トランプショックで金相場大荒れ!「新大統領と金の値段」今後の予想は…

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11月8日に起きたトランプショック。メディアや世論調査に反してトランプ候補が勝ったことで、市場はパニックに陥り、金(ゴールド)に投資家達が集まり、値段は急上昇。金は資産のラストリゾートと言われる通り、パニック時に買われる資産。

ところが、パニックは一夜で静まり、株高・円安へと動いたために、金も値下がりしています。あれ・・・トランプショックって何だったの?

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トランプパニックと金の値段、マネーゴーランド
※引用:GMOクリック証券

一時的に上昇した金はすぐに値下がり、その代りに金利と株価が上昇しています。今後の金はどのように動くのでしょうか。まず、状況を見てみましょう。

■メディアの報道に偏り!

まず、マスコミや市場の大統領選挙予想にバイアス(偏り)があったということ。実際は、思った以上に、クリントン候補の人気が低く、トランプ候補の人気が高かった。これは、来年に控える欧州各国の選挙で、問題になる点ですから、記憶しておくこと。

■トランプ氏は経済に強い!

次に、トランプ候補の経済政策は、財政出動と減税・規制緩和で米国の雇用を回復させるということが柱になっており、「インフレ・高金利・株高に動きやすい政策」いうこと。このビジネス有利というトランプの政策が全く、マスコミや市場に検討されていなかったことが挙げられます。

それゆえに、当選直後は、皆がパニックになり、資産を処分して金に逃げましたが、落ち着いてみると、「待てよ、トランプって・・・元はビジネスマンで経済に強いのでは」という視点が浮上してきました。

■トランプパニックが瞬間的だった理由

次に具体的な事を見ていきましょう。
ポリティカル・コレクトネス:差別や偏見のない正しい言葉や行動を行うという考え方。反面、本音を言えない・理想主義で現実に即していないという欠点を持ちます。
この考え方が、メディアや世論調査でのトランプ反対に繋がった理由の一つ。暴言&本音のトランプはポリティカル・コレクトネスを推進するリベラル派から嫌がられます。そして、メディアの多くはリベラル派です。

トランプさんの方が経済に強い:トランプさんは、元々は不動産業のビジネスマン。プロレスのWWEばりの派手なパフォーマンスと暴言に気を取られがちですが、ビジネスや経済に対する理解はクリントン候補より上。実地で叩き上げたビジネス感覚を持っている方です。

財政出動:ここ数年、日米欧の中央銀行は、必死に金融緩和(低金利・通貨供給)で経済を支えてきました。しかし、なかなかデフレ退治と景気回復に繋がりません。そこで、もう一つの手である政府の財政出動なのですが、財政支出を増やせば赤字になり、将来に災いをもたらすとして反対多数で手つかず。その点、今回の選挙で、大統領と議会が揃って共和党になったために、財政支出の障害が一つなくなりました。

規制緩和でビジネスにプラス:もう一つの大切な点が規制緩和を行うと発言していること。先進国で、新たにビジネスを起こすには、様々な規制をクリアしなければいけません。そこを壊せば、新規開業・競争が起きて、ビジネスにプラスです。

結果的に、トランプ大統領で、経済成長を達成できるかもと、市場は色めき立っています。デフレや超低金利の時代をトランプさんがぶっ壊してくれる可能性があるということです。ただし、これまた、行き過ぎると副作用が怖いところ。

トランプパニックと金の値段、マネーゴーランド

■対立による政治・軍事危機

ここまでは、トランプさんのプラス面をご紹介してきましたが・・・やっぱりマイナス面も気になりますよね。
ここは、今までも話されてきた通り。米国が保護貿易に舵を切れば、新興国は、米国という最大の市場を失い路頭に迷うことになります。人種・主義・宗教などの違いが差別そして対立へと激化して紛争や戦争が起きやすくなるかも知れません。
また、トランプさんの財政出動&規制緩和の経済政策が失敗して、米国の財政悪化&金利急騰による経済悪化になるかもしれません。

これらの事を考えると、金への影響度合いとしては、下げる懸念が出てきそうです。
今後、経済成長やインフレが進み、金利が上がっていけば、(米10年債金利は2%超え)投資家達は、債券や金を売り、株や事業への投資を行うでしょう。金利を生まない金は、金利上昇局面で下がるリスクがあります。向かい風のイメージが出易い投資先になったかも知れません。

