【2017年為替市場予想】トランプ大統領就任&欧州選挙…波乱含みの予感

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■1月第1週の見通し(2017/1/2)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「申酉騒ぐ」
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

昨年の為替相場は一年を通してダイナミックな展開となりました。
1月はチャイナショックで世界の金融市場に衝撃が走りドルは下落に転じました。FRBの利上げペースが早まるとの見通しから中国や新興国から資金が流出したためです。その同じ月の終わりには日銀がマイナス金利を導入。ドル円はこの政策により押し戻されましたが、すぐに下落に転じました。銀行の負担が寧ろ嫌気された逆効果と市場は受け止められました。その後もドル円の下落は止まらず、6月23日のブレグジットショックでは大台の100円を割り込み一時的に99円まで売り込まれました。その後は買い戻されましたがリスク回避の円買いの動きは続きます。

そして、11月8日の米国大統領選では大方の予想を覆し、トランプ氏が次期大統領に当選。市場はトランプ氏が当選すればドル円は100円を再び割り込み95円とか90円という円高ドル安に向かうとの見方がありました。しかし、結果は101円手前で下げ止まり、その後は大幅上昇となるなど予想外の展開となりました。ドル円はその後ひと月半で118円65銭まで17円余り上昇。年初のレベルである120円近くまで押し戻されるなど、往って来い。

一年を通してみれば上下合わせて40円近く動くダイナミックな相場展開となりました。
「申酉騒がしい」という格言通り今年も昨年と同様にダイナミックな相場展開が予想されます。

1月20日はトランプ大統領が就任。いよいよその手腕が問われます。100日で政策を断行すると豪語しただけに、それができないとなれば期待が失望に変わりかねません。そうなればドル円は一気に110円を割り込むような状況が想定されます。

参考:トランプが劇的勝利!政策から紐解く「世界情勢&日本への影響」どうなる?

反対に、期待に沿った結果となればインフレが高まり金利が上昇。日米金利差拡大でドル円は130円方向に向かうと予想されます。

また、来年は欧州の選挙の年になります。
春にはオランダやフランス、そして9月にはドイツの選挙が開かれます。イタリアも前倒し選挙になる可能性があります。もし、極右政党が勢力を伸ばすようならEUからの離脱が相次ぎユーロの存続自体が危ぶまれます。そうなればユーロが下落し、リスク回避の円高に繋がるでしょう。
そうではなく、現行の政治状況が継続されるようならユーロへの安心感が広がり円安が進むことになります。

参考:年末年始「日本・海外の株式市場」休日&経済指標イベント まとめ

いずれにしても、今年のドル円は昨年に引き続き波乱含みの展開が予想されます。

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執筆者

岡安 盛男 (おかやすもりお)

レグザム・フォレックスLLC (http://fx-okayasu.com/)代表、為替アナリスト                                                 外資系銀行に20年間在籍、1999年より為替デイトレーダーとして独立後は、 自身のトレードスタイルを確立、実践的な為替投資の啓蒙活動の他、FXスクール講師やFX会社向けの情報提供サービス、投資家向け情報レポートを展開(http://www.gladv.co.jp/members/fx_bible/)。ラジオ日経「岡安盛男のFXトレンド」、日経CNBCの「朝エクスプレス」など出演中。執筆多数。

岡安 盛男

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■12月第4週の見通し(2016/12/26)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「年末最後の週は次の流れを示唆」
先週はクリスマス休暇や日本の連休を控え全般にポジション調整の動きが見られました。

ドル円は前週に開かれたFOMC会合後に118円66銭を高値に、利食い売りなどが入り116円ミドルまで下落しました。その後ドル円は117円ミドルを中心とした保ち合いに入りました。先週は日銀会合が開かれ、1年7か月ぶりに景気先行判断を上方修正。これまでの緩和政策を継続するとともに長期金利も0%程度に抑えることを決定。黒田総裁は急速な円安に対し「驚く水準ではない」「今年の2月に戻っただけだ」とし、円安を容認する姿勢を示しました。この発言後ドル円は118円前半まで上昇しましたが結局前回の上値を超えられませんでした。

