どうなるトランプ相場、新たな展開へ【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

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■1月第3週の見通し(2017/1/16)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「トランプ新大統領誕生で新たな流れ」
先週はトランプ氏の会見を挟んでドル円は激しい動きの中で113円台に突入するなど上値の重い展開が続きました。

週初は日本が祝日の中でドル円は前週末の流れを継ぎ117円ミドルまで上昇するなど堅調な地合いでスタートしました。しかし、メイ英国首相の発言があり、ブレグジットへの懸念が再燃。ポンドが急速に売られたことでリスクオフの円買いの動きが強まり、ドル円は115円前半に下落。このレベルは118円ミドルを天井としたダブルトップのネックラインとして意識され下げ止まりました。

また、次の日のトランプ氏の会見への期待が高まり116円ミドルまで上昇。しかし、その後の会見では期待された財政政策や税制改革への具体的な内容が示されませんでした。

そして、中国や日本に対し名指しで貿易赤字に強い不満を示したことからドルは下落に転じました。ドル円は重要なサポートとされた115円を割り込み113円75銭まで下落。このレベルでは流石に実需の買いなどが入り115円ミドル付近まで反発しました。しかし、その後再び115円を割り込み先週のNYは引けてきました。

トランプ政権への期待の後退でこれまで上昇したドルや株式も一服感が漂う中、米長期金利の低下がドル円を押し下げた格好となりました。

今週金曜日はいよいよトランプ政権がスタート。
就任演説で具体的な政策内容が示されるようなら再び期待感が高まり金利が上昇し、ドル高の流れが始まる可能性が高まるかもしれません。
反対に、期待が不安感に繋がるようならドル売りと同時にリスクオフの円買いが強まりドル円は113円割れも視野に入ります。

ただ、トランプ新大統領は巨額減税を柱とする経済再生計画を100日で断行する構えを示しています。このハネムーン期間は少なくとも期待は継続されると思われ、ドルも一時的な下落があっても底堅い動きが続くと考えられます。

参考
トランプが劇的勝利!政策から紐解く「世界情勢&日本への影響」どうなる?
トランプショックで金相場大荒れ!「新大統領と金の値段」今後の予想は…

今週はイエレン議長も含めFOMCメンバーの発言も相次ぎ、その内容次第で米長期金利は不安定な動きが予想されます。また、ECBの理事会も開かれます。

先月の会合でドラギ総裁はテーパリング(量的金融緩和の縮小)については話し合われなかったことを明らかにしました。しかし、欧州景気の回復や米国経済への期待の高まりから市場はテーパリングが近いとの見方が目立ち始めています。もし、テーパリングの可能性が示されるようならユーロは対円でも買われることからドル円の押し上げ要因ともなりそうです。

今週のドル円予想レンジは117円50銭から113円00銭とみています。

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  • トランプ相場、新たな展開!【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

執筆者

岡安 盛男 (おかやすもりお)

レグザム・フォレックスLLC (http://fx-okayasu.com/)代表、為替アナリスト                                                 外資系銀行に20年間在籍、1999年より為替デイトレーダーとして独立後は、 自身のトレードスタイルを確立、実践的な為替投資の啓蒙活動の他、FXスクール講師やFX会社向けの情報提供サービス、投資家向け情報レポートを展開(http://www.gladv.co.jp/members/fx_bible/)。ラジオ日経「岡安盛男のFXトレンド」、日経CNBCの「朝エクスプレス」など出演中。執筆多数。

岡安 盛男

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中国懸念は後退…やっぱりドル高継続!【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

■1月第2週の見通し(2017/1/9)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「中国懸念の後退でドル高継続」
昨年に続きドル円は年初から荒っぽい動きで始まりました。
昨年末のドル円はクリスマスや正月休みを控えトランプラリーのドル買いに対するポジション調整の売りに押されて終了しました。しかし、その調整も、高値118円65銭から117円付近で終えるなど小幅なものにとどまりました。

ポジション調整が一巡したドル円は年初から118円60銭まで上昇。昨年末の高値とほぼ同レベルまで買われたものの、結局上抜けに失敗。その後は下落に転じました。

日本が正月休み明けとなる4日未明には昨年12月に行われたFOMCの議事要旨が公開され、市場の注目が集まりました。メンバーは利上げの理由として雇用や物価の上昇を挙げました。また、今年は3回の利上げを予想しましたが、そこにはトランプ政策による影響は考慮されていませんでした。

