ドル105円に回復、今週の予想は?【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

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■10月第5週の見通し(2016/10/31)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「欧米と日本の金利差拡大からのドル円上昇継続」
先週は欧米の長期金利上昇により日本との金利差拡大からドル円は7月以来の105円台を回復しました。
先週発表された英国7-9月期GDP速報値が予想を上回る好結果となりました。ブレグジットによる景気への懸念はこれで払しょくされたことになります。また、赤字決算が予想されたドイツ銀行も黒字決算となったことで金融株を中心に欧州株式市場は上昇。安心感が広がり欧州各国の長期金利が上昇。この動きに攣られ米国長期金利も上昇しドルは全面高となりました。

一方、日銀のコントロール下にある日本の長期金利は依然として0%を下回り、欧米との金利差拡大が意識されドル円は底堅い動きが継続。
週末発表された米7-9月期GDP速報値が2.9%と予想の2.5%を大きく上回ったことでドル円は105円ミドル付近まで上昇しました。ところがその後FBIがクリントン氏の私用メール問題について再捜査するとの報道が流れたことでドルが全面安。ドル円も105円ミドルから104円ミドルまで1円近く下落するなど、市場の流れが一変。この報道がなければドル円は今週の上値を更に試す展開が予想されたことでしょう。

今週は日銀、FOMC(連邦公開市場委員会)、BOE(英国中央銀行)、そしてRBA(豪準備銀行)といった金融政策会合が開かれます。また、週末には米雇用統計が発表されるなど、重要イベントが続きます。今回の会合ではそれぞれが現行の金融政策を維持すると予想され、市場への影響は限定的とみることが出来ます。

今週は俄かに巻き起こった大統領選挙への不透明感がいつ払しょくされるか注目が集まります。これまでクリントン氏のメール問題は何度か取り沙汰されましたが、最終的に不起訴という結果に終わっています。今回も同様の結果となればドル円は再び上昇に向かうとみて良いでしょう。反対に、もし訴訟されるようならトランプ氏優勢となりドル安・円高リスクが再燃することになりますが、その可能性は低いとみます。

中国は共産党6中全会が終了し今後景気下支え政策への期待が高まります。原油価格は来月のOPEC総会まで紆余曲折はあるものの、底堅い動きが継続されるとみられます。欧州でも全般に不安材料が後退しているだけに、市場全体の楽観的なムードは継続されそうです。大統領選挙の不透明感だけが今のドル円の下落リスクとして残ります。
このメール問題で全体のポジションが軽くなった分、次にドル円が上昇する時は一段の上値106円台を試す展開が予想されます。

【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】、来週も宜しくお願い致します。

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執筆者

岡安 盛男 (おかやすもりお)

レグザム・フォレックスLLC (http://fx-okayasu.com/)代表、為替アナリスト                                                 外資系銀行に20年間在籍、1999年より為替デイトレーダーとして独立後は、 自身のトレードスタイルを確立、実践的な為替投資の啓蒙活動の他、FXスクール講師やFX会社向けの情報提供サービス、投資家向け情報レポートを展開(http://www.gladv.co.jp/members/fx_bible/)。ラジオ日経「岡安盛男のFXトレンド」、日経CNBCの「朝エクスプレス」など出演中。執筆多数。

岡安 盛男

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「リスク低下による円売りと米利上げ期待」
先週は中国経済や大統領選挙の行方、そしてECB金融政策に市場の注目が集まりました。
前週に中国の貿易収支が悪化したこともあり、週初発表される中国GDPに注目が集まりました。結果は予想通りとなり先行き景気減速懸念が和らぎ市場には安心感が広がりました。

その次の日は米国大統領候補による第三回TV討論会が開かれ、前回同様クリントン候補が優勢との見方が広がりました。トランプ氏が巻き返しを狙ったものの失敗。市場は最終的にクリントン候補が次期大統領になるとみてドル買い円売りの動きが強まりました。

また、先週はECB理事会が開かれ政策金利を据え置くことを決定しました。それ自体は予想通りでしたが、ドラギ総裁は来年3月に終了する量的緩和の期間延長は議論されなかったと発言。市場の一部では期間延長が予想されただけに失望感からユーロは上昇。一方、量的緩和終了に向けた、いわゆるテーパリングによる量的緩和規模縮小の議論もなかったことが伝わるとユーロは一転して下落。議長は12月の理事会で追加緩和について判断すると発言したことから更にユーロ売りが加速しました。