NY市場では米7-9月期GDPや各住宅販売指数、そして耐久財受注などの重要経済指標はそれぞれ予想を上回る好調な結果を示しました。しかし、市場はクリスマス休暇を控えドル買いの動きは限定的となりました。

クロス円も全般にポジション調整による利食い売りなどが散見され、上値が抑えられました。しかし、これまで急速に進んだドル高や円安などを見ると小幅調整に留まりました。
これは、市場全体のポジションがそれ程偏っていないことを示すものと考えられます。

今週月曜日の海外市場のほとんどが休場。火曜日もNY以外の主要な市場は休場となるため、本格的に相場が動き出すのは水曜以降になると予想されます。昨年はFRBが9年はぶりに利上げを実施し、その後中国株価の下落から金融不安が拡大。ドル円も120円付近から下落に転じました。
FRBは先週利上げを実施。来年の利上げ見通しも昨年と同様に引き上げました。
市場には今年も中国や新興国などを中心に金融不安が再び起きるのではといった警戒感が燻ぶります。

これまでも、急速なドル上昇への警戒感が寧ろドルロングポジションを持ちにくくした経緯があり、その状況は現在も続いているという事になります。

今週も米国景気指標や住宅関連指標が発表されます。これらの指標が先週と同様に米国経済の強さを示すようなら休暇明けの海外勢によるドル買いが再開する可能性が高まりそうです。そうなればドル円は120円の大台乗せも十分視野に入ります。

今週は来年の相場を占う上で重要な週でもあり注目しましょう。年末年始の市場スケジュールや、チェックしておくべき主要イベント等は年末年始「日本・海外の株式市場」休日&経済指標イベント まとめで確認しておきましょう。

今週のドル円予想レンジは121円50銭から116円50銭とみています。

トランプが劇的勝利!政策から紐解く「世界情勢&日本への影響」どうなる?

米大統領選挙は、現地時間11月8日の当日どころか開票が始まってしばらくすると、クリントン氏有利の前評判を覆して、トランプ氏大逆転勝利。

速報がトランプ氏有利に傾くにつれて、為替相場は円高、株式市場は下落と、EU離脱を問う6月23日の英国国民投票と同じ流れが、今回も起きました。

■トランプ大統領の誕生で起きること

トランプ大統領誕生で、米国はどのような道を歩むのでしょうか。まず、彼が掲げている政策を見ていきましょう。マスコミの言うことを鵜呑みにしないで自ら確かめてください。

トランプ氏の主張は、移民反対・所得税の単純化や減税(実はお金持ち有利)・TPP反対・オバマケア反対などが中心。行き過ぎたグローバル化や環境規制に反対し、保護貿易主義・環境協定からの脱退などを訴えてきました。ここの方向転換がこれまでとの違い。TPP実現はどうなることやら、、、。

■トランプ氏の主張する政策一覧

大逆転!トランプ大統領誕生の情勢、マネーゴーランド

いかがでしょう。これ、日本の貿易黒字のせいで、米国が苦しんだ1980年代からのバブル時代に米国が取っていた政策に似ています。外交は、仮想敵国をソ連にして圧力をかけた共和党のレーガン&ブッシュ氏が大統領だった時期。

この時は、経済面で日本に対して、牛肉・オレンジ・自動車と様々な圧力がかかりました。今は、日本よりも中国が米国の雇用を奪っているという意識が強い点が当時との違い。つまり、米国の圧力を最も受けるのは、日本よりも中国です。懸念点として、中国にかなり厳しいことになるのではと予想。ここは、経済面・軍事面の双方で、隣国として非常に心配。

次に大事なのは、大きく流れが変わるグローバル化の点。これまでのグローバル経済推進・環境重視の流れから、保護貿易・規制緩和型へと米国は大きく舵を切ることになりました。議会でも共和党が上下両院を握る可能性が高く、そうなると大統領の政策実行力も上がります。

あまり、日本では、話題になっていませんが、「環境・安全・健康などの規制」によって、迷惑をこうむっている人・企業が多数あることは大事な点。特に都市ではなく、郊外の自営業者や中小企業・土地を所有する人達が「過剰な規制」によって、様々な問題を抱えています。

■トランプ大統領によって世界で起きるであろうこと!

