クリスマス休暇でも上値期待続く!? 【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

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■12月第3週の見通し(2016/12/19)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「クリスマス休暇で市場の流動性が低下」
先週ドル円は今年2月以来の高値118円台に上昇するなど、第二弾のドル高がスタート。
先週は今年最後のビッグイベントとなるFOMC会合が開かれました。会合では今年初めてとなる0.25%の利上げを決定しましたが、市場は既に織り込んでいたことから反応は見られませんでした。一方、メンバーによる来年の利上げ見通し、いわゆるドットチャートは前回の2回から3回の利上げに修正されました。市場は更なる引き締め観測を確認したことからドルは全面高となりました。また、イエレンFRB議長は最近のドル高や米長期金利の急速な上昇に対して懸念を示さなかったこともドル買いに安心感を与えました。

今回のFOMCでの金利見通しはトランプ次期大統領の政策期待が全く考慮されていませんでした。もし、期待通りトランプ政策が実施されるようならインフレが上昇し来年の利上げペースは予想以上に早まることになるでしょう。実際にFOMC後米国長期債利回りは2014年9月以来の高い水準となる2.6%まで上昇。既に市場は更なる利上げを催促する格好となっています。

一方、日銀は日本の10年債利回りを0%付近で釘付けしようとしていることから、日米金利差は拡大しドル円の上昇の余地を大分残すことになります。

ドル円はFOMC直後に115円付近まで下落した後一日で118円65銭まで3円50銭余り上昇しました。週末にはドル高の修正の動きが入り117円50銭付近まで押し戻されましたが調整幅としてはこれまでと同様に小さいものとなりました。

今週は週末にクリスマス休暇でほとんどの市場が休場となります。また、日本も23日は天皇誕生日で祝日となることから、市場の流動性は極端に低下することになります。
その薄商いの中でこれまでのドル上昇の反動が出るとの見方もあります。しかし、FOMC前後の相場の動きをみるとそれ程ドルの買い持ちポジションの偏りが見られませんでした。
昨年12月のFOMCでは9年半ぶりの利上げを実施し、その後中国株価下落を機にドル円は下落に転じました。

しかし、今年の中国経済は安定していることや原油価格も上昇するなど状況は異なります。今年は予想外の結果が多く、調整は小幅に止まる中でドル円は昨年のNY終値となる120円前半を目指す展開を予想しています。

流動性の低下した市場は動き出すと一方向に動きやすく、取引は慎重に行うようにしましょう。

今週のドル円予想レンジは120円20銭から116円70銭とみています。

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執筆者

岡安 盛男 (おかやすもりお)

レグザム・フォレックスLLC (http://fx-okayasu.com/)代表、為替アナリスト                                                 外資系銀行に20年間在籍、1999年より為替デイトレーダーとして独立後は、 自身のトレードスタイルを確立、実践的な為替投資の啓蒙活動の他、FXスクール講師やFX会社向けの情報提供サービス、投資家向け情報レポートを展開(http://www.gladv.co.jp/members/fx_bible/)。ラジオ日経「岡安盛男のFXトレンド」、日経CNBCの「朝エクスプレス」など出演中。執筆多数。

岡安 盛男

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ドル円上昇第二幕か!? 【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

■12月第2週の見通し(2016/12/12)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「ドル円上昇第二幕」
先週は週初にイタリア国民投票の結果が否決となったことでユーロが下落し、同時にリスク回避の円高も強まりました。しかし、結果はほぼ予想通りという事もありその後は買い戻されるなど大きな混乱は回避されました。ただ、米国長期金利は前週に引き続き一服感が漂う中でドル円の上値も抑えられました。

しかし、米ISM非製造業景況指数やその他の米経済指標は好調な結果を示すなど米経済への期待からNY株式市場は連日史上最高値を更新。また、原油価格も週末のOPECと非加盟国との減産協議への期待から上昇。株高原油高によるリスク選好の動きから円安の動きが強まると、ドル円は114円を挟んでの底堅い動きが続きました。

先週最も注目を集めたのはECB理事会では来年3月に期限の来るQE(量的緩和)を12月まで延長。同時にこれまで毎月800億ユーロを600億ユーロに縮小することも決定しました。市場はQEの規模縮小は緩和政策の終了に向かって動き出す、いわゆるテーパリングに入ったとの見方から発表後ユーロドルは上昇しました。しかし、ドラギ総裁はテーパリングについては議論していないことを明らかにしました。また、期間延長は緩和政策の継続とみてユーロは下落に転じました。

緩和政策の継続と受け止められ市場には安心感が広がり、NY株式市場は三指数ともに上昇。NYダウは史上最高値を連日更新するなどリスクオンの動きにより円売りが強まりました。
また、それまで停滞を続けた米国長期金利も上昇に転じドルは全面高となりドル円は114円ミドル付近まで押し上げられました。

