トランプショックで常識外れの相場に…【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

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■11月第3週の見通し(2016/11/21)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「常識が通じない相場展開へ」

トランプ氏が次期大統領に決定したことで市場に大きな変革が起きました。世界中で驚きの声が聴かれましたが、それ以上に驚いたのがドル高と円安、そして世界同時株高になったことです。大統領選前にこの動きを予想できた人は殆どいなかったでしょう。寧ろトランプ氏が当選すればドルや株式市場は暴落するとの見方が大半でした。

トランプ氏は100日で大規模インフラ投資(10年で1兆ドル)や大型減税(法人税を現行の35%から15%へ)、輸入関税の引き上げや移民流入抑制などを挙げています。インフラ投資で新たな病院や学校建設への期待から既に銅などのコモディティー価格が上昇しています。また、輸入関税をかけることで輸入物価が上昇しインフレが進むことになります。更に、移民流入制限で国内の高い労働コストが企業の負担になり、それも物価上昇に繋がるものです。

これらが米長期債利回りの上昇に繋がり、結果的にドルが全面高となりドル円は110円を上抜けて111円近くまで上昇して引けてきました。米国長期金利が上昇したことを受け欧州や日本の長期金利も引きずられて上昇。日本の10年債利回りはマイナスからプラスに転じました。

日銀は金利を0%以下に抑えようと、債券市場では初の指値オペを実施しました。指値オペとはある一定のレベルで無制限に買いを入れるもので、金利の上昇を抑制することが出来ます。結果的に、円の金利が低下したことで日米金利差拡大からドル円の買いに繋がりました。

一方、金利上昇は株価にとってはこれまでネガティブ要因とされていたものが、世界的に株価が上昇。これまでの株価と為替の関係にも変化が見られました。

この動きは今週も継続されると予想されます。ただ、今週は日本の勤労感謝や米国の感謝祭など祝日を挟むために市場の流動性が低下。これまで上昇が続いたドル円の調整売りが強まるとの見方もあります。しかし、今回の相場の動きはこれまでの常識的な見方が通じなくなっています

今年の6月24日のブレグジットも含め、これだけ市場の予想が外れるという事は、これらの動きは偶然のものではなく、必然的に起きたと考えた方が良いかもしれません。
市場は依然としてドルの下落リスクに対する警戒感が根強く、ドルの買い遅れが目立ちます。

常識的には急速に上昇したドルの反動が入る可能性が高いとみるでしょう。しかし、常識が通じないとすれば今週も更にドル円は上昇する可能性が高いとみることが出来ます。
次のドル円の上値目途は115円付近とみています。

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執筆者

岡安 盛男 (おかやすもりお)

レグザム・フォレックスLLC (http://fx-okayasu.com/)代表、為替アナリスト                                                 外資系銀行に20年間在籍、1999年より為替デイトレーダーとして独立後は、 自身のトレードスタイルを確立、実践的な為替投資の啓蒙活動の他、FXスクール講師やFX会社向けの情報提供サービス、投資家向け情報レポートを展開(http://www.gladv.co.jp/members/fx_bible/)。ラジオ日経「岡安盛男のFXトレンド」、日経CNBCの「朝エクスプレス」など出演中。執筆多数。

岡安 盛男

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「大統領選トランプ氏勝利で相場激変」
先週行われた米国大統領選は予想に反してトランプ氏が勝利し市場は波乱含みの展開となりました。

投票前の世論調査ではクリント氏優勢と報道されていたことから、東京市場ではドル円が買われ105円ミドルまで上昇。しかし、結果が徐々に明らかになるにつれトランプ氏優勢との見方が強まりドル円は101円20銭付近まで下落。結果的にトランプ氏勝利が決定したところでドル買い戻しに変化し、ドル円は105円ミドルまで上昇。欧米の株式市場は軒並み上昇。投票前からトランプ氏が当選すればドル円は100円割れ必至で株式市場も暴落するといった見方が大半でした。しかし、結果は全く反対の動きになりました。

トランプ氏の政策は10年間で1兆ドルのインフラ投資、法人税を35%から15%に引き下げる事。また、海外に逃避した2兆ドルの資金を呼び込ませるために10%まで減税。個人の減税なども合わせると財政赤字が大幅に拡大することになります。また、輸入制限や移民流入抑制などを掲げています。もし、輸入制限を行えば輸入価格が上昇。移民制限で企業は国内の高い賃金を支払う事になり物価上昇が進むことになります。結果的に景気回復が進むと同時にインフレが高まり金利が急速に上昇すると予想されます。それを見越し既に米国長期金利は上昇しドルも全面高となっています。

