、金の値段は、国に縛られることがなくなり、実態にあわせて動くようになりました。

■金の盛衰:オイルショック~株式・デリバティブの栄光

1970年代~80年代は、オイルショック・ソ連のアフガニスタン侵攻など地域紛争とインフレの時代。米ソ冷戦の戦費もかかる上に、石油の値段が高騰したために、金の値段も急上昇。米ドル/円相場は、大きく円高に進み、米ドルの価値は下がる一方。

この時に、ソ連のアフガン侵攻後にロンドン市場でついた1トロイオンス850ドルがしばらく金の史上最高値でした。(1980年1月21日)
この後は、高すぎるインフレを抑えるために、米国が高金利政策を取ったことから、金市場も落ち着きを見せ、値段も下がっていきます。

金はこんなに値上がりしている、マネーゴーランド

そして、1990年代に入ると、冷戦に勝利した米国がITバブルとデリバティブをはじめとする金融分野で世界を席巻します。すると、金利を生まない金を売り株式や債券を買う動きが強まります。冷戦も終わり、世界平和が到来すると、金を持って国から逃げだすようなことも減ることが期待されていました。

この時、ゴールド=見捨てられた資産であり、新進気鋭の投資家からは、ゴールドを持っていてもまったく儲からない・間抜けな奴しか持たないと、散々、馬鹿にされたゴールド受難の時代。

株式や不動産が上昇すると共に、金融業界に理系の頭脳が入り込むことで、デリバティブ(金融派生商品)がどんどん開発されましたしね。この繁栄の裏に、バブル崩壊や米国の衰退が待っていると誰が考えたでしょうか。

※ 尚、本記事では内容をわかりやすくするため、当時の貨幣価値は考慮せずに単純比較して計算しています。

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  1. 大富豪は「金」が大好き!お金持ちがゴールドを資産に選ぶ理由
  2. 昔の定説「インフレに強い」は嘘⁉︎ 金の価値が変わる真の理由は?
  3. 世界経済暴落が予知できる⁉︎ 「富豪が金の値段に注目する」理由
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  8. 米ドル依存の世界経済の裏で…「金を買い集める」ロシア&中国の狙いは?
  9. 泥棒&偽物の危険が…金を持つデメリット4つ【お金持ちは金がお好き】

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世界経済暴落が予知できる⁉︎ 「富豪が金の値段に注目する」理由

ゴールド(金)は、世界の金融市場の動きが大きく変化する時に、株式や為替といった他の市場に先駆けて動きやすい特徴を持ちます。ゴールドの値動きを見ることで、金融市場の暴落や暴騰に対して、事前準備をすることができます。

ゴールドは、黄色に光輝く金属。すなわち、市場へのイエローカードの役割を果たします。ゴールドの値動きが大きく下げたり上げたりしたときは、その後に、政治・経済的に大きな動きが起きたり、他の市場が大きく動く可能性があるため要注意です。

■ゴールドがイエローカードになる理由

なぜ、ゴールドが他の金融市場のイエローカードになりえるのか。その理由を解説してみます。

  • 市場規模が小さく、市場の動きに敏感!
  • ゴールドの先物市場は、プロの参加者がほとんどで、市場の動きに敏感!
  • 株式・為替・他の商品に比べて、資産としての用途が大きく、市場の動きに敏感!

ちなみに、金の在庫=(これまでに掘り出されて金として加工された量)は、約18万トン。そして、年間に掘り出される量は年に約3千トン。1g4,500円で計算しても年間に増える金額は約13億5千万円。それに対して、日本の中央銀行が年間に増やすお金の額は、約80兆円。日本円だけでこれですから、桁が違うことをお分かり頂けると思います。

毎年、続々と発行される株式や通貨の量に比べれば、ゴールドの市場は小さいのです。そのため、クジラの鼻先で、餌や危険を探知するパイロットフィッシュの役目をゴールドは果たすことができます。

■イエローカードの具体例

例えば、冷戦が終了し、世界が経済発展と平和に酔う中で、起きた9.11テロ。さらに、中国の急激な経済成長。21世紀の大きなターニングポイントを迎えて、急激な上昇を見せたのはゴールド。

