相続税は3人兄弟の23倍!「ひとりっ子相続で発生する」痛〜い問題点

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<材料>

・ ひとりっ子相続

<Point>

1基礎控除が少ない分、税負担が重くなることも

2 課税遺産総額が3,600万円以上で相続税がかかる

3 相続人が一人だからこそ税率が高くなることも

4相続対策は親子のコミュニケーションが不可欠

ひとりっ子の場合は、いずれ親の遺産をすべて引き継ぎます。そのため、場合によっては相続税の負担が重くなることがあります。

では、ひとりっ子相続では、遺産がいくら以上であれば相続税がかかるのでしょうか? また、どのような点に気をつければよいのでしょうか?

■課税遺産総額3,600万円以上で相続税が発生

ひとりっ子相続の相続税の計算は、おおまかに以下のようになります。

  1. 親が遺した遺産額から債務や葬儀費用等を差し引き、相続時精算課税(※)を適用した贈与額や相続開始から3年以内の贈与額などを加算し、正味の遺産価額を求める。
  2. 正味の遺産価額から、遺産にかかる基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を求める。
  3. 課税遺産総額に相続税率をかけて相続税を算出する。
  4. 基礎控除額とは

    『3,000万円+600万円×法定相続人の数』です。法定相続人とは、法律で定められた相続人のことをいいます。
    相続税を計算する上では、この基礎控除額が多ければ多いほど、課税遺産総額が少なくなるため、支払うべき相続税額は少なくなります。

    しかし、ひとりっ子相続では法定相続人は一人。よって、基礎控除額は3,600万円です。
    つまり、3,600万円よりも課税遺産総額が多い場合は、相続税がかかることになります。首都圏などに不動産を持っている場合は、それだけで基礎控除額を超えてしまうかもしれません。「自分は資産家ではないから大丈夫」と思っていても、相続税がかかる可能性があるのがひとりっ子相続なのです。

    『小規模宅地等の特例』が利用できる場合は、親から相続した居住用宅地等についてはその評価額を大幅に引き下げることも可能です。
    このとこについてはまた次回ご説明しましょう。

    ■ひとりっ子の相続は税率が高くなる?

    相続税率は累進課税のため、受け取る遺産が多いほど、税率は高くなります。
    法定相続人が複数いる場合は、課税遺産総額を各法定相続人に法定相続分(法律で定められた相続の割合)で分けたと仮定して、それぞれに税率をかけ相続税を計算します。
    つまり、遺産がいくつかに分割されるため、一人あたりの受け取る遺産額は小さくなり、税率も小さくなります。

    では、ひとりっ子の場合と兄弟がいる場合とでは、一人あたりの相続税はどのくらい違うのでしょうか?下記の表では法定相続人を子のみとし、正味の遺産価額を法定相続人が法定相続分に基づいて相続したと仮定して計算しています。

    遺産の価額と子1人あたりの相続税

    遺産5,000万円の一人あたりの相続税、ひとりっ子は2人兄弟の4倍!、マネーゴーランド
    (注1)1万円未満は四捨五入。
    (注2)遺産の価額は各人の正味の遺産価額の合計額(遺産にかかる基礎控除額控除前の金額)

    一人あたりの相続税を見てみると、例えば、遺産の価額が5,000万円の場合、ひとりっ子は160万円ですが2人兄弟の場合は各40万円、3人兄弟の場合は各7万円となります。ひとりっ子は2人兄弟の4倍、3人兄弟の約23倍の相続税を支払うことになるわけです。

    もちろん、ひとりっ子は一人で相続するので、兄弟がいる場合よりも多くの遺産を相続します。
    「多額の遺産を相続するならば、相続税だって支払えるはず」と思うかもしれません。
    しかし、相続税は原則、相続開始から10ヵ月以内に現金で支払わなければなりません。
    通常、多額の資産を持つ方というのは、不動産で保有していることがほとんどです。
    相続財産がほぼ不動産のみという場合は、別途相続税を支払えるだけの現金を用意する必要があります。

    これはひとりっ子相続に限ったことではありませんが、相続税を支払うだけの現金をどのように用意するかは、相続を考える上でとても重要です。
    親名義の生命保険に加入する、生前贈与するなど、いくつかの方法はありますが、相続対策は自己流で行わず、専門家と相談しながらしっかりと準備をした方が良いでしょう。

    ■親の方から相続の相談をもちかけてみては?