議事要旨によればほぼ全員がトランプ次期政権で景気上振れリスクがあるとみていることが明らかとなり、市場はドル買いで反応しました。しかし、同時にドル高への懸念も示されたことから最終的に押し戻されるなどドルの重さが優勢となりました。

その日の東京市場では中国人民元の金利が一気に急上昇したことでドルが急落。ドル円は117円を割り込み115円台まで下落。ファンド勢のポジションの巻き戻しを狙ったものとの見方が広がりました。

市場は昨年1月のチャイナショックの記憶もあり、リスク回避の円高も同時に進行。結果的にドル円は115円06銭まで売り込まれました。115円の節目を下回るようなら本格的な巻き戻しが始まるのではといった見方もありました。

しかし、その後発表された米12月雇用統計が総合的に好調な結果を示したことでドルは再び上昇に転じました。
ドル円は117円台を回復し、NY株式市場も三指数ともに上昇するなど、悲観的な見方は後退。一旦は低下した米長期金利も再び上昇に転じるなど、ドル高円安の流れに再び戻り始めたと見てよいかもしれません。

今週は米国国債の入札や米企業の決算、そして中国の重要な経済指標などが発表されます。
中国への懸念が後退してきたことや好調な米経済指標などを背景に、再びドル円は120円を狙う動きが強まると予想します。ただ、新年が始まったばかりで方向感を探る動きが続いており、一時的な円高リスクには注意が必要です。

今月20日からトランプ大統領が誕生し、その発言や実効性に市場の期待と警戒感が入り混じる相場展開が始まります。

今年も昨年と同様ダイナミックな相場展開が予想されます。
本年も引き続きよろしくお願いします。

今週のドル円予想レンジは119円00銭から116円00銭とみています。

参考:
年末年始「日本・海外の株式市場」休日&経済指標イベント まとめ
トランプが劇的勝利!政策から紐解く「世界情勢&日本への影響」どうなる?

2016年最終週のドル円予想は?【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

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為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「年末最後の週は次の流れを示唆」
先週はクリスマス休暇や日本の連休を控え全般にポジション調整の動きが見られました。

ドル円は前週に開かれたFOMC会合後に118円66銭を高値に、利食い売りなどが入り116円ミドルまで下落しました。その後ドル円は117円ミドルを中心とした保ち合いに入りました。先週は日銀会合が開かれ、1年7か月ぶりに景気先行判断を上方修正。これまでの緩和政策を継続するとともに長期金利も0%程度に抑えることを決定。黒田総裁は急速な円安に対し「驚く水準ではない」「今年の2月に戻っただけだ」とし、円安を容認する姿勢を示しました。この発言後ドル円は118円前半まで上昇しましたが結局前回の上値を超えられませんでした。

NY市場では米7-9月期GDPや各住宅販売指数、そして耐久財受注などの重要経済指標はそれぞれ予想を上回る好調な結果を示しました。しかし、市場はクリスマス休暇を控えドル買いの動きは限定的となりました。

クロス円も全般にポジション調整による利食い売りなどが散見され、上値が抑えられました。しかし、これまで急速に進んだドル高や円安などを見ると小幅調整に留まりました。
これは、市場全体のポジションがそれ程偏っていないことを示すものと考えられます。

今週月曜日の海外市場のほとんどが休場。火曜日もNY以外の主要な市場は休場となるため、本格的に相場が動き出すのは水曜以降になると予想されます。昨年はFRBが9年はぶりに利上げを実施し、その後中国株価の下落から金融不安が拡大。ドル円も120円付近から下落に転じました。
FRBは先週利上げを実施。来年の利上げ見通しも昨年と同様に引き上げました。
市場には今年も中国や新興国などを中心に金融不安が再び起きるのではといった警戒感が燻ぶります。

これまでも、急速なドル上昇への警戒感が寧ろドルロングポジションを持ちにくくした経緯があり、その状況は現在も続いているという事になります。

今週も米国景気指標や住宅関連指標が発表されます。これらの指標が先週と同様に米国経済の強さを示すようなら休暇明けの海外勢によるドル買いが再開する可能性が高まりそうです。そうなればドル円は120円の大台乗せも十分視野に入ります。

今週は来年の相場を占う上で重要な週でもあり注目しましょう。年末年始の市場スケジュールや、チェックしておくべき主要イベント等は年末年始「日本・海外の株式市場」休日&経済指標イベント まとめで確認しておきましょう。

今週のドル円予想レンジは121円50銭から116円50銭とみています。

トランプが劇的勝利!政策から紐解く「世界情勢&日本への影響」どうなる?