世界が安定したまま、経済成長の方に向かえば金は安くなります。しかし、世界で対立や不安定さが増して、株や不動産にリスクが生じれば、金に注目が集まり値段は上がっていくでしょう。さあ、これから、金利と金の動きに注目です。

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執筆者

上村 和弘 (かみむらかずひろ)

アセットクラス&WEBコンサルティングLLC 代表CEO・ファウンダー 日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP会員、1級FP技能士 1990年 現三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社を皮切りに、証券リテール業務や企画調査、ファンド事業等に従事。1999年より、FX事業の新規立ち上げ後、複数社での金融ネット事業の立ち上げ、事業再構築・運営等の統括マネージメントを経て2011年独立。現在、金融情報サービス事業をコアに、投資教育系、システムツールのサポート業務を行う他、シンクタンク系企業、金融システムベンダー等の顧問等を兼務する。1968年生、宮崎県出身。

上村 和弘

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自分の家や田舎の裏山から金がザクザク取れれば、こんなに嬉しいことはありません。米国・南アフリカ・オーストラリアと、「ゴールドラッシュ」が起きるとそこに街が出来た程。それでは、今、金が一番取れる国はどこでしょうか?

この質問は、10年前と今で答えが違います。10年前に最も金を生産(採掘)していた国は、南アフリカでした。ところが、その座は、とある国に奪われてしまいました。

■ゴールドラッシュの国はどこ?

ジーンズで有名な『リーバイス』も、元々は、カリフォルニアのゴールドラッシュがきっかけ。サンフランシスコ周辺での作業用ズボンが発祥です。丈夫で安く、少々の汚れも気にならないために港や鉱山での作業用に最適だったのです。

さて、本題に戻って、今、最も金を掘り出している国は・・・「中国」

2015年に中国は、金を490トン生産、2位のオーストラリアにぶっちぎりの大差をつけて首位の座を守りました。ちなみに、かつての王者「南アフリカ」は、140トンと中国の半分以下の生産量で7位の座をゲットするのがやっと。

⚫️金の生産量トップ10 (2015年、単位はトン)
金の生産量トップ10、マネーゴーランド
出典:U.S.Geological Survey – Mineral Commodity Summaries

■厳しい環境の金鉱山

以前に金の生産高世界一を誇っていた南アフリカは、長年の採掘の結果、地上近くの掘りやすい場所にある金鉱床=(金を含んだ鉱石が取れる場所)を掘り尽くしてしまいました。

そのため、どんどん、地下深く掘り進んでいくうちに、掘りも掘ったり・・・今では、何千メートルもの地下まで金鉱石を掘ってしまい、もっとも深いタウトナ鉱山では、四千メートルもの地下から金を掘り出しています。その姿は隕石が落ちたクレーターそのもの

地下数千メートルを想像してみてください。古くはジュール・ヴェルヌの地底旅行などで有名な「地底にもう一つの国があったレベル」です。そこは、地熱の熱さで最悪の環境。

地底で何時間も過ごすための設備(エレベーター・冷房・換気・水・食料)の供給と掘り出すためにかかる設備で、お金はどんどんかかります。もちろん地底に太陽の光なんて届くわけがありません。

金の生産量トップ10、マネーゴーランド

そんな状態で掘るわけですから、採掘に当たる人達も命がけ、ゆえにストライキが生じて労働コストも上がっていき、いくら高価な金といっても収支計算が合わなくなってきました。

地下深くに埋蔵されている金はまだ存在しているので、もし、金の値段が数倍に値上がりするようなことがあれば、設備投資しても儲かるとして、大量生産体制が出来上がるかもしれませんね。一応、地球の表面を覆う地殻の厚さは30~40kmあると言われているので、掘り抜かないことを希望します。

こうして、南アフリカの金生産量は減りつつある中、大きく生産量を伸ばしたのが中国。

黄金大好きな国、中国は近年、南アフリカからの採掘技術を取りいれて、生産量を増やしました。山東省、河南、広西そして、内モンゴル自治区や新疆ウイグル自治区などで、金の生産力を高めています。21世紀はじめは、まさに中国の躍進がキーワードでしたね。