    相続対策には、まず財産がどのくらいあり、いくらの相続税がかかるのかを試算することが大切です。
    ただ、子どもからは相続の話題はなかなか言い出しにくいもの。できれば親の方から、相続について子どもに話しかけてあげてください。
    相続対策は親子間のコミュニケーションがとても重要です。家族が円満であれば、相続問題も円満に解決できるはずです。

    ※相続時精算課税:原則、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、合計2,500万円までの贈与は贈与税が非課税となる制度。2,500万円を超えた分に対しては一律20%の贈与税がかかる。なお、贈与者死亡の場合は、相続時精算課税により贈与された金額は相続財産に加算され相続税が課税される。

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  • 遺産5,000万円の一人あたりの相続税、ひとりっ子は2人兄弟の4倍!

執筆者

工藤清美 ファイナンシャル・プランナー

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。 シンクタンク、出版社を経て、銀行に勤務。銀行では市場部門でリスク管理を担当。08年CFP®(FP上級資格)取得。 現在は独立系FPとして、相談業務、セミナー講師、執筆などを行う。個人相談ではリピーターも多く、資産運用や相続対策などについて、実行支援までを行う。2児の母。

工藤清美

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モメ事はなくても…意外と大変「ひとりっ子相続の問題点」解決策は?

ひとりっ子相続の場合、「争う人がいないのだから大丈夫」と思っている人も多いかもしれません。しかし、ひとりっ子だからこそ大変なこともあります。

まずは手続き面において、どのようなことが大変なのかをみていきましょう。

■ひとりっ子の相続手続きは意外と大変

ひとりっ子の場合、両親がともに亡くなった場合には、親の財産をすべて相続することになります。兄弟がいる場合には、法定相続人全員が集まり遺産分割協議を行い、相続配分を決め、遺産分割協議書を作成します。このときに争い事が起こることが多いのですが、ひとりっ子の場合には遺産分割協議は必要ありません。「だから気が楽」と思ったらとんでもありません。ひとりっ子だからこそ大変なこともあるのです。

では、ひとりっ子相続の場合は何が大変なのでしょうか? それは、手続きをすべて自分一人で行わなければならないということです。兄弟がいれば、相談しながら手分けして手続きを進めることもできますが、いなければ自分で行うしかありません。専門家などに頼むことも可能ですが、それなりの費用がかかります。よくわからないことを自分一人で調べながら実行していくということは、不安でもあり、負担でもあります。

■主な相続手続きとは

では、相続手続きにはどのようなものがあるのでしょうか? 主なものをみていきましょう。

まず、亡くなった親の出生から亡くなるまでの戸籍謄本一式を取り寄せます。他に相続人がいないか、つまり、本当にひとりっ子なのか、ということを戸籍謄本等で証明しなければいけないからです。

戸籍謄本は、まず被相続人の最後の本籍地の役場で取得します。婚姻、転籍、改製などにより新しい戸籍が編製されている場合には、ひとつひとつさかのぼって出生時から死亡時までの戸籍を調査していきます。そして、それらを持って金融機関や法務局などで相続手続きを行うことになります。

また、被相続人のすべての財産を洗い出す必要があります。金融資産、不動産、保険、さらに借金などがあればそれらもすべて調べていきます。不動産は評価額の算出が難しい場合もあるので、専門家の力を借りる必要があるかもしれません。

そして、課税遺産総額を算出し、相続税がかかる場合は、通常、相続開始から10ヶ月以内に現金で納付します。ひとりっ子相続の場合は控除額が少ないため、多額の相続税がかかることも考えられます。また、「小規模宅地等の特例」など、相続税の軽減措置を利用する場合は、相続税がかからなくても10ヵ月以内の申告が必要です。

■相続手続き以外にもやることはたくさんある

その他にも、被相続人が年金をもらっていたならば年金支給停止の手続きをしたり、生命保険に加入していたならば保険金の請求をしたり、所得税等の未払いなどがあれば支払の手続きをしたり、健康保険証を返還したりなど、相続以外にも様々な手続きがあります。