さらに、最近の話では、米国の量的緩和終了時の下落局面。米国は、量的緩和という金融政策によって、米ドルを大量に市場へと供給していました。ところが、当時のバーナンキFRB議長は、2013年6月の記者会見で2013年後半から徐々に量的緩和の縮小を始めると宣言。この会見の後に金をはじめ世界の金融市場は大きく下落。

「ゴールドと米2年債の動き」月足チャート:2016年10月14日
ゴールドと米2年債の動き」月足チャート、マネーゴーランド
※引用:GMOクリック証券

2012年の末から金の値下がりは始まっていました。

■2016年10月の下落理由

そして、今、ゴールドが短期的な下落局面を迎えています。その理由は、米国の利上げ問題。2015年12月に金利を上げる利上げを行って以来、2016年の現在に至るまで、米国は利上げを行っていません。そのため、金利を生まない金は値下がりすることなく、高値圏を維持していました。

米国利上げの詳細はこちら
「米国の利上げ」って何?なぜ重要なの?

ところが、10月4日から下落しはじめました。いよいよ12月のFOMC(米国の金利を決める中央銀行の会議)で利上げが決められる可能性は大きく高まっています。米国の金利が上がると、米国の国債や社債などの債券を保有していれば、一定の金利を得られるようになります。そのため、持っているだけでは金利を生まない金の値段は下がります。

「ゴールドとNYダウの日足チャート」:2016年10月14日
ゴールドとNYダウの日足チャート、マネーゴーランド
※引用:GMOクリック証券

NYダウは高値を維持していますが、ゴールドはすでに下がっています。

このように、ゴールドが大きく値下がり・値上りする時は、世界経済が大きく変化するポイントの可能性が高いという事が言えます。そのために、世界の投資家やお金持ちは、例え、売買していなくても、ゴールドの存在感と価格に注目をしているのです。

ちなみに、同じ貴金属のプラチナは、少し違った動きをしますので、いずれ、こちらも解説いたします。

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徳川埋蔵金の他にも…秀吉・光秀・信玄「戦国武将の埋蔵金伝説」4選

戦国時代の日本は、ゴールドラッシュの時代。欧州の精錬法(金を採掘・純度を高める方法)が、宣教師と商人によってもたらされた事や、領土を守るために大名達にお金が必要だったことなどから、各地で大量の金が掘り出されました。

そして、その金の一部は、今でもどこかに眠っているという噂がチラホラ。テレビでも放映される徳川埋蔵金もその一つ。そして、他にもたくさんの埋蔵金伝説が眠っているのです。

■武田信玄の埋蔵金伝説

風林火山の旗印で、戦国最強と恐れられた武田信玄。今も山梨県では郷土最大の英雄として尊敬されています。その武田軍団を支えていたのが、甲斐(山梨県)の金山。金山衆と言われる鉱山師を配下に抱えて、黒川金山・梅ヶ島金山などで大量の金を生産。その力で、戦国一の騎馬軍団を擁して、信濃・駿河などを手中に収めたのです。今も昔も軍隊とその装備にはお金がかかるもの!

この武田家が息子、勝頼の時代に滅んだのはご存じの通り。そして、信玄もしくは勝頼が、武田家滅亡の前に、埋蔵金を隠したという伝説があります。

埋蔵金の隠し場所として噂されている場所は、甲州市の鶏冠山の中、諏訪湖の湖中など。

戦国武将の埋蔵金伝説 甲州と信州

■明智光秀の琵琶湖に沈めた黄金

織田信長を本能寺の変で討った男。最後は羽柴秀吉に敗れたとはいえ、信長の信頼厚き部下・名将でした。彼にも、信長の本拠地「安土城にあった多額の黄金を琵琶湖に隠した」という埋蔵金伝説があります。

本能寺の変の後、安土城を抑えた明智光秀。金銀の一部は、朝廷・部下・味方になった諸将に分け与えます。しかし、天下を握った時間が短く使いきれなかった黄金があったはず。安土から坂本城に運んだものの、山崎の戦いで明智光秀が討たれてしまい、坂本城を守っていた一族の明智秀満は、黄金を琵琶湖に沈めたという話があります。

坂本城があったのは、滋賀県の大津市。今も琵琶湖の湖底に、織田信長~明智光秀の遺産が眠っているかと思うとワクワクしますね。

戦国武将の埋蔵金伝説 坂本城跡

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トランプ氏勝利から一ケ月!「ゴールド・為替・金利」世界の動きは?