米大統領選挙は、現地時間11月8日の当日どころか開票が始まってしばらくすると、クリントン氏有利の前評判を覆して、トランプ氏大逆転勝利。

速報がトランプ氏有利に傾くにつれて、為替相場は円高、株式市場は下落と、EU離脱を問う6月23日の英国国民投票と同じ流れが、今回も起きました。

■トランプ大統領の誕生で起きること

トランプ大統領誕生で、米国はどのような道を歩むのでしょうか。まず、彼が掲げている政策を見ていきましょう。マスコミの言うことを鵜呑みにしないで自ら確かめてください。

トランプ氏の主張は、移民反対・所得税の単純化や減税(実はお金持ち有利)・TPP反対・オバマケア反対などが中心。行き過ぎたグローバル化や環境規制に反対し、保護貿易主義・環境協定からの脱退などを訴えてきました。ここの方向転換がこれまでとの違い。TPP実現はどうなることやら、、、。

■トランプ氏の主張する政策一覧

大逆転!トランプ大統領誕生の情勢、マネーゴーランド

いかがでしょう。これ、日本の貿易黒字のせいで、米国が苦しんだ1980年代からのバブル時代に米国が取っていた政策に似ています。外交は、仮想敵国をソ連にして圧力をかけた共和党のレーガン&ブッシュ氏が大統領だった時期。

この時は、経済面で日本に対して、牛肉・オレンジ・自動車と様々な圧力がかかりました。今は、日本よりも中国が米国の雇用を奪っているという意識が強い点が当時との違い。つまり、米国の圧力を最も受けるのは、日本よりも中国です。懸念点として、中国にかなり厳しいことになるのではと予想。ここは、経済面・軍事面の双方で、隣国として非常に心配。

次に大事なのは、大きく流れが変わるグローバル化の点。これまでのグローバル経済推進・環境重視の流れから、保護貿易・規制緩和型へと米国は大きく舵を切ることになりました。議会でも共和党が上下両院を握る可能性が高く、そうなると大統領の政策実行力も上がります。

あまり、日本では、話題になっていませんが、「環境・安全・健康などの規制」によって、迷惑をこうむっている人・企業が多数あることは大事な点。特に都市ではなく、郊外の自営業者や中小企業・土地を所有する人達が「過剰な規制」によって、様々な問題を抱えています。

■トランプ大統領によって世界で起きるであろうこと!

●世界の警察
強い米国を取り戻し、軍事力増強の意向から、オバマ大統領が放棄した「世界の警察」の役割を強めるのではないかと考えます。もっとも米国一国ではなく、他国を巻き込んでいく方向で、力を発揮するでしょう。IS国打倒をはじめとした過激派勢力との対立・中国への圧力強化などが起きえるシナリオ。兵士ではなく兵器とサイバー部隊・後方支援部隊を出せば、米経済にはプラス。

●米ドル/円相場への政治的圧力
トランプ氏の発言・主張を見ていると、他国の通貨安誘導を強くけん制していること、米国内の製造業を大事にすることが経済面での柱。性格的にもパフォーマンス好きで強い発言を好むことから、日本に対しても強い態度で臨むはず。そのため、米国はドル安に誘導する可能性が高い分、日本はトランプ政権が続く間は、円高圧力が起きやすいでしょう。

●中長期的な株式市場
トランプ氏は何をするか分からないとの考えから、一時的にリスクオフで株安に動く公算大。実際、11月9日の日経平均株価は、919円84銭の大幅安。しかし、政策自体を見ると、株式市場に優しい政策が目白押し。トランプショックが収まった後に、インフラ整備への支出・規制緩和が実行されれば、株式市場が回復する可能性があります。ただし、米企業との競争に敗れた場合、為替の円高とあわせて日本株は下がるリスクあり。