親の重要な書類はどこにあるのか、どのような財産があるのか、生命保険等に加入していたのかなどを全く把握していない場合には、それらを調べるだけでも一苦労です。これらの手続きはひとりっ子に限ったことではありませんが、ひとりっ子の場合は、一人であるがゆえに手続きもすべて一人で行わなければならず、負担が大きいということがいえるでしょう。

■生前から親とのコミュニケーションを密に

相続時の負担を減らすには、生前からの親とのコミュニケーションが大切です。できれば、重要書類の置き場所などは親と一緒に確認しておくとよいでしょう。親側も子に負担をかけたくないと思うなら、金融資産や不動産などの財産一覧を作成するなどの準備をしておきたいですね。エンディングノートなどを作成し、そこに必要なことをすべて記入しておく、というのも一つの方法です。

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えっ600万円もの差!相続した空き家の売却時「税金を抑える秘策」

空き家問題が深刻化するなか、平成28年4月より、新たな制度が始まっています。一定条件の空き家を売却する際、税が軽減される制度です。どのような制度なのか、内容を詳しくみていきましょう。

■相続した空き家を売却するなら3年以内に

この特例は、相続した空き家を3年以内に売却した場合、その譲渡所得に対し3,000万円を特別に控除するという制度です。3,000万円までを控除するということは、3,000万円までは利益が出たとしても税金はかからない、ということになります。

原則、不動産を売却した場合の譲渡所得は以下のように計算されます。
不動産を売却した場合の譲渡所得、マネーゴーランド

相続した空き家を3年以内に売却した場合は、この特別控除の額が3,000万円になるということです。3年を超えてしまうとこの特例は使えなくなります。

■取得費不明の相続財産を売却すると、高額な税金がかかることも

相続で不動産を受け継いだ場合、注意したいのが取得費です。取得費は相続した時の時価ではなく、被相続人がその不動産を購入したときの取得時の価格のことです。代々受け継がれてきた不動産などは取得費がわからない、ということがよくあります。取得費が分からない場合は譲渡価額の5%として計算されてしまうため、譲渡所得が高額になる可能性があります。以下の例でみてみましょう。

例)父から相続した土地:譲渡価額5,000万円、祖父から受け継いでいるため取得費不明、譲渡費用150万円

【相続時から3年以内に売却した場合】
譲渡所得=5,000万円-(5,000万円×5%+150万円)-3,000万円=1,600万円
支払う税金=1,600万円×20.315%(※1)=325万400円
※1 売却が取得時(※2)から5年以上たっている場合、所得税15.315%、住民税5%
※2 相続の場合、取得時とは相続時ではなく、前代の取得の時期を引き継ぎます

【相続時から3年を超えて売却した場合】
譲渡所得=5,000万円-(5,000万円×5%+150万円)=4,600万円
支払う税金=4,600万円×20.315%=934万4900円

上記の例でみてみると、相続時から3年以内に売却した場合は325万400円ですが、3年を超えてしまうと、なんと934万4900円の税金を支払うことになります。その差額は609万4500円です。

このように、相続財産を売却する場合には、思わぬ高額な税金が課せられる場合があります。よって、以下にあげた適用要件に当てはまる場合で、将来的に売却を考えている相続財産がある場合は、3年以内の売却をお勧めいたします。

■空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用要件

「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」の適用要件は以下のとおりです。

・譲渡時期は相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで
・特例の適用期間:平成28年4月1日~平成31年12月31日
・対象家屋が相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていたもの
・対象家屋が相続開始直前において被相続人以外に居住をしていた者がいなかったもの
・昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く)であること
・相続時から譲渡時までに、事業の用、貸付けの用、または居住の用に供されていたことがないこと
・譲渡価額が1億円以下
・家屋を譲渡する場合は、現行の耐震基準に適合するものであること

「強制解体&固定資産税4倍に⁉︎ 実家を空き家のままにしたらどうなる?」でもご紹介しているとおり、相続した実家を空き家にしたままだとデメリットばかりが増えていくようですね。

相続税と法定相続人

相続税は、相続などで受け取った財産の合計額が基礎控除額を超えるとき、その超えた部分に対してかかる税金です。基礎控除額の算出式は次のとおりです。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人が1人なら、基礎控除額は3,600万円(3,000万円+600万円×1人)、2人なら4,200万円(3,000万円+600万円×2人)。なるほど、法定相続人の数が多いほど相続税の負担を軽くできそうだとわかります(詳しくは相続のコラムを参照)。ところで、法定相続人とは、誰をさすのでしょうか。民法のルールを確認しましょう。

