取引先との会食が自腹に…税理士が解説「経費でよくある誤解と真実」

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■経費で落とすとは?

「これ経費で落としといて」という言葉、耳にしたことがあるかと思います。
みなさんは具体的にどういう意味かお分かりですか? 行間まで読み取りますと、「自腹ではなく会社で負担する費用として税金も安くなるように処理して」という意味になります。

ではどういうものが自己負担ではなく、会社負担の経費として認められ、税金も安くなるのでしょうか?

このことを考えるにあたっては、

  1. まずその支出について会社で負担すべきかどうかという確認を
  2. 続いて会社負担として判断された場合、税金の計算上も経費として扱われるかどうか確認
    1. というように、それぞれ判断基準が異なる2つの段階について、順を追って確認していく必要があります。

      ちょっとややこしくなってきましたね。次でご説明していきましょう。

      ■経費の考え方

      支出の内容としては

      • 交通費
      • 電話代
      • ,li>飲食代

      • 商品の仕入代金

      などなど色々あります。
      経費とは、これらのうち収入を得るために必要な支出ということになります。
      従いまして売上獲得に関係ない支出は“経費性”がないとなり、経費で落とせないということになります。

      次に“経済合理性”、つまり支出した金額が妥当か?という点も重要です。
      たとえば知人や親戚の経営する会社に業務委託費を支払ったとしましょう。
      その金額が全く関係のない第三者の会社に払う場合や相場などと比較して不当に高くなっていないかという視点です。
      もし、不当に高いと判断された場合は支払先への寄付金など利益供与とされ、これまた経費にはできなくなります。

      まずはこれらが経費性を判断する上での大前提となります。
      これを踏まえて、上でちょっと触れた経費の考え方の2つの段階(1)(2)について、どういうことなのか、以下具体例をいくつか見ていきましょう。

      経費として扱えるか実例4つの解説は次ページへ

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執筆者

小山潤 税理士

青山学院大学卒業後、会計事務所、上場企業財務部の勤務を経ながら税理士資格を取得し、2010年4月に独立開業。法人、個人の申告業務や税務相談、相続対策、事業立ち上げ相談などのコンサルティング業務等を中心に業務を行う。最近では雑誌のコラムや書籍の執筆、セミナー講師などの業務も積極的に行うことで税務情報の発信にも努め、困った時の相談相手として最初に思い出してもらえる人を目指して取り組んでいる。

小山潤

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書籍購入&交際費も!サラリーマンでも「経費の申告」で節税できる方法

サラリーマンはお給料やボーナスから所得税・住民税が源泉徴収(天引き)されているので、節税するのはムリ、と思っていませんか?

実はサラリーマンでも節税できる方法があるのです。その一つが「特定支出控除」。いったいどのような仕組みなのでしょうか。

■サラリーマンの必要経費は決められている

所得税や住民税は収入すべてにかかるわけではなく、そこから必要経費やさまざまな控除を差し引いたあとの金額が課税対象です。ですから、必要経費や控除が多いほど、払う税金は少なくなります。

自営業者の場合は、必要経費を自分で申告するので、実際にかかった金額を経費にすることができます。ところがサラリーマンの必要経費は、給与所得控除として収入から自動的に差し引かれます。給与所得控除の金額は、一定の計算式で計算され、収入が多いほど多くなるようになっています。例えば、給与・賞与の合計額が300万円だと108万円、500万円だと154万円、700万円だと190万円といった具合。

給与所得控除の金額は、「収入がこれくらいなら必要経費はこのくらいだろう」という見込み額なので、実際はもっと経費がかかっているケースもあるかもしれません。だとしたら、税金を多く払うことになってしまいます。

■実際にかかった経費を差し引ける仕組み

そこで、サラリーマンの必要経費のうち一定のものは「特定支出控除」として収入から差し引くことができます。控除の対象となるのは、次のものです。

・通勤費
・転勤にともなう引っ越し費用
・職務に必要な技術・知識を得るための研修費用
・職務に必要な資格取得のための費用
・単身赴任の人が自宅と勤務地を行き来するための費用
・図書費(書籍や雑誌など)
・衣服費(制服、事務費、作業服など職務上必要なもの)
・交際費