2007年に南アフリカから首位の座を奪取して以降、その座を揺るがす気配は微塵もありません。

【金が山で採れる理由】地下のマグマの熱さは凄くて、摂氏5000~6000度。この熱は、様々な金属を溶かして、地上に噴出します。それが山脈や山となります。この中に、金や銀をはじめとした金属が含まれているというわけ。そのため、国土が広く、山の多い中国は、マグマが溶かし込んだ金鉱石を含んだ山脈が存在しているということです。金をはじめ有用な金属を含み・人の住んでいない地域の山は鉱山として有望。

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世界経済暴落が予知できる⁉︎ 「富豪が金の値段に注目する」理由

ゴールド(金)は、世界の金融市場の動きが大きく変化する時に、株式や為替といった他の市場に先駆けて動きやすい特徴を持ちます。ゴールドの値動きを見ることで、金融市場の暴落や暴騰に対して、事前準備をすることができます。

ゴールドは、黄色に光輝く金属。すなわち、市場へのイエローカードの役割を果たします。ゴールドの値動きが大きく下げたり上げたりしたときは、その後に、政治・経済的に大きな動きが起きたり、他の市場が大きく動く可能性があるため要注意です。

■ゴールドがイエローカードになる理由

なぜ、ゴールドが他の金融市場のイエローカードになりえるのか。その理由を解説してみます。

・市場規模が小さく、市場の動きに敏感!
・ゴールドの先物市場は、プロの参加者がほとんどで、市場の動きに敏感!
・株式・為替・他の商品に比べて、資産としての用途が大きく、市場の動きに敏感!

ちなみに、金の在庫=(これまでに掘り出されて金として加工された量)は、約18万トン。そして、年間に掘り出される量は年に約3千トン。1g4,500円で計算しても年間に増える金額は約13億5千万円。それに対して、日本の中央銀行が年間に増やすお金の額は、約80兆円。日本円だけでこれですから、桁が違うことをお分かり頂けると思います。

毎年、続々と発行される株式や通貨の量に比べれば、ゴールドの市場は小さいのです。そのため、クジラの鼻先で、餌や危険を探知するパイロットフィッシュの役目をゴールドは果たすことができます。

■イエローカードの具体例

例えば、冷戦が終了し、世界が経済発展と平和に酔う中で、起きた9.11テロ。さらに、中国の急激な経済成長。21世紀の大きなターニングポイントを迎えて、急激な上昇を見せたのはゴールド。

さらに、最近の話では、米国の量的緩和終了時の下落局面。米国は、量的緩和という金融政策によって、米ドルを大量に市場へと供給していました。ところが、当時のバーナンキFRB議長は、2013年6月の記者会見で2013年後半から徐々に量的緩和の縮小を始めると宣言。この会見の後に金をはじめ世界の金融市場は大きく下落。

「ゴールドと米2年債の動き」月足チャート:2016年10月14日
ゴールドと米2年債の動き」月足チャート、マネーゴーランド

※引用:GMOクリック証券

2012年の末から金の値下がりは始まっていました。

■2016年10月の下落理由

そして、今、ゴールドが短期的な下落局面を迎えています。その理由は、米国の利上げ問題。2015年12月に金利を上げる利上げを行って以来、2016年の現在に至るまで、米国は利上げを行っていません。そのため、金利を生まない金は値下がりすることなく、高値圏を維持していました。

米国利上げの詳細はこちら
「米国の利上げ」って何?なぜ重要なの?