もっとも、株価については、FRB・ECB・日銀の利上げや緩和終了の影響も大きいことをお忘れなく。

■トランプリスクのシナリオも見ておきましょう。

1、保護貿易から戦争へと・・・
トランプ氏の主張する保護貿易が、戦争を引き起こす可能性があることは、第一次・第二次の世界大戦が起きたことからも分かる通り。トランプ反対派はここへの懸念が大。トランプ大統領の誕生で、各国の競争・格差が広がり、最後は武力に物を言わせることになれば最大のリスク。

2、威圧的な性格が敵を作る
エキセントリックで威圧的なトランプ大統領。各国の首脳や国民を怒らせることで余計な敵を作る可能性あり。これもまた、世界中で争いのタネをまき散らして、戦争や訴訟が増えるリスクがあります。また、金融市場にとっては、余計な発言を繰り返して波乱の原因になると思います。

勝利演説では、ヒラリー・クリントン氏を称え、米国を癒し団結させると話したトランプ氏。米国を再生させる偉大な大統領となることを願います。

ビットコインが急落!世界が大慌て「人民元とビットコインの深い関係」

仮想通貨のビットコインが1月5日に急落。2016年に上昇を続けていたビットコイン相場は、ここにきて値動きが上下に激しくなる乱高下に見舞われています。

現在のビットコインの状況を確認してみましょう。まず、簡単にビットコインをおさらいします。

■ビットコインとは

ビットコインは、インターネット上で流通する仮想通貨。通常のお金と違い、国や中央銀行が発行するものではなく、ビットコインのネットワーク上で信用が形成されている。ネット上での売買や購入時の決済に利用できる。

このビットコイン、新しいモノ好き及び現在の通貨制度に疑問を持つ人がこぞって取引していました。そして、自国通貨の利便性が悪い国で人気化しており、昨年に大きく価格が上昇。

代表的な国が中国。中国は人民元を海外に持ち出す・交換する時に、様々な制限を掛けています。そのため、ビットコインを保有するニーズが高い国の一つ。

■ビットコインと人民元の関係

ビットコインの取引高が一番多いと言われている国が中国。ただ、正式な統計データはまだない模様。それでも、ビットコインと中国の通貨「人民元」の価格を見ていると、取引量の多さが裏付けられます。

中国本土では、人民元を大量に保有することにリスクを感じ、他の代替資産を探してビットコインを購入しているのでしょう。特に昨年は、人民元安が進んだ年であり、その分、ビットコインの価格は上昇しました。

●米ドル/人民元の週足チャート=人民元安の動き
米ドル/人民元の週足チャート、マネーゴーランド
データ出典:investing.com

2016年のはじめは、1ドル=6.5人民元。年末には6.9人民元を超えて7人民元近くまで進みました。

●ビットコイン/米ドルの週足チャート=ビットコイン高の動き
ビットコイン/米ドルの週足チャート、マネーゴーランド
データ出典:investing.com

こちらは、年初に1ビットコイン430ドルだったのが、年末に985ドルまで上昇。さらに、2017年1月5日は、1150ドルまで上昇しました。

上のグラフは、米ドル/人民元と1ドルあたりの人民元価格を表示。下のグラフは、1ビットコインあたりの米ドル価格を表示しています。

2016年の動き=人民元安・ビットコイン高

このように、人民元とビットコインには、「人民元が安くなると、ビットコインが高くなる」という逆の動きをすることが分かります。

昨年、ビットコイン相場が上昇したのは、人民元安を嫌った中国市場の買い及びそれに乗った投機筋というシナリオ。ということは、逆に、人民元が高くなるとビットコインは安くなりますね。

今年の1月5日にまさにその事態が生じました。中国が短期市場への資金供給を絞り、短期金利が急騰したことから、人民元が急上昇。そのため、ビットコインが急落。

■中国政府によるビットコインの規制

中国政府と中国人民銀行は、ビットコインを通貨としては認めていないが、仮想通貨・仮想商品として利用するのは可能としています。そして、時折、中国政府がビットコイン取引を禁止・規制するとのニュースが流れて、ビットコインは一時的な下落に見舞われます。

1月6日にも、中国人民銀行は、中国国内のビットコイン取引業者を呼び出して、ヒアリングをおこなったとの声明を出しました。これも、ビットコイン下落の要因です。

これから、中国は旧正月を迎える中で、1~2月は中国発の経済ニュースに敏感になっておきましょう。

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