欧州の長期金利も米国金利の上昇に攣られて上昇する中で、日本の10年債利回りは依然として0%近いレベルで抑えられています。結果的に日米だけではなく欧州との金利差が拡大することで円売りの動きが今後も強まるとみてよいでしょう。また、先週はソフトバンクが米国に500億ドルの投資を行う事を決定したこともドル円の下支えとなりそうです。

今週は今年最後のビッグイベントとなるFOMC会合が開かれます。既に今回の会合では利上げが織り込まれており市場の注目は来年の利上げペースに移ります。FOMCメンバーがこれまでよりも早いペースでの金利上昇を予想する可能性が高く、ドル円の上昇は更に加速することになりそうです。

ドル円上昇の第二幕が始まりとみる事も出来そうです。

今週のドル円予想レンジは117円50銭から113円50銭とみています。

ドル高調整の動きは継続か!? 【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

■12月第1週の見通し(2016/12/5)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「ドル高調整の動き継続」
先週はOPEC石油輸出国機構が8年ぶりの減産で合意したことから原油価格が上昇。市場は今回も合意に至らないのではといった観測が広がっていただけにサプライズの結果となりました。

この結果を受けリスク選好の動きが強まりドル円は114円80銭まで上昇しました。米長期金利も2.45%に上昇するなどドル高の流れが加速しました。しかし、NY株式市場は金利や原油価格の上昇に対して一部警戒感が広がり始めました。NYダウの上昇に対しナスダックやS&Pは売りで反応するなど各市場がまちまちの動きとなりました。

週末には注目の米国11月雇用統計の発表を控え東京市場でドル円は113円ミドルまで押し戻されました。欧州市場でもユーロやポンドなどに対してもドル売りが強まるなど、これまでの調整とみられる動きがみられました。

そして、発表された米国雇用統計は雇用者数が17.8万人と予想の18万人を若干下回りましたが、失業率は9年ぶりの水準となる4.6%まで低下しました。これを受け市場は売りと買いが交錯したものの、最終的にドル円は上値の重い展開で終了。

12月に入り米国大統領選後続いたドル高円安の流れにも変化が見え始めました。
先週のドルインデックスを見ると前週から低下するなど、ドル高に一服感が広がります。
一方、好調な米国経済指標や原油価格の上昇でリスクオンによる円安の流れが強まったことがドル円の下支えとなりました。

米国長期金利とドル円はこれまで連動する形で上昇してきましたが、ドル高ではなく円安が主流の動きが続いたことになります。

今週は週明けからイタリア改憲を巡る国民投票の結果が明らかとなります。もし否決となればレンツィ首相は退陣。イタリア大手銀行の一部の再建に支障が出て金融市場の混乱を招きかねません。そうなればリスクオフの円高が強まりドル円の下落が一段と強まる可能性があります。ただ、ECB中央銀行は結果次第でイタリア国債を買い支える姿勢を示していることから大きな混乱は回避されると思われます。

今年はブレグジットから始まり米国大統領選挙、そして今回のOPEC総会など、ことごとく予想が外れています。まさかの出来事が多く起こりましたが、GDPやその他の米国経済の拡大が見られます。更に、トランプ次期大統領の掲げる政策により、米国が世界のけん引役としても期待が高まります。市場のセンチメントは楽観的に傾いていることら、ドル高円安の流れは今後も継続するとみています。
今週のドル円予想レンジは112円50銭から115円50銭とみています。

トランプショックで常識外れの相場に…【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

■11月第3週の見通し(2016/11/21)

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「常識が通じない相場展開へ」

トランプ氏が次期大統領に決定したことで市場に大きな変革が起きました。世界中で驚きの声が聴かれましたが、それ以上に驚いたのがドル高と円安、そして世界同時株高になったことです。大統領選前にこの動きを予想できた人は殆どいなかったでしょう。寧ろトランプ氏が当選すればドルや株式市場は暴落するとの見方が大半でした。

トランプ氏は100日で大規模インフラ投資(10年で1兆ドル)や大型減税(法人税を現行の35%から15%へ)、輸入関税の引き上げや移民流入抑制などを挙げています。インフラ投資で新たな病院や学校建設への期待から既に銅などのコモディティー価格が上昇しています。また、輸入関税をかけることで輸入物価が上昇しインフレが進むことになります。更に、移民流入制限で国内の高い労働コストが企業の負担になり、それも物価上昇に繋がるものです。

これらが米長期債利回りの上昇に繋がり、結果的にドルが全面高となりドル円は110円を上抜けて111円近くまで上昇して引けてきました。米国長期金利が上昇したことを受け欧州や日本の長期金利も引きずられて上昇。日本の10年債利回りはマイナスからプラスに転じました。

日銀は金利を0%以下に抑えようと、債券市場では初の指値オペを実施しました。指値オペとはある一定のレベルで無制限に買いを入れるもので、金利の上昇を抑制することが出来ます。結果的に、円の金利が低下したことで日米金利差拡大からドル円の買いに繋がりました。