●世界の警察
強い米国を取り戻し、軍事力増強の意向から、オバマ大統領が放棄した「世界の警察」の役割を強めるのではないかと考えます。もっとも米国一国ではなく、他国を巻き込んでいく方向で、力を発揮するでしょう。IS国打倒をはじめとした過激派勢力との対立・中国への圧力強化などが起きえるシナリオ。兵士ではなく兵器とサイバー部隊・後方支援部隊を出せば、米経済にはプラス。

●米ドル/円相場への政治的圧力
トランプ氏の発言・主張を見ていると、他国の通貨安誘導を強くけん制していること、米国内の製造業を大事にすることが経済面での柱。性格的にもパフォーマンス好きで強い発言を好むことから、日本に対しても強い態度で臨むはず。そのため、米国はドル安に誘導する可能性が高い分、日本はトランプ政権が続く間は、円高圧力が起きやすいでしょう。

●中長期的な株式市場
トランプ氏は何をするか分からないとの考えから、一時的にリスクオフで株安に動く公算大。実際、11月9日の日経平均株価は、919円84銭の大幅安。しかし、政策自体を見ると、株式市場に優しい政策が目白押し。トランプショックが収まった後に、インフラ整備への支出・規制緩和が実行されれば、株式市場が回復する可能性があります。ただし、米企業との競争に敗れた場合、為替の円高とあわせて日本株は下がるリスクあり。

もっとも、株価については、FRB・ECB・日銀の利上げや緩和終了の影響も大きいことをお忘れなく。

■トランプリスクのシナリオも見ておきましょう。

1、保護貿易から戦争へと・・・
トランプ氏の主張する保護貿易が、戦争を引き起こす可能性があることは、第一次・第二次の世界大戦が起きたことからも分かる通り。トランプ反対派はここへの懸念が大。トランプ大統領の誕生で、各国の競争・格差が広がり、最後は武力に物を言わせることになれば最大のリスク。

2、威圧的な性格が敵を作る
エキセントリックで威圧的なトランプ大統領。各国の首脳や国民を怒らせることで余計な敵を作る可能性あり。これもまた、世界中で争いのタネをまき散らして、戦争や訴訟が増えるリスクがあります。また、金融市場にとっては、余計な発言を繰り返して波乱の原因になると思います。

勝利演説では、ヒラリー・クリントン氏を称え、米国を癒し団結させると話したトランプ氏。米国を再生させる偉大な大統領となることを願います。

クリスマス休暇でも上値期待続く!? 【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

■12月第3週の見通し(2016/12/19)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「クリスマス休暇で市場の流動性が低下」
先週ドル円は今年2月以来の高値118円台に上昇するなど、第二弾のドル高がスタート。
先週は今年最後のビッグイベントとなるFOMC会合が開かれました。会合では今年初めてとなる0.25%の利上げを決定しましたが、市場は既に織り込んでいたことから反応は見られませんでした。一方、メンバーによる来年の利上げ見通し、いわゆるドットチャートは前回の2回から3回の利上げに修正されました。市場は更なる引き締め観測を確認したことからドルは全面高となりました。また、イエレンFRB議長は最近のドル高や米長期金利の急速な上昇に対して懸念を示さなかったこともドル買いに安心感を与えました。

今回のFOMCでの金利見通しはトランプ次期大統領の政策期待が全く考慮されていませんでした。もし、期待通りトランプ政策が実施されるようならインフレが上昇し来年の利上げペースは予想以上に早まることになるでしょう。実際にFOMC後米国長期債利回りは2014年9月以来の高い水準となる2.6%まで上昇。既に市場は更なる利上げを催促する格好となっています。