ただし、これらについて、会社からの補助がある場合は、その金額を経費から差し引きます。また、図書費、衣服費、交際費は合計して65万円が上限です。

これらの経費が、給与所得控除額の2分の1を超えた金額が、控除額となります。自分の給与所得控除額の金額は、翌年に勤務先から受け取る源泉徴収票の「支払い金額」から「給与所得控除後の金額」をマイナスしたものです。

■控除を受けるには確定申告が必要

例えば、給与・賞与の合計額が500万円の人の場合、給与所得控除額は154万円なので、経費が77万円(154万円÷2)を超えたら、超えた分を特定支出控除として収入から差し引くことができます。

経費が90万円だったとすると、控除額は13万円(90万円-77万円)となり、1万3000円程度の税金が戻ってくることになります。

特定支出控除の適用を受けるには、確定申告が必要です。申告書には、経費の明細書と領収書、給与支払者の証明書を添付します。

自腹で研修を受けたり資格取得をした人、転勤した人や単身赴任の人などは、控除が受けられる可能性が高いといえます。サラリーマンも、領収書はしっかり保管しておくとよいですね。

未納でも逃げ切れる?税理士が解説「税金に時効はあるか」嘘と真実

国民の三大義務のひとつとして、納税の義務があります。
しかし、税金そのものに時効というものは存在するのでしょうか?

■税金に時効はあるのか?

結論から言いますと税金にも時効はあります。
国税(所得税、法人税、消費税、相続税、贈与税など)の時効までの期間は4種類ありまして、該当する税目の申告期限の翌日から3年、5年、6年、7年となります。

ではどのような時に何年の期間が適用されるのでしょうか?

■適用される時効までの期間

(1)3年
期限内申告をしていた場合にこの期間が適用されます。
例えば、平成27年分の所得税の確定申告の場合、申告期限が平成28年3月15日になりますからそれまでに申告書を提出していれば、時効成立はその翌日から3年後の平成30年3月15日となります。

(2)5年
期限内申告をしていない場合に適用されます。
上記の例でいきますと平成32年3月15日になります。

(3)6年
平成16年以降の贈与税の場合です。
贈与税の申告期限も所得税と同じですので、上記の例ですと平成33年3月15日となります。

(4)7年
上記(1)~(3)の各区分についてそれぞれ脱税の意志があった場合は、一律7年となります。

■7年経過すれば無罪放免?時効の中断・停止は?

上記の各期間を見てみると、最長でも7年経過すれば脱税しても無罪放免になりそうです。
ところが、実際はそんなに甘くありません。その理由としていくつかあげられますので、以下で確認していきます。

(1)時効の中断
税務署が未納税額を把握できず、そのまま何も音沙汰なく時が経過してしまった場合に時効が成立となりますが、途中で催告状や督促状などが届いている場合、差押えがあった場合、一部の納税した場合などは時効が中断されます。

時効成立はこれらの措置があった翌日からの再カウントとなりますので、通常はそのまま時効成立とはなりません。

(2)時効の停止
本税を払ったものの延滞税がある場合です。この延滞税については時効が停止されていますので、何年経過しようが時効はやってきませんし、本人が死んでも相続対象となり相続人に引き継がれます。

(3)相続発生、不動産の購入
数ある税目のうち贈与税については、税務署がタイムリーに捕捉しにくい税金となります。そんな贈与ですが、あるきっかけで明るみに出てきます。
そのきっかけが、「相続の発生」や「不動産の購入」です。相続税の申告を行うと、比較的高い確率で税務調査が行われます。

たとえば10年前に夫から収入のない妻(相続人)に1000万円の資金移動あったとします。
この場合税務調査では、これが亡くなった夫の資産(名義預金)とされ相続税の課税対象とされます。これに対し妻が相続税の課税を避けたいがため、自分のお金だと主張するにしても、この資金移動を10年前の贈与であり時効が成立していると主張するとしても、贈与契約書の有無や家計の状況などから合理的に説明できない限り、どちらにしても認められる可能性は低いでしょう。

また、住宅ローンを利用せずに不動産を購入した場合は、資金の出所についての税務署からお尋ねがきます。
自己資金以外の場合は当然どこから調達したのかが争点となります。