一方、金利上昇は株価にとってはこれまでネガティブ要因とされていたものが、世界的に株価が上昇。これまでの株価と為替の関係にも変化が見られました。

この動きは今週も継続されると予想されます。ただ、今週は日本の勤労感謝や米国の感謝祭など祝日を挟むために市場の流動性が低下。これまで上昇が続いたドル円の調整売りが強まるとの見方もあります。しかし、今回の相場の動きはこれまでの常識的な見方が通じなくなっています

今年の6月24日のブレグジットも含め、これだけ市場の予想が外れるという事は、これらの動きは偶然のものではなく、必然的に起きたと考えた方が良いかもしれません。
市場は依然としてドルの下落リスクに対する警戒感が根強く、ドルの買い遅れが目立ちます。

常識的には急速に上昇したドルの反動が入る可能性が高いとみるでしょう。しかし、常識が通じないとすれば今週も更にドル円は上昇する可能性が高いとみることが出来ます。
次のドル円の上値目途は115円付近とみています。

トランプ氏勝利から一ケ月!「ゴールド・為替・金利」世界の動きは?

米大統領選挙での劇的なトランプ候補勝利から数週間が経ち、金・為替・株価が様々な動きを見せています。そこで、各金融市場がどのような動きを見せたかを確認しておきましょう。

■NY金は大きく下がり、日中米の株価は上昇

大きく下がったのは、米ドル建ての金と白金。次に下落率が高いのは、メキシコ株とブラジル株。金が下がった理由は明らかに米国の長期金利上昇とドル高。それによって、金利を生まない金は大きく値を下げました。さらに、トランプ氏の政策は、当選前に報道されていたより、現実的では・・・という見方から安心感が広がり、金に逃げていた資金は、株式の方に流れ込んでいます。

トランプ後の世界はどうなった?金(ゴールド)・為替・金利の動きは、マネーゴーランド

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金は持っていても金利を生まないので、米国の金利が上昇する局面では、値下がりします。日本の金は、為替相場が大きくドル高円安に動いたため、NY金の値下がりと円安による値上がり分が相殺されて大きな動きはありません。

★金利上昇 ⇒ 金利を生まない金よりも、金利や配当を得られる国債や株式が有利

上昇率の高かった商品は、米ドル/円や豪ドル/円など。そして、NYダウや日経平均株価も上昇。意外なのが中国。トランプ候補は、中国を通貨安誘導・米国の雇用を奪う標的と認識していたことから、勝利によって中国株は下がるだろうとみられていました。

この理由として挙げられるのが、中国に圧力をかけることで、中国の市場開放が進むという見方。もう一つの理由は、米国が内向きになることで、中国はアジアへのインフラ投資や輸出を進めやすくなるという見方。高度経済成長時代に起きた日米貿易を巡る対立のように、対立はしても、米中ともに大人の対応ができるのではという楽観論中心で中国の株価も上昇しています。

■低金利時代は終わり政府の役割が変化

さて、ここまでの金融市場を見る上で、重要なのが、米国の長期金利の上昇です。どこまでも上がることはないにせよ、10月31日の1.825%から11月25日の2.359%まで、0.534%も上昇しています。米FRB(米国の中央銀行)が12月のFOMC(日本の金融政策決定会合に該当)で、利上げを行うことが確実視されている中、世界的な低金利時代は終焉を迎えるかもしれません。

※利上げとは:「米国の利上げ」って何?なぜ重要なの?

トランプ氏の当選は、今後の経済に大きな影響を与えるかもしれません。なぜなら、過度な自由市場・貿易が格差拡大や金融危機を引き起すため、政府によるコントロールや財政出動が必須との考えの元に政策が行われるからです。

最近は、経済への政府の関与はできるだけ減らして、民間(市場)に任せた方が上手くいくという考え方が主流でした。そして、政府が財政出動をして景気を良くする方法を古い・箱モノや道路を作るだけで役に立たないと断罪する例が多々ありましたね。これが緊縮財政的考え方。

さらに、グローバル化による自由貿易推進派は、「関税の撤廃や減税」「政府の補助金や規制縮小」「資本移動や金利の自由化」を求めてきました。⇒これへの反発がトランプ氏勝利の一つの要因。

それに対して、トランプ氏の政策は、政府が財政出動してインフラ整備をすべしというもので、景気刺激策になります。これを行うと国債発行高が増えて、金利は上昇・インフレへと動き出します。

中長期的な流れとしては、現在の動きそのままに、金は値下がり・金利上昇・株価上昇になる確率が高いのではと予想しています。もちろん、トランプ氏の政策が上手くいかないリスクもありますし、予想外の出来事で、ゴールドの上昇シナリオに戻ることもありえますので、しっかりと状況を見ていきましょう。

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