ところが、10月4日から下落しはじめました。いよいよ12月のFOMC(米国の金利を決める中央銀行の会議)で利上げが決められる可能性は大きく高まっています。米国の金利が上がると、米国の国債や社債などの債券を保有していれば、一定の金利を得られるようになります。そのため、持っているだけでは金利を生まない金の値段は下がります。

「ゴールドとNYダウの日足チャート」:2016年10月14日
ゴールドとNYダウの日足チャート、マネーゴーランド
※引用:GMOクリック証券

NYダウは高値を維持していますが、ゴールドはすでに下がっています。

このように、ゴールドが大きく値下がり・値上りする時は、世界経済が大きく変化するポイントの可能性が高いという事が言えます。そのために、世界の投資家やお金持ちは、例え、売買していなくても、ゴールドの存在感と価格に注目をしているのです。

コロンブスの標的も金!世界から狙われた「黄金の国ジパング」の歴史

欧州の人々が巨大な帆船を操って、大海原に乗り出した大航海時代。アメリカ大陸を発見したコロンブスが目指したものは、そう、黄金の国「ジパング」

彼ら船乗り達は、自由やロマンのために冒険したのではなく、いたるところに金がある「ジパング」を見つけて、大金持ちになろうという野望ゆえだったのです。

■黄金の国「ジパング」が狙われた!

日本が海外の国や勢力に狙われたのは、大きく二回。一度は鎌倉時代の元寇(モンゴル~中国の王朝)。二度目はコロンブスに代表される大航海時代。二度とも、襲来した理由は共通しており、金=ゴールドを求めて日本を征服・航路探しが目的。

■マルコ・ポーロの東方見聞録

黄金を求めて、コロンブスがジパングに向かう元ネタとなったのは、ご存じ、『マルコ・ポーロの東方見聞録』。東方見聞録にある、ジパングに関する主な記述を読むと、少年の冒険物語に出てくる黄金の島そのものの姿が描かれています。ジパング目指して船を出したくなってきますよね。

「島では、金が見つかるので、彼らは限りなく金を所有している。しかし大陸からあまりに離れているので、この島に向かう商人はほとんどおらず、そのため法外の量の金で溢れている。

この島の君主の宮殿について、私は一つ驚くべきことを語っておこう。その宮殿は、ちょうど私たちキリスト教国の教会が鉛で屋根をふくように、屋根がすべて純金で覆われているので、その価値はほとんど計りきれないほどである。床も二ドワの厚みのある金の板が敷きつめられ、窓もまた同様であるから、宮殿全体では、誰も想像することができないほどの並外れた富となる。」

『マルコ・ポーロ 東方見聞録』月村辰雄・久保田勝一訳 岩波書店より一部抜粋

■マルコ・ポーロと元寇の共通点

ただし、マルコ自身は、日本に来たことはありません。彼は、中国「元」の宮廷で皇帝クビライ(フビライ・ハーン)に仕えただけ。つまり、黄金の国ジパングに関する記述は、当時の中国にあった噂話をまとめたもの。マルコ・ポーロは、当時の中国及びイスラム世界にあった「はるか東の国ジパング」への憧れをまとめたのです。

帆とオール(櫂)しかない船で、海を渡るには、風と海流を利用する知識と経験が必要で、そう簡単にわたることはできません。実際、日本から送った遣隋使・遣唐使の船は何艘も海の底に沈んでしまい、死を覚悟しての船旅だったのです。

黄金の国「ジパング」を狙うコロンブス、マネーゴーランド

■イブン・フルダーズベのワクワクの国

マルコ・ポーロのジパング伝説の元になったお話しが、中世アラブの伝説「ワクワクの国」。聞くだけで何だかワクワクしてくる名前ですが、これが、日本のことを指しているのです。ワクワクの語源は、日本の旧名「ワ(倭・和)の国」ではないかとも言われています。

「ワクワクは金を豊富に産し、住民は犬をつなぐ鎖や猿の首輪そしてチュニックを金の糸で織っている。」

この話を、アッバース朝(今のイラン)の役人だったイブン・フルダーズベは、『諸道と諸国の書』という書籍にまとめて発行しています。そして、モンゴル民族が東欧から中東そして中国を征服する中で、東西交流が盛んになることで、様々な話が伝わりました。

ワクワクの国の話を聞いたクビライは、金を求めて元寇を起こし、ヨーロッパに帰ったマルコ・ポーロが記した東方見聞録によって、黄金の国への憧れが強まり、コロンブスをはじめとした大航海時代が始まりました。