米大統領選挙での劇的なトランプ候補勝利から数週間が経ち、金・為替・株価が様々な動きを見せています。そこで、各金融市場がどのような動きを見せたかを確認しておきましょう。

■NY金は大きく下がり、日中米の株価は上昇

大きく下がったのは、米ドル建ての金と白金。次に下落率が高いのは、メキシコ株とブラジル株。金が下がった理由は明らかに米国の長期金利上昇とドル高。それによって、金利を生まない金は大きく値を下げました。さらに、トランプ氏の政策は、当選前に報道されていたより、現実的では・・・という見方から安心感が広がり、金に逃げていた資金は、株式の方に流れ込んでいます。

トランプ後の世界はどうなった?金(ゴールド)・為替・金利の動きは、マネーゴーランド

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金は持っていても金利を生まないので、米国の金利が上昇する局面では、値下がりします。日本の金は、為替相場が大きくドル高円安に動いたため、NY金の値下がりと円安による値上がり分が相殺されて大きな動きはありません。

★金利上昇 ⇒ 金利を生まない金よりも、金利や配当を得られる国債や株式が有利

上昇率の高かった商品は、米ドル/円や豪ドル/円など。そして、NYダウや日経平均株価も上昇。意外なのが中国。トランプ候補は、中国を通貨安誘導・米国の雇用を奪う標的と認識していたことから、勝利によって中国株は下がるだろうとみられていました。

この理由として挙げられるのが、中国に圧力をかけることで、中国の市場開放が進むという見方。もう一つの理由は、米国が内向きになることで、中国はアジアへのインフラ投資や輸出を進めやすくなるという見方。高度経済成長時代に起きた日米貿易を巡る対立のように、対立はしても、米中ともに大人の対応ができるのではという楽観論中心で中国の株価も上昇しています。

■低金利時代は終わり政府の役割が変化

さて、ここまでの金融市場を見る上で、重要なのが、米国の長期金利の上昇です。どこまでも上がることはないにせよ、10月31日の1.825%から11月25日の2.359%まで、0.534%も上昇しています。米FRB(米国の中央銀行)が12月のFOMC(日本の金融政策決定会合に該当)で、利上げを行うことが確実視されている中、世界的な低金利時代は終焉を迎えるかもしれません。

※利上げとは:「米国の利上げ」って何?なぜ重要なの?

トランプ氏の当選は、今後の経済に大きな影響を与えるかもしれません。なぜなら、過度な自由市場・貿易が格差拡大や金融危機を引き起すため、政府によるコントロールや財政出動が必須との考えの元に政策が行われるからです。

最近は、経済への政府の関与はできるだけ減らして、民間(市場)に任せた方が上手くいくという考え方が主流でした。そして、政府が財政出動をして景気を良くする方法を古い・箱モノや道路を作るだけで役に立たないと断罪する例が多々ありましたね。これが緊縮財政的考え方。

さらに、グローバル化による自由貿易推進派は、「関税の撤廃や減税」「政府の補助金や規制縮小」「資本移動や金利の自由化」を求めてきました。⇒これへの反発がトランプ氏勝利の一つの要因。

それに対して、トランプ氏の政策は、政府が財政出動してインフラ整備をすべしというもので、景気刺激策になります。これを行うと国債発行高が増えて、金利は上昇・インフレへと動き出します。

中長期的な流れとしては、現在の動きそのままに、金は値下がり・金利上昇・株価上昇になる確率が高いのではと予想しています。もちろん、トランプ氏の政策が上手くいかないリスクもありますし、予想外の出来事で、ゴールドの上昇シナリオに戻ることもありえますので、しっかりと状況を見ていきましょう。

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