こうして贈与時には税務署が分からないだろうと思って申告せずに置いておいたものがあぶり出されて、結果として相続税の課税対象になってくる場合があるのです。

■未納税の時効成立は簡単にはいかない

以上のように実際はいくつものハードルがあり、時効成立までには遠い道のりとなります。
未納税額に対しては以前ご案内した「税金を払わないとどうなるか?」にもありますように、本税の他に様々なペナルティが追加されます。

また、時効を理由に払わずに逃げ切ろうという意図的な行為は脱税となり犯罪となります。
この場合、逮捕され禁固刑や罰金刑などを課される可能性が生じます。

そもそも時効を充て込んで税額を浮かせようなどと考えるのではなく、特に贈与など住宅取得等資金や教育資金などをはじめさまざまな特例がありますので、それらの制度をうまく使って正しく申告した方が、結果的に税額が安く済むということになる場合が多いのではないでしょうか。

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旅費は?美術品購入は?もしも「舛添元都知事流に会社の金を使ったら」税理士が解説

先日、東京都知事の舛添さんが一連の騒動を受けて辞任しました。
原因は数々の不適切な支出でしたが、同じようなことを一般の会社員などがした場合、一体どうなるのでしょうか?

いくつかピックアップして検証してみたいと思います。

■公用車の私的利用

なかなか社用車を使える人はいないでしょうが、これはもちろんNGです。
役員や会社員が私的に利用した場合は、メリットを受けた分給与加算となり所得税の課税対象となります。
個人事業主の場合は、車両の減価償却費が事業利用分以外は経費算入できませんので、その分所得税が高くなってしまいます。

■家族旅行の宿泊費を会議費として処理

家族旅行は「もちろん自分のお金で行ってください」となります。
ただ、行った先で仕事の打ち合わせを行い、そのための飲食代などの支出があればそれは経費として認められます。

また、税務調査や会社への経費請求の際は、「打合せ相手は言えません」では通りませんから、相手先会社名、個人名、人数などの情報開示が当然必要になります。

飲食の領収書は何でもかんでも経費に入れたがる人がいますが、たとえば自宅近くの店舗で、しかも休日に食事した際の領収書などは、税務調査で内容を詳しく聞かれることがありますので、きちんとメモを取っておくなどの対応が必要です。

これらの支出が経費とならない場合は、払ってもらった人は負担すべきものをしていない訳ですから、その分利益を得たことになりますので所得税や住民税の課税対象となります。

■高額の出張旅費

こちらは「通常必要と認められる」金額までは経費にできると税務上取扱いが決まっています。【所得税法第9条第1項第4号】

実費精算が理想ですが、社内規定で役職や行先などで日当や移動手段に差を設けている会社もあるかと思います。
たまに旅費規定を作っていればいくら支給しても大丈夫と思っている経営者の方や、節税テクなどと言って紹介している人がいますが、大いなる勘違いです。

では、ここでいう「通常必要と認められる」金額とはいくらなのでしょうか?
残念ながら税法や判例で具体的にいくらまでとはなっていませんで、同業同規模他社の相場や自社での適切な金額設定と運用が必要になります。

ちなみに産労総合研究所という民間シンクタンクが公表している『2015年度 国内・海外出張旅費に関する調査』によると、国内出張の宿泊費の平均は一般社員9,088円、部長クラス10,078円。
海外出張の宿泊費では一般社員14,042円、部長クラス16,008円、航空機は部長クラスでもエコノミークラスの利用が71.3%です。

金額の多寡につきましては感じ方がそれぞれあると思いますが、少なくとも舛添さんの一出張ファーストクラスで何百万何千万という金額は、世間相場からはかけ離れているという印象が強くなります。
こうなると、上記との差額部分が給与認定され所得税、住民税課税…となる可能性が高くなります。

■美術品や子ども服など物品購入

個人の嗜好や家事消費になるものは「課税後の給与(自分のお金)で買ってください」のレベルですね。

経費処理の可能性があるとすれば、会社のエントランスに飾るための絵画などは経費にできるかもしれません。
しかしこの場合でも条件付となります。
原則、購入金額が10万円以上ですと費用ではなく資産として計上しなければならず、減価償却もできないので経費にできません。
もちろんこれも個人の所有ということになれば、給与の現物支給となり課税対象となります。

