大統領選トランプ氏勝利で相場激変!【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

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■11月第2週の見通し(2016/11/14)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「大統領選トランプ氏勝利で相場激変」
先週行われた米国大統領選は予想に反してトランプ氏が勝利し市場は波乱含みの展開となりました。

投票前の世論調査ではクリント氏優勢と報道されていたことから、東京市場ではドル円が買われ105円ミドルまで上昇。しかし、結果が徐々に明らかになるにつれトランプ氏優勢との見方が強まりドル円は101円20銭付近まで下落。結果的にトランプ氏勝利が決定したところでドル買い戻しに変化し、ドル円は105円ミドルまで上昇。欧米の株式市場は軒並み上昇。投票前からトランプ氏が当選すればドル円は100円割れ必至で株式市場も暴落するといった見方が大半でした。しかし、結果は全く反対の動きになりました。

トランプ氏の政策は10年間で1兆ドルのインフラ投資、法人税を35%から15%に引き下げる事。また、海外に逃避した2兆ドルの資金を呼び込ませるために10%まで減税。個人の減税なども合わせると財政赤字が大幅に拡大することになります。また、輸入制限や移民流入抑制などを掲げています。もし、輸入制限を行えば輸入価格が上昇。移民制限で企業は国内の高い賃金を支払う事になり物価上昇が進むことになります。結果的に景気回復が進むと同時にインフレが高まり金利が急速に上昇すると予想されます。それを見越し既に米国長期金利は上昇しドルも全面高となっています。

米国議会は上院と下院共に共和党が過半数を確保しています。そのような状況下でトランプ氏が来年1月に大統領就任後、実際にこれらの政策を打ち出したとすれば高い確率で法案は通通過することになります。
トランプ氏はこれらを100日で断行すると言及していることから、金利も来年は予想以上に上昇しドル高が更に進むと思われます。

ただ、今の市場はトランプ氏のプラス面の政策だけに焦点が集まっています。いずれ熱気が冷めたところで、それらの副作用などマイナス面に焦点が移るようならドル売り・円買いの動きが強まる可能性もあり予断は許せません。

さて、今週のドル円ですがFRBのフィッシャー副議長は大統領選挙が終わり、株価が上昇したことで利上げに前向きな姿勢を示しました。
今週も多くのFOMCメンバーの発言が予定されています。それぞれが利上げに前向きな姿勢が示されると予想されます。そうなれば、今週もドル高・円安の流れが継続するとみられます。
ただ、急速に上昇が進んだだけに、調整のドル売りには注意が必要です。

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執筆者

岡安 盛男 (おかやすもりお)

レグザム・フォレックスLLC (http://fx-okayasu.com/)代表、為替アナリスト                                                 外資系銀行に20年間在籍、1999年より為替デイトレーダーとして独立後は、 自身のトレードスタイルを確立、実践的な為替投資の啓蒙活動の他、FXスクール講師やFX会社向けの情報提供サービス、投資家向け情報レポートを展開(http://www.gladv.co.jp/members/fx_bible/)。ラジオ日経「岡安盛男のFXトレンド」、日経CNBCの「朝エクスプレス」など出演中。執筆多数。

岡安 盛男

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トランプが劇的勝利!政策から紐解く「世界情勢&日本への影響」どうなる?

米大統領選挙は、現地時間11月8日の当日どころか開票が始まってしばらくすると、クリントン氏有利の前評判を覆して、トランプ氏大逆転勝利。

速報がトランプ氏有利に傾くにつれて、為替相場は円高、株式市場は下落と、EU離脱を問う6月23日の英国国民投票と同じ流れが、今回も起きました。

■トランプ大統領の誕生で起きること

トランプ大統領誕生で、米国はどのような道を歩むのでしょうか。まず、彼が掲げている政策を見ていきましょう。マスコミの言うことを鵜呑みにしないで自ら確かめてください。