まず、被相続人(亡くなった人)の配偶者は、常に相続人になります。但し、婚姻関係にある配偶者だけです。

配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。

第一順位は、「被相続人の子」です。「被相続人の子」が、相続の開始よりも前に亡くなっているときなどは、「被相続人の子」の直系卑属である子や孫(被相続人からみると孫やひ孫)が相続人になります。いずれもいるときは、被相続人により近い世代が相続人になるルールです。

第一順位の人がいなければ、第二順位である「被相続人の直系尊属」が相続人になります。父母も祖父母も健在であれば、被相続人により近い世代である父母が相続人になります。

第一順位、第二順位のいずれもないときは、第三順位として「被相続人の兄弟姉妹」が相続人になります。兄弟姉妹が、相続の開始よりも前に亡くなっているときなどは、兄弟姉妹の子(被相続人からみると甥や姪)が相続人になります。

このように、法定相続人になる人は、民法で決まっているから、適当にその数を増やすことは難しいとわかります。でも、養子縁組をしたらどうでしょう。

実は、相続税を計算するにあたって、「法定相続人の数に含めることのできる被相続人の養子の数」は制限されています。具体的には、被相続人に実子がいるなら、その数は1人まで。実子がいない場合は2人まで。そうそう思うようにはいきません。

ところで、「被相続人の配偶者の実の子で被相続人の養子となっている人」などは、実の子として扱われるため全て法定相続人の数に含まれるなど、細かいルールが多くあります。具体的な相談は、税理士などの専門家にすることをお勧めします。

せっかくの相続税対策が無意味に!「あげたつもり贈与」を回避する注意点

今年も残すところあとわずか。税金面で見てみると、会社から年末調整用に生命保険料の控除証明や扶養控除等申告書などの提出をおねがいされているかと思います。

また個人事業主の場合も、所得税、消費税の計算の締日が年末になりますから、何かとバタバタしてしまう時期になるかと思います。

ここでもう一つ、年末に締日を迎える税金があります。そうです贈与税です。

■もうすぐ年末、贈与税も忘れないで!

贈与税は、誰から、いくら、どのような贈与を受けたか?を暦年で一区切りとして税額を計算します。申告や納税が必要な贈与を受けた場合は、もらった人が翌年の2/1~3/15の間で申告・納付しなければなりません。

■贈与とは?

贈与とは「自分の財産を無償であげます」と意思表示して、もらう側も「もらいます」という承諾をすることによって成立する、契約に基づく行為です。ですので、例えば子供のためにと子供名義の銀行口座を作ってせっせと入金していても、子供がその事実を認識していなければ、いわゆる名義預金となり贈与したことにはなりません。

よくあることですが、わずかな贈与税がかかるように申告していれば、贈与した証拠になるから大丈夫と思っている方がいます。しかしこれ、極端に言いますと何の証拠にもなりません。

下記のフローチャートをご覧ください。

贈与税に関する解説、マネーゴーランド

贈与は契約が成立しているかいないかがまず先です。上記のような例で名義預金口座に資金移動しても、贈与契約が成立していませんので、単なる自己の口座内での資金移動ということになります。

従いましてこれをもって贈与を主張し申告をしても、誤った認識による誤った申告ということになってしまいます。

■贈与を失敗しないために

贈与自体を否認されないために、まずは契約書をきちんと作成しましょう。実は通常の贈与(暦年贈与)の他に、非課税枠の大きい教育資金や配偶者への贈与などいくつかの特例があります。適用には申告が要件であったり、使途の制限があったりと条件を満たさなければなりませんが、いずれの渡し方をするにしても契約書の作成はしておいた方が良いでしょう。

ところがこれで安心か?というとまだ十分ではありません。さらにもう2つ、注意が必要なことがあります。

1つ目は財産の管理権も移転が必要であるということです。上の例で言いますと、子供名義の預金通帳、印鑑、キャッシュカードなどの管理も子供が行っていなければいけないということになります。