ユーロが下落したことからドルは全般に買いが強まりドル円は104円台に乗せるなど堅調に推移。ところが、日銀の黒田総裁が次回の会合で追加緩和を見送る姿勢を示したことで円が全面的に買われドル円は103円ミドル付近まで下落しました。
ECBと日銀の緩和政策の違いからユーロ売り円買いの動きもドル円の上値を抑える要因となりました。

先週の原油価格は、1バレル50ドル台を維持するなど堅調な地合いで推移しました。
ドル円にとって下落リスクとされていた大統領選挙や中国経済への懸念、そして原油価格の下落などがここにきて後退。まだ不安感が完全に払しょくされたわけではないものの、一先ずドル円には買い安心感が広がり始めています。

今週の市場の注目は再び米国金融政策に移るとみられます。
市場は12月利上げを既に織り込んでいることから、次は来年の利上げペースに注目が集まります。今週は多くのFRB幹部の講演があり、その発言からその行方を探ることになりそうです。

今週のドル円は米国の長期金利やNY株式市場の動向を睨みながら底堅い動きを予想します。ドル円予想レンジは105円~103円とみています。

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懸念は中国リスク、ドル高地合いは維持か?!【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

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「中国リスクと米利上げ期待」
先週のドル円は102円後半から104円ミドルの狭いレンジ内での動きとなったものの、徐々に底堅さが増してきました。
先週は米大統領候補の第二回TV討論会が開かれ、前回と同様にクリントン候補が優勢となりました。討論会の前にトランプ候補の女性蔑視発言が取り沙汰されたことが響いたためです。来月の本選挙ではトランプ候補の当選は難しいとの見方から市場には安心感が広がりました。ドル円にとっては下落リスクが一つ解消されるとの見方から押し上げ材料となりました。また、先週は原油価格が底堅い動きを維持したこともドル円にとってはサポート要因となりました。トルコで開かれた世界エネルギー会合でロシアが増産凍結に前向きな姿勢を示したことや、サウジが1バレル60ドル回復の可能性に言及したためです。

ドル円は104円ミドルまで上昇したところで中国貿易収支が予想を下回ったことから103円前半まで下落しました。輸出が10%減少したことで先行き不透明感が広がりました。しかし、次の日に発表された中国CPI(消費者物価指数)が予想を上回ると一転。ドル円は再び104円台に押し戻されるなど中国経済指標で一喜一憂する動きとなりました。

今週はその中国のGDPや鉱工業生産といった重要指標が発表され、相場の波乱要因となりそうです。しかし、先週同様一時的な動きで相場の方向性を変えるものではないとみてよいでしょう。

今週はECB理事会も開かれユーロの動きにも注目が集まります。ECBによる量的緩和規模縮小の思惑から一時買われたユーロも緩和継続期待もあり再び下落。三角保ち合いの底が割れたことで下落幅を拡大しました。理事会で緩和継続の具体的な政策が示されないようならユーロの買い戻しが強まりかねません。そうなればユーロ円やその他のクロス円買いが強まりドル円の下支えとなる可能性が高まりそうです。

今週20日の東京時間には米大統領候補の第三回TV討論会が行われます。トランプ候補巻き返しがあればドル円の下押し要因となりますが、前回同様クリントン候補が有利に運ぶと考えられます。
一方、週末に発表された米為替報告書では日本が引き続き為替監視リストに指定されるなど円高阻止に向けた動きが制限されます。
今週のドル円は先週に引き続き方向感の乏しいものの、米利上げ期待などから105円台を試す展開も予想されます。
今週のドル円予想レンジは103円ミドルから105円ミドル。

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米大統領討論会でまたドル円下落?【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

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「米大統領候補によるTV討論会と米利上げ期待」

先週のドル円はひと月ぶりに104円台に上昇するなど底堅い動きになりましたが、雇用統計の結果を受け押し戻されました。先週は米国の好調な経済指標に支えられドル買いが先行。また、ポンドやユーロにも新たな動きが見られました。

先週発表された米国ISM製造業や非製造業景況指数共に予想を大きく上回る好結果となり米国早期利上げ期待の高まりから米国長期債利回りが上昇しドルは全面的に買いが強まりました。また、利上げに対してはネガティブに反応していたNY株式市場も強い経済指標に対し素直に買いで反応する場面も見られました。

結果的にドル高とリスク選好の円安が重なりドル円は101円前半から104円前半まで3円余り上昇。テクニカル的にみると一目均衡表の雲の上限を今年初めて上抜いたことで、これまでの下降トレンドが終了したのではといった見方が広がりました。