一方、日銀は日本の10年債利回りを0%付近で釘付けしようとしていることから、日米金利差は拡大しドル円の上昇の余地を大分残すことになります。

ドル円はFOMC直後に115円付近まで下落した後一日で118円65銭まで3円50銭余り上昇しました。週末にはドル高の修正の動きが入り117円50銭付近まで押し戻されましたが調整幅としてはこれまでと同様に小さいものとなりました。

今週は週末にクリスマス休暇でほとんどの市場が休場となります。また、日本も23日は天皇誕生日で祝日となることから、市場の流動性は極端に低下することになります。
その薄商いの中でこれまでのドル上昇の反動が出るとの見方もあります。しかし、FOMC前後の相場の動きをみるとそれ程ドルの買い持ちポジションの偏りが見られませんでした。
昨年12月のFOMCでは9年半ぶりの利上げを実施し、その後中国株価下落を機にドル円は下落に転じました。

しかし、今年の中国経済は安定していることや原油価格も上昇するなど状況は異なります。今年は予想外の結果が多く、調整は小幅に止まる中でドル円は昨年のNY終値となる120円前半を目指す展開を予想しています。

流動性の低下した市場は動き出すと一方向に動きやすく、取引は慎重に行うようにしましょう。

今週のドル円予想レンジは120円20銭から116円70銭とみています。

ドル円上昇第二幕か!? 【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

■12月第2週の見通し(2016/12/12)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「ドル円上昇第二幕」
先週は週初にイタリア国民投票の結果が否決となったことでユーロが下落し、同時にリスク回避の円高も強まりました。しかし、結果はほぼ予想通りという事もありその後は買い戻されるなど大きな混乱は回避されました。ただ、米国長期金利は前週に引き続き一服感が漂う中でドル円の上値も抑えられました。

しかし、米ISM非製造業景況指数やその他の米経済指標は好調な結果を示すなど米経済への期待からNY株式市場は連日史上最高値を更新。また、原油価格も週末のOPECと非加盟国との減産協議への期待から上昇。株高原油高によるリスク選好の動きから円安の動きが強まると、ドル円は114円を挟んでの底堅い動きが続きました。

先週最も注目を集めたのはECB理事会では来年3月に期限の来るQE(量的緩和)を12月まで延長。同時にこれまで毎月800億ユーロを600億ユーロに縮小することも決定しました。市場はQEの規模縮小は緩和政策の終了に向かって動き出す、いわゆるテーパリングに入ったとの見方から発表後ユーロドルは上昇しました。しかし、ドラギ総裁はテーパリングについては議論していないことを明らかにしました。また、期間延長は緩和政策の継続とみてユーロは下落に転じました。

緩和政策の継続と受け止められ市場には安心感が広がり、NY株式市場は三指数ともに上昇。NYダウは史上最高値を連日更新するなどリスクオンの動きにより円売りが強まりました。
また、それまで停滞を続けた米国長期金利も上昇に転じドルは全面高となりドル円は114円ミドル付近まで押し上げられました。

欧州の長期金利も米国金利の上昇に攣られて上昇する中で、日本の10年債利回りは依然として0%近いレベルで抑えられています。結果的に日米だけではなく欧州との金利差が拡大することで円売りの動きが今後も強まるとみてよいでしょう。また、先週はソフトバンクが米国に500億ドルの投資を行う事を決定したこともドル円の下支えとなりそうです。

今週は今年最後のビッグイベントとなるFOMC会合が開かれます。既に今回の会合では利上げが織り込まれており市場の注目は来年の利上げペースに移ります。FOMCメンバーがこれまでよりも早いペースでの金利上昇を予想する可能性が高く、ドル円の上昇は更に加速することになりそうです。

ドル円上昇の第二幕が始まりとみる事も出来そうです。

今週のドル円予想レンジは117円50銭から113円50銭とみています。

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