米国議会は上院と下院共に共和党が過半数を確保しています。そのような状況下でトランプ氏が来年1月に大統領就任後、実際にこれらの政策を打ち出したとすれば高い確率で法案は通通過することになります。
トランプ氏はこれらを100日で断行すると言及していることから、金利も来年は予想以上に上昇しドル高が更に進むと思われます。

ただ、今の市場はトランプ氏のプラス面の政策だけに焦点が集まっています。いずれ熱気が冷めたところで、それらの副作用などマイナス面に焦点が移るようならドル売り・円買いの動きが強まる可能性もあり予断は許せません。

さて、今週のドル円ですがFRBのフィッシャー副議長は大統領選挙が終わり、株価が上昇したことで利上げに前向きな姿勢を示しました。
今週も多くのFOMCメンバーの発言が予定されています。それぞれが利上げに前向きな姿勢が示されると予想されます。そうなれば、今週もドル高・円安の流れが継続するとみられます。
ただ、急速に上昇が進んだだけに、調整のドル売りには注意が必要です。

どうなる大統領選とドル円⁉【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

■11月第1週の見通し(2016/11/7)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「大統領選挙の結果次第」

先週はFOMCや日銀会合、BOEやRBAといった各国中銀の政策金利が発表されました。また、米国利上げを占ううえで重要な米国雇用統計が発表されるなどビッグイベントが集中。しかし、市場の注目は米大統領選挙にくぎ付けとなり他の材料に対する反応薄となりました。

前週末にクリントン候補の私用メール問題が再燃して始まった東京市場では落ち着きを取り戻し、ドル円は105円台で始まりました。しかし、その後世論調査でトランプ氏がクリントン氏を1ポイントリードしたとの結果が報道され市場のセンチメントは一変。リスク可否の動きが強まり安全通貨である円やスイスフランに資金が流れ込み、ドル円は一時102円ミドル付近まで下落しました。

日銀会合では物価目標の達成時期を2017年度中から2018年度頃へ延期したことで市場は追加緩和も当面据え置かれるとの見方が広がりました。しかし、既に市場は織り込んでいたことから円高には反応しませんでした。

FOMC会合では予想通り金利は据え置かれました。声明文では特定の利上げ時期に関して言及はなかったものの、12月利上げ観測を後押しする内容と受け止められました。しかし、大統領選への警戒感からドル買いには繋がりませんでした。

週末に発表された米雇用統計は非農業部門の雇用者数が予想を下回ったものの、8月と9月分が上方修正されたことでトータルから見ると予想を上回るものでした。また、平均時給が+2.8%と7年ぶりの高水準となったことからドルは全円高となりドル円も上昇する場面も見られました。しかし、トランプショックが影響し上値も限定的。結局103円付近でNY市場を引けるなど上値の重い展開が続いています。

今週はその注目の大統領選挙が8日行われます。結果は9日の東京市場で明らかになるとみられ、相場が大きく乱高下することは間違いないでしょう。結果はクリントン氏が若干優勢とみられますが、かなり拮抗していることから蓋を開けるまで予断を許しません。もしトランプ氏が当選となればドル円は100円を割り込む可能性が非常に高いとみられます。一方、クリントン氏が当選すればドル円は反発し105円を上抜き107円台も視野に入ります。

大統領選が終われば不透明感も払しょくされ、いずれFRBの金融政策に市場の注目が戻ることになるでしょう。そうなればリスクオンの円安と米利上げ期待のドル買いが再び強まるとみています。

ドル105円に回復、今週の予想は?【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

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「欧米と日本の金利差拡大からのドル円上昇継続」
先週は欧米の長期金利上昇により日本との金利差拡大からドル円は7月以来の105円台を回復しました。
先週発表された英国7-9月期GDP速報値が予想を上回る好結果となりました。ブレグジットによる景気への懸念はこれで払しょくされたことになります。また、赤字決算が予想されたドイツ銀行も黒字決算となったことで金融株を中心に欧州株式市場は上昇。安心感が広がり欧州各国の長期金利が上昇。この動きに攣られ米国長期金利も上昇しドルは全面高となりました。