しかし、週末発表された米9月雇用統計で非農業部門雇用者数が15.6万人と予想された17.2万人を下回り、失業率も5.0%と前月の4.9%から悪化。これを受けドル円は102円後半まで下落しました。

しかし、9月の雇用統計の結果は決して堅調な米国労働市場の流れが変わったことを示すものではありません。その内容を見ると平均時給は前年同月よりも2.6%上昇し、労働参加率も前月から改善されるなど依然として米国労働市場は完全雇用に近づいていると言えます。結果的にドルは売られましたが、これまで急速に買われた調整の売りとみることが出来ます。

今週月曜日は2回目の米大統領候補によるTV討論会が開かれます。9月に行われた1回目の討論会でドル円は100円08銭まで下落する場面もありましたが、その後の反発のきっかけにもなりました。

今回は日本が休日の東京時間に行われるという事もあり一時的な円高リスクが懸念されます。しかし、11月8日の大統領選挙本番まではどちらに軍配が上がるか全くわからない状況が続き、どちらにもポジションを偏らせにくくなります。寧ろ、大統領選挙に向けて円高は既に大分織り込んできているだけに、クリントン候補が優勢となれば円安に向かう可能性が高いと思われます。

今週は米国消費者物価指数やイエレン議長の講演が週末に控えます。ISMに引き続き好調な経済指標の結果が示されるようなら再びドル買いの流れが強まると思われます。また、経済指標の結果を踏まえて利上げの判断を行うとするイエレン議長の発言にも注目が集まります。
今週のドル円は102円から104円付近の狭いレンジでの動きが予想されます。

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米雇用統計×大統領選討論会でドル円上昇?【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】

■10月第1週の見通し(2016/10/03)

為替アナリストの岡安盛男です。毎週月曜日にお届けしている『初心者でもわかる今週の為替市場』。今週も宜しくお願いします。

「米雇用統計やISM製造業でドル円一段の上昇へ」

先週は米大統領候補によるTV討論会が行われ、ドル円は一時100円前半まで下落しました。トランプ候補が優勢となれば円高に圧力をかける可能性が高まるとの見方がありました。しかし、結果的にクリントン候補が優勢となり一先ず円高リスクは後退。ドル円は101円台に押し戻されました。また、OPEC非公式会合で増産凍結が8年ぶりに合意に至ったことから原油価格が上昇。株式市場もこの合意を好感しNY株式市場は三指数ともに上昇するなど、リスク選好の動きからドル円は101円85銭まで上昇しました。

しかし、「好機魔多し」でドイツ銀行の信用不安が再燃し欧米株式市場は銀行株を中心に下落に転じました。ドイツ銀行はデリバティブの不正販売に拘ったとして米法務省から150億ドルの和解金が請求されていました。ところが、メルケル首相がドイツ銀行に対する政府の救済を拒否したとの報道で市場に金融不安が拡大。ドル円は再び100円台に押し戻されました。

しかし、週末に米法務省が和解金を54億ドルに減額するとの報道があり、株式市場に安心感が広がりました。上値が抑えられていたユーロを中心としたクロス円の買いが強まると、ドル円も再び101円ミドル付近まで上昇し、そのまま高値圏で引けてきました。

先週もドル円にとっては様々な円高材料が多かったものの、それでも100円割れは回避されました。ブレグジット以降何度となく100円割れが試されたものの結局跳ね返されるなど、今回も100円の壁の厚さが確認された格好となりました。

今週は注目の米雇用統計が発表され、この結果次第でドル円は一段の上昇が期待できそうです。前月の雇用統計では非農業部門雇用者数が予想を下回ったことから、今回はその反動が出るのではといった見方もあります。

円高要因として懸念された原油価格や株価の下落は一先ず回避されました。また、ドイツ銀行問題も一先ず大きな混乱に至らなかったことで、目先の円高材料は大分後退しました。
先週発表された米4-6月期GDP確定値が予想を上回ったことから年内1回は利上げを行うとの見方が強まりました。

今週は米雇用統計やISMなども同様に好調な結果が示されるようならドル円は先週のレンジの上限となる101円後半を上抜き103円を目指す展開も予想されます。しかし、週末の9日には第二回目の大統領候補によるTV討論会が開かれ、再びドル円の下値リスクが高まるとみられます。結局ドル円の上昇幅にも限りがあるという事になります。
今週のドル円予想レンジは100円ミドルから103円ミドルと見ています。

【岡安盛男の初心者でもわかる今週の為替市場】、来週も宜しくお願い致します。

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