そして2つ目が、税務署から定期贈与と認定を受けないようにすることです。たとえば毎年110万円を贈与して10年経過したとしましょう。合計で1100万円の贈与が完了しているはずですが、これを定期贈与であるとして税務署はひっくり返すことがあります。

定期贈与とは、合計の1100万円を贈与する目的で、それを毎年分割で払っていたとされた場合です。これを避けるためには贈与の都度きちんと契約書を作成し、現金渡しではなく銀行口座を通して資金移動をすることで記録を残すなど、一手間二手間かける必要があります。

贈与は相続税の節税対策として有効なツールともなりますので、「あげたつもり」の贈与にならないように注意しましょう。

ひとりっ子が家を買うと損する⁉︎ 「相続税減額対象から外れる」落とし穴

今回は相続時の節税効果がとても大きい『小規模宅地等の特例』について、ひとりっ子が利用する際の注意点についてみていきましょう。

■小規模宅地等の特例は、ひとりっ子相続でも効果大

もし、遺産が自宅のみの場合、相続税の支払いのために自宅を手放すようなことになっては困りますよね。そのような事態を避けるために、相続税には『小規模宅地等の特例』という制度があります。

小規模宅地等の特例とは、自宅などで一定要件にあてはまる居住用宅地の場合は、その評価額を8割減額するという制度です。つまり、実際の自宅の評価額が1億円だったとしても、2,000万円の評価となるわけです。評価額が圧縮されるので、それだけ支払うべき相続税は少なくなります。事業用宅地、貸付事業用宅地等でも小規模宅地等の特例は利用できますが、今回は居住用宅地についてみていきます。

ひとりっ子の場合、相続税の基礎控除額は3,600万円なので、実家が都心にある場合は、それだけで基礎控除額を超えてしまうこともあるでしょう。しかし、小規模宅地等の特例を利用できれば、相続税の負担を軽減することが可能です。基礎控除額が少ないひとりっ子だからこそ、その効果は大きいともいえるでしょう。ひとりっ子の相続税の計算方法は、前回のコラム 相続税は3人兄弟の23倍!「ひとりっ子相続で発生する」痛〜い問題点 で確認してくださいね。

■別居で持ち家の場合は、小規模宅地の特例が使えない

両親が亡くなり、その家をひとりっ子である子が相続する場合、小規模宅地等の特例を利用するには、いくつかの要件を満たさなければなりません。主なものをみていきましょう。

1)親と同居していた場合
 ・相続税の申告期限までその宅地等に居住・所有していること。

同居の子が親の家を相続する場合は、相続税の申告期限まで、つまり相続開始から10ヵ月の間、その宅地等に居住・所有をしていれば、小規模宅地等の特例を利用することができます。逆にいえば、10ヵ月以内に売却をしてしまうと、特例を使えなくなるので注意しましょう。

2)親と別居していた場合
 ・相続開始前3年間、自身または配偶者の所有する住居に住んだことがないこと
 ・相続税の申告期限までその宅地等を所有していること

別居の子が親の家を相続する場合は、注意が必要です。もし、子が自分名義の家に居住している場合は、小規模宅地等の特例を利用することはできません。配偶者名義の家も同様です。相続開始前3年間賃貸生活をしていること、つまり”家なき子”であることが、特例を利用できる要件となります。

3)2世帯住宅の場合
 ・親世帯、子世帯の住居をそれぞれ区分所有建物登記していないこと

2世帯住宅の場合も注意が必要です。例えば、親世帯、子世帯が別生計で、1階に親世帯、2階に子世帯が居住し、それぞれを区分所有建物登記していた場合は同居とはみなされません。つまり、親と別居、かつ、子は自分名義の家に居住していることになるため、小規模宅地等の特例を利用することができなくなります。

■ひとりっ子が住宅を購入する際の注意点

相続税の視点から考えると、ひとりっ子が家を購入する場合は、将来実家をどうするのか、家を購入することにより多額の相続税がかかることにはならないのか、などを考慮する必要があります。それらを判断するためには、まず親の財産がどのくらいあり、どの程度相続税がかかりそうなのかを一度試算してみるとよいでしょう。

しかし、子どもからはなかなか相続のことは言い出しにくいですよね? そのような場合、例えば家の購入を検討するタイミングで「自分が家を購入すると、小規模宅地等の特例というのが使えなくなるようなんだけど、うちの場合は大丈夫かな? 」など、さらりと聞いてみるのはいかがでしょうか?