■税理士からのアドバイス

以上のように、舛添さんのように他人のお金(税金)を使ってしまった場合、置き換えて一般の人が会社のお金で経済的利益を得た場合は、舛添さんだとうやむやになってしまいますが、一般の人はそうはいかず所得税、住民税の課税対象になってしまいます。

特に役員の場合は、給与認定された部分が法人税の計算上経費にならない可能性が高いので、個人だけでなく会社の税金も高くなってしまいます。

さらにこれは政治家も同じですが、嘘の記載をして請求・着服すると詐欺罪や業務上横領となり、お金の問題だけでは済まされなくなりますので、会社のお金だから…と軽い気持ちで使わないようお気を付け下さい。

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消費税8%分丸儲け!金密輸入が急増「日本が狙われる理由」とは

金のお話しの中でも、ちょっとドキドキするのが「金の密輸」という怪しげな響き。

映画『007』のジェームズ・ボンドも金密輸業者と対決したことがありますね。第3作『007 ゴールドフィンガー』は、金マニアで密輸から金製造まで何でもありの悪役ゴールドフィンガー氏が、米国の金貯蔵庫を襲うというお話でした。

■近年日本への金密輸が増えている

さて、本題に戻ると、外国から日本に金を密輸しようとして税関で摘発されるというニュースは、金額が大きい時に報道されることも。実は2014年から急激にその件数が増えています。
財務省の発表によると、金密輸事件は2014年の7月から2015年の6月までの1年間で、何と177件もの金密輸が摘発されており、前年同期の8件から約22倍も急激に増加しているのです。

なぜ、急に金の密輸が増えたのでしょうか?

その答えは・・・消費税です。2014年の4月から消費税は5%から8%へと引き上げられました。このことが、空前の金密輸ブームを呼ぶことになるとは、怪しい世界は、儲け話の匂いに敏感ですね。

■消費税の増税で金の密輸が増える理由

金自体の価格は、世界中でほとんど同じ、違うのは税金や購入時の制限があるかどうか。インド人は金が大好き。国民が金を購入しすぎて、国の貿易収支が赤字になってしまい、金の輸入や購入に制限をかけた事例もあります。

日本国内で金を売買すると消費税がかかります。ところが、国によって、金購入時に必要な税金はまちまち。金密輸のメッカである香港は、金を購入する時の税金はなし。韓国は、購入時に税金がかかるものの、輸出する際にその税金を還付してもらえる制度があります。そのため、両国が密輸業者に人気。

ということは、海外で税金のかからない金を購入して、日本に密輸。日本だと消費税上乗せの価格で買い取ってくれるので、税金の8%分が利益になります。

1g:4500円で1kgの金を密輸すれば、金の代金は450万円となり、8%の消費税は36万円。10kgの密輸に成功すれば10倍の360万円になります。

金は腐る心配もありませんし、珍獣のように生死も問いません。人間の身体に隠したり、機械・パソコンに隠したりと様々な方法での密輸が盛んになっており、税関は目を光らせています。

年間100件以上も摘発されている【金の密輸というビジネス!】、マネーゴーランド

■金密輸のリスク

上手くいけば、かなり儲かりそうな金の密輸ビジネス。リスクはないのでしょうか。

なんといっても犯罪であるという事実は大きい。正式な手続きでは、海外で1kgを超える金を購入した場合は、事前に税関での申告が必要で、この時に消費税を支払わなければいけません。立派な犯罪行為ですから、実施してはいけません。この金密輸ビジネスは非合法組織がかかわることが多く、密輸を実行してくれる人を募集していることがあります。くれぐれも関わらないでくださいね。

さて、その他のリスクとしては、価格の下落リスクがあります。海外で購入する場合は、米ドルや現地通貨で支払うでしょうし、金自体の下落リスク通貨の下落リスクの二つが生じます。消費税5%の時に少なかった金密輸が、8%になると急増したのもそこが理由でしょう。5%の利益だと、価格変動リスクを考えると割に合わない。ところが8%だと、少々の変動で損するリスクを入れても採算に合うということでしょう。金密輸業者もリスクとリターンをちゃんと計算しているものと推測されます。

下落すれば損失ですが、現地で金を購入した後に、値上がりすれば、その分も利益に上乗せされますからね。

<【シリーズ】なぜ金などの「実物資産」が好まれるのか>

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