一方、日銀のコントロール下にある日本の長期金利は依然として0%を下回り、欧米との金利差拡大が意識されドル円は底堅い動きが継続。
週末発表された米7-9月期GDP速報値が2.9%と予想の2.5%を大きく上回ったことでドル円は105円ミドル付近まで上昇しました。ところがその後FBIがクリントン氏の私用メール問題について再捜査するとの報道が流れたことでドルが全面安。ドル円も105円ミドルから104円ミドルまで1円近く下落するなど、市場の流れが一変。この報道がなければドル円は今週の上値を更に試す展開が予想されたことでしょう。

今週は日銀、FOMC(連邦公開市場委員会)、BOE(英国中央銀行)、そしてRBA(豪準備銀行)といった金融政策会合が開かれます。また、週末には米雇用統計が発表されるなど、重要イベントが続きます。今回の会合ではそれぞれが現行の金融政策を維持すると予想され、市場への影響は限定的とみることが出来ます。

今週は俄かに巻き起こった大統領選挙への不透明感がいつ払しょくされるか注目が集まります。これまでクリントン氏のメール問題は何度か取り沙汰されましたが、最終的に不起訴という結果に終わっています。今回も同様の結果となればドル円は再び上昇に向かうとみて良いでしょう。反対に、もし訴訟されるようならトランプ氏優勢となりドル安・円高リスクが再燃することになりますが、その可能性は低いとみます。

中国は共産党6中全会が終了し今後景気下支え政策への期待が高まります。原油価格は来月のOPEC総会まで紆余曲折はあるものの、底堅い動きが継続されるとみられます。欧州でも全般に不安材料が後退しているだけに、市場全体の楽観的なムードは継続されそうです。大統領選挙の不透明感だけが今のドル円の下落リスクとして残ります。
このメール問題で全体のポジションが軽くなった分、次にドル円が上昇する時は一段の上値106円台を試す展開が予想されます。

【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】、来週も宜しくお願い致します。

ユーロ下落だがドル円は安心感か【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

■10月第4週の見通し(2016/10/24)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「リスク低下による円売りと米利上げ期待」
先週は中国経済や大統領選挙の行方、そしてECB金融政策に市場の注目が集まりました。
前週に中国の貿易収支が悪化したこともあり、週初発表される中国GDPに注目が集まりました。結果は予想通りとなり先行き景気減速懸念が和らぎ市場には安心感が広がりました。

その次の日は米国大統領候補による第三回TV討論会が開かれ、前回同様クリントン候補が優勢との見方が広がりました。トランプ氏が巻き返しを狙ったものの失敗。市場は最終的にクリントン候補が次期大統領になるとみてドル買い円売りの動きが強まりました。

また、先週はECB理事会が開かれ政策金利を据え置くことを決定しました。それ自体は予想通りでしたが、ドラギ総裁は来年3月に終了する量的緩和の期間延長は議論されなかったと発言。市場の一部では期間延長が予想されただけに失望感からユーロは上昇。一方、量的緩和終了に向けた、いわゆるテーパリングによる量的緩和規模縮小の議論もなかったことが伝わるとユーロは一転して下落。議長は12月の理事会で追加緩和について判断すると発言したことから更にユーロ売りが加速しました。

ユーロが下落したことからドルは全般に買いが強まりドル円は104円台に乗せるなど堅調に推移。ところが、日銀の黒田総裁が次回の会合で追加緩和を見送る姿勢を示したことで円が全面的に買われドル円は103円ミドル付近まで下落しました。
ECBと日銀の緩和政策の違いからユーロ売り円買いの動きもドル円の上値を抑える要因となりました。

先週の原油価格は、1バレル50ドル台を維持するなど堅調な地合いで推移しました。
ドル円にとって下落リスクとされていた大統領選挙や中国経済への懸念、そして原油価格の下落などがここにきて後退。まだ不安感が完全に払しょくされたわけではないものの、一先ずドル円には買い安心感が広がり始めています。

今週の市場の注目は再び米国金融政策に移るとみられます。
市場は12月利上げを既に織り込んでいることから、次は来年の利上げペースに注目が集まります。今週は多くのFRB幹部の講演があり、その発言からその行方を探ることになりそうです。

今週のドル円は米国の長期金利やNY株式市場の動向を睨みながら底堅い動きを予想します。ドル円予想レンジは105円~103円とみています。

【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】、来週も宜しくお願い致します。

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