また、もしすでに自宅を購入している方は、親が高齢になってきたら、親との同居をどうするか、自分の家をどうするかなど、相続、資産形成の視点から検討することも大切です。

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節税の第一歩は、相続税に関心をもつこと!

ちょうど先月友だちのおばあちゃんがなくなりました。僕らの世代(編集部35歳、男子)、そんなに多いわけではないですが、まだおじいちゃん、おばあちゃんがご健在という方もいらっしゃるかと思います。

で何の話かというと、相続税が増税になったのをご存じですか?こんなことを言うと、「相続税なんて、お金持ちだけにかかる税金でしょ、関係ないわ」と、返ってきそうですね。でも、相続税に無関心でいると、大切なお金を減らしてしまうかもしれません。少し関心をもってみませんか。

誰かが亡くなる時、多かれ少なかれ誰にでも関係のある話ですね。

相続税は、親がのこした財産の合計が、一定額を超えるときに、その超えた部分に対してかかる税金です。一定額を専門的に表現すると、「基礎控除額」となります。これが、一昨年までは、「5,000万円+1,000万円×法律で決められた相続人(以下、法定相続人)の数」でした。でも、昨年からは一気に40%も減って、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。

2014年まで:5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

2015年以後:3,000万円+600万円×法定相続人の数

親がのこしたマイホームや預貯金などの財産が7,000万円、これを子ども2人が相続するとします。親が亡くなったのが昨年中であれば、基礎控除額は7,000万円(5,000万円+1,000万円×2人=7,000万円)です。だから、子どもたちに相続税の負担はありません。

でも、親が亡くなったのが昨年なら、基礎控除額は40%も減って、4,200万円(3,000万円+600万円×2人=4,200万円)です。これを超える部分の2,800万円(7,000万円-4,200万円=2,800万円)に対する相続税は320万円にもなります。昨年だったらゼロだったのに。ちょっとビックリしませんか。

あんまりなので、親の財産を減らして、相続税を軽くすることを考えます。例えば、親から子どもたちに110万円ずつ贈与をすると、親の財産は220万円(110万円×2人)減りますね。結果、相続税は287万円です。30万円以上も節税できる計算になります。関心をもって対策をとることで、手元から出ていくお金を減らせるのです。

ところで、基礎控除額の計算はともかく、相続税の把握やその対策の検討には、それなりの専門知識が必要になります。税理士などの専門家の力を借りるものいいでしょう。

また、相続対策は、親の協力があってこそうまくいくものです。親の財産について、あれこれと口出しをするのは気が重いものですが、子どもたちだけで騒いでみたところで、前に進みません。親子で関心をもてるよう、前向きに取り組んでみてください。

それは今後の家族の関係性にも多分に関わってくる問題です。いつかやろうはバカヤローまでは言いすぎですが、いつ家族にどんな事態が起こるかわかりません。何かの機会にお話ししてみることをオススメします。

※税計算において、記載のない条件は考慮していません。

正妻VS愛人は…昔からあった泥沼相続⁉︎「光源氏の遺産相続」

将来の収入の1つに親族からの遺産がありますが、果たして自分はどれくらいもらえるのでしょう。たくさんの人間関係に囲まれた光源氏を例にお話しします。

■1.正妻は強し

奥さんは家族・親族の構成にかかわらず、常に相続人になります。ただし、正妻のみで、内縁の妻・愛人などは法定相続人にはなりません。

葵の上:最初の正妻ですから、もし生きていれば相続権がありましたが、残念ながら光源氏よりも早く亡くなったので相続できません。

女三宮:次の正妻なので、法定相続人です。相続人が奥さんと子供の場合、奥さんは財産の半分を相続でき、この範囲までであれば相続税はかかりません。

紫の上:事実上の妻でしたが、籍は入っていないので、法定相続人にはなれません。光源氏が遺言で紫の上にも遺す旨を言っておかないと、何ももらえません。(相続ではなく、「遺贈」といいます)