欧州・中国と異なる二つの脅威、その動機こそ「ジパング=黄金伝説」だったのです。

元寇が起きたのは、日本の鎌倉時代。1274年と1281年。そして、大航海時代は、元寇を起こしたモンゴル帝国の衰退後、15世紀半ばごろから。日本はちょうど戦国時代の頃で、戦慣れた武士と強力な兵器を持つ国になり、外国勢力の脅威を打ち破ることに成功しています。今も昔も人の心は変わりません。常に過去の歴史から学べることは多いのではないでしょうか。

歴史の陰に黄金あり。日本史・世界史ともに、教科書や書籍に載っているのは、人物名や出来事が中心。しかし、人を突き動かすのは、いつだって未知なるモノへの好奇心やお金や名誉への欲望。表だって語られる歴史の裏には、お金=経済面の動機が潜んでいることがほとんどです。

次回も金について触れて行きます。お楽しみに!

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金のお話しの中でも、ちょっとドキドキするのが「金の密輸」という怪しげな響き。

映画『007』のジェームズ・ボンドも金密輸業者と対決したことがありますね。第3作『007 ゴールドフィンガー』は、金マニアで密輸から金製造まで何でもありの悪役ゴールドフィンガー氏が、米国の金貯蔵庫を襲うというお話でした。

■近年日本への金密輸が増えている

さて、本題に戻ると、外国から日本に金を密輸しようとして税関で摘発されるというニュースは、金額が大きい時に報道されることも。実は2014年から急激にその件数が増えています。
財務省の発表によると、金密輸事件は2014年の7月から2015年の6月までの1年間で、何と177件もの金密輸が摘発されており、前年同期の8件から約22倍も急激に増加しているのです。

なぜ、急に金の密輸が増えたのでしょうか?

その答えは・・・消費税です。2014年の4月から消費税は5%から8%へと引き上げられました。このことが、空前の金密輸ブームを呼ぶことになるとは、怪しい世界は、儲け話の匂いに敏感ですね。

■消費税の増税で金の密輸が増える理由

金自体の価格は、世界中でほとんど同じ、違うのは税金や購入時の制限があるかどうか。インド人は金が大好き。国民が金を購入しすぎて、国の貿易収支が赤字になってしまい、金の輸入や購入に制限をかけた事例もあります。

日本国内で金を売買すると消費税がかかります。ところが、国によって、金購入時に必要な税金はまちまち。金密輸のメッカである香港は、金を購入する時の税金はなし。韓国は、購入時に税金がかかるものの、輸出する際にその税金を還付してもらえる制度があります。そのため、両国が密輸業者に人気。

ということは、海外で税金のかからない金を購入して、日本に密輸。日本だと消費税上乗せの価格で買い取ってくれるので、税金の8%分が利益になります。

1g:4500円で1kgの金を密輸すれば、金の代金は450万円となり、8%の消費税は36万円。10kgの密輸に成功すれば10倍の360万円になります。

金は腐る心配もありませんし、珍獣のように生死も問いません。人間の身体に隠したり、機械・パソコンに隠したりと様々な方法での密輸が盛んになっており、税関は目を光らせています。

年間100件以上も摘発されている【金の密輸というビジネス!】、マネーゴーランド

■金密輸のリスク

上手くいけば、かなり儲かりそうな金の密輸ビジネス。リスクはないのでしょうか。

なんといっても犯罪であるという事実は大きい。正式な手続きでは、海外で1kgを超える金を購入した場合は、事前に税関での申告が必要で、この時に消費税を支払わなければいけません。立派な犯罪行為ですから、実施してはいけません。この金密輸ビジネスは非合法組織がかかわることが多く、密輸を実行してくれる人を募集していることがあります。くれぐれも関わらないでくださいね。

さて、その他のリスクとしては、価格の下落リスクがあります。海外で購入する場合は、米ドルや現地通貨で支払うでしょうし、金自体の下落リスク通貨の下落リスクの二つが生じます。消費税5%の時に少なかった金密輸が、8%になると急増したのもそこが理由でしょう。5%の利益だと、価格変動リスクを考えると割に合わない。ところが8%だと、少々の変動で損するリスクを入れても採算に合うということでしょう。金密輸業者もリスクとリターンをちゃんと計算しているものと推測されます。

下落すれば損失ですが、現地で金を購入した後に、値上がりすれば、その分も利益に上乗せされますからね。

次回も金について触れて行きます。お楽しみに!

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