トランプ氏の主張は、移民反対・所得税の単純化や減税(実はお金持ち有利)・TPP反対・オバマケア反対などが中心。行き過ぎたグローバル化や環境規制に反対し、保護貿易主義・環境協定からの脱退などを訴えてきました。ここの方向転換がこれまでとの違い。TPP実現はどうなることやら、、、。

■トランプ氏の主張する政策一覧

大逆転!トランプ大統領誕生の情勢、マネーゴーランド

いかがでしょう。これ、日本の貿易黒字のせいで、米国が苦しんだ1980年代からのバブル時代に米国が取っていた政策に似ています。外交は、仮想敵国をソ連にして圧力をかけた共和党のレーガン&ブッシュ氏が大統領だった時期。

この時は、経済面で日本に対して、牛肉・オレンジ・自動車と様々な圧力がかかりました。今は、日本よりも中国が米国の雇用を奪っているという意識が強い点が当時との違い。つまり、米国の圧力を最も受けるのは、日本よりも中国です。懸念点として、中国にかなり厳しいことになるのではと予想。ここは、経済面・軍事面の双方で、隣国として非常に心配。

次に大事なのは、大きく流れが変わるグローバル化の点。これまでのグローバル経済推進・環境重視の流れから、保護貿易・規制緩和型へと米国は大きく舵を切ることになりました。議会でも共和党が上下両院を握る可能性が高く、そうなると大統領の政策実行力も上がります。

あまり、日本では、話題になっていませんが、「環境・安全・健康などの規制」によって、迷惑をこうむっている人・企業が多数あることは大事な点。特に都市ではなく、郊外の自営業者や中小企業・土地を所有する人達が「過剰な規制」によって、様々な問題を抱えています。

■トランプ大統領によって世界で起きるであろうこと!

●世界の警察
強い米国を取り戻し、軍事力増強の意向から、オバマ大統領が放棄した「世界の警察」の役割を強めるのではないかと考えます。もっとも米国一国ではなく、他国を巻き込んでいく方向で、力を発揮するでしょう。IS国打倒をはじめとした過激派勢力との対立・中国への圧力強化などが起きえるシナリオ。兵士ではなく兵器とサイバー部隊・後方支援部隊を出せば、米経済にはプラス。

●米ドル/円相場への政治的圧力
トランプ氏の発言・主張を見ていると、他国の通貨安誘導を強くけん制していること、米国内の製造業を大事にすることが経済面での柱。性格的にもパフォーマンス好きで強い発言を好むことから、日本に対しても強い態度で臨むはず。そのため、米国はドル安に誘導する可能性が高い分、日本はトランプ政権が続く間は、円高圧力が起きやすいでしょう。

●中長期的な株式市場
トランプ氏は何をするか分からないとの考えから、一時的にリスクオフで株安に動く公算大。実際、11月9日の日経平均株価は、919円84銭の大幅安。しかし、政策自体を見ると、株式市場に優しい政策が目白押し。トランプショックが収まった後に、インフラ整備への支出・規制緩和が実行されれば、株式市場が回復する可能性があります。ただし、米企業との競争に敗れた場合、為替の円高とあわせて日本株は下がるリスクあり。

もっとも、株価については、FRB・ECB・日銀の利上げや緩和終了の影響も大きいことをお忘れなく。

■トランプリスクのシナリオも見ておきましょう。

1、保護貿易から戦争へと・・・
トランプ氏の主張する保護貿易が、戦争を引き起こす可能性があることは、第一次・第二次の世界大戦が起きたことからも分かる通り。トランプ反対派はここへの懸念が大。トランプ大統領の誕生で、各国の競争・格差が広がり、最後は武力に物を言わせることになれば最大のリスク。

2、威圧的な性格が敵を作る
エキセントリックで威圧的なトランプ大統領。各国の首脳や国民を怒らせることで余計な敵を作る可能性あり。これもまた、世界中で争いのタネをまき散らして、戦争や訴訟が増えるリスクがあります。また、金融市場にとっては、余計な発言を繰り返して波乱の原因になると思います。

勝利演説では、ヒラリー・クリントン氏を称え、米国を癒し団結させると話したトランプ氏。米国を再生させる偉大な大統領となることを願います。

どうなる大統領選とドル円⁉【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

■11月第1週の見通し(2016/11/7)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「大統領選挙の結果次第」

先週はFOMCや日銀会合、BOEやRBAといった各国中銀の政策金利が発表されました。また、米国利上げを占ううえで重要な米国雇用統計が発表されるなどビッグイベントが集中。しかし、市場の注目は米大統領選挙にくぎ付けとなり他の材料に対する反応薄となりました。

前週末にクリントン候補の私用メール問題が再燃して始まった東京市場では落ち着きを取り戻し、ドル円は105円台で始まりました。しかし、その後世論調査でトランプ氏がクリントン氏を1ポイントリードしたとの結果が報道され市場のセンチメントは一変。リスク可否の動きが強まり安全通貨である円やスイスフランに資金が流れ込み、ドル円は一時102円ミドル付近まで下落しました。

日銀会合では物価目標の達成時期を2017年度中から2018年度頃へ延期したことで市場は追加緩和も当面据え置かれるとの見方が広がりました。しかし、既に市場は織り込んでいたことから円高には反応しませんでした。

FOMC会合では予想通り金利は据え置かれました。声明文では特定の利上げ時期に関して言及はなかったものの、12月利上げ観測を後押しする内容と受け止められました。しかし、大統領選への警戒感からドル買いには繋がりませんでした。

週末に発表された米雇用統計は非農業部門の雇用者数が予想を下回ったものの、8月と9月分が上方修正されたことでトータルから見ると予想を上回るものでした。また、平均時給が+2.8%と7年ぶりの高水準となったことからドルは全円高となりドル円も上昇する場面も見られました。しかし、トランプショックが影響し上値も限定的。結局103円付近でNY市場を引けるなど上値の重い展開が続いています。

今週はその注目の大統領選挙が8日行われます。結果は9日の東京市場で明らかになるとみられ、相場が大きく乱高下することは間違いないでしょう。結果はクリントン氏が若干優勢とみられますが、かなり拮抗していることから蓋を開けるまで予断を許しません。もしトランプ氏が当選となればドル円は100円を割り込む可能性が非常に高いとみられます。一方、クリントン氏が当選すればドル円は反発し105円を上抜き107円台も視野に入ります。

大統領選が終われば不透明感も払しょくされ、いずれFRBの金融政策に市場の注目が戻ることになるでしょう。そうなればリスクオンの円安と米利上げ期待のドル買いが再び強まるとみています。

ドル105円に回復、今週の予想は?【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

■10月第5週の見通し(2016/10/31)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「欧米と日本の金利差拡大からのドル円上昇継続」
先週は欧米の長期金利上昇により日本との金利差拡大からドル円は7月以来の105円台を回復しました。
先週発表された英国7-9月期GDP速報値が予想を上回る好結果となりました。ブレグジットによる景気への懸念はこれで払しょくされたことになります。また、赤字決算が予想されたドイツ銀行も黒字決算となったことで金融株を中心に欧州株式市場は上昇。安心感が広がり欧州各国の長期金利が上昇。この動きに攣られ米国長期金利も上昇しドルは全面高となりました。

一方、日銀のコントロール下にある日本の長期金利は依然として0%を下回り、欧米との金利差拡大が意識されドル円は底堅い動きが継続。
週末発表された米7-9月期GDP速報値が2.9%と予想の2.5%を大きく上回ったことでドル円は105円ミドル付近まで上昇しました。ところがその後FBIがクリントン氏の私用メール問題について再捜査するとの報道が流れたことでドルが全面安。ドル円も105円ミドルから104円ミドルまで1円近く下落するなど、市場の流れが一変。この報道がなければドル円は今週の上値を更に試す展開が予想されたことでしょう。

今週は日銀、FOMC(連邦公開市場委員会)、BOE(英国中央銀行)、そしてRBA(豪準備銀行)といった金融政策会合が開かれます。また、週末には米雇用統計が発表されるなど、重要イベントが続きます。今回の会合ではそれぞれが現行の金融政策を維持すると予想され、市場への影響は限定的とみることが出来ます。

今週は俄かに巻き起こった大統領選挙への不透明感がいつ払しょくされるか注目が集まります。これまでクリントン氏のメール問題は何度か取り沙汰されましたが、最終的に不起訴という結果に終わっています。今回も同様の結果となればドル円は再び上昇に向かうとみて良いでしょう。反対に、もし訴訟されるようならトランプ氏優勢となりドル安・円高リスクが再燃することになりますが、その可能性は低いとみます。

中国は共産党6中全会が終了し今後景気下支え政策への期待が高まります。原油価格は来月のOPEC総会まで紆余曲折はあるものの、底堅い動きが継続されるとみられます。欧州でも全般に不安材料が後退しているだけに、市場全体の楽観的なムードは継続されそうです。大統領選挙の不透明感だけが今のドル円の下落リスクとして残ります。
このメール問題で全体のポジションが軽くなった分、次にドル円が上昇する時は一段の上値106円台を試す展開が予想されます。

【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】、来週も宜しくお願い致します。

懸念は中国リスク、ドル高地合いは維持か?!【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

■10月第3週の見通し(2016/10/17)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「中国リスクと米利上げ期待」
先週のドル円は102円後半から104円ミドルの狭いレンジ内での動きとなったものの、徐々に底堅さが増してきました。
先週は米大統領候補の第二回TV討論会が開かれ、前回と同様にクリントン候補が優勢となりました。討論会の前にトランプ候補の女性蔑視発言が取り沙汰されたことが響いたためです。来月の本選挙ではトランプ候補の当選は難しいとの見方から市場には安心感が広がりました。ドル円にとっては下落リスクが一つ解消されるとの見方から押し上げ材料となりました。また、先週は原油価格が底堅い動きを維持したこともドル円にとってはサポート要因となりました。トルコで開かれた世界エネルギー会合でロシアが増産凍結に前向きな姿勢を示したことや、サウジが1バレル60ドル回復の可能性に言及したためです。

ドル円は104円ミドルまで上昇したところで中国貿易収支が予想を下回ったことから103円前半まで下落しました。輸出が10%減少したことで先行き不透明感が広がりました。しかし、次の日に発表された中国CPI(消費者物価指数)が予想を上回ると一転。ドル円は再び104円台に押し戻されるなど中国経済指標で一喜一憂する動きとなりました。

今週はその中国のGDPや鉱工業生産といった重要指標が発表され、相場の波乱要因となりそうです。しかし、先週同様一時的な動きで相場の方向性を変えるものではないとみてよいでしょう。

今週はECB理事会も開かれユーロの動きにも注目が集まります。ECBによる量的緩和規模縮小の思惑から一時買われたユーロも緩和継続期待もあり再び下落。三角保ち合いの底が割れたことで下落幅を拡大しました。理事会で緩和継続の具体的な政策が示されないようならユーロの買い戻しが強まりかねません。そうなればユーロ円やその他のクロス円買いが強まりドル円の下支えとなる可能性が高まりそうです。

今週20日の東京時間には米大統領候補の第三回TV討論会が行われます。トランプ候補巻き返しがあればドル円の下押し要因となりますが、前回同様クリントン候補が有利に運ぶと考えられます。
一方、週末に発表された米為替報告書では日本が引き続き為替監視リストに指定されるなど円高阻止に向けた動きが制限されます。
今週のドル円は先週に引き続き方向感の乏しいものの、米利上げ期待などから105円台を試す展開も予想されます。
今週のドル円予想レンジは103円ミドルから105円ミドル。

【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】、来週も宜しくお願い致します。

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