その他愛人の皆さんは、紫の上と同じ扱いで、相続はできず、光源氏が遺言を残さなければ何ももらえません。

■2.子供にも違いがある

相続の観点から、子供はいくつかに分類されます。正妻との間にできた子(嫡出子)、愛人との間にできた子(非嫡出子)、養子です。

夕霧:彼は葵の上との間にできた子です。物語の上では葵の上とは死別ですが、たとえ光源氏と葵上が離婚だったとしても夕霧は実子なので、法定相続人になります。

明石の姫君:明石の上との間にできた子ですが、養女として迎え入れていますので、非嫡出子ではなく養子の扱いです。民法上、実子と同じ扱いです。

玉鬘:夕顔と頭中将の子であり自分の子ではありませんが、自分の子として迎え入れていますので、養子という扱いです。

秋好中宮:六条御息所と前坊の子であり自分の子ではありませんが、養子に迎え入れています。

薫:本当は女三宮と柏木の間にできた子で自分の子ではないのですが、事実を露呈できず自分の子とするしかないので、実子という扱いになるでしょう。

冷泉帝:薫とは逆に、藤壺との間にできた自分の子ですが、それは口外できず異母兄弟ということになっているので、法定相続人にはなりません。しかし兄弟なので、光源氏に子供も親もいなければ相続権が発生します。

源氏物語を読んでからこれを読むか、これを読んでから源氏物語を読むか、ぜひ相続の参考にしてください。

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賃貸vs持ち家どっちがいい?おひとりさまの老後資金計画「住宅の選び方」

人生の3大資金の一つ、マイホーム購入。既婚者は、子どもができるタイミングなどで検討する人も多いですが、おひとりさまの場合は、どう考えたらいいのでしょう。

そもそも、おひとりさまに優しいのは賃貸と持ち家どっち?それぞれの特徴を確認しながらみていきましょう。

■賃貸のメリット

賃貸は、生活スタイルの変化に合わせて何度でも住み替えられるのが魅力。

たとえば、転勤のある会社に勤めている人や、転職したときでも、身軽に職場に近い場所に移れフレキシブルに動けます。

入居時に敷金などの諸経費はかかりますが、住宅購入のようなまとまった資金は必要ないので、手元の貯金を大きく減らさずに済み目先の安心につながります。

■賃貸のデメリット

一方、デメリットは、家賃の支払いが住んでいる間ずっと続くこと。長生きをすればするほどトータルのコストは膨らみます。

また、高齢になってバリアフリーにしたくても、通常は様式変更ができません。だからと言って生活しやすい間取りに移り住むにしても、高齢者は貸してもらえないリスクがあります。

■持ち家のメリット

持ち家は、ずっと住み続けられる、自分だけのお城が持てるのが大きな魅力。住宅ローンさえ終われば毎月のランニングコストは掛からず、リフォームなども自由です。

また、持ち家は資産になるため、先々、賃貸や売却で収入を得ることもできます。

■持ち家のデメリット

持ち家がマンションなら管理費や修繕積立金が毎月かかり、戸建ての場合は外壁などのまとまったメンテナンス費用が発生するので、これらを含めたマネープランが必要なこと。

また、転勤がある人は、マイホームを購入したあとに引っ越さなければならない可能性もあります。その場合、転勤先で部屋を借りなければならず、会社から補助があったとしても支出は増加。

もちろん、持ち家を賃貸に出す選択もありますが、借り手がつかないときは、住宅ローンと家賃の2重負担になってしまします。やむを得ない事情で引っ越すときの、家計のやり繰りは、事前に考えておきたいものです。

他には、ライフプランが大きく変更になる可能性も考えておきましょう。たとえば、今は結婚しないつもりでも状況が変わるかもしれません。その場合、夫婦でそこに住むのか、賃貸に出すのか、売却するのかを決めなければなりません。

対策として、人生が大きく方向転換したときのために、たとえば立地のいい物件にするなど、貸したり売ったりしやすくしておくのもひとつです。

■さいごに

このように、賃貸と持ち家の損得は一概に比較できません。
将来施設に入りたいのか、実家が持ち家なのかなども含め、自分の希望や置かれている環境によってベストな選択は違うのです。

自身の生活を先々まで想像しながら、どう過ごしたいかを心に聞き、ライフ&マネー&ハウスプランを組立てていきましょう。

<大好評おひとりさまシリーズ>
老後貧乏を回避!「おひとりさまの老後資金計画」